東方の幻想日記 ~人間妖狐迷走記~   作:0%0%0%

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 やっと投稿。栄養ドリンク飲んだせいか、色々考えているうちに徐々に良い方向に脱線した感じです。前回もでしたが。

 それでは、どーぞ!


~四十六頁目(竹林~自宅)~

 「___何処行った……? あ、そうだ! コロ、道案内を頼む!」

 「……む。りょーかい」

 

 少女の跡を追いに竹林の中に入って数分後、俺は陰陽玉に霊力を込めながら腐葉土の上を走り抜けている。

 

 上の方は竹の葉があるので周りを見渡すには飛ばない方が良い。だが、走ると体力を使う。オマケに、

 

 「だーっ! また三匹もよくわからん妖怪がっ!」

 「りょく、しょうめん、いく」

 「なぁ!? 二匹は羽生えた虫の妖怪だし一匹は山みたいにどでかいのに!?」

 

 そう、こんな感じに変な妖怪が普通に歩いているのだ。虫から動物。遂には名状しがたい形状の妖怪まで居た。

 

 「くっ! だったら、やってやる!」

 

 銃を片手で前方に構え、もう一つの腕で刀に神力を注ぎ込む。

 

 スピードを落とさず真っ直ぐ山の様な妖怪に向かって走ると二匹の虫の妖怪が飛んで来る。

 

 「動き回る奴なら___どうだっ!」

 

 向かって来ながらも動き回る虫に銃の標準を合わせ、トリガーを引くと大量の砂利の様な粒が銃口から弾け飛ぶ。

 

 『___ギャ!?』

 

 散弾に当たって虫の妖怪が地面に落ちた時、隣から矢が胸に突き刺さったもう一匹の虫の妖怪が短い悲鳴を上げた。コロが射った様だ。

 

 虫を二匹落とし、真っ直ぐ山の様な妖怪に向かって走りながら刀を抜き取る。

 

 「___霊剣『瀬登り』!」

 

 

 刀を下から上に振り上げると斬撃が地面すれすれに飛んで行き、その妖怪に当たる。

 

 『ギャア!?』

 

 当たった直後、斬撃は真上に飛び上がり、その妖怪は縦に斬られて崩れ落ちるが、死んではいない様だ。

 

 「あー、何だ。ちょっとすまんな」

 「うえ、とおる。ごめんなさい」

 

 少し罪悪感を感じながら妖怪の上を踏んで通る。一応、謝罪の言葉を残して行く。

 

 「次はどっちだ! まだ真っ直ぐか!?」

 「つぎ……ここを、みぎ」

  「うおぉぉお! ちくしょおぉぉおう! また妖怪に直撃コースだあぁぁあ!?」

 「りょく、ふぁーいとー」

 「凄い昔のカーナビだったらここまで酷くないし、むしろ間違えたら戻れと言ってくれるだけあっちの方が優しいから!」

 「あいの、むち?」

 「どっからそんな酷い言葉覚えてきた! と言うか、そんな愛はノーサンキューだっ!」

 

 そう叫びながら走り抜けて妖怪を撃ち、斬り、射り、蹴りとバリエーション豊かな方法で(文字通り)蹴散らして行った。と言うか、コロはわざとこんな過激な方向案内をしているのだろうか。もう既に何処かのゲームだとレベルが上がってファンファレーが鳴る程蹴散らしてる気がする。

 

 「ぜぇ、はぁ……もう……しんどい……」

 

 疲労が限界まで達し、俺はその場で崩れ落ちた。空気が乾いてるせいで喉が乾いて痛い。

 

 「ん、あきらめたら、しあいしゅうりょう」

 「だったら……飛ばずに走ってみろ……お前の案内したルートをな……」

 「……だが断る」

 「あれ? なんか台詞のアクセントが妙に漢字っぽかったんだが……?」

 

 そんな変な漫才を広げているとコロが突然、明後日の方向を見た。俺もつられてその方向を見る。

 

 「……よーくー! ここだよー!」

 

 マラソンの如く走っていた為、思考が鈍くなっているが徐々に手を振っている存在を認識する。

 

 「……ああ! やっと見つけた!?」

 

 俺はヘロヘロな足を動かして時間を掛けてやっと少女の元に行く。

 

 「ほらほら! ここに居るよ! ここ!」

 「居るって……その藤原さんが?」

 

 ピョンピョンと跳び跳ねながら言う少女を落ち着かせる様にしようとしたが、そのまま少女は木の葉で生い茂った中に飛び込んで行った。俺も見失わない様に続いて入る。

 

 「……おお?」

 

 葉を押し退けて進むと、そこには僅かに拓けた空間があった。真ん中に生えている数本の小さな竹が上を葉で覆い、その竹の周りを低木が覆っているので自然の秘密基地の様な場所になっていた。

 

 ここなら人一人が十分に住めそうだ。

 

 「ほら! よーく、この人! この人だよ!」

 

 周りを確認していると、少女は何やら寝ている人の顔を指で突きながらそう言ってきた。

 

 

 ……訂正、人が住んでいました。

 

 

 「……ん? 誰だ……?」

 

 その寝ている人は目を擦りながら呟く。突然起きるとは思わなかったので俺は思わず驚いて跳び跳ねた。

 

 「ほら、もこー、おーきーてー」

 「痛っ、ちょっと、わかった! 起きる、起きるから!」

 

 遂には頬をリズムよく叩き始めた少女に降参したその人は体を起き上がらせる。

 

 「ふぁ……ん、おい。そいつは誰だ?」

 「そいつ……? ほら、よーくだよ、よーく」

 「よーく……? ああ、お前が言ってた妖怪か!」

 「そうそう!」

 

 「……いや、何か蚊帳の外にされているんけど」

 

 俺が小さく手を挙げて指摘するとその寝ていた女性は「おっと、すまんすまん」と応えた。

 

 「紹介が遅れた、私は藤原妹紅だ」

 「! 俺は八雲緑だ」

 

 少女が言った通り、本当に本人だ。本当に『藤原』の人だ。

 

 ……歴史に触れている事に謎の感動を覚えた。

 

 「八雲? もしかして、あのスキマ妖怪の式か何かか?」

 「いやいや、家族として見てもらっているだけだよ。そっちこそ、仙人か神にでもなったのか?」

 「むー、今度は私を無視してぇ……」

 

 俺の横からそんな声が聞こえて振り向くと、少女が不機嫌そうに頬を膨らましてそんな事を言っていた。

 

 「神か仙人……か。そんな存在だったらもうちょい気楽だったかもね。同族も沢山いると思うし」

 「……つまり、違うと?」

 「ああ、そういう事だが___」

 「もーっ! ふたりとも!」

 

 ポスポス、と俺の和服を叩く少女を見て妹紅に目線を送る。そして妹紅が頷くのを見て俺も頷く。

 

 ……無言の会話で、取り合えず移動しよう。と言うことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「___妖怪から神に出世ねぇ、そう簡単になれるものなのか?」

 「うーん……それが謎なんだよな。『気がついたら神になってた』……なんて気楽に言えるもんじゃないけど、まさにその通りなんだよな……」

 「ふーたーりーとーもー! 着いたよ!」

 

 余所見をしながら会話していたからだろうか? いつの間にか寺子屋の門に着いていた。ついでに嫌な事も思い出した。

 

 「……寺子屋の手伝い、お願いされてたのに途中で投げ捨ててたけど大丈夫か……?」

 「慧音が怒ると怖いんだよ? もう、頭に角生やして『がおーっ!』ってやってくるから……大丈夫だといいね」

 「……思ったより、一致してるな」

 「りょく、いきてかえってくる、なの」

 

 「ちょっと待てお前ら、俺が怒られる前提か」

 

 そんな事言っていても始まらない。俺たち(特に俺)は寺子屋の玄関の前に歩く。寺子屋の中に騒がしさは無い。もう授業が終わったのだろうか。

 

 「……よし、大丈夫だ、精神を整えろ自分。ただ腕を伸ばして戸を二回叩くだけの簡単な作業じゃないか何をそこまで震えてるんだ痙攣を使った連打をする必要は無いんだよ俺」

 「な、なぁ。私がやろうか? 結果は変わらないだろうが」

 

 玄関の前に立って戸を叩こうとしているのだが、不思議な事に磁石が反発する様に手が戸に近付かない。ああ、この感覚が緊張と恐怖なのか。わかりたくなかった。

 

 「……お願い、します」

 「ああ、わかった」

 

 結局俺は諦めて後ろに下がる。妹紅が玄関に立つ……が、

 

 「___誰だ?」

 「「うわぁ!? でっ、出たぁ!?」」

 

 玄関を開けて出てきた慧音を見て、俺と妹紅の声が綺麗に重なった。慧音はそんな俺らを呆れた様に突っ込むだろう……しかし、予想外の反応をした。

 

 「……妹紅?」

 「よ、よう? ……悪い、色々あって来れなかった」

 

 慧音は半信半疑の状態だったが、一歩踏み出すと一気に駆け寄って妹紅に抱き付く。慧音がそんな事をするとは思わなかったので俺はまた驚かされた。

 

 「お前はまた私を心配させて!」

 「ご、ごめん。中々来れなくなっちゃって」

 「私は昔から言ってるだろう! くっ……ぅ……」

 

 慧音が妹紅の肩に顔を隠しながら大声でそう言うと、今度はまるで泣いているかの様な声を小さく出した。

 

 「……よーく。私、帰るね」

 「え? あ、そうか。でも良いのか? 結局遊んでなかったし」

 「……ううん、私は楽しかったからいいよ。それじゃあ、また何時か遊んでね」

 「おう。それじゃ、またな」

 

 この場の空気を読んだのだろうか。少女はそう小声で俺に告げると門の方に歩いて行き、門を通りすぎる直前にフッ、と消えた。妖怪だとすっかり忘れてた。

 

 「りょく、わたしたち、かえるほうが、いい」

 「……そうだな。それじゃあ、さようなら」

 

 俺は小声で泣いている慧音と妹紅に言い、帰る時に能力を使って時を止めてその場を去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……りょく、ひときた」

 「……ん? ちょっと待て、もう少しで書き終わる」

 

 日記に万年筆を走らせて書き終わると同時に家の屋根から何かが降りてきた。

 

 「……よう、こんな夜中にだがお邪魔させてもらうよ」

 

 上から降りてきたのは見覚えのある姿、妹紅だった。

 

 「何しに来たんだ?」

 「ん? ああ、ちょっとした話だよ」

 

 俺が縁側に近付くと妹紅は縁側に座った。

 

 「……慧音との件についてだけど。慧音は変な所を見せてしまって済まん、だとさ。やっぱり堅苦しいよなぁ」

 「何で慧音は妹紅さんを心配していたんだ?」

 

 遂には妹紅は縁側に寝転び始める。俺も立っているのはアレなので、その場で胡座をかいた。

 

 「最近、月の異変が起きたじゃん? あの後に一回も慧音に会ってなかったからね。私は死なないのに心配性だねぇ」

 「……『死なない』?」

 

 妹紅の言った言葉の中に気になる事が混じっていた。俺がオウム返しすると妹紅は大きく欠伸をする。

 

 「……ふぅ。で、私はね。ちょっとした事で死ねなくなっちゃったんだよ。仮に、あんたがその銃で私を吹き飛ばそうが、その刀で切り捨てようが私は死ねない」

 「……いや、この小説にそんなグロさは無いから。絶対にそんな事無いから」

 

 しかし、『死ねない』。それはどういう意味なのだろうか。

 

 少なくとも、妹紅の様子からして俺にはそれが喜ばしい事には思えなかった。

 

 「……で、話を変えるけど。あんた、本当は人間だったって?」

 「……ああ。そうだが、それは何処で聞いた?」

 「済まん。それだけは内緒にしてくれと言われちゃったからな」

 

 突然の話題に少し動揺したが、冷静さを保って尋ねる。しかし、結局わからなかった。

 

 「……私も、ね。昔は輝夜の復讐にひたすら頑張ってたんだよね。でも、人間を止めてからはひたすら逃げては隠れる。それの繰り返しだったよ」

 

 「……」

 

 「……孤独だった。でも孤独じゃなければならない。人と一緒に居れば間違い無くそいつは何年経とうが変わらない私の目の前で死ぬ。もしかしたら野垂れ死ぬかもしれない……でも、今はアイツが居る。殺せない殺し合の仲だがな、ハハッ……」

 

 「……随分とその人とはバイオレンスな仲だな」

 

 「……外には人間を止めたがる人が多く居ると聞いたが、そんなの愚者の考えさ。人間が人間を止めるのはただ、自分を失うだけしかないなのさ」

 

 「……」

 

 重く、説得力のある妹紅の言葉を無言で聞いていると、妹紅は此方を向いてきた。

 

 「……あんたは、絶対に私みたいになるな。神も妖怪も不死も、人間と比べたら異様なのは同じなんだから」

 

 「……肝に刻んでおく」

 

 そう答えると妹紅はスッ、と起き上がった。

 

 「……ふー、これが“先輩”からの失敗談さ。私も話したらすっきりしたよ」

 「……俺も、自分の考えに自信がついた気がするよ。それじゃあ、おやすみ」

 

 俺がそう言うと妹紅は無言で背中を向けて片手を挙げながら去っていった___

 

 






 もこーさんを出せました。個人的にはこういう立場のキャラが出せて嬉しかったりします(強引な例では天魔さん)。

 これで日常編の一つ目の目標は達成出来ました。オリ展開の日常はあと一つだけになりました。今年中にこの作品は終わら___ないなこれ。

 それでは、次回をお楽しみに。
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