東方の幻想日記 ~人間妖狐迷走記~   作:0%0%0%

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 区切りが悪いので後書きにも小説が続いています。後々修正予定ですが、どうかお許しくださいっ!


 それでは、ラスト直前の小話編のラスト、どーぞ!





~四十九頁目(博麗神社)~

 「……よし、コロは魔法の森とか迷いの竹林に行ってくれ。俺はまず博麗神社で色々と聞いてくる」

 「あいあい、いってくる」

 

 俺はコロを遣わして自分の準備をする。今日はちょっと大忙しなのだ。

 

 「さーて、と。いっちょ頑張りますかい」

 

 縁側から草履を履いて外に出て空を見上げる。心地が良い程に空色が広がっている。

 

 

 今日のイベントには持ってこいな天候だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……さて霊夢。お願いがある」

 「さての部分が気になるけど、話の大体は紫から聞いてるわ。あんた、随分と大きな事しようとするじゃない」

 

 神社に行って早速霊夢にある事を頼もうとするとそんな事を言われた。紫が何を伝えたかよくわからないが手間が省けた。

 

 「……で、あんたの考えは素晴らしいわ。平和的だし、上手く事が運べれば一石二鳥。それに人間を助けた、なんて良い噂が広まれば神社も良くなるでしょうね。

 ……境内が台風に合ったかの様に散らかる点に目を瞑ればね」

 「あと、神社の印象の件だが、妖怪神社の悪い噂も広がると思うぞ? これなんて矛盾?」

 

 はぁ……と、霊夢は肩を落とすが今回は頑張って頂かないといけない。

 

 今回やろうとしてる事は、神社でちょっとした宴会でも開いてしまおうと言う所だ。

 

 それが何の解決になるのかと言うと……まあ、そこはちょっと、な?

 

 

 「……わかった、今回は許可するわ。それにしても私の知らない所でやってたら今回やろうとしてる事は事件として扱ってると思うわよ? 何でもない日に妖怪があちこちから集まって来るだなんて大異変の前触れに等しいのよ」

 

 そう言って大きな欠伸。やる気が明らかに無いのだが許可を下ろしてくれたので感謝はできても文句は言えない。畜生め。

 

 「……それじゃあ霊夢。ここら辺で宴会に来そうな妖怪とか居るか?」

 「うーん、思い付くのは守矢の連中とか、天狗や鬼とか。あとは太陽の畑……」

 「太陽の畑?」

 

 ふと、聞きなれてない単語が聞こえて聞き返す。すると霊夢は顔を少ししかめた。

 

 「あー、あいつは止めた方が良いんじゃ無いかしら? まあ、思い当たるのはこの辺りだわ。あと、太陽の畑に行くんだったら覚悟しておきなさいよ?」

 

 霊夢はそう言って踵を返して掃除しに境内を移動した。宴会のスペースを掃きに行ったのだろう。ああ見えて霊夢は結構親切だったりする。

 

 「……そーいや、紫も変に釘を打ってたっけ。向日葵に近付くなって」

 

 かなり最初の頃、この和服を着る様になった直後の話だ。向日葵の咲く場所の妖怪に近付くな、と。恐らくその太陽の畑の事ではないのだろうか。

 

 「……なんか興味沸いてきた。行ってみるか」

 

 危険だと言うなら長居せずに逃げる。一応、そこの妖怪に声をかけれれば良いのだが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……うお、何かまだ春なのに彼処だけ青々としてる」

 

 空を飛んでその太陽の畑のある方角を飛んでみると、まだ植物はあまり咲いてないと言うのにその方向に青々とした場所が見付かった。まだ春だし花は開いていない様だが、それでも植物が1mほど伸びてるだけでも充分成長が早いだろこれ。

 

 「……よっ、と。降りてみると少し花開いてるのもあるな」

 

 僅かに黄色を見せる花もあれば半分ほど開いてる花もある。一体どんな活力剤を使ったのか。

 

 

 

 

 「……あら、やっぱりね」

 

 「___っ!」

 

 ゾクッ、と寒気が走って後方を見ると緑色の髪をした赤いチェックの柄をした女性が日傘を差して歩いていた。しかし、殺気の様な物を感じて皮膚が蝕まれる様に痛い。

 

 「周りから浮いている変わった存在には必ず目が自然といってしまう。貴方もそうなんでしょ?」

 「まあ、興味単位だがな」

 「いえ、貴方が興味を持って見るんじゃないの。この子達が興味を持っているの」

 「この子……? ああ、紫と言い、分かりにくい言い回しだな」

 

 辺りを見渡すと向日葵が此方を向いている事に気付く。ちょっとホラー。

 

 「……おおう? 動くとこいつも動くぞ?」

 「それは貴方がそこまで周りから浮いていておかしな存在なんでしょう。人の目は誤魔化せてもこの子達の目は誤魔化せないのよ」

 

 ううん、何やら意味深な事を言ってるが思ったより面白いぞこれ。右へ行くと右を向き、左を向くと左を向く。

 

 じゃあ、360°回転は___

 

 

 「___痛っ!」

 「……あんまりふざけた事やってると、私の興味が無くなって消してしまうかもしれないわね」

 「……この子達は首を回すほど興味津々ですけどね」

 

 俺は女性の日傘をこめかみに当てられて動きを止める。このまま横から脳をプッスリ、だなんて洒落にならんので黙る。確かに危険な相手だったなこれ。でも宴会に呼べばミッションクリアだ。仮に相手の機嫌を損ねさせて仲が悪くても宴会にはそういった物は持ち込み不可だから安心できる。

 

 ……いや、安心? どちらかと言うと襲われる心配がないの方が正しいか。

 

 「……えっと、まず言いたい事があるのですが」

 「へぇ? 名も名乗らず用件を言って帰れるなんて随分と良い身分ね?」

 「ああ、ファーストフード店だと目を合わせるだけで店員が『何時ものですよね?』って言ってくれる様な身分___ああ、わかった。名乗る名乗る」

 

 痛くないけど、傘を握り締める力が明らかに強まってるので速やかに従う。触らぬ神に祟りなしだ。

 

 ……あれ、神って俺なんですけど。

 

 

 「俺は……八雲 緑。狐をやってる」

 「……風見幽香よ。それで、用件は?」

 「……博麗神社で宴会。

 呼びに来た。

 襲われた。

 深夜に小説書くの眠くて辛い」

 「……言いたい事はその三行で良いのね?」

 

 四つ目の(作者の)本心をスルーされながらも俺は頷く。やっと傘が頭から放れたのでホッとする。

 

 「……じゃあ、貴方への興味は無いわ」

 

 

 ……。

 

 

 ……What?

 

 

 

 「……」

 

 横を見てみると幽香が傘を両手で持って俺に背中を向けて下がる。そして傘を片手でクルリ、と回しながらこちらを向く。それと一緒に傘の先も向けられる。

 

 「……えっと、あー。うん___逃げるっ!」

 

 俺は背中を向けて全力でダッシュする。……っ!? か、肩にレーザーがっ!?

 

 「……こんなのにやるのはアレだけど、一気にやるかしら」

 

 幽華はそうボソリと呟いて傘を此方に向けると光と熱が傘の先にボールの様に溜まり始める。大体バスケットボールぐらい。いや、バスケットボールぐらいとか呑気な事言ってるけど絶対嫌な予感が的中しそうだこれ!?

 

 「___消し飛びなさいっ……!」

 

 

 そう言って傘から何処かで見た事あるレーザーの如く光が押し寄せてきた。

 ……ああ、そうか! 魔理沙の技にそっくりだ! とか言ってる場合じゃなくてっ!?

 こんなに太いと刀で切れないし、相殺は不可能。何か……何か無いか……!

 

 「っ! ……正しい使い方じゃないが、しかたない。これで頼むっ___!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「___……た、ただいま」

 

 「___ブッ!? な、りょ、緑!?」

 

 片手に紫から貰っていた扇子を掴んだまま偶然その場に居た藍に空いている手を挙げて返事をする。レーザーが直撃する直前、扇子のスキマを開いて避難したのだ。本来は八雲家に何時でも来れる様にする為の道具だったのだが、我ながらこんな使い方もあったのか。

 

 「り、緑。なんか肩とか尻尾とか焦げているんだが……何かあったのか?」

 「いや、まあ、うん。向日葵コワイ」

 「は、はぁ……?」

 

 久しぶりに来たと思ったらこんな訳のわからない事を言われたと思われる藍は頭に『?』を浮かべていたが、こちらはまだやる事がある。名残惜しいが今は去る事にしよう。

 

 「藍すまん、悪いけど今は忙しいからもう一回行ってくる!」

 「あ、ちょ!? 緑!?」

 「___あ! そうだ! 藍、すまんが博麗神社で宴会開く! 偶然で良いから誰かに会ったら呼び掛けてくれ!」

 「えっ___り、緑!?」

 

 俺はそう言い残すともう一度作ったスキマから飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……あら、まだ生きてたの?」

 「その言葉から殺す前提の攻撃だと分かりましたよっ!」

 

 右足を後ろに下げるとそこに弾幕。まるで容赦していない。

 

 「___ぐっ! ヤバイヤバイ、まさかの最初のフラグを丁寧に回収をしてしまいそう……っ!」

 

 さっきから熱を持ったレーザーが幽香の傘から出てきて怖い。熱を持ちすぎて白熱してる。そして向日葵に当てない程の命中精度……って、命中精度高いのに当たらないって、俺って遊ばれてるん?

 

 「___いや! 遊ばれていようが襲われてるったら襲われてる! ……っ! コロ! 射れ!」

 

 俺は走りながら大きめの声でそう言う。

 

 ……

 

 

 …………

 

 

 ………………あれぇ?

 

 

 「……あれ、居ない? 何故? 陰陽玉もないし、一体何処にアルカディ……あ”っ」

 

 

 ……やべぇ。

 

 

 「……そーでした、思いっきり迷いの竹林方面へ行くように指示してました……」

 

 ……こうなるとは考えてなかったからどうしよう。ヤバイぞこれ。

 

 「……貴方」

 

 レーザーを放つ恐ろしい傘を幽香はゆっくりと下ろしてポツリと言う。

 

 「……もしかして、馬鹿?」

 「一番心に突き刺さる言葉っ!」

 

 遠慮の『慮』の字すらない一言に思わず崩れ落ちてしまう。そして未だに俺を見る向日葵……何かむなしくなった。

 

 「あら、もうおしまい?」

 「心のダメージが急所に当たって効果が抜群ですよはい……」

 

 幽香は溜め息をつきながらそう言い傘を完全に下ろした。俺も息を吸って吐いてから続ける。

 

 「……だけど、逃げるのは止めません」

 「___っ!?」

 

 

 俺は和服の右手の袖から銃を落とし、それを片手で掴む。そして銃から閃光弾を放つ。大図書館すら大きく照らす事が出来る光が一気に広がり、その隙に逃走して空に飛ぶ。

 

 「……兎に角! 宴会開くので宜しくお願いしまーす!」

 

 俺はそう大声で言ってから自己最速のスピードで逃走した。背中からレーザーで撃ち抜かれる事もなく、何とか逃げ切れた。

 

 

 ……さて、もう家に帰りたくて仕方ないけど、あともう少し辺りを回りますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ___夜の博麗神社。

 

 

 境内は呼び掛けの結果、妖怪らで溢れかえっていてワイワイガヤガヤと大変騒がしい環境になっていた。よく会うメンバーは全員。意外にももしかしたら来ないかも、と思っていた幽華をさっき見かけた。

 

 

 そんな騒がしい中、お賽銭箱の前で霊夢の隣に俺は座っていた。

 

 「はぁ、許可した事を取り消したくなるわ……」

 「いや、流石に今更は無理だろ」

 「……試してみる?」

 「あ、いえ。札を構えて言わないで下さいホント」

 

 そう言った霊夢に対して俺はそうお願いする。霊夢だと本当にやりかねない。と言うか妖怪が境内で屋台を開きまくった年越しの時にやっていた。あの時の三月精達はとんだ災難だっただろう。二度とあの悲劇を繰り返してはならない。

 

 「あの……」

 「ん?」

 

 横から話しかけられて振り返るとそこには菜奈がちょこんと座っていた。

 

 「おう、こんな妖怪だらけだけど大丈夫か?」

 「はい。何時も妖怪に襲われそうになっていたので少し慣れちゃってます。ただ___」

 

 そう言って菜奈は目線をある方向へ向ける。俺と霊夢もそちらを見る。

 

 

 『ほらほら、よく飲んでよく騒げ! 人間!』

 『これっぽっちでくたばっちゃ駄目だよー?』

 『『一気! 一気!』』

 『___』

 

 目線の先を見ると鬼やら妖怪達に囲まれて酒を飲まされている例の男が居た。目が死んでるけど、生きているのだろうか?

 

 




 「……あんた、わりと鬼な事するわねぇ……」

 ふふん、と腕を組ながら俺は霊夢にドヤ顔を返した。

 今回やった事、それは簡単に言うと『押して駄目なら押しまくれ』だ。飲んだくれで酒を飲ませろ飲ませろと言うんだったら寧ろ、溺れる勢いで飲ませてしまえばいい。それこそ嫌と言うほどに、だ。

 「……人間は極端を嫌う、か。まあこれでアイツは酒を見るだけで震え上がる様になるが、菜奈は独り立ちしたいんだったよな? それの件はまだ考えれてないが___」

 そう言いかけた時、菜奈は突如立ち上がる。突然の事なのでこちらが驚いた。

 「あ、あのっ! その件なんですがっ!」












 「……? どうするって?」

 神社で人気のない所に連れて行かれて俺は首をかしげて菜奈にそう尋ねる。すると、菜奈は草むらに手招きをする。

 ___ガサ、と音を立てて何かが出てきて俺は目を疑う。

 「……よーく、お久しぶり」
 「なっ、あっ……お前は寺子屋の時の……!」

 そう、目の前にはその少女が居るのだ。俺は口で聞く代わりに目線を送ると菜奈はにっこりと笑う。

 「私、この子と一緒に暮らす事にしたんです」
 「……え?」

 突然のそんな発言に俺は疑問のあまりに硬直した。鳩に豆鉄砲、と言うよりは鳩に豆機関銃な状態だ。

 「よーく、私って妖怪なの。座敷わらしって名前なの」
 「座敷わらし……幸運の?」
 「はい。ここに来る前にこの子に会って、仲良くなって何時か独り暮らしするって話したら一緒に住むって」
 「……そうですか。良かったですね」
 「はい! どれもこれも、緑さんのお陰です! ___ありがとうございます、神様っ!」

 そう言って菜奈の顔が近付いたと思うと頬に柔らかい圧迫を感じた。

 ……

 …………

 ………………え?


 菜奈達が『ちょっと失礼します』と言って立ち去った後も俺は頬に手を当てて硬直していた。




















 「……ずいぶんと遅かったわね」

 色々と立ち直って戻ってくると霊夢にそう言われた。

 「色々あって立ち直るのに時間がかかった」
 「ふーん……」
 「……なんか、機嫌悪そうだな」
 「別に?」

 ……いや、悪いだろ。とか考えていると突如頭に危険信号がピン! と走った。咄嗟に伏せると上に風を切る音が通りすぎた。

 「……ちっ、仕留め損ねたわ」
 「ちょ___絶対今殺そうとした!?」
 「げっ、幽華」
 「はい、お久しぶりね霊夢」

 そこには昼間と同じ格好をした幽華が居た。先程スイングしたと思われる傘を持っていて怖い。

 「幽華。境内で殺人はするんじゃないわよ」
 「だって、ね? あの狐の耳、尻尾。見てるとぶっ飛ばしたくなるのよ」
 「「言い訳になってない!」」

 見事に霊夢と突っ込みが被った。それでも俺の耳と尻尾を見て傘を握りしめているのを見て思わず俺は立ち上がる。

 「ち、ちょっと俺、宴会をちょっと仕切ってくる」
 「ん、いってら」
 「ええ、いってらっしゃい」

 意外にも霊夢だけでなく幽華からも許可をもらって俺は集まった妖怪達の前に立ち、辺りを見渡して菜奈達を見つけて手招いた。

 菜奈達を呼び出して俺は大きく声を出す。

 「……えーっと。これから二人は力を合わせて暮らしていくとの事です! 皆さん、どうかお祝いと今後を願っての拍手をお願いします!」

 俺がそう言うと妖怪達は一斉に拍手を始めて境内が油で揚げる様な音で満たされた。ほとんどはたぶん、盛り上がるからやっているのだろうが俺は気にせず続けた。


 「……それでは! この二人の幸せを願って……乾杯!」











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 眠い……恐らく誤字があると思われます。お許しください。

 今回、区切りが悪くて後書きに入ってしまいましたが、これで小話、参拝客編は終わりです。色々あって急ぎ足になりましたが、後々手を加える予定です。ついでにその時移し変えれればなぁ……


 それでは、次回。幻想日記最後のストーリーです。どうかお楽しみに!
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