今回は作者の誕生日と言うわけで、緑の誕生日の話です。前半は別視点で、後半が緑視点となります。
あと、本編では基本ノンシュガーあるいは微糖程度で恋愛とは(きっと)無縁の状態でしたが、今回は砂糖多めの恋愛っぽさ(?)重視にしてみました。多分。
なので、この話は本編とは全く関係がありません。時列とかもありません。
なのでそういった物が苦手な人は飛ばしても構いません。いや寧ろ飛ばした方が良いです。
それでは、特別編をどーぞ!
「ねえ、相談があるんだけど……」
とある日の昼頃。外は雪が降り積もっていて、オマケに見事な晴天だったので雪が日光を反射させて私の目を眩ませていた。
そしてこの私、霧雨 魔理沙は箒に乗っていつも通り昼御飯をご馳走になろうと思い、アイツの神社に飛んだのだが……
「……なあ、霊夢。さっきから何モジモジしてるんだ? それじゃあ、まるで普通の女の子みたいじゃないか」
そう、さっきから霊夢が変なのだ。
チャブダイ越しにでもわかるぐらいに顔を赤くして何を考えているのか、さっきから言いにくそうに『あー、』やら『うー、』やら何処かの吸血鬼を思い出す様な声ばかり出している。おまけに何やら私の知っている連中も呼んでいたらしく、たった今私が来たことで話が始まった様だ。集めた意味がわからない。
しかし、どうやら私の発言が霊夢の逆鱗に触れたらしく、顔の赤さは別の意味を持ち始めた事はよくわかった。
「言いにくいからこうしてるのよ、察しなさいよ! そして私が普通じゃないみたいな事を言うなっ!」
「ぎゃん!?」
「……ねえ、霊夢。普通の女の子は一般人をお祓い棒で叩いたりしないのよ?」
「煩い、自業自得よ、自業自得。それにコイツは魔法使いだからノーカンよ」
「ってて……なんだよ、私が普通じゃないみたいじゃないか」
霊夢が私の頭にお祓い棒を叩き込んだ時、隣でカリスマ吸血鬼のメイド長、咲夜が冷静に突っ込んだ。確かに、自業自得については反論出来ないが、ノーカンについては反論してもいいと私は思う。無縁塚の説教の長い閻魔に訴えたら間違いなく勝てる。
「ところで、結局何の話題なのでしょうか?」
私が頭を押さえながら会話の輪に復帰すると、霊夢の隣で妖夢が座布団に正座しながらそう尋ねた。霊夢もいい加減に白状したらしく、下を向いて目を泳がせ、言葉がつっかえながらも話した。
「こっ……今度、りょ、緑の誕生日らしいの…よ、……だからっ、な、なな、何かいい案とか、ないかし…ら…?」
霊夢が言い終わる頃には辺りが静かになった。私を含めた四人は意外そうな顔をしていて、ちょうど神社の屋根から雪が落ちてきた音が大きく聞こえた。おまけに私達が静かにしている時間に比例して霊夢の顔の赤い部分の面積が広がり色が濃くなっていった。
「ま、まぁ、『何かいい案』ってのは要するに……プレゼントって事か?」
これ以上真っ赤にさせるのもアレなので私がそう解釈して聞き返すと霊夢は何度も頷く。十回頷いた。
「それを聞くために私達を集めたのですか?」
「まあ、そういう事になるわね……」
咲夜の隣で早苗が手を挙げて尋ねる。霊夢も斜め下を見ながら腕を組んで頷きながら答える。
「……でも、アイツに良い贈り物なんてあるかしら?」
「それよ、それがわからないから聞いてるのよ」
咲夜がそう言うと霊夢は頭を抱えながら答える。……私達を呼ぶ前にも、そこに苦戦していた様だ。
「緑なら何時も朝に起きて軽い食事を取って、昼には何処かに出かけるなり、家で何かを調べていたりしてるからな……夜はお茶飲んでたり使い魔と戯れて終わりだ」
「何か、スケジュールに書いて壁に貼ってありそうな生活サイクルね……」
「ああ、私も3日連続で同じ時間に訪問してみたら全く同じ事をしていたからな。確か、3日ともお茶の葉を急須に入れる途中だったな」
私がそこまで言うと集まった全員が頭を捻った。生活サイクルがなんと言うのか……
「「「「「……おじいちゃんみたい(です)ね」」」」」
見事に意見も発言するタイミングも一致したが、纏めるとこれだけでは緑の好きな物がイマイチわからない。
「あ、そう言えば緑さん。茸とか筍が好きでしたね」
「お? 確かに茸に関しては詳しいからな。まあ、ある程度メジャーな物じゃないと万が一が怖くて採らないらしいがな」
「茸と筍……これは戦争! ……しかし、こうなると……緑さんは中立? うーん……」
「……なに一人で『戦争』やら『中立』やら呟いているのよ」
「……いいですか? 霊夢さん。___『きのこ』と『たけのこ』は切っても切り離せない存在なんです! まさに『聖戦』なんです!」
「???」
取り合えずネジが弾け飛んだ現人神は置いておく事にする。言い聞かされている霊夢も訳がわからない様子だ。
「うーん……だったら『お茶』とか、『珈琲豆』とか、あとはそれ関係の道具ぐらいかしらね」
咲夜が顎に曲げた指をつけながらそう意見を出した。確かに、緑はしょっちゅうお茶をやら珈琲やら縁側で飲んでいたっけな。私も何度かお世話になった。
「でも、幽々子様が言ってたのですが、紫さんがそういった物は定期的に送っているって聞きましたよ?」
「え? あの紫が?」
「あいつ、何か緑に対して凄い援助してるからな」
「緑さんも紫さんも家族って言い合っていますしね」
「でも、何でそう言い合ってるんだ? 別に仲の良い者同士でも良いんじゃないのか?」
……この辺りで何やら会話が脱線したので一度戻す事にした。
「結局の所、物を送るのはダメっぽいわね」
霊夢が頬杖を付きながら煎餅を食べながらそう言った。すると、早苗が何か思い付いたらしく、輝く目で手をパン、と合わせた。
「でしたら、綺麗な景色や素晴らしい光景をプレゼント___なんて物は……」
「夢の見すぎだな」
「それって自分の理想でしょう?」
「ち、ちょっと、何と言えば良いのでしょうか……その……」
「皆反応が酷い!?」
早苗の提案を私と咲夜で全否定した。妖夢がなんとかフォローをしようとしているが、逆に早苗にダメージを与えていた。
「兎に角、何か良い案を出さないと___」
「___それ! それよ!」
私が喋っている途中で ガタッ!、と煎餅やお茶の乗ったチャブダイを揺らしながら霊夢は早苗を指差した。
「よし、それなら……うん、彼処が良いわね……!」
「……あー? 結局なんなのぜ?」
湯呑みの中で起きている波を必死に抑えていると霊夢が立ち上がってそう一人で納得していた。
「魔理沙!ちょっと聞きたい事があるんだけど___」
何やら良い笑顔でそう言ってくる霊夢を見て、私は顔が引き吊るのを感じながら取り合えず頷いていた。
___今日はやっぱり、霊夢が変だ。
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「___ねぇ、緑。ちょっと来てほしい所があるんだけど……」
雪が降り積もっている道を必死に足で掻き分けて神社にたどり着いてのんびりと霊夢に暖かいお茶をご馳走になっていると、霊夢からそんなお願いをされた。
「おん? そうか、今日だったか。霊夢も意外にそういう所で積極的……」
「うるさいわね! この場で今すぐ跡形も残らない様な封印をあんたにしてやろうかっ!?」
「え、ちょ、封印なのに跡形も残らないってなんだ?」
少し遠慮して縁側で飲んでいる俺に対し、居間で堂々とお茶を飲んでいる魔理沙が何やらニシシ、と笑いながら呟いていた。
「れーむ、せっきょくてき、なの?」
「ああもう! コロも真似しないでよ!」
一見、微笑ましい光景に見えると思うが、俺は暖かいお茶を飲んでいるのに小刻みに震えていた。
___そう、さっきから霊夢が変なのだ。
「で、どうかしら、それとも……駄目?」
「えっ、いや、特に無いが……何故?」
「うっ」
一人で思考していると霊夢が若干弱々しく、そう聞いてきて慌てて聞き返すと霊夢はピシ、と固まった。尚更何故?
「あ、いやー……ゴホン。___昨日の事だがな? 私が空を飛んでいると不思議な物を見つけてな。それで霊夢が様子を見に行こうとしてな……」
「そ、そうよ! それで……どうかしら?」
魔理沙がそう言うと霊夢は縦に何度も頷きながらまた尋ねてきた。……十回も首を縦に振っていた。
「うーん、特に用事も無いからここに来た訳だし、別に良いよ」
「おーっと、ちょっと私からもお願いだ。……ちょっと出掛けてる間だけでも良いからコロを貸してくれないか? 死ぬまで借りてく事は無いからさ」
「……ちょっと不安だが、大丈夫かな? コロ、お前はどう思う?」
「べつに、いい」
魔理沙の頼みにちょっと不安を持ちながら承認する。コロは自分からフワフワと飛んで行った。
「よし……そ、それじゃあ行くわよ」
「おう、今なら風も弱いし、雲も暫く来ないから大丈夫だろ」
「じゃあ、私達は留守番してるぜ。彼処はアリスと行った時も結構時間が掛かったからな」
「りょく、いってらっしゃい」
そう言って俺は雪の上に足をつけて唯一、雪かきの済んでいる鳥居の方に移動する。霊夢も少し遅れてここに来た。
「すぅ……はぁ……、すぅ……」
「? 何故ここで深呼吸?」
「___はぁ……よし、い、行くわ、よ……?」
「お、おう。なんか疑問系になってるがどうした?」
さっきから妙に緊張している霊夢を心配に思えてきた。あれだろうか。実は持病でも持っていたのだろうか。喘息とか貧血とか。パチュリーもその時は似た様な事をしていた気がする。
「……」
「……?」
霊夢は膝を僅かに折って、飛び上がる姿勢のまま動かない。どうしたのか聞こうとした時にまた深呼吸が聞こえてきて、三回程すると霊夢が振り返った。
「ね、ねぇ……やっぱり、あと少し待ってくれない……?」
___今日はやっぱり、霊夢が変だ。
「……よし、ここよ」
「本当に離れているな……あと高いし寒い……」
やって来たのは大きな岩山の上。日も沈みかけており、幻想郷の何処か聞かれても正確に答えられる自信がない様な所に来た。
「緑、寒いの?」
「ん? いや、大丈夫だ」
霊夢が心配そうに声をかけて来たので体の僅かな震えを無理矢理止めてそう答えた___が、
「……ほら、凄い冷たいじゃないの」
「___!?」
突然、右手に温かい物が触れる感覚がする。霊夢は俺に近付いて右手を掴んで来たのだ。
余りにも突然の事だから、どう反応すれば良いのかわからずその場で固まる形になってしまう。
「……ほら、少し寒いから急ぐわよ」
「あ、ああ、わかった」
霊夢の声で俺は再起動する。手を繋いだまま霊夢は俺の右手を引っ張って先導して進んでいく。土や石や雪、時々岩山の肌が出ているだけで植物が生えてない急な坂をお互い足元に注意しながら登っていく。
「そこ、凍ってるから足元気をつけて___ほら、ついたわよ」
「よっ、と。……一体何があるって___」
岩山を登った先には言葉に表せられない程に綺麗な雲海が広がっていて、俺は思わず息を飲んだ。
雲海がまるで真っ白な海に見え、沈みかけている太陽が海に沈む夕日を思わせた。
「……ここの雲がゆっくりと幻想郷全域に流れて来るのよ」
俺は霊夢の説明を聞きながらその景色に感動していた。そしてやっと口が動く様になった。
「……凄いな」
「……実は、ね。今日が緑の誕生日だから……その、プ、プレゼントとして見せたかったのよ。最初に言った不思議な物は嘘だったの……ごめんなさい。でも、何時もその、お世話になってるからどうしても見せたくて……」
夕日の光が当たり、オレンジ色に顔が染まった霊夢は沈む夕日を見ながらゆっくりと告げてきた。
「___た、誕生日……おめでとう。緑」
そう言い切ると霊夢のオレンジ色に染まった顔に紅さが増していく。
今日のあの緊張はそれだったんだな。と確実に正解だろう解釈をして、
「……本当にありがとうな、霊夢」
少し恥ずかしがりながらも沈む夕日を眺めながら返事をした。
___今日の霊夢は、とても優しかった。
はい、霊夢ルートです。霊夢での恋愛の話になると『ツンデ霊夢』のイメージしか沸きません。正常?
そんな訳で特別編でした。果たして、上手く出来てるでしょうか……
作者は恋愛と言われてイメージするのは、河川敷で拳で語り合い(笑)、和解して___みたいな『何処の少年漫画だ』などと突っ込み喰らいそうなものです。下手したらそうなってたかもしれませんが……(ぇ
あと、霊夢が連れていったのは東方の二次創作の『東方M-1グランプリ 第三回』のラストをイメージした様な場所です。前半で視点になっていた魔理沙が地味に『アリスと行った時も~』って言ってましたし。
そろそろこの辺りで……それでは、これからもどうか宜しくお願いします。
~ 一部の人にしかわからないので没になったネタ ~
緑『___その場所ってどれぐらい遠い? 時間が掛かるのか?』
魔理沙『流れているスタッフロールとエンディングの曲が終わるぐらい時間が掛かるな』
緑『殆どの作品で最速な自機キャラが約4分半か。遠いよーな、遠くないよーな……』