東方の幻想日記 ~人間妖狐迷走記~   作:0%0%0%

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 新章です。

 今回は前のようにイベントやら戦いがあるような内容ではなく、平和っぽいです。

 それでは、お楽しみください。


~六頁目(八雲家~???)~

 

 幻想卿___

 

 

 様々な種族の者たちが共存している理想郷。

 そろそろ夏が終わる頃、そんな世界で一人の妖狐はいつも通りに生活しており……

 

 

 

 

 

 

 

 ___紅魔館。

 

 

 

 どの場所も同じ濃さの紅色の館は目立つ事は言うまでもなく、随分と昔からあるらしいのに老朽化した部分はどこにも見られない。

 

 

 そんな館の中の図書館___

 

 

 

 

 

 

 「___よし、緑、この魔法陣を踏んでみなさい」

 

 見るからに怪しい魔法陣を作り、パチュリーは言った。

 

 「ええ~、これ絶対不味いでしょ……」

 

 その怪しい魔法陣を見て俺、八雲 緑は言い返した。怪しい模様に怪しい光。うーん、嫌な予感。

 

 「ほら、乗りなさい」

 「この前乗った時は全身の力を抜き取られたのに……」

 

 この展開は俺のデジャブではなく明らかに前回の二の舞する数分前である気がして堪らない。

 

 ちなみに、前回は力を抜き取られて偏頭痛のような状態になり、しばらく苦しんだ。

 

 「何事も挑戦よ?」

 「……3日の次は5日か?」

 

 冷ややかに俺は言った。前回は倒れて同じ家に住む八雲 藍と言う名の九尾の看護を受けていたのだった。あの時のお粥がとても美味しかったのでまた食いたいな、と思ったがすぐに嫌でも食うことになりそうだ(食うこと自体は俺はOKだが)。

 

 「……志●後ろ!」

 「へ?」

 

 どっかで聞いたことのある台詞と共に俺は目の前の魔法陣に見事、突き飛ばされた。

 

 「___熱!? うわちちち!?」

 

 怪しい魔法陣に乗った瞬間、怪しい光が火に変わって俺の尻尾に火がついた。

 若干涙目になりながらも冷静に俺は足で素早く地面に印をつける。その印の上からバケツをひっくり返したかの様な量の水が降ってくる。

 

 「……と、これが地雷魔法。別名『魔法陣』よ。今の属性は“火“で、踏んだ生物に火をつけるわ。それにこれの印を……」

 

 パチュリーがマシンガンの様に講義を始めたが、少し焦げてしまった尻尾を撫でている俺には声が届かなかった。どこも黄土色の尻尾は先端が焦げ茶色になってしまった……うぅ……

 

 ……今さらだが、俺は狐と狼の毛並みが混ざった尻尾と耳を持っている。最初は白くて狼に似ていたが、前の異変以降には毛に黄土色がかかり、尻尾の見た目は大きさを除いてキタキツネそっくりになった。どうでも良いなこの話。

 

 

 「あー、疲れたな」

 

 誰もいない館の庭を後にして俺は門に出て慣れない飛行で空を飛んだ(勿論、門番がいたが寝ているのでノーカン)。

 

 

 

 「よっ……と」

 

 飛んで着いたのは魔法の森。ここは色々な茸が多く生えていて、幻覚を見せるような茸が多かった。

 

 俺の幾つかの暇潰しの場所の1つ、その目的は、

 

 「えっと、この木材は……」

 

 そう、大規模ではないが、家を作ることである。いつもは八雲家に住ませてもらっているが、せっかくこの世界に来たのだから家ぐらいは持ってみたかった。

 

 ……ほら、地価がタダだし。

 

 「……よし、後は組み立てるだけか」

 

 組み立てるための道具の大体は人里で揃えた。道具の中にあるチェーンソー等は魔法の森の店にしか売ってなかった。……案外、近代化が進んでるな。

 

 

 

 

 

 

 ___夕方。

 

 

 

 

 「……いやー、なんですかねこれ?」

 

 そう他人事の様に俺は呟く。自分の作った家はお世辞にも良いとは言えなかった。時間の事もあり、壁はほとんどなくて骨組みだけだった(これなら、たて穴式の住居の方がよっぽど良いと思える)。

 

 

 「……これはひどい」

 

 「……お世辞にもいい物件とは思えんな」

 

 後方から声を聞き、振り替える先は黒白の服の少女、魔理沙だった。確かにその通りだが失礼な、俺の小一時間をなんだと思っている。

 

 「……無知がここまで作れたことは評価してくれよ」

 「そこんとこの評価は私の仕事じゃないからな。……紫が探してたぜ?」

 

 魔理沙が俺の希望を軽く受け流した。これなら作らない方がよかったと軽く反省。

 

 その後は紫が俺の前衛的な家を笑う事以外はいつも通りだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……紫様? 用とはなんでしょうか?」

 

 今日の夜、籃は縁側に座って鈍く光る月を眺めている紫のもとへ寄る。

 

 「……籃、今度の春は忙しくなるわよ」

 

 いつもとは全く違う紫の声。籃は自分の顔が真剣になるのを感じる。

 

 「今度の春、幽々子の所に行くわ。___今回は今までの中で一番危険だから覚悟しておきなさい」

 「……分かりました。しかし、彼はどうしますか? 私達と一緒ですか?」

 「いいえ、彼は置いていくわ。彼は恐らく霊夢達と共に来るわ」

 「……分かりました」

 

 籃は自分の声が少し寂しげになった事に気づくのは紫の元を離れて暫く経った時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ___朝。

 

 

 

 俺は籃達と朝ご飯を食べ、人里に飛んでいった(朝ごはんは卵かけご飯。……決して●の匙の影響ではない)。

 

 

 「ああ、緑か。宣言通り来たな」

 「おう、宣言通りに持ってきたよ」

 

 そう言うと俺は村の門番に少し遠い妖怪が多く生息している森の果物や茸を渡した。人里の門番は毎日真面目である。

 

 ……どっかの門番もこれぐらい真面目ならなぁ、なんて失礼な事はあえて考えない。

 

 「……茸に桃に葡萄まで!? ありがとうな!」

 

 笑顔でそう言う門番に手を振り、門を潜る。その先は江戸の様な平屋や屋台が並んでいた。

 

 「おう、緑か!」

 「はい、こんにちは」

 

 道の途中で八百屋を開いているおじさんに返事をしながら目的の店まで歩く。

 

 

 今はこう歓迎されているが、昔は色々大変だった。人里に来たらまず門番に警戒され、中に入ったら周りがざわついてる所で偶然会った霊夢と魔理沙に平屋の裏に引っ張られ色々説明を受けた。あの時は自分が妖怪ってことすっかり忘れてたな。一応反省はした。

 

 そんな懐かしい事をしみじみと思い出していると俺は目的の店に到着した。

 

 「あら、いらっしゃい。またいつもの物にする?」

 「うん、おばちゃん。いつもので」

 

 そう言い俺は赤い布の掛かったベンチに腰かける。ここは簡単に言うとお茶やらお菓子を食べれる店だ。

 

 

 「ふぅ……」

 

 人里はいつも通りのんびりとしていて、その雰囲気で気が緩んで気がつくと一息ついていた。

 

 外の席に座っていると、歩く人々に笑いながら走り回る男の子三人が通って行く。

 

 「……よーかいさん?」

 「どぬわっ!?」

 

 突然の声に思わず飛び上がるが、完全に起き上がれなかった。後方を見ると女の子がいつの間にか俺の尻尾を掴んでいた。

 

 「よーかいさん、何しているの?」

 

 俺の尻尾を掴んでいた女の子が話しかけてきた。それでも俺の尻尾を握って触る手は止めない。……少し痛い。

 

 「……妖怪、か。また懲りずにすっかり忘れていた」

 

 平和でのんびりした場にいるといつも忘れてしまう。ただ単に見た目は人に尻尾と耳がついただけだし。

 

 「ねぇ、よーかいさんになっちゃったの?」

 

 俺が初めて人里に来た時、里で問題を発生させない事を証明する為、自分が人間だった事を話していたのだ。

 

 「___どうして、か。俺が一番知らないといけない事だし、一番知らない事だな。あと、俺の名は『緑』、だ」

 

 なんかよーかいさんって言われると変な気分だったのでゆっくりと訂正した。

 

 「___よーく? それじゃあ、よろしくね! ……あ、おかーさんが呼んでる……じゃあね、よーく!」

 

 ゆっくりと言ったのが駄目だったらしい。ポリ袋を着た子猫の様な名前になってしまった。俺が何か言う前に女の子は親に呼ばれて戻って行った。

 

 「はい、いつものだよ」

 

 小さく音を出しながらお菓子やお茶の乗った皿が俺の隣に置かれた。

 

 「ありがとう。……はい、お金」

 

 そう言い俺はかなり古そうに見えるこの幻想郷のお金を渡した。

 

 「毎度あり、またよろしくね」

 

 のんびりした声を聞いた後、俺は羊羮を爪楊枝で刺した。

 

 黒く光る羊羮はスッ……と抵抗なく刺さり、形を保って持ち上がった。

 

 「___あら、またいるのね」

 

 羊羮を口に入れる直前、聞いたことある声が俺にかけられた。

 

 そう言ったのは紅魔館のメイド長、咲夜だった。買い物帰りらしく、色々な紙袋を抱えている(風味のある香りからして、中は紅茶の葉だろう)。

 

 「ああ、いつもの日課だからな」

 「暇人ね……うぅ、マフラーを巻いてもやっぱり寒いものは寒いわね」

 

 話の最中に吹いた風が体を震えさせる。思わず俺は温かいお茶を飲む。

 

 「……長袖を着ればいいんじゃなないのか?」

 「お嬢様からいただいた服だもの」

 

 咲夜はそう言うが、冬なのにほぼ半袖って辛すぎるだろう。それより、何でレミリアは冬でもこんな服を? まさか、そんな趣味とかか?

 

 「……顔に出てるわよ」

 (……幻想郷の人って謎が多いな)

 「小声のつもりのようだけど、聞こえてる聞こえてる」

 

 

 ……なんてこった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな会話し、咲夜が去っていったのを見送り、すっかり冷めたお茶を一気に飲み干して羊羮を頬張りながら店を出て空を飛んだ。

 

 

 目指すは此処から少し遠い神社、博麗神社だ___

 

 

 

 

 

 

 「___と、いうわけで来た」

 「読者にしか分からない解説ね」

 「なぁに、少し画面を上に動かせば私たちでも分かるぜ?」

 「いや、それアウト……」

 

 神社に来ると先に魔理沙が神社に居た。結局、いつも通りのオチの無い会話を三人でする。

 

 「……もうすぐ冬だな」

 「あーあ、鬱になるわ」

 「……今でもこんなに寒いのに冬になったらどうなることやら」

 

 三人とも寒さに負けて神社の中の炬燵で一緒に暖まりながら冬に対して愚痴をもらす(魔理沙は足を伸ばして二人分場所を取っていた)。

 

 ……そういや炬燵、何を動力源にして動いてるんだ? 電気は幻想郷で使われて無いはず……

 

 「なあ、この世界のエネルギーの源って何だ?」

 「そりゃもちろん___」

 

 霊夢の顔を見て俺は唾を飲む。喉でごくり、と鳴るのが聞こえた。

 

 「___朝昼晩のご飯と」

 「お酒だな」

 「……」

 

 ……聞くだけ駄目だと理解した。謎は迷宮入りである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後は紫にボッシュートされたり、俺がお茶を投げつけたりと普通の日常___あれ、普通ってなんだっけ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 満月が真上に登る12時頃。俺は布団を下半身に掛けて月光を頼りに日記を手慣れた手つきでサラサラと書いていく。万年筆にもいい加減慣れた。

 

 「___緑、開けていいか?」

 

 聞きなれた声、そして影の形から推測して恐らく籃だった。

 

 「ああ、いいよ」

 

 俺が日記をパタンと閉じた瞬間に籃が障子を開ける。

 

 「……? どうかしたのか?」

 

 何時もより籃の顔が少し変だ。何時もの明るさは無く、代わりに寂しさの様なものがあるのがよくわかる。

 

 「ああ……そうかもな」

 

 声もやはり同じ様子で更に弱々しさもあるように聞こえた。

 

 「……」

 「……」

 

 暫く無言が続く。

 

 「……なあ、言えないことがあるなら追求しないが何かあったか? 余計なお世話かもしれないが俺に手伝えることはあるか?」

 「ああ、ありがとう。……特にないが、強いて言うなら……」

 「ん?」

 「……尻尾」

 

 と、小声が聞こえた。

 

 「……ああ」

 「……ありがとう。済まなかったな」

 

 俺が尻尾を差し出すと数回軽く握り、さっきより満足した顔で言った。

 

 「いや、喜んでくれるならそれでいいよ」

 「……うん、それじゃあ……お休み」

 「ああ、お休み」

 

 籃は緑に背中を見せながら片手で障子を閉める。

 

 「___くっ……」

 

 少しのその場を離れ、籃は頬に涙を流し、腕で直ぐに拭った___

 

 

 




 何か暗い……平和どうした。

 ちなみに、ここのメタ発言は只のネタとシリアス雰囲気を少し(?)壊す役割です。

 なので暗い作品&話ではメタ発言が多いので苦手な人はお気を付けを(途中でよっぽどの物好き以外は振り払っている気がするけど……)

 感想、批判、アドバイス等よろしくお願いします。
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