東方の幻想日記 ~人間妖狐迷走記~   作:0%0%0%

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 書き貯め投稿 ああ楽チン(自由律俳句)

 前回が文字数オーバーな為、途中からスタートです。これから暫くはきっと早苗回。

 そんなわけで(待ってる人には)お待たせしました、伏せんも何かもきっとたっぷりな31話目を何となくお楽しみください。

 それでは、どーぞ!


~三十一頁目(守矢神社)~

 

 「……まあ、聞きたい事が色々あるし、縁側から家に上がってね……あ、土足厳禁だから」

 

 俺は軽快な足取りで縁側に向かう諏訪子の後に付いていった。いや、土足で上がるつもりは無いんだが……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「___で、里では一体何が?」

 

 早苗がお茶を淹れる為に席を離れている時に諏訪子がテーブルに肘を乗せ、頬杖を付きながら問い詰めてきた。ここが神社ではなくコンクリートの部屋で木製テーブルではなく、金属を使ったテーブルだったら完全にあの刑事ドラマで有名な場面だろう。……なんかカツ丼食べたくなってきたな。

 

 「まあ、話すと複雑なるが良いか?」

 「別に? ただし、簡単にまとめてよね?」

 

 ……わかってないじゃん、それ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……と、色々あって慧音が提案してそれに乗った……って訳だ」

 「ふーん……色々あったんだね」

 

 そう言うと諏訪子は大きく欠伸をして説明中に早苗が持ってきたお茶を一気に飲み干す。因みに早苗は話の途中でお茶と共に戻ってきた。

 

 「……いやー、最初は雨を一回降らせたら消える程度の神力だったのに、今じゃそこら辺の神以上の神力を持ってるし……凄まじい進化だねぇ」

 

 いつの間にか置かれていた煎餅に手を伸ばして食べながらしみじみと諏訪子は独り言の様に言う。食いながら喋んな。

 

 「今じゃ当たり前の様ですけど、昔はびっくりしましたもんね」

 「……確かに、初めて此処に来た時は妖怪になる(なっている)ことは勿論、神になるなんて考えもしなかった___と言うか神やら妖怪やらが幻想郷に居るって当時知らんかったしな」

 

 ハハ、と少し笑うが早苗だけ少し真剣な表情をしていた(諏訪子はげっ歯類の如く煎餅をかじっていた)。

 

 「あの……緑さんはもと居た世界に帰りたくないのですか?」

 

 カリカリカリ、と諏訪子が煎餅をかじる音が止まる。静まった空気になり、早苗は焦った様子で「あ、いえ! その……」と周囲を落ち着きなくキョロキョロと見ながら言っていた。

 

 「……緑さんが幻想郷に迷い混んだ原因として、私達の神社が深く関わっているじゃないですか。今まで特にそれに関して触れていませんでしたが本当は気にしていたんじゃないかって……」

 

 まるで自分が原因で此処に来た様に思わせる考えを早苗は下を向きながら語った。

 

 「……こんな事を言える立場ではありませんが、緑さん。貴方はどの様に考えてるんですか? 本当は帰りたいけど、敢えてその事に触れないようにしていたんですか? それとも、幻想郷に残って生きていくつもりですか……?」

 

 早苗はそこまで言うと答えを待つ様に此方を見てくる。珍しく諏訪子も真剣に此方を見ていた。

 

 「……本当の事を言うとな。そんな事を今まで考えた事が無かったな」

 

 「……ふぇ?」

 「……えっ?」

 

 鳩に豆鉄砲。呆然としたとも、呆れたとも言える表情で固まった二人に付け加える。

 

 「……一応、今まで『緑』と名乗っていたが仮の名前なのは覚えてるよな? 霊夢が言うには、仮の名前を幻想郷で作り、使っていたから俺はもとから幻想郷に住んでいた様になっていたんだよ」

 

 「……どういう事ですか?」

 「ごめん。日本語で、三行で」

 

 「……三行は無理だ。まあ、つまり『最初から外の世界に住んでいる本来の自分』と『幻想郷に住んでいる『緑』と言う名の自分』は別々になっていたんだ。俺も霊夢に指摘されるまで『最初から幻想郷に住んでいる緑』になっていた」

 

 「それって……」

 「……ジ●リね」

 

 誰が神隠しにあった少女だ……って、少女という点以外は割りと当てはまってる……? あれれ?

 

 「……いやいやいや、そんな事よりさ___」

 

 

 ___いや、止めておこう。

 

 

 「……? どうかしましたか?」

 「いや、何でもない。今はどうでも良い事だった」

 

 

 ……今はいいんだ、そんな事考えなくても。

 

 

 「? ……あ、もう外が……」

 

 首をかしげていた早苗が突如、外を指を差した。

 

 外を見ると水彩絵の具で塗った様な雲とぼんやりと紅茶の様な色の空が広がっていた。

 

 「……そんなに長く話してたか? 一時間ほどのんびりしてたと思ったんだが」

 「緑は話が長いからねー……」

 「……マジで?」

 

 諏訪子に簡単に話すよう言われたので手短に話したのだが、長かったのだろうか? もしかして、年寄りみたいになってきた?

 

 「……とか言ってみるテスト」

 「オイ待て、今のが嘘だとかそれは魔理沙の台詞だとか無駄に行を使ったとか色々言いたいがちょっと待て」

 

 俺は突っ込んでも笑い続ける諏訪子に軽いデコピンレベルの威力を持たせた銃弾を一発撃ち込む(撃たれた時に変な断末魔をエコーの様に何度も出してゆっくりと倒れた)。そして縁側の下に置いてある草履を履いて境内に出てみる。

 

 「……凄いな。こんなの霊夢の神社でも見れないぞ?」

 

 山から里の方角を見ると綺麗で丸く赤い夕日がゆっくりとここの反対の山の影に沈んでいる真っ最中だった。

 

 「……秋の後半ですから、冬みたいに空気も澄んでるんでしょうね。……そう言えば、徐々に日の沈む時間帯も早くなってきてますね」

 

 早苗がいつの間にか横にいて、夕日をぼんやり見ながら話してくれた。……ああ、だからもう夕日なのか。てっきり俺の話が長いのだと思ってた。

 

 「……それじゃあ、そろそろ帰りますかい」

 「あ、でも緑さん! 今の頃は警備の天狗の入れ替わりの時間で何時もより多くの白狼天狗や鴉天狗がいますよ?」

 「……何その初耳」

 

 よく見ると確かに鴉の影が多く飛んでいる気がする。彼処に突っ込んだらどうなる事やら。取り合えず、明日の夕日を見れない事は確かだ。

 

 「……あの、もし良かったら家に泊まっていきませんか?」

 

 呆然と飛び交う天狗達を眺めていた俺を見て、早苗は恐る恐る聞いてきた。

 

 ……あれ? これ何かデジャウ“。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「さーて、今夜は呑むよー?!」

 

 「いえーい!」

 「お、おう」

 「……」

 

 神社の縁側にて、ハイテンションな諏訪子と早苗。若干躊躇って返事する俺と無言で頭を抱える神奈子がそろっていた。神奈子が頭を抱える理由は果たして俺が居るからか、二人に対してか。

 

 「今夜は新月だけど、まあ、夜空を見ながら呑む酒は美味しいよ?」

 「……あのねぇ」

 

 神奈子が頭を抱えながら突っ込む。今更だが、テンションの高い諏訪子に悪ノリする早苗、そしてセーブ役の神奈子と考えると一柱で二柱(早苗の数えかたはどっちなんだ?)を押さえたり止めたりと苦労しているのがよくわかる気がする。あとは早苗のキャラが変わりすぎだろ。

 

 「まず早苗から酌を……」

 

 ……おい、早苗って酒に弱くなかったか?

 

 「ととと……ありがとうございます」

 「よし、じゃあ次は緑ね。さあ、杯を出して」

 

 早苗は杯の酒を少し眺めると少し呑む。あーあ、これは酔うか?

 

 「……! そうだ、コロちゃんは? お酒呑む?」

 「俺の使い魔に呑ませる気かよ……しかも、コロちゃんって……」

 

 懐から陰陽玉を取り出す。普段はこの様に持ち運んでいるのだ。

 

 「ほら、九十九神化させなよ、君に決めたっ! ……てな感じでさ?」

 

 一人(この場合、単位は個なのか人なのかが謎)だけなんだしそんな感じに選ぶ事は無いだろ。霊力を込めて九十九神化させる。

 

 「さて、コロちゃん? お酒のむ?」

 「おさ…け?」

 

 九十九神化させた途端に諏訪子が小さい小皿を差し出す。と言うか、コイツはまだ酒を知らなかったのか。

 

 「……よし、ほら、呑んでみなよ?」

 「……(コクン)」

 

 諏訪子が酒を小皿に注いでそれをコロに呑ませる。……大丈夫かねぇ?

 

 「……ほら、緑」

 「ん? え、ああ、神奈子か」

 

 ふと、顔を見上げると神奈子が一升瓶を持って立っていた。俺は杯を出して酒を入れてもらう。

 

 「……ありがとな」

 「まあ、諏訪子が勢いで開いたとは言え、楽しまなくちゃな」

 「……」

 「……ん? どうかしたか?」

 

 恐らく、呆気を取られた様な表情になっていた俺に神奈子は眉を潜めて聞いてくる。

 

 「いや、何時も俺の事を色々言っていたからてっきり俺の事を嫌がっていたと思っていたんだが……」

 「馬鹿ねぇ、嫌いとか思ってないし、むしろ仲良くやっていきたいと私は思っているよ。ただ……“うちの早苗に手を出したら本気で打ち抜くぞ……?”」

 

 ……何を。とは何故か怖くて聞けなかった。と言うか、滅茶苦茶さっきの台詞に殺気が……さっき、殺気が……ハッ!?

 

 

 閑話休題

 

 

 その後、俺に酌を入れた神奈子は予想通り酔った早苗を寝かせる為に奮闘していた。

 

 「……で、お前ら、それは何杯目だ?」

 

 「んー? 一升瓶をねぇー…五本ぐらいかぁー?」

 「お前の程度は程度じゃない。そしてコロは……あー……」

 

 酒をどんどん呑まされたコロは乱れた服装で何も入っていない小皿に顔を乗せてくぅくぅといびきを立てていた。これで良いのか、使い魔。

 

 「……ほらー? 緑ももっとのまにゃかだめだよー?」

 「くっ! 遂に呂律も可笑しくなったか……これでもくらえ!」

 

 銃を諏訪子に向けて一気に霊力シャワーを放射する。

 放射を止めると諏訪子がコテン、と音を立てて倒れた。本当は酔いを覚まそうとしたのだが、今ので眠ったのだろう。何故?

 

 「……静かになったな」

 

 酔った土着神も静まり、一人で酒を呑むと言う悲しい環境が出来上がってしまった。

 

 取り合えず、長ねぎを人差し指程の長さに切って焦げ目がつくまで網で焼いた物に爪楊枝を刺して口に放り込んだ。ネギ独特の甘味が噛む度に口に広がる。

 

 「……緑さん?」

 「……早苗か?」

 

 頬張ったネギをすぐに飲み込んで答える。酔いから復活した様だ。

 

 「……隣、良いですか?」

 「ん? 良いよ」

 

 そう答えると隣に座って縁側から足を出して俺と同じように夜空を眺める。

 

 「……綺麗ですね」

 「ああ、ふと思ったんだが、外の世界も幻想郷も空は一緒なんだな」

 

 そんな何処かの詩人みたいな事を言って恥ずかしくなり、照れ隠しに残っていた酒を少し呑む。

 

 「……私はですね、こうして幻想郷にやって来ても、空みたいに変わらない物があって嬉しく思ってたんですよ」

 

 早苗が足を揺らしながら話した。その話し方は懐かしんでる様に思えた。

 

 「外の世界に居たときは神奈子様も諏訪子様も、信仰が薄れてしまっていていつ消えても可笑しくなかったんですよ」

 「まあ、最近の人は本当の信仰をしてないしな」

 「……私も不思議な力があったので周りから良い目で見られてませんでした……そんな中、諏訪子様が神社と湖を幻想郷に引っ越しさせたんですよ」

 

 早苗の方を見ると気のせいか少し早苗の目に水が溜まっていた気がした。

 

 「……今まで、私の様に現人神と呼ばれる立場が周囲にいなくて何時も寂しく思ってました……でも、緑さんが居てくれてとても嬉しかったです。完全ではありませんが立場が同じ人がいて……」

 

 今度は早苗が此方を見てきて慌てて俺は夜空を眺めた。

 

 「……空、やっぱり綺麗ですね」

 「ああ、月が出ていないから星が綺麗だな」

 

 遠くでコオロギの鳴く音、すぐそばでコロのいびきが小さく聞こえる。

 

 「……そう言えば、秋の満月、楽しみですね」

 「ああ、その時は曇らないと良いな」

 

 そう言い夜空を眺める元人間の神二人。楽しみにしている満月の日の雲行きは一体、どうなるのだろうか___?

 

 




 伏せんたっぷりな回。因みに今作品で恋愛要素はきっとない。何度でも言おう、今作品で…(ry

 そんな訳ですが、最終章なので核心に少しずつ触れていく感じで話を進めて行くと思います。タブンネ。

 それでは、次回をお楽しみに。
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