今回は紅魔郷編のEXモードです。そして今回も前編、後編と豪華な何段構えのストーリー……え?何時もの事だって?
それでは、どーぞ!
___夏の紅魔館周辺。
「あつーい、あつーい。洒落にならないぞこの日照りは」
まだ日が上って少しぐらいの頃。天気は神社の倒壊異変の様に不安定ではなく、何処かの巫女の気質の様な憎たらしい程の快晴が続いていた。
今日はなんでも、パチュリーの言う最後の授業をやるらしい。一歩間違えればロイアルフレアで上手に焼かれる様な授業だったが、もう終わりと思うと少し寂しい。
「ったく……毎日毎日、小中学生は徒歩でこんな日照りの中を歩くのかよ……正気の沙汰じゃねーなこりゃ」
もし、紅魔館ではなく、諏訪子の屋外授業(何時もの事だが)だったら熱中症で無縁塚送りだっただろう。これは本気で洒落にならんな。
そして自然に建っている紅い館、紅魔館の門に降りる。はじめての頃は降りる動作が辛かったけど、今はもうそんなことは無くなった。
「おーい、美り……って、また寝てるし……」
門前に立ちながら眠りこける少女を見て呆れた様に俺は呟いた。妖怪だとしても熱中症とかは大丈夫なのか?しかし、何時もの出来事(お仕置き)を見ていると殺しても死ななそうに見えてくる。
「……おい!本みりん!」
「わわっ!?……何だ、緑さんですか。耳元で大声上げないでくだ……って、何か名前が変だった気がするんですが」
気のせいだ。と、俺は軽く門番の本 美鈴に言う。何時も寝てはお仕置きされ、また寝てはお仕置きされ……無限ループって言うか単純に学習してない様な気がする。
「いや、私だって学習するし学びますよ……」
「それを咲夜が聞いたら何て言うのか……」
「そうね、学習している美鈴なら私がなんて言うのかを知っているでしょ?」
不意に俺でもなく、美鈴でもない声がして二人は___特に美鈴は大きく飛び上がる。
「そろそろ、緑が来るから迎えに行ってやれってパチュリー様に言われたから来てみれば……」
門の内側からスッ……と出てきたのは銀髪のメイド服を着た少女___咲夜だった。
「さあ、貴女が今までで学んだ事は何なのかしら?」
「……あ、そうそう。パチュリーに呼ばれてるんだった……それじゃあ、お邪魔しまーす」
「り、緑さん!?行かないで下さい!」
面倒事に巻き込まれるのが嫌なので去ることを選んだ。美鈴が制止の声をかけてきたが咲夜がガシッ!と音がする勢いで肩を掴んでいた。
「さあ……遺言は?」
「慈悲!御慈悲を!」
「学習してるなら私が慈悲をかけないって知ってるでしょうっ!」
そこからは弾幕の音、耳に響くピチューンと言う音がしたが後ろを振り返らずに図書館の無駄に大きな扉を開けて入っていった___
「あー、やっぱりここは涼しいな」
暗く、日光が入る窓が全く無いお陰か、クーラーやチルノが居るのではないかと思える涼しさだった。外の世界でも図書館ってやっぱり涼しいイメージだよね。
因みにだが、パチュリーの授業を受ける前にしなければならない事があるのだ。
それは……
「くっそ!何度来ても分からねぇ!」
……教える筈のパチュリーを探すと言うなんともアホらしい事だった。
「ぐわーっ!訳分からんし……ってあれ?勝手に……」
懐から突然透明な陰陽玉、使い魔が火を出して勝手に漂い始めた。
「あ!おい!ちょっと待て!」
今まで操作等を練習してきたのだが勝手に漂い始めたのは今回が始めてだった。目の前の本棚を曲がって進む使い魔を俺は追いかける。
「……っ!と、なんで勝手に……あ、パチュリー?そして何故レミリア?」
使い魔を追いかけてみると目的地のパチュリーの普段居る机に着いた。そして何故かレミリアも居る。
そして一番気になるのは二人とも深刻な顔をしている事、だ。
「……なあ、どうしたんだ?二人とも深刻な顔をしているが……?」
「っ!緑!」
「緑、来たのね」
声をかけるとレミリアはパッと一瞬嬉しそうな顔になる。パチュリーは広げていた本を閉じて冷静に返した。
「……残念だけど、緑。今回は臨時休校。今、紅魔館は危険なのよ」
「……なっ!?」
パチュリーが深刻そうに俺に告げる。突然だったので動揺が少し隠せなかった。
「今、私の妹のフランが何を思ったのか地下から抜け出して歩き回っているの」
「フラン?妹?」
初めて聞いた単語を聞き返す。と言うか妹って事は……
「そこから話すのね……私には血の繋がった妹がいるの。名前はフランドール。だけど、普段は精神が不安定で地下で過ごさせていたの……だけど今日のつい先程にメイドの妖精が偶然、地下牢のドアが壊されていたのを発見したわ。」
「……だいたい分かったんだが、どうやって地下牢をぶっ飛ばしたんだ?」
「……レミィの妹様は危険な能力、『ありとあらゆる物を破壊する程度の能力』を持っているの」
「……理解」
新事実が多すぎて頭が痛くなりそうだがなんとか飲み込む。兎に角、今はそのフランをどうにかしなければならないのだろう。
「なあ、お前らはどうするつもり何だ?」
「私は魔法で館の周りに雨を降らせて外に出れなくするわ」
「私はまず咲夜に霊夢達を呼ぶように伝えて、深刻な状態になったら動くわ」
二人とも今まさにその準備をしていたらしくパチュリーは本を開き直して読み上げている。
「……よし、じゃあ俺はフランに直接会ってみる。もしかしたら何とか事情とかを聞き出せるかもしれないしさ」
「っ!?駄目よ!そんなの自殺と変わらないわ!」
俺なら多少はフランドールの足止めとかが出来るだろう。と、思って意を決して言った言葉にレミリアは抗議した。
「あの子はまだ何も分かってないのよ……人に手加減なんて知らないの。人を殺すのをなんとも思ってないの。だから……止めて」
そう言ったその時、館にズズン、と揺れが走った。何かが崩れたのだろうか。
「…お嬢様!」
「っ!さ…咲夜!?何があったの!?」
突然、目の前に咲夜が現れた。時を止めて来たのだろうが、何時もの服は所々傷があり、腕には切り傷で血が出ていた。
「…フランドールお嬢様に廊下で出会い、外に出ないように足止めをしようとしましたが……」
……もう、何かが我慢出来なかった。
「り、緑!?」
突然館への入り口に走り込んだ俺を見てレミリアが何かを言おうとしたが、俺は構わず飛び出してフランドールを目指して走っていた___
「……やっぱり、殺気がするな」
唯一残された便りな刀を出して廊下を徘徊する。使い魔を飛ばせて何時でも対応できる様にする。
「ああ、怖いなぁ……お前がしゃべってくれたら心強いんだがな……」
刀を前方に向けながら進む。いつそのフランドールに出会うか分からないのだ。
「……貴方は誰?」
「っ!?」
神力を解放して刀を構える。後ろから聞こえたが後ろは一本道で何処にも虫どころか、ゴミすら見なかった筈である。
「……もしかして、貴方が教えてもらっている人?」
現れたのは金髪の宝石のついた羽を持つ小さな子供だった。
「……教えて…貰っている人?」
「……だから、貴方がなのかしら!?」
「……なぁっ!?…くっ!」
吹き荒れる様な殺気に思わず足がふらついて足から根が生えた様に動けなくなる。
「ねぇ……私はずっと退屈で退屈で仕方なかったの……だから……遊んでよ!」
殺気と共に弾幕が飛んでくる。能力の「主に空を飛ぶ程度の能力」の応用を使ってプレッシャーから上手く逃れた。しかし、弾幕が迫っており到底避けれる様なスピードと密度ではなかった。
「だったら……切る!」
輝く玉を縦一文字に切る……が、むしろ此方が押し返されてしまう。
「っ!……ぐわっ!…ガハッ!」
バランスを崩した所を立て続けに弾幕を喰らってしまい、俺は地面に呆気なく転がった。あまりの威力に意識が飛びそうだ……”弾幕ごっこ”とは言えない只の”殺し合い”の弾幕だった。
「なーんだ。詰まらないなぁ……最も探して見よっと!」
意識が飛びそうな中、フランドールがそう言って振り返って歩き出す。しかし、道には先程の弾幕のせいで壁の一部が倒れていた。
「……邪魔だなぁ」
そう呟くと片手を返して何か球体が出てくる。それをぶつけるのかと思ったらそれを握り締めた。
(なっ!?)
もう声すら出なくなった中、球体を握り締めた瞬間に倒れていた壁の一部が粉々になってしまった。
(……この子が……フランドール……)
フランドールの羽の生えた背中がぼんやりと見えている中、痛みのあまりに意識が失った___