東方の幻想日記 ~人間妖狐迷走記~   作:0%0%0%

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 更新遅れました……これが本来のペースかもしれませんが、いままでがアレだったので遅く感じる……


 それでは、どーぞ!


~四十二頁目(永遠亭)~ 後編

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 「___見たところ、本当にギリギリの様ね?」

 「もしかしたら……そうかも……しれませんね……」

 

 苦し紛れにそう言い返しながら地面に着いて震えている足に活を入れる。三つ目の難題は終わったけど、恐らくあと二つの『難題』と言っているスペルカードがあるはず。

 

 「……そんなボロボロの状態で大丈夫なのかしら?」

 「やってみなきゃ……わかりませんよ……何事も……やらなかったら……永遠に出来ないんですよ……!」

 

 既に先程の相手のスペルカードで燃えてボロボロになってしまった巫女装束の袖の一部を引きちぎって、痛む傷口に包帯代わりとして巻き付ける。兎との戦闘の時点で捨てた方が良い程にボロボロになってたので引きちぎる事に躊躇しなかった。

 

 「今まで生きてきた中で一番粘った人間はあの貴公子達だと思ったけど、貴女も同じぐらい粘るわね……貴公子達の理由は分かるけど、貴女は何でそこまで頑張るのかしら」

 

 スペルカードを持った手を一回下ろして彼女は聞いてきた。

 

 ……そんな事の答えは決まっている。

 

 「……霊夢さんに……異変を解決して見せると言った事も……あるんですが……一番の理由はですね……緑さんも今……きっと何かと戦っているんですよ……あくまで私の『勘』ですけどね……」

 

 息をそこで一度深く吸って大きく吐く。乾き始めていた目を瞑って潤わせるとしっかりと彼女を見る。

 

 「……私と緑さんを一緒に向かわせた諏訪子様と神奈子様。迷った私達に教えてくださった慧音さん。本来の仕事を私に譲ってくれた霊夢さん……そして緑さん。他にも色々な方に助けて貰いました……」

 

 もう一度、大きく息を吸い込む。

 

 「___この守矢神社の巫女、東風谷 早苗は、ここまで手伝った方々の恩を無駄にするなんて事は意地でもしませんよ!」

 

 少々、カッコつけた気もするけど、私は本当の自分の心や誇りを隠さずに声に出せた。体が僅かに軽くなった気がする。その感覚はきっと気のせいだろうが、この感覚のお陰で自分の心に自信を持てた。

 

 「……良いわ、私も最大限美しく、手加減無しでやってあげる。だから私の期待に答えてみなさい!」

 

 

 

 「難題『燕の子守貝 ー 永命線 ー』!」

 

 

 宣言すると彼女は大きな使い魔を作り、前方に飛ばす。すると使い魔から無数の細い光の線が走る。私はとっさに光の線の無い所に逃げる。すると使い魔からまるで車輪の様に細いレーザーが絶えなく放たれた。

 

 「っ!」

 

 使い魔が車輪状にレーザーを放ちながら星形の弾幕を放つのを見てお祓い棒を取り出す。そしてこれ以上使うと身体にも影響が出てしまう状態でも構わず、お祓い棒に霊力を籠めて五芒星を描いて放つ。

 

 「!?」

 

 放った五芒星は弾幕を貫き、使い魔を打ち破る。それを見届けると体に力が入りにくくなっていく。

 

 (駄目、でしたね……)

 

 体を宙に浮かばせる為の霊力も徐々に弱まり、少しずつ高度が下がっていく。

 

 (緑さん……)

 

 

 心の中でそう呟いたその時、何かが私の肩に手をまわして体を支えている様な感覚がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 「___早苗! 大丈夫か!?」

 

 全速力で飛んで何とか見つけ、早苗が地面に落ちる前に何とか探し出して此処に来れたが、少し遅かったかもしれない。

 

 そして早苗の服は意図的に千切られた袖を除き、全身には弾幕をかすった跡の様な物が数えきれない程あった。

 

 「っ! 怪我してる箇所が多いし、しかも霊力も殆ど無い!?」

 

 紫の受け売りだが、霊力とは簡単に説明すると肉体によって封された魂から出る生命エネルギーの余波が体から漏れ出てきた様な物らしい。それが殆ど無い状態と言うのは魂に何かしらの影響がある証拠。下手すると衰弱して最悪死んでしまう事もあるのだ。

 

 (こんな時は……まずは霊力を……)

 

 早苗の片手を握り、自分の霊力を害が無い様にゆっくりと送る。焦って変な行動を取ったりせずに冷静に応急処置が出来た。これで一先ず安心と言えるだろう。確信は無いが。

 

 「あら、もしかして貴方があの狐なのかしら?」

 「……あの狐が何なのか分からんが多分正解かもな」

 

 俺はやや適当にそう答える。霊力もある程度送ったので早苗を肩に背負い直して相手と向き合う。早苗にここまでダメージを与えた、永淋が『姫様』と呼んでいるのはあの少女だろう。

 

 「___っ、うぅ……」

 「! おい! 早苗!」

 

 すぐそばから呻き声の様な声が聞こえて咄嗟に呼び掛ける。霊力が回復したお陰で意識が戻ったらしい。

 

 「緑、さん……」

 「……取り合えず話は後でだな」

 

 早苗にそう言い返して銃を取り出す。何時でも弾幕ごっこが出来る様にだ。

 

 「___あ、挨拶が遅れたわね……と言うか、その子にも名乗り忘れてたわ。私は蓬菜山 輝夜よ」

 「……俺は今は八雲 緑。妖狐やら白狐とかをやってる」

 

 簡素な自己紹介を終えるとその後にやる事は決まっている。

 

 「貴方は、その子の代わりで良いのかしら?」

 「ん? ……ああ、それなら___」

 

 そこで一度句切り、肩を支えている早苗を見てから続ける。

 

 「……一応、俺は早苗のアシストを前提としてここまで来たからな。……あ、ちょっと待て___」

 

 そう言って俺は空いている手を使って一本の試験管を取り出した。中身にはまだ青色の薬が3割程残っている。

 

 「ほら早苗、使っておけ。少しはマシになるはずだ」

 「……はい、ありがとうございます」

 

 ……一応言っておく。確かに、さっきこれを飲んだが決して口はつけてない。残念だったな、恋愛要素とかは今回は皆無なんだ。

 

 「要するにその巫女が続けて戦うのね?」

 「……それで良いか? 早苗」

 

 早苗から中身の無い試験管を返して貰いながら俺は早苗にそう尋ねる。

 

 

 「___はい、緑さん。ありがとうございます。そして、またお願い何ですが___私を手伝ってくれませんか……?」

 

 早苗の顔には異変解決に出かける直前の様に期待に満ち溢れており、俺は縦に首を振った。

 

 「……さあ、そこの神二人。私の最後の難題、越えてみなさい___」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「___難題『蓬菜の弾の枝 ー 虹色の弾幕 ー』!」

 

 

 

 

 

 

 宣言すると輝夜は五つの使い魔を前方に放し、俺達と輝夜の間に集める。

 

 「っ! 来るぞ!」

 「はい!」

 

 使い魔から弾幕が放たれるのを見て俺は早苗を離し、二人に別れてそれぞれで反射して狙ってくる弾幕を避ける。

 

 「っ! 緑さん! 使い魔のせいで攻撃が届きません!」

 「本当だな…っ! 仕方ないか___コロ! 一発やるぞ!」

 

 使い魔が盾になってしまってるのを見て、あの使い魔を消す事を先にするべきだと判断する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「___燃星『プテウスの魔矢』!」

 

 

 

 

 コロを陰陽玉から変化させ、弓に自分の魔力を込め、宣言して放たせる。すると矢は燃え上がりながら使い魔の一つに刺さり、消滅させた。

 

 「! やるわねぇ……」

 

 敵にも関わらず、そんな声が輝夜から送られたが気にしない事にする。絶対遊んでいそうだ。いや、遊んでいる。

 

 「ん、たま、ふえる!」

 「本当に悪い予告が当たるなお前……っ!」

 

 輝夜から俺と早苗を区切るように弾幕が放たれ始める。先程より避ける空間が狭くなった。

 

 「っ! そっちこそ___っ! ……やりますね!」

 

 狭く区切られた状態で早苗はそう言いながら隙を見ては札を投げる。何度か反射してくる弾幕と網の様な弾幕に遮られるが、確実に使い魔にダメージを与えている。

 

 「よし! 一個ずつ、集中して壊すぞ!」

 

 最低、三つほど使い魔を消せば直接攻撃が届くようになるだろう。確かにこのままなら突破出来るだろう。

 

 そして、遂に三つ目の使い魔を消した時、確かに輝夜がほんの僅かに笑った。

 

 

 

 「___順調の様だけど、これならどうかしら!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 輝夜がそう言った途端、区切る様な弾幕は枝、または網の様に枝分かれする様になる。

 

 「っ! これはっ……!」

 「……中々ヤバイな」

 

 区切られて狭い空間では無くなったが、全体が弾幕に埋められていて回避が困難になった。攻撃をする隙も無くなってしまった。

 

 (何処かに隙は……)

 

 常に細かく避け続けなければならず、反射してくる弾幕も常に考えなければならない。隙が全く見当たらなかった。

 

 「っ! 緑さん! 危ない!」

 「なっ!? ___グッ!?」

 

 思考による一瞬の隙を突かれて俺は反射してきた弾幕に当たってしまう。正面から喰らってしまい地面に落とされてしまうが、あの時の様に意識は飛ばなかった。

 

 「___っ! きゃあ!?」

 「? ___! ぐばぁっ!?」

 

 地面に落とされて復帰しようとした___その時、上から声が聞こえてそのまま被弾したらしい早苗が俺の上に落ちてきた。……ヤバイ、みぞだったからこれは本当に不味かったかもしれない。これで早苗が無傷なら良いのだが……

 

 「! り、緑さん、すいま___きゃ!?」

 「っ! 伏せろ!」

 

 俺の上から跳ね起き上がろうとした早苗を無理矢理引き止め、右手で持った刀を目の前に突き出す。すると、直前まで迫っていた大量の弾幕がぶつかる音が刀から鳴響いた。

 

 「り、緑さん……」

 「大丈夫だっ……何とかする……っ」

 

 自分でどうする事も出来なくなってしまった早苗に俺はそう答える。

 

 ……しかし、武器の刀はこうして盾として使われているし、頼りの銃はいつの間にか無くなっていた。どうやら先程、後方に吹き飛ばされてしまったらしい。

 

 

 ……これは完全に積み状態かもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「りょく! ぶき、つかう、なの!」

 

 

 

 刀で弾幕を押さえながら諦めを考えていると、視界の外___上から何かが落ちてきて早苗の手のひらに落ちる。

 

 「これは……弓?」

 「……ナイス、コロ。流石頼りにしてる使い魔だ」

 

 そう言いながら俺は懐から矢___守矢神社で買った破魔矢を取り出して早苗の手に乗せる。

 

 「え? 緑さん? 一体何を___」

 

 早苗の問いを今は無視し、弓を左手で取り、前方に向ける。

 

 「早苗、頼みがあるんだが、俺が片手で弓を輝夜に向ける。だから、矢を引いてくれないか?」

 「なっ!? わ、私ですか!?」

 

 早苗は驚いた様にそう言った。今、俺の片手は刀を持っていて塞がっている。弾幕を防ぐ自体は先程とは違い、そこまで神力を消費しなかったが当然、片手を塞いで防ぎ続ける必要がある。すると、残った片手で弓を持つことは出来ても矢は引けないのだ。

 

 「……」

 

 早苗は一度、矢を握って下を向く。考えているのだろう。そして此方を向いた。目には意思が宿っている様に見える。

 

 「___わかりました」

 

 そう答えて矢を弦に取り付け始めた。弾幕を刀で防いでいて見れないが、取り付けに成功したらしい。弓が手前に強く引かれる。

 

 「よく引き絞れよ……!」

 「はい!」

 

 刀に注意を向けつつ、俺は確実に当たるように標準を会わせる。早苗の持っている矢も十分に引かれていた。

 

 「俺が霊力を込めて、一、二の、三で放つぞ!」

 「はい!」

 

 そう連絡を取り合い、俺は矢が駄目にならない程度に霊力を出来るだけ込める。

 

 「……いくぞ、一、二の___」

 「___く……っ!」

 

 

 

 大きく息を吸いながら、弓を強く握り___

 

 

 

 

 「___三!」

 

 そう大声で言うと、矢が残像を残しながら手元から飛んで行った___

 

 

 

 

 






 少々、カッコつけようとして少し臭くなった気がしますが……まあ、それも一興かと(ぇ

 余談ですが、登場した試験管の薬。あれは緋想天の“国士無双の薬”(名前合ってるかわかりませんが)をモデルにしてます。なので続けてあと二杯飲むと汚い花火になります。多分。あと、緑は口は一切つけてませんよ! 口つけずに流し込んだだけですよ!(肝心)

 それでは決着の次回、お楽しみに。

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