東方の幻想日記 ~人間妖狐迷走記~   作:0%0%0%

39 / 75
 初めて書くパニックイベントっぽい何か。予定していた事と別の展開を書くのが楽しくて仕方ないのが困る。

 そしてはぢめての予約投稿(誤字にあらず)。こんな機能あったんですね(ぇ

 それでは、どーぞ!


~二十九頁目(人里)~ 前編

 

 

 「___そろそろ着くぜ!」

 

 魔理沙の声を聞いて身を引き締める。里を見ると所々に火がついていた。

 魔理沙によると肝心の人はどうやら避難しているらしく、里を守っている半妖の元に居るらしい。これならきっと安全だろう。

 

 「さあ、何処に降りたい?寺子屋から甘味処まで何処でも良いぜ」

 「あんた、随分と余裕そうだな?」

 「焦るような奴がタクシーの運転手になれないぜ」

 

 いや、だから何処でタクシーだなんて聞いたんだよ。

 

 「そう……それじゃ、里を襲っている妖怪の元に送ってもらうわ」

 「それはそれは、奇遇だな。私もついでに寄ろうとしていた所だ」

 

 俺の後ろに乗っている霊夢が少し口元を吊り上げながら言った。魔理沙も同じように笑う。

 

 「一応言っておくが、私のタクシーは高いぜ? そこまでの代金なら……そうだな、甘味処のお菓子でどうだ?」

 「ええ、決まりね。甘味処のお菓子なら店が潰れたり燃えてなかったら買うわ。緑が」

 「はい!? なんで俺なんだよ!?」

 「あら、そう言うのは男の役目じゃないのかしら?」

 「そうか、男は人の財布代わりになるのか。つくづく女尊男卑な仕組みだな」

 

 魔法の本を開いて暗記しながら言い返す。簡単な魔法なら呟く程度ですむし、暗記しておかなきゃいけない。戦闘中に読書を許してくれるほど優しくなさそうだ。

 

 「___あともう少しで目的地だぜ」

 

 徐々に高度を低めているのか、気がつくと屋根が足より1メートル下の所までになっていた。

 

 「私はこの愛用のタクシーに乗りながら戦いたいんでな。タイミング良く降りろよ?」

 「ああ、箒の事か。成る程……へ?」

 

 今、普通じゃあり得ない発言を聞いた気がする。いや、そりゃないだろ……常識的に考えて。

 

 「箒から飛び降りるって……どこぞのアクション映画とかゲームじゃ無いんだし……?」

 

 本を閉じた時に肩に手が触れた。霊夢の手だった。それもやけにがっしりと捕まえるような……?

 

 「もう少しだ……もうすぐ、もうすぐ……今だ霊夢! 緑! 鳥になってこい!」

 

 「ちょっと待て! 何処の台詞だああぁぁああ!?」

 

 捕まっていた箒を霊夢に引き剥がされ、そのまま飛び降りた。

 

 空中と言うがそこまで高くはない。しかし、この高さなら下手するとしなくても怪我をしそうだ。しかし、片手が霊夢に繋がられているためそこまで速く落ちない。

 

 「ああもう!初心者じゃないんだから自力で飛びなさい!」

 「っ!せめて降りる時に声をかけろよな!」

 

 霊夢に叱られて俺は妖力を上手く調節してから手を離す。そして降りる時の衝撃を抑えてスタッ……と着地した。霊夢もすぐ側、妖怪の集団に近い方に降りた。

 

 妖怪は殆ど人ぐらいか、それ以上の大きさの良くわからない形をした妖怪が殆どだった。中には動物っぽいのも居るが、何をどう間違えたのか、首が二本の狼、異常な程に鋭い爪を持った猿等と妖怪より、化け物の方があっているかもしれない。

 

 『シャギギギ……シャアア!』

 

 「……何処の百鬼夜行だ?バリエーションに富みすぎだろ」

 「……ここまでの妖怪が今更何で暴れてるのかしらね」

 

 溜め息をつきながらお祓い棒を持ち直す姿は本当にめんどくさそうだ。

 

 『シャアア!』

 

 最初は止まって様子を見ていた妖怪共だが、我慢しきれなくなったのか、霊夢に一体の妖怪が跳びかかる。

 

 「ふッ!」

 

 霊夢は直ぐに一枚の札を取り出して投げ付ける。赤い札は頭にピタリと貼り付くと時間差で弾ける。妖怪は堪らず跳びかかるのを中断したが、一瞬の隙に一本のお祓い棒が真っ直ぐに突き刺さり、消えた。

 

 「さあ、あんた達。封印したり、退治する事は博麗の巫女の役目だけど実行する事だけが私の役目。だから選ばせてあげるわ……」

 

 霊夢は向き直してからお祓い棒を前に突き出す。お祓い棒についている麻が擦れる音がした。

 

 「……ここで退治されるのと、封印されるのか。選びなさい___!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「~~~……喰らえっ!」

 

 片手に氷の結晶を造り出して相手に投げつける。尖端の尖った結晶は目の前の妖怪の腕を貫いて飛んで行く。そしてそのまま射線上にいた妖怪に当たり、弾けて一部を凍り付かせた。わりと格好いいこの魔法。魔法系では完全に十八番だ。

 

 「っ!スペルカード!」

 

 遠くからスペルカードを使う宣言が聞こえた。その声は霊夢だろう。

 弾幕ごっこじゃなくても弾幕ごっこの礼儀に従って戦っているのは霊夢だけではなく、スペルカードを持っている者なら命の掛かった戦いでも使う様になるらしい。

 

 「結界『拡散結界』!」

 

 

 宣言するとお祓い棒を天高く放り投げ、一気にレーザーで作られた結界を展開して追い詰め、一部の妖怪を倒した。

 

 住宅の隅に追いやられた妖怪達は俺達の攻撃に備え身を守ったり、弾幕を放つ者もいる。だがしかし___

 

 「隙あり過ぎだぜ!」

 

 上からの光に攻撃していた妖怪は手を止める。上には光を蓄えているミニ八卦炉を構えて見下ろす魔理沙の姿。

 

 「___恋符『マスタースパーク』!」

 

 熱を持つ光が鉄砲水の様に飛び出し、その場に追い詰められた妖怪の殆どを一気に飲み込んだ。

 

 

 ……住宅ごと。

 

 

 「おいぃぃ!?巻き込み過ぎだろ!?」

 「臨時だから仕方ないだろ?お前は家が燃えたのに家具を気にするか?」

 

 魔理沙に言い返せない事を言われてしまい悔しいがムムム……と唸ってしまう。なんでこんな時に真面目な事を言うんだ?

 

 「二人共! 立ち話してないでさっさと片付けるわよ!」

 

 そう呼び掛けながら札を投げて残る妖怪をどんどん退治していく。こう見ると強すぎだろ、博麗の巫女凄い。

 

 「しっかし! 数が多すぎるぜ!」

 

 ミニ八卦炉からレーザーを出しながら魔理沙は言う。本当に普通じゃないぞ?この数は。

 

 兎に角、霊夢のアシストに向かおうとした時、視界の端に見えた住宅の奥に人影が一瞬、走り抜けて行った。

 

 「っ!? おい! 誰だ!?」

 「お、おい! 待てよ、緑!」

 

 こんな戦闘が繰り広げられているのに人間一人で歩き回るのは完全に自殺行為だ。向かう時、魔理沙が制止の声を出したが気にせず人影が見えた方向に走り出した……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「どこいった……?」

 

 見えた方向に走り出した所までは良いものの、結局見失ってしまった。

 

 「……なあ、コロ。聞いてるか?」

 

 宙を漂う使い魔に声をかける。すると使い魔を包んでいる火が一気に膨れ上がったと思うと姿が狐の小さな少女に変わった。結構大きい尻尾に座って宙を漂っている所から、尻尾を使って飛んでいるのだろう。と、どうでもいい答えが見つかった。本当にどうでもいいな。

 

 「なに?」

 「この辺りに人影とか見つかったら教えてくれないか?どうやら人が居るみたいなんだ」

 

 「わかった」と小さく返したコロを背後に漂わせて探す。妖怪に襲われる前に見つかると良いんだが……

 

 「! みつけた」

 「何? 見つけたって……いや、コレジャナイ」

 

 コロが指差して教えてきたのは熊の様に大きな妖怪だった。いや、どこら辺が人間なのか聞きたいわ。

 

 「不味いな……取り合えず目的は違うから逃げ___」

 

 と、言っている最中に横から氷の結晶が飛んで熊の様な妖怪に突き刺さった。あの氷の結晶は俺もよく使う魔法の一つだ。そして発射した人物はどう見ても……

 

 「……コロか?」

 「……ドヤァ?」

 

 いや、自分で使う言葉じゃないから……。ついさっき、魔道書を楽しそうに読んでいたが、そのせいだろうか?そんな事より、お陰で今は妖怪の気がそれている。

 

 「よし、今度こそ逃げるぞ!」

 「ん。でも、おいかけてくる」

 「……本当だああぁぁあ!?」

 

 そう言えば、熊って逃げると追いかけてくるんだっけ?もういいや、遅いし。

 

 「くっ! 来るか!?」

 

 俺は襲ってくる妖怪に身構える。しかし、横からガサッと音と共に聞こえてきた。

 

 「こっち! 早く来て!」

 

 声の方向に振り向くと低木が生えていた。何も考えず、とっさに飛び込むと足が穴に落ち、そのまま全身が入り滑っていく。

 

 

 「……大丈夫?」

 「ああ、もう少しで救助隊が肉片になる所だった……」

 

 どうやら、あの低木の中に穴があったらしく、その穴に滑り込んだ。そしてその先の地下倉庫の様な部屋にダイナミックお邪魔します……そんな感じだ。

 

 「よーく。お久しぶり!」

 「よーく……? あ! お前は確か……」

 

 見覚えのある姿。声。そして謎のあだ名。金治丸を頂いた家族の子供だ。

 

 「このひと。だれ?」

 「この子は色々とお世話になった奴だ。お前、今までどこいっていたんだ?」

 「私達は辺りの妖力の強い日にしかこっちに遊びに来れないの……だがら、いっつも暇してて……」

 

 ……ああ、成る程!つまりこの子は……

 

 「……妖怪かぁ!?」

 「うん、そーだよ?」

 

 キッパリ返されました。本当、何も隠そうとしてなかったよ。

 

 「……あれ?そう言えば、よーくの刀は?」

 「ん?ああ、すまん。そいつは壊れちゃって今は天照が預かっているんだよ」

 

 言い終わった後にちょっと不味いかもと思った。せっかく貰ったのに壊してしまったなんて言ったら落ち込んだり、泣かれたりするかもしれない。

 

 「……そう?」

 

 簡素にそう言うと泣きもせず、落ち込みもせずに代わりにある布を取り出した。

 

 「よーく、その弓、見せてくれない?」

 「え?ああ、良いぞ?」

 

 素直に頼みを聞いて渡すとその布を弦と木の部分の間に巻き付けた。

 

 「……それは?」

 

 満足げに渡してきたので聞いてみる。布は白く、新品ではない。

 

 「その弓。良くない事に使われたっぽいから霊力があんまり良くなかった。これで良い」

 

 すると俺の手に持っている弓の弦を少女は引っ張り……放した。

 

 ___ビスッ!

 

 引いて放した先の壁が小さく壊れた。どうやら何か矢のような物が飛ばされたらしく、壁に霊力の煙が立っていた。

 

 「これで良い! ……それじゃあ、そろそろ帰るね」

 「え?あ、ちょっとまてまて……」

 

 突然、消えようとしたのか立ち上がって目を瞑った少女に焦って声をかける。

 

 「なぁに?」

 「いや、まあ、その……ありがとな?」

 

 弓を握ってそう言うと少女もクスリと笑う。

 

 「そしたら、お願いだけど……今度、寺子屋の子と遊ぶ時、よーくも一緒に遊ぼうね?」

 「……勿論」

 

 そう会話が終わると少女は体を包む量の煙を出して……そして消えた。

 

 「……あのこ、ひとじゃ、なかった」

 

 そう言ったコロは何だか良く分からない顔をしていた。

 

 「……遊ぶ約束をしたから、人かどうかのそれ以前に友達だな」

 

 弓を腰の矢を入れる包みに引っ掻けながら言う。

 

 「……霊夢達を待たせたかもな。行くぞ?」

 

 地下の部屋を急いで抜け出し、俺は人里の表に急いで出た___

 

 

 

 




 少々急展開かも……?今に始まった事じゃないか(ぇ

 そして続きます。文字数オーバーだもの。仕方ないね。

 それでは次をお楽しみに。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。