東方の幻想日記 ~人間妖狐迷走記~   作:0%0%0%

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【壱章】妖から書き始める幻想日記
~二頁目(朝~博麗神社)~


 ___布団の心地よさを感じる。

 

 

 「う……ん……」

 

 仰向けになっていた体を横にして俺は目を擦る。

 

 目をぼんやりと開ける___前に、昨日の出来事は皆夢だ、今は自分の部屋にいる。などと暗示の様に自分に言い聞かせるが、昨日のことはやはり現実だった。嘘でも夢であってほしかった。

 

 寝ぼけた頭を回しながらふらふらと障子を開け、縁側に足を出す。

 

 「___冷た!?」

 

 夜の間に風に当たっていたお陰で縁側が氷の様に冷たく、小刻みに足踏みをして縁側を歩いた。

 

 縁側も長いため、冷たさで足の感覚が鈍くなってきた。今なら足の小指を全力でぶつけても痛くない気がする。でも怖いから絶対やりたくない。

 

 静かな縁側を小刻みに歩いて外に出ると落ち葉が片付けられていた。誰かがやった様だ。しかし、見ている間にまた木から落ち葉が地面を覆い始めた。もうすっかり秋だなぁ、なんてのんきなことを考えていたが何かに気が付いた。

 

 

 ___隣の神社の本殿のほうで人の気配がする?

 

 

 本殿から何か神聖な雰囲気が漂ってくる感じがする。霊感とかは無いのだが、それでも何かにピリピリする感覚を覚える。

 人の気配が気になるが覗いてはいけないだろう……と考えたが、好奇心が何故か沸き上がってきた。

 今まで色々あってこんな経験は一度もなかったが、此処に来たあの時以来、いろいろ変わった感じがする。

 

 現に気配なんか分からなかったのに感じるようになった。世間が言う覚醒ってこう言う事かな。

 

 

 結局俺は無限に涌き出ると思われる好奇心を押さえきれず少しだけ覗こうと思った。……大丈夫、覗くのはほんの少しだけ。フラグじゃない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「………」

 

 本殿を覗いてみると、早苗が正座して変わったお祓い棒を振いながら聞こえないが何かを唱えているのが見えた。かなり集中している様で此方に気が付いていない。

 

 俺もそろそろ退こうと思い、足を後ろに伸ばす___

 

 (___っ! やばい!?)

 

 踏み出した足の関節からパキ、と乾いた音が鳴り、本殿に響いた。

 早苗が今の音に気が付いて振り向いてきた。あーあ、フラグだったか。やっちまったな。

 

 そんな諦めモードな俺に対し、早苗が頭を少し下げて挨拶してきたのでこちらも少し頭を下げて挨拶を返す。雑念が一切籠っていない笑顔でこちらを見ていた……が、

 

 「ん?」

 

 突然、早苗が慌てた様子でこちらを見てくる。遠いのでいまいち何を言っているか分からないが、その後に早苗が俺に指差してくる。

 疑問に思ったがすぐにあることに気が付く。

 

 (……俺じゃない?)

 

 早苗は俺に指に差していたと思っていたが、それが違う事に気が付く。

 

 早苗が指指してるのはちょうど俺の後ろの……ほ……う?

 

 

 

 

 

 

 

 「お前さん」

 

 後ろを向く前に知らない声をかけられてビクッ! となって、恐る恐る振り返る……

 

 

 「……うちの早苗になにか用かい……?」

 

 早苗にはない冷たく…何か殺意のようなものが宿っていた。おり、俺は恐怖で肩を震わせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……それが実は神奈子からかけられた最初の言葉だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、神奈子を早苗が必死に止め、後から騒ぎを聞いて起きた諏訪子にその様子を大笑いされたことはここの人たちの間だけの秘密。絶対にだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「___昨日は本当にお世話になりました」

 

 あの後もいろいろあったが二人の前で頭を下げた。特に早苗には迷惑をかけた。いや、本当にごめんなさい。

 

 「あーうー、いやいや! こっちもいろいろ楽しかったよ」

 「いえ、またいつでも会いに来てくださいね」

 

 ……もし、人の前でなければ恐らく感激して泣いてたかもしれない。

 

 初対面なのに気遣ってくれて部屋まで貸してここまで歓迎してくれる人達なんてほとんどいないだろう(ちなみに神奈子は用事で山に行ってくる。と俺に殺意を込めて言ってきた。俺何かしたっけ? ねぇ、今この小説見てる人?)

 

 

 「……それじゃあ、案内するからついておいで」

 

 と、諏訪子。

 

 「魔理沙さんが空き巣に来ないか心配ですけど……多分大丈夫でしょうね」

 

 ……と、早苗が言った。

 

 

 「ええ!?ついてくるんですか!?」

 

 ここで後は自力で行かないといけないと思っていたのでつい、素の言葉が出た。

 

 「なにさ、一緒にいくのが嫌なのかい?」

 「あ、いえいえ。そんな訳じゃ……」

 

 うっかり出した自分の言葉に後悔する中、諏訪子が少しニヤニヤしながら続けて口を開く。

 

 「……それにあんた、どこに神社があるかわからないでしょ?」

 「……」

 「……図星ね」

 

 その通りです、全く考えてませんでした。なんで自分はこういうところ甘いんだろうか。

 

 「……取り合えず、私が先導しますので諏訪子様もついてきてください」

 

 そういう言うと早苗は鳥居の方まで歩いた。

 

 「よし、一番良い道を頼む」

 「いや、此処で死亡フラグは建てないで下さい……とりあえず飛んだらすぐなので安心してください」

 

 ……ん? 『飛んだら』? ……ああ、例え話か。

 

 

 ……と、考えていたその時、早苗が少し高いジャンプをする……と、思っていたら地面に落ちる直前でフワッっと浮いたのだ。

 

 「なあ!?」

 

 俺が驚く中、諏訪子も同じく浮く。

 

 「……? どうしました?」

 

 呆気を取られた自分に早苗の声が響く。

 

 

 [日記二日目、長野県民は空を飛ぶことができる様だ]

 

 

 

 「あ、あの……」

 「?」

 

 形のない疑問をなんとかまとめて、

 

 「どうやってるんですか……?」

 

 ……と可笑しな発音で尋ねた。

 

 「……え!?」

 「!?」

 

 飛んでる常識外れな二人が豆鉄砲を食らったかの様に固まった。……変なこと言ったっけ?

 

 「と…飛べないんですか?」

 「飛べるものなんですか!?」

 

 焦って可笑しな返事を早苗に返してしまう。

 

 「うーん、この感じからすると飛べると思うんですけど……」

 「あーう、仕方ないわね……」

 

 

 

 その後は二人が手を引っ張りながら飛んでくれた。と言うか腕がちぎれそう、痛い(諏訪子が笑いながらふざけて飛ぶので腕が千切れると思った)。

 

 

 

 

 

 

 

 不安定な飛行の中、頭が停止した自分に諏訪子が初めて笑い声以外の言葉を出した。

 

 「___さあ、着いたよ」

 

 二人に支えられ、俺はゆっくりと降り立った。場所はさっきより小さな神社。話によると巫女が居るらしいがどこにも居ない。

 

 「あーうー、外出中かな?」

 「こんな肝心な時に……」

 

 二人が困り果てている中、耳元にフッと風が吹いた。

 

 しかし、俺の耳には風によるノイズの様な雑音ではなく、

 

 ___リュックのお賽銭

 

 ……と、意味を持った声の様なものが聞こえた。

 

 

 「うわっ!?」

 「!?」

 「きゃっ!?」

 

 耳元で呟いた様な声が聞こえたのだ 誰だって驚く。だから二人共、その変質者を見る目はやめて欲しい。

 

 ……と心の声を出してから二人の視線(主に諏訪子)を無視する。

 

 「___リュックのお賽銭……!」

 「…ど、どうしました?」

 

 早苗が慌てる中、俺はリュックを手探りし、探り当てた。

 

 (これを……)

 

 紫色の絹の袋に入ったこの昔のお金の様なものをお賽銭箱(諏訪子が座っていた)に入れた。

 入れたお賽銭は箱の中に何も入っていなかったのかコトンと小さく薄い木材に物が当たる音を立てた。

 

 周りが静かな中(早苗は俺と諏訪子を繰り返し焦って見ていた)後方から物音がし、振り替えると紅白の印象的な……この辺りの服装から見ると巫女だろう。巫女が居た。……流行りって日本の伝統的文化にまで影響を及ぼすのか?

 

 「お賽銭の音がしたから帰って来たらあんた達だったのね。どういう風の吹き回し?」

 「少し訳があってね」

 

 紅白の少女の威厳のような力強い言葉に対し、茶化す様に諏訪子が返事する。

 

 「で、何の用?」

 

 この巫女はかなり呆れた様な声で尋ねる。

 

 「この子なんだけどさ……」

 「……その妖怪がどうしたのよ?」

 

 俺を指しながら今巫女の言った言葉に耳を疑った。

 

 この『妖怪』?

 

 

 「うん、この妖怪なんだけどさ……」

 

 言い間違いと思ったが諏訪子の後押しで確信した。俺を妖怪と言ってる!?

 

 「え、あのちょっと。妖怪!?」

 

 妖怪ってまずこの世にいるのか? そしてその妖怪が自分? ドッキリではなく? 訳がわからなかった。

 

 「それがどうしたのよ?」

 「妖怪ってなんですか!? 俺は人間です!?」

 

 俺は必死に講義する。よくわからないまま、妖怪扱いされるのは勘弁だった。

 

 「あんたねぇ___『お困りのようね』

 

 紅白の巫女の言葉が突然遮られ、代わりに別の声が聞こえた。

 しかし、ここには俺とこの人たち以外誰もいない。

 

 「……紫ね」

 「大・正・解♪」

 

 

 「うわっ!!」

 

 目の前で突然、空間が割けて思わず俺は。声を上げる。

 

 「きゃっ!?」

 

 と、早苗。

 

 「……ここまでテンプレね」

 

 そして諏訪子。

 

 空間が割けた思っていると、そこからなんと女性が出てきた。見た目は紫色を主にした色の服を着ていた。

 

 「面倒な事には面倒な奴が来るのね……」

 「面倒扱いされた!?」

 

 巫女の発言で現れた女性は効果音が聞こえそうなぐらいショックを受けてた。

 

 「大体、面倒扱いされないと思ったの?」

 

 落ち込む女性に更に追い討ち。これはひどい巫女。

 

 「……まあ、単刀直入にこの子のことを言うわ」

 

 女性は一度仕切り直した(よく見ると涙目)。

 

 「この子はあなた達の言った通り、妖怪だけど……」

 

 紫が扇子を口に当て、寒気がする様な不気味な微笑みを浮かべた。

 

 「___元人間なの」

 

 「え!?」

 「なぁ!?」

 「!?」

 「なっ!?」

 

 3人は俺が人間なことに、俺は自分が妖怪扱いされていることにショックを受る。

 

 「どういう訳よ、紫」

 「ふふ、この子は外の世界。多分、諏訪大社から来てしまったの……ちょっと、厄介な事故を起こしながらね」

 「事故?」

 

 紅白の巫女が頭を掻きながら聞く。回りくどさに苛立っている様に見える。

 

 「『葛井の清池』の主って知っているかしら? 土着神さん?」

 「っ!」

 

 諏訪子がピクリと反応し、小さく口を開く。

 

 「___葛井の清池に住む片目の主。それを捕まえると祟られる……」

 

 紫が頷く中、俺はすぐに思い出した。

 

 魚影に小さく光る一つの点。あれは目だったのか!

 

 「そう、あなたは偶然、その主に触れ、それが原因で名前を忘れて妖怪になった」

 「……通りね」

 「?」

 「……こいつには妖怪しか持たない妖力、そして人間が多く持ち、妖怪にはほとんどない筈の霊力。そしてその祟りだと思われる神力があるわけね……」

 

 よくわからない会話が進む中、紫はが突然俺に扇子を向ける。

 

 「結論だけを言うと、『訳ありで幻想入りして来た』って訳よ」

 

 周りが一瞬静まる中、紫が結論を述べた。それでも、紅白の巫女以外は黙っていた。

 

 「で、どうするの? その何か」

 

 指を指されて俺は小さく反応した。と言うか何かって。

 

 「うーん、宛がないし……」

 

 「___え?」

 「とりあえず預からしてもらうわ」

 「預かるって!?」

 

 俺は突然足元に現れた裂け目に落ちた。

 

 そのまま床に頭から落ち、その後は目の前が真っ黒になって、何があったか分からなくなった___

 

 

 

 

 

 

 

 

 「なっ!? 何でよ!?」

 

 紅白の巫女が突然の行動に問い詰める。

 

 「それについてはまた明日♪」

 

 巫女の言葉に対し、紫は苛立たせる様にリズミカル返答する。

 

 「何故!?」

 「……だって小説長いしんもう書いてる時間が夜1:00なのに」

 「あーう、メタいなぁ……」

 

 

 

 

 




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