辺りが崩れた瓦礫の煙に包まれる___
「……倒……した……?」
刀を構えて周囲を見渡す。因みにまだ神力は完全消費しておらず、僅かに残っていた。
煙の中、上から輝く何かが落ちてきて……目の前の地面に突き刺さった。
「……何だ……っ!?」
突然剣が震えたと思うと大きな地震が発生する。
「なん…だよ……っ!!」
そして剣が緋色の煙を上げ___光を上げ辺りを包んだ___
俺は上に強く持ち上げられる感覚を目の眩む中感じていた。
「……!?」
気がついたときには辺りは空高く___空とは言えない程の高さに達していた。
妖怪だと(今は神だが)飛べるのであんまり気にしないが、人間だと高すぎて気絶するか、何も感じなくなるか位だ。
そして本来、一番最初に見るべきものを見た。
「……っ!まだ戦うのかよ!?」
「……当然よ……これが本当の……必殺……!」
「『全人類の緋想天』」
天子が宙に浮きながら剣を手の内に回転させて気を集めているのがよくわかる。そして剣が緋色に染まっていく……
「……来る!」
飛び上がると地面に緋色の光が包んでいた。発生源は勿論天子。下手に当たったら大変だ。
「うわっ!中々近づけないな……っと!」
真っ直ぐ流れてくる緋色のを光を避けながら距離を取る。徐々に再発射の速度が上がっている……
「ええい!少しずつ削ってやる!」
銃を取り出して少しずつダメージを与えていく戦法を取った。撃つと剣や天子に当たり弾ける。ダメージは通っている様だ。
「っ!?ぐあっ!」
いつの間にか飛んできた光が俺を包み込む瞬間に大きな紫の水晶を作り出し、大胆にも俺を包み込んで防ぐ。
しかし、緋色の光は止まることなく確実に水晶を削っていた。
(……やるしかないな)
ほんの僅かに残ったの神力。これを全て使った。
銃は熱を持ち始め徐々に銃口から漏らし始める。
銃口を相手の放つ緋色の光に合わせて向ける。
そして「宙に浮く程度の能力」を発動させて反動に備える……
___あと数秒で水晶は剥がれ、俺が表面に出る。
目の前までピシピシ……とひびが入り……そして……
パキン!
砕けると同時に銃口から赤が溢れ出した。
「龍弾『蓬菜龍殺弾』!」
緋色の光と赤の銃弾の嵐。
似た色の二つはぶつかり合う。
撃ってる間、まず神力が無くなる。そこで霊力を銃に注ぎ強める。
弾け、押し、押され、そして……
「行けええええぇぇぇええええ!!」
後ろを支える水晶が砕けると同時に相手の緋色の光を打ち破った。
天子に勝ったのだ。
___数日後。
「ほらほらー、楽しい宴会だよ~」
「楽しいも何も……筋肉痛が異常で辛い……」
俺は小さく遠くで場を盛り上げていたスイカに突っ込みを入れた。
天子を倒してから数日後の宴会の日。呼んだ人(妖怪とか)は全員集まってきた。幻想郷の人って宴会が絡むと行動力跳ね上がるね。
そして神力とか能力とか色々使いすぎたのか酷い筋肉痛がこの数日間取れないのだ。
「痛い……主に右腕と足が成長痛の様に痛い……」
「それは辛いねぇ」
地面に寝そべっている体勢から首を起こす……痛たたた……
目の前に立っていたのは瓢箪を持ったスイカと側に霊夢と何故か魔理沙が酒の瓶を持っていた。
「……他人事の様に」
「だって鬼は滅多に筋肉痛にならないもん」
「成長しないから成長痛もな」
「……何だって?どういう意味だい、緑?」
「うわっ!ごめんなさいごめんなさい!今当たると下手すれば死ぬからギリギリ当たらない所に火玉投げないで!!」
「……何やってるのよ」
「お前らいつの間にか仲良しになってるな」
俺の体に当たらない様に火玉を投げるスイカを見て呆れるように霊夢と魔理沙は言った。
「……ちょっと……頼むから俺を寝かせてやってくれ……死ぬほど疲れてる」
「おっと!宴会でダウンするのは早苗だけで良いぜ」
「無茶をしたあんたが悪いんだから無理でも参加ね」
「こいつらひでぇ!」
そう言い地面にバタリと倒れると三人が笑う声がした。そう言えばさっき早苗らしき人が樽を抱えて寝てたけどあれだったかぁ……
……もういいや、取り合えず仮眠を取ろう……
「宴会は楽しんでるかしら?」
「……頼むから寝かせてくれ」
不意に聞こえた声に言い返す。声主は見上げるまでもない、天子だ。
「参加するって自分から言っておいてそれは無いんじゃないかしら?」
「……お前ら……俺をイジって楽しんでないか?」
「「「「そりゃ、勿論」」」」
四人が見事に声を揃えた。こんなに中が良いなら異変なんて起きないと思うんだがなぁ……
「……まあ、いいや。宴会は夜までだろ?夜に起きる……」
「夜型人間になっちゃうわよ?……あ、妖怪か」
知らん。と一言霊夢に言い返し酒を一口睡眠薬の代わりに呑む。と言うか、真っ昼間から酒を呑むこと自体可笑しいと思うんだ。
宴会の続きは夜に……
「緑!さあ、約束通り弾幕ごっこよ!」
「俺に安眠と安らぎをくれ!多分一生のお願いだから!」
たった今来たらしいレミリアの声に体を起こして叫ぶ。
五人(咲夜もいた)はそれを見てもう一度笑った___
___博麗神社。
つい最近は壊れていたがやっと建て直り、住宅としての機能が復活した。
「……おーい、霊夢?何やってるんだ?」
「ああ!緑!ちょうど良いところに」
「ちょうど良い?」
「ああ、ちょうど良いぜ。霊夢にとってな」
謎の石像の様な物に色々と手を加えてる様だが……?霊夢の目には期待の光があり、魔理沙は少し呆れた様な表情だった。
「緑、あんたの御利益って何かしら?」
「御利益?」
「そうよ!何かない?」
……と、言っても御利益だなんて考えたことないしと言うか神様が自分から言う物じゃないだろ。
「ああもう!思い付きでも良いから!」
「それって……まあ良いや、じゃあ、『幸運継続』とかで」
「よし!これでいける!」
「なあ魔理沙、霊夢は何をしているんだ?」
ヤケにテンションの高い霊夢を見て多少恐怖心を抱きながら魔理沙に聞くとニシシと笑いながら言った。
「何でも、お前さんの御神体を作って参拝者を増やすみたいだぞ?」
「……はい?」
『……魔理沙ー!石像ひっくり返すの手伝ってー!』
遠くから長方形の台に乗った狐の像をひっくり返そうと奮闘している霊夢の声が聞こえた。像は霊夢の身長よりちょっと小さいがそれなりに重そうだ。ましても女の子じゃ辛いだろう。
「ったく……一人で出来ないなら勝手にやるなよ……」
そう言い手伝いに行こうとしない魔理沙の代わりに石像を動かすのを俺は手伝う。慎重に石像をひっくり返す様子を魔理沙はまたニシシと笑い、霊夢は恥じているのか疲れがあるのか顔が少し赤かった。
「この石像どっから出してきたんだよ……」
「私が森から拾って来た。その時の霊夢の表情と言ったらもう……」
「う…うるさいわね!」
「ぎゃん!?」
右手で石像を支えたまま魔理沙に札を左手で投げつけた。それは見事に額に当たり魔理沙はひっくり返った。
「おい、石像じゃなくて魔理沙をひっくり返してどうする」
「分かってるわ、じゃあ、いっせーの……でひっくり返すわよ」
「お前らもっと私を大切に扱え!」
魔理沙の大声を聞きながら作業に俺は取り掛かった___
取り合えず、来るか来ないかと言う点に目を瞑れば神力は問題無さそうだ。
少しでも僅かでもこんな感じに幸せそうになってくれれば良いと俺は思った。
これが幸運の御利益を持つ神様達の願っていた事なんだな。その時、俺はふと悟った___
Good END
長かった……やっと終わった……
と、言うわけで緋想天編は終わりです。多分。
途中、「戦闘とか多すぎて飽きるだろこれ」なんて思ったりしていましたがなんとか終わりました。ここまで見てくれた皆さん、ありがとうございました。
こっからの予定では軽く出した伏せんの回収と何だかんだでやっていなかった日常とかを書こうと考えていたり……あんなものを加えてワーッとしたり……(謎表現)
取り合えず次話にお楽しみください!
感想、批判、アドバイス等よろしくお願いします!