東方の幻想日記 ~人間妖狐迷走記~   作:0%0%0%

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 長期間、推敲に集中すると言っていましたが、集中力が続かず次の話を書いてしまいました……じっくり、ゆっくりとやって行こう(言い聞かせ)。

 それでは、どーぞ!


~四十五頁目(人里~???)~

 「……よし、筋肉痛は殆ど完治したな。……体が少し鈍ってるが」

 

 空を飛んで人里のど真ん中に降りた俺は肩を少し回しながら呟いた。あの日の後、軽く柔軟して寝ると殆ど完治した。まさか柔軟にあんな効力があったとは初めて知った。と言うか、柔軟して気づいたのだが、自分の体が固すぎる。例えると鉄筋コンクリートを上回りそうな固さ。

 

 ……今度から激しい動きを控えよう、あと柔軟をする様にしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「此処に来るのも久しぶりだな……」

 

 広い敷地の中に建っている和風な建物を見て俺はしみじみと呟く。敷地を一度見渡してからその建物の玄関に歩いて行き、玄関の戸を軽く叩く。戸に使われている板ガラスがガタガタと揺れる。

 

 「今行く、少し待っててくれ___……おや、緑じゃないか」

 

 戸がガラリと開くとこの建物___寺子屋の教師、慧音が出てくる。

 

 「お久しぶり、また来た」

 「確かに長い間来ていなかったな。何か忙しかったのか?」

 「まぁ……ああ。それはもう、とんでもなく忙しかった訳で……」

 

 今までの出来事を簡単に思い返してみる。守矢神社でのプチ宴会やら白玉楼の試合やら紅魔館の食事の誘いや魔理沙の研究の手伝い。しまいには早苗と異変解決(?)にも出掛けた。思い返すと何かこう、凄い疲れがドッと……

 

 「まぁ……なんだ。取り合えず続きは中でしよう。玄関で立ち話する必要も無いからな」

 「ああ、それでは……お邪魔します」

 

 俺は何か厳しそうな雰囲気を出す寺子屋の中に少し遠慮気味に入って行った___

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……成る程、あの後は何とか辿り着けたのか」

 「辿り着く途中、霊夢に攻撃されるわで大変でしたとも」

 「それは災難だったな」

 

 俺は苦笑いを浮かべながらお茶を飲んで喉を潤す。霊夢との戦いは結構恐ろしかったのであんまり笑い話にはならない。妖怪の身にとって、霊夢の札は運の良ければ重症、悪くて消滅ぐらいに凄まじい物なのだ。……神化してたとは言え、良く怪我なしで済んだな自分。

 

 「……ふぅ、それで聞きそびれたが此処に来た理由は何だ?」

 「え? ああ、そうだ言い忘れてた。暇だったから顔を出しに行こうと思ってさ」

 「ふむ……暫くは特に用事は無いのか?」

 「特に無いですよ」

 

 そう答えると慧音は小さな紙の束を取り出して見る。ペラ、ペラ、ペラ、と一通り目を通すとその紙を仕舞い込む。

 

 「それなら、この後授業が始まるんだが……一緒にやってくれないか? 外での授業以外は補助としてやって欲しいのだが……」

 「それじゃあ、喜んで」

 

 少し遠慮気味に頼んでくる慧音に対し、俺はお茶を喉に流し込んでから躊躇い一つ無く受け入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「___さて、挨拶も終わった事だし今日は皆に伝えたい事がある。本日は特別に八雲 緑が来てくださった。何かわからない所があったら聞くように」

 

 『はーい!』

 

 慧音が寺子屋の生徒達の前でそう言うと全員声を揃えて元気良く言った。

 

 ああ……何だろう。凄い懐かしいって言うのか。この光景を見ると小学生の頃を思い出すなぁ……

 

 「それでは、緑さんからも何か言う事はありませんか?」

 「……あ、はい。……ええっと、覚えてる人はお久しぶり、今回の外の活動を担当している緑です。今日はよろしくお願いします___」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後はすぐに授業に入った。今日の科目は歴史。今日のやる範囲は大体平安辺りだった。

 

 ……授業に使う本を先程少し覗いてみたが、ページの最初の方は縄文時代とかそんな物ではなく、完全に古事記の一部分だった。確かに幻想郷では神様は居る、と言うか俺がそうだ。つまり古事記の内容はノンフィクションな訳であり、これはれっきとした歴史の一部分なのだ。

 

 ……と、幻想郷の常識を何とか受け入れていると慧音が咳払いをして注目を集める。すっかり慧音は教師のモードに入っており、先程の様なイメージよりも厳しく、礼儀正しく固い様な印象を与えていた。

 

 「えーっと、まずは51ページだな。まずは軽い頭の体操といこうか。それじゃあ、平安時代に摂関政治を行って政権を握っていた人物の名前、分かるか?」

 

 すると数ヵ所から手が挙がる。基本的に手を挙げているのは女の子で男の子は二人、それ以外の男の子は考えてる子から上の空だったり寝ていたりする子ばかりだった。ああ、これもなんか懐かしい……

 

 「それじゃあ、答えて貰うか」

 

 慧音はそう言うと一番前の席で手を挙げていた女の子を指さす。女の子は少し不安そうに立ち上がる。

 

 「えっと……藤原道長です」

 「はい、正解だ」

 

 慧音が笑顔でそう言うと女の子は安心した表情で席に座る。座ると同時に慧音は黒板に白いチョークでカツカツと字を書いていく。……ちょっと慧音さん、筆達過ぎて一部読めません。

 

 「えー、まず藤原道長がどの様にして政権を握ったかと言うと、藤原氏には五人の娘が居てな。その中の四人を他の天皇のきさきにして政権を握り続けたと言う___何か質問は?」

 

 どうやら、授業では説明する度に質問出来る様にしている様だ。確かにこれだとわからない所が出来にくくなり、授業が理解しやすいのだろう。

 

 「……無いようだな、それでは___」

 「えっと、あの慧音さん?」

 「……ん? どうかしたのか?」

 

 つい、俺は手を挙げて尋ねた。少し俺の知っている部分と違う点があったのだ。

 

 「えっと……俺が教えられたのは確か、『彰子』、『妍子』、『威子』、『嬉子』の四人だったんですが……五人居たんですか?」

 

 自分で言うのもアレだが、理科と社会ではかなり良い成績だったのでこの手の事も覚えている。確か授業の資料だと四人であった筈である。

 

 「……ああ、そうか。そうだな」

 

 慧音は本を閉じて答えた。

 

 「……この本はな、実は私が少し無理言って変えてもらったんだ。今、緑が言った様に外の世界では四人と言われている。それは五人目の存在を誰も知らなかったからだ」

 

 慧音はチョークを取って黒板に筆達な字で書き始めた。……ああ、ちょっと見にくい。

 

 「彼女は表には出されない様にされていたんだ。そいつの名前は『妹紅』、今もこの近くに居る」

 「えっ。確か……1200年前の人ですよね? もしかして神に?」

 「いや……そうだな。この話は後でにしよう。さあ皆、授業に戻るぞ。それじゃあ、この時代の名前を___」

 

 一瞬、授業に戻る時に慧音の顔が暗くなったのを見て俺は無遠慮過ぎた、と思った。後で慧音になんと言おうか自然と考え込んでしまう。

 

 『ねーねー、よーく』

 「……ん? どうかしたのか?」

 『あの字、何て読むの?』

 

 反省も含めて色々考えていると、俺の立っている場所に近い男の子が袖を引っ張って尋ねてきた。……あの少し筆達な部分の事だろう。

 

 「あれは……『を』だな」

 『へぇ、ありがとう!』

 『ねえねえ、私も聞きたい所が……』

 『おれも! あそこって何?』

 

 

 

 ……どうやら、後でどうするか考え込んでいる暇は無さそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「___はい、それでは外での授業になるから、皆準備する様に!」

 

 『はーい!』

 

 子供たちの質問攻めに何とか戦い抜き、俺は満身創意になってフラフラと外に出た。これでもか、と言う程に言語中枢と自分の視力と想像力をフルに活用した。

 

 「はぁ……。疲れたし、慧音には悪い事したかもしれないし、疲れたし……あれれ、今二回同じ事言ったか?」

 

 寺子屋の建物に寄り掛かって地面に座った。喉が使いすぎてカラカラだ。

 

 「……そうだ、こんな時にこそ水の魔法を__「はい、これ」_ん?」

 

 俺が指を上げて魔法を使おうとした時、視界に水の入った木製の器が入り込んだ。

 

 「……ああ、ありがとう」

 

 両手で持たれた器を片手で受け取って飲む。水は冷たくスッキリとしていて、少し飲むと喉が更にその水を欲した。

 

 そろそろ水が少なくなってきて、顔を上げて残りの水を飲もうとし___

 

 「よーく、こんにちは!」

 「___!? ぶはっ!? ゲホッ! ゴハッ!?」

 

 ___壮大にむせた。

 

 「お、おままおまおまま!? 何故何ゆえ此処でどうしてどうやって___ゲホッ! ゲホッ!」

 「よーく、焦りすぎ……」

 

 焦りすぎてまだ気管に入っていた水にもう一度むせる事になった。そう、目の前に居るのは今は天照に手を加えられた治金丸を渡したり、コロの持っている弓に手を加えたあの少女だった。

 

 「はー、はー、やっと落ち着いた……で、なんでここにお前が?」

 「え? だってほら、約束したからだよ」

 

 ……そう言えばそんな約束していましたな。火事場だったから印象薄かったけど確かにしていた。

 

 「……じゃあ、ここで皆と紛れて遊ぶと?」

 「ん? 違うよ」

 

 じゃあ、何するんだよ。と聞こうとする前にその少女が耳元で呟いた。

 

 『___藤原妹紅。私、居る場所知ってるよ?』

 

 

 「……へ?」

 

 俺がその少女の言った言葉を認識して固まっている中、少女はクスス、と笑うと、

 

 「ほら、付いてきて!」

 

 と、言って寺子屋から素早く飛び出し、人里の外___迷いの竹林の方向に駆け抜けて行った。

 

 「なっ!? おい! どこに行くんだ!?」

 

 「ん? どうかしたか、緑」

 

 背後から子供たちに囲まれながら慧音が此方に来た。しかし、俺は寺子屋の中だろうが構わず銃を取り出す。

 

 「慧音さん済みません! しばらくの間、子供たちの相手を出来ません!」

 「は? それはどういう……なっ!? 緑! 何処に行くんだ!?」

 

 俺は少女を追うように寺子屋から素早く飛び出し、『頼みました』と言葉を残して迷いの竹林に向かって行った___

 

 





 久々にあの子を登場させました。ラストに入る前はこの子とある人の話になりそうです。

 あと、最初から紅霧異変編の幾つかの話を推敲しました。まだまだ先は長いですが何とか必要な部分を全部やりたいです。達成はいつ頃か。

 それでは、次回もお楽しみに。
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