せ、せめて……今まで出せなかったキャラクターを出すんだぁ……(ガクッ)
それでは、どーぞ!(切り替え早い)
あれから暫くの事。妖怪の山から降りた後にコロが完全復活したので、何処か行きたい所があるかと聞いてみた所、コロは「うえ」と答えたので上空___白玉楼に向かって飛んでいる。冥界なんて異変以来だな。
「冬よりはマシ何だが……やはり寒い」
秋の風が建物や木に遮られないので冷水の様な風を全身に浴びる事になりとてつもなく寒い。
「うぅ……『寒い、高い、怖いダス』とか言ってられるレベルじゃない程に寒いし高いし怖いな……うぅ、寒っ」
コロなんかいつの間にか陰陽玉になって寒さを凌いでいるので直接の寒さと独りぼっちな虚しさなどがして辛い。 ……帰ろーかな。
「ちょっと、お兄さん」
「……誰か呼んだか?」
門が見えてきた途中で何者かに声をかけられた。しかし、見渡しても誰も居ない。
「……独りぼっちが辛すぎて幻聴がしたか。本当に帰ろ」
「幻聴じゃないのよねー」
もうひとつの声が聞こえる。
「……幻聴、幻聴」
「……だから違うって」
「いや、だったら出てこい。今俺は寒くて死にそうなんだよ……」
そう強めに言い返すとスッ……と、三人の霊のような者が出てくる。それぞれキーボードやらトランペットやらバイオリンやら楽器を持っているのが気になる。と言うか楽器が浮いてるし。
「出てきたわよ」
「ところで、お兄さんは何してるのかしら?」
「二人で台詞を跨ぐなよ……。まあ、俺は暇だったから白玉楼に寄ろうと思ってな」
冷えた手を擦り合わせながら答えた。寒すぎて辛いので両手を袖の中に入れた。……何か、尻尾がもっとあれば藍っぽいな。
「私たちは演奏で呼ばれているのよ。この前は桜が色々あって来れなかったからね」
白い服装をしたトランペットを持っている(浮いているが)少女がそう答える。
「……でも、貴方はお呼びじゃない」
「幽々子達とは知り合いなんだがな」
「知り合いだろうと呼ばれてなければ関係無いよ。でも、特別に私達の演奏聞いて行く?」
赤い服装の少女がキーボードを構える。他にもトランペットを此方に向けたりバイオリンを構える。
「……上等、バッチリ盛り上がってやろうか?」
銃を右手で取り出し、刀を左手に持つ。そして徐々に互いの霊力を高め___
「___あれ、プリズムリバーさん、緑さん、何してるんですか?」
不意に聞こえた声に振り返る。その先には髪も肌も白く、おかっぱで更に白い霊を隣に漂わせている少女、妖夢が紙袋を抱えて此方に向かってきた。
「ちょっと弾幕ごっこでもと思ってな……妖夢は?」
「私は買い出しに行って帰ってきた所ですが……」
不意に妖夢の視線が俺の顔から移動する。目線の先は左手の辺りだ。
「緑さん、ちょっとお願いが……」
「……成る程」
左手に持った刀を改めて見て大いに納得した。前からもう一度剣を交えてみたいとか言ってたもんね。
「あ、妖夢さん」
「呼ばれたので来ましたよ」
「演奏♪演奏♪」
「こんにちは。それでは皆さん、ここで立ち話もあれなので上がって行きませんか?」
プリズムリバーと言われていた三人組は『はーい』と返事をすると結界を飛び越えて行った。これで良いのか、結界。
「それでは、緑さん。後でお願いしますよ!」
「は、はあ」
若干刀を出した事に後悔しながら返事をした。やっちまったな、自分。
「いらっしゃい。久しぶりね」
しばらく長い階段を道なりに飛び、やっと白玉楼に着いた。屋敷では幽々子が縁側と繋がっている部屋でのんびりとしていた。
久しぶりの冥界は前と同じように、生きている桜もあるのに辺りは生物が何一つ居ない寂しい様な感覚がする。
「ところで妖夢。主人に何も言わずに客を家に上げるとはどういう事なのかしらねぇ」
「うっ……」
そばにいた妖夢が固まる。て言うか絶対妖夢をイジって楽しんでるだろ、幽々子。
「……今日は何してもらおうかしらねー?」
「……みょん」
ガックリ、と顔と肩を落として呟く。そんな妖夢を見て笑う幽々子が若干怖い。妖夢の胃が心配になってくる。
「フフフ、それじゃあ……準備はお互いそれで良いのかしら?」
「準備?」
「幽々子様? 一体何の準備ですか?」
「あらあら、二人とも分かってないわね。あなたたちが今一番やりたい事の準備よ」
幽々子が扇子を口に当てて言うと妖夢は『準備して参ります!』と何処かに飛ぶように走って行った。
「あの子も元気ねぇ。貴方はそれで良いのかしら?」
幽々子はテーブルの煎餅に手を伸ばしながら言ってきた。
いや、俺は別に戦いたく無いんだが……
「しかし、そんな個人の意見は却下されましたとさ」
そんな事を呟きながら正面に立つ妖夢を見る。いやぁ、少数意見の尊重が全くなかったよ。多数決ってここまで理不尽だったとは。
で、そんな俺たちのすぐそばの縁側には幽々子とプリズムリバー達。四人は観客気分で見ている。
「準備は良いですか」
「此処から逃げられないならイエス。だな」
神力を解放し、刀を鞘から抜いて両手で持つ。神力を解放した時に一瞬妖夢の顔が少し青くなったがすぐに戦の前の武士の様な顔になる。
「もう一度決まりを確認するけど、お互い武器は剣のみ。攻撃は剣術なら弾幕でもスペルカードでも良い。相手に一撃でも切る、峰打ち、もしくは寸止めで勝敗を決める。それで良いのかしら?」
「はい!」
「ああ、それで良い」
そう返事するとお互い向き合い、刀を構える
「妖夢は二刀流、緑は一本なのはちょっと不公平ね」
「……確かに、そうですね」
幽々子が茶化す様に言うと妖夢は納得し、懐から短い治金丸に似た短刀を投げてきた。あぶねぇ。
「これで公平な筈です。長さも私の白楼剣と同じです」
そう言うと幽々子は少し驚いた表情をする。驚く幽々子の顔を初めて見た気がする。いや、異変の時もしていたよーな? いや、全く今はどうでもいいな。
「緑さん、真剣にお願いしますよ!」
「ここまで親切にして貰ったんだ。できる限り本気でやらせて貰う!」
妖夢は片手に一本ずつ持って構え、俺は長刀の刃を上に、短刀の刃を下にして持ち、二刀の柄を重ねて両手で持つ。
「それじゃあ、よろしくね」
「わかったわ。それじゃあ…3! 2! 1___」
そこで大きくトランペットの音が響く。始まりの合図だ。
「行きます!」
そう言い体を前屈みにして走ってくる。そして観楼剣のリーチに入ると走る勢いを使って横に観楼剣を振る。
「ぐっ!」
俺は長刀の峰でそれを受け止める。そして左手で短刀を強く掴んで長刀の柄から放し、短刀を横に振るがその時には妖夢は後ろに退いていた。妖夢はバランスを多少崩しながらもその際に弾幕を放つ。
「いきなりハードだなっ……!」
治金丸の長刀を振るって飛んでくる弾丸を途中で切って消す。それを見て妖夢は驚いた表情をする。
「……っ!」
妖夢は弾幕を放った時に崩れた態勢を強引に変えてその場を素早く退く。 退いた途端に妖夢がいた場所の後ろの桜に切った様な跡が残る。
「……随分と強くなってますね」
「ああ、まさか俺も弾幕を切った後も斬撃が消えないとは思わなかったな」
そんな会話をしながら剣を構える。構えた時の様子を見るとお互い真剣そのものだろう。
「では、スペルカードも強くなったのでしょうか?」
「それは挑戦状として受け取っておく」
妖夢の発言からして、この後はスペルカード戦になると思われるので何時でも対応出来るように守りの体制をとる。
「来ないのでしたら……私が先手を取らさせて貰いますよ!」
妖夢はスペルカードを取り出し、宣言する。
「……人符『現世断』!」
妖夢は姿勢を低くして鞘に一度刀を仕舞い、腰の位置につけて何時でも抜ける様に構える。
「それが来るか……!」
俺は一呼吸してから刀を地面に突き刺し、目を瞑る。
「正面から受け止めるつもりですか?! 行きますよ……!」
真っ暗な視界の中で フッ、と風を切る音がした。恐らく妖夢が此方に向かって踏み込んだ時の音だろう。
「……霊刀『木千把丸』!」
俺は宣言して刀に魔力を無理矢理送り込む。すると刀が大量のマグネシウムを燃やしたかの様な光を放った。
刀の神力が魔力に含まれる妖力を打ち消そうとしてこの光が出るのだが、そんな事はどうでも良い。後は使う方も勿論眩しいので目を深く瞑る必要があると言う欠点がある。
「くっ!?」
そんな声が近く、ギリギリ治金丸が届かない位置から聞こえた。恐らく妖夢が怯んだのだろう。
そこで俺は光を止め、俺は更に宣言する。
「霊刀『四つ替り』!」
宣言して刀を振って白く輝く斬撃を放つ。走るスピードより早く飛ぶ斬撃を見て妖夢は受け止めるより回避を選ぶ。
「狙って飛んでくる斬撃ですか……っ!」
妖夢が横に避けると、斬撃も一瞬だけ止まり方向を妖夢に合わせて飛んで行く。名の通り四回相手の位置に合わせて方向を変える斬撃だ。避けるのは難しいだろう。多分。
「だったら……! 断命剣『冥想斬』!」
そう妖夢が宣言すると碧色の霊力が刀を覆いリーチを伸ばして斬撃を叩き切る。斬撃は何の抵抗もなくあっさり書き消された。
「……あちゃー、弱点を見破られたか」
確実に相手に攻撃を当てる事を重視したため、防がれたり消される事などに対応出来ない。
スペルカードはほぼ互角。俺は新しい技、妖夢はパワーアップしている。やはり、スペルカードでは決まらない。最後に決めるのは単純で純粋に技術で決まる方法。
「……やっぱり決めるのは」
「剣術での戦いですね……!」
俺は刀を構え直し、息を整える。恐らく次で勝敗が決まるだろう。と、なんの根拠も無いがそう感じていた。
「……」
「……」
ザザ……と少なく生える草が擦れ合う音が聞こえる。幽々子達は喋らず試合がどうなるのかを見ているが、そんな事を気にしてはいられなかった。
心を落ち着かせると、先程激しく動いたせいで米噛みの辺りから一筋の汗が流れる。そのまま汗は頬を通りすぎ、顎の辺りで止まり___
「___っ!」
「___ふっ!」
___一滴となって地面に向かって落ちた瞬間、同時に大きく踏み込み一気にぶつかり合う。
まるで劇のようにカン、カンと互いの刀を響かせながら攻撃を受け止め、刀を相手の隙を突いて降り下ろす。
「……はっ!」
一瞬の隙に妖夢が上から二本の刀を交差させて降り下ろす。それを治金丸で受け止めるが、その反動で叩き落とされてしまった。
「___止めです!」
治金丸を拾う暇なく妖夢の白楼剣が降り下ろされる。そのまま白楼剣が俺の肩に当たる___直前、俺は無理矢理肩をずらして間一髪で避ける。骨や関節に鋭い痛みが走る。
「っ___!?」
右手に短刀を持ち変えて反撃に入る。妖夢も焦る表情のまま刀を降り下ろそうとするが、俺は構わず短刀をつき出す。その瞬間、二つの風を切るの音が重なり合う。
「……」
「……」
刀を打ち合う音も風を切る音も止まり、本来の静けさが戻り、自分の荒い息がやけに大きく聞こえた。
「この勝負……」
「……引き分け、でしょうかね」
妖夢の首もとに短刀の峰が当てられ、俺の右の腹に長刀の峰が当てられていた___
おお、0%0%0%よ、死んでしまうとは情けない。
と、茶番は置いておいて。これからはEDと異変に向けて(棒倒しで)用意された道を真っ直ぐ進みますよ! きっと脱線しますよ!(不吉な予告)
それでは、次をお楽しみに。
三日後にテストだあははははは(狂気)