お待たせしましたァ! 受験も終わって更新復活です!
それでは、どーぞ!
___あっはは! こら、止めてっははっ! くすぐったいから!
「……また同じ、と言う訳じゃないな」
また気が付くと、俺の周りは青草の広がる公園の草原になっていた。もう見慣れてしまう程に何度も見た夢の景色だ。
前回は謎の女性が居たのだが、今回は違う。目の前には一人の少年と、一匹の狐。
「……前にも見たが、これが小さい頃の自分か」
目の前で狐とじゃれる様に遊ぶ少年___昔の自分を見て俺は息をふぅ、と吐き出す。……この頃の自分の顔はちょっと頬が丸っこいな……って、なに昔の自分の顔を評価してるんだ俺。
(……最近、この公園の夢ばかりみるんだが……何かあるのか?)
そう考えているとその少年と狐が揃って向こうを見ている事に気が付く。いつの間にか下に向けていた目線を上げると、そこには人の形をした黒い影。大きさは大人ぐらいだ。
俺がその影に少しビビっていると、人型を少年と狐に向かって歩いてきた。
『……ほれ、ちゃんと首輪を付けて置かないと逃げちゃうかもしれんじゃろ? 首輪を外しといて大丈夫かい?』
その影は少年の側に置いてあった首輪を拾い上げてそう言った。どうやらこの人の形をした影は誰かはわからないが人の様だ。
『大丈夫だもん、ねー?』
『きゅー!』
影のゆったりとした注意に対してその少年は狐を抱えてそう言い、狐もまるで返事をするかの様に口を開いて鳴く。
「……っ、また夢から覚めるのか」
辺りが徐々に光で溢れ始めるのを見て俺はそう呟いた。眩しい程に辺りが輝いてその少年と抱えられた狐した見えなくなる。
『___だって、僕たちは何時でも何処でも。何年先だって一緒の家族だもん! ね!』
『キュー!』
そしてその少年の姿が消える……が、何故か抱えられていた狐の姿が消えない。すると突然、その狐はこちらを見てくる。まるで俺が見えているかの様に___
「___! なぁ、他の人とかは俺の事が見えてない様だが、お前は俺が見えてるのか?」
俺はそう問いかけるが狐は反応しない。遂には狐まで消えて行く。
……当たり前だ、狐が返事をする訳がない。そう考えながら俺を見つめる狐を見ながら夢から覚めるのを待った
___
___魔法の森、像のある、穴の中……
「___ッ!?」
目を見開いて反射的に俺はその場から跳ね起きた。そして辺りの風景を見てここが神社の縁側だと分かる。恐らく魔理沙に会った後に寝てしまったのだろう。
「……」
……さっきの夢の最後、魔法の森の像のある穴と聞こえた。それが頭にへばりつく様に離れない。
……まるで、そこに来いと言われたかの様に___
「___緑?」
「っ! ……ああ、なんだ霊夢か」
後方からの声に飛び跳ねそうになりながらも後ろを向くと霊夢が台所から此方に向かって来た。恐らく、寝ている間に掃除は終わったのだろう。
「何よ、人の顔見て驚いて。それよりどうしたの?」
「……いや、何か最近変な夢を見るんだよ」
「夢?」
俺がそう言うと霊夢はそのまま隣に座ってくる。続きを話せ、と言う事だろう。
「忘れかけてたんだがな、昔過ごしていた場所の近くにあった公園の夢を見るんだよ」
「……外の世界?」
「ああ、それも大学に通う様になった頃にはそこを離れたんだがな……あ、そこは山の方で温泉がかなり沸いてる所で___……いや、そこは省略する。だが、そんな忘れてる事を夢で見るとは思わなくてな……」
「……それだけでの理由で“変な夢”とは言ってないでしょ?」
「……お見事。変なのはそこからだ。俺が人間になる直前には女性が出てきた。うろ覚えだが、和服で狐の耳と尻尾が見えた気がする」
「耳と尻尾……?」
霊夢がそう呟く。確かに、あの日の夢は知らない女性、それも現代では滅多に見れない和服だ。これを変ではなくても不思議と言えない理由がない。
「そしてついさっき。昔の自分が狐と戯れているのを見た」
「狐と?」
「……ああ、昔は家で狐を飼っててさ。俺が小学一年かそんぐらいまでな。よくその夢で見る公園で遊んでたんだよ」
横をチラッと見ると、霊夢が黙って俺の話を聞いていた。俺は顔を正面に戻して続けた。
「昔、家に一匹の子狐が入り込んでさ、じいちゃんもばあちゃんも俺も変わり者だった事もあってその狐を保護する形で飼い始めたんだ。狐は話によるとなつきにくいって聞いたけど、その狐はすぐになついてきたからよく公園で遊んだりしたし、一緒に台所の料理をつまみ食いした事もあった。……まあ、即バレたがな」
「クス、まるで友達ね」
「いいや、家族だよ。そしてその狐もスクスク成長して、俺も小学生になる頃の事だ。近くの山が噴火してな、その地域を避難する事になった。だが、その狐は何処にも居なかった。噴火に驚いて何処か遠くに逃げたのかもしれないし、建物の何処かに隠れていたのかもしれない。……奇跡的にも噴火は小さくて溶岩も民家の方には全く流れなかった、だけどアイツは……」
「……」
話も暗くなり、やはり霊夢も黙ってしまった。あまりこの話は言うべきではなかったのかもしれない。
「……あ、そうだ。その夢の最後にな、確かに魔法の森の像のある穴の中、って聞こえたんだよ」
「___っ!」
俺が空気を変える意味で続きを話すと霊夢がハッとなった。ほら、空気が変わった。
「……ねえ、緑。もしかして夢の中でそこに呼ばれたの?」
「いや、まあ……実際には呼ばれてないが……そんな感じはするな」
俺がそう言うと「やっぱりね」と呟いて霊夢はキッ、と俺を見た。
「……最初に言うわ。どうしてそうなったかはわからないけど、貴方は今は人間。私の様に霊力を扱う事も、魔理沙みたいに魔法を使う事も出来ない人間。そしてこれは私達もそうだけど、ずっと生き続ける妖怪からしたら100年なんて一瞬にしか感じられない。でも人間はその一瞬の間でしか動けない儚い生き物よ。これをまず覚えておいて」
「……ああ、しっかりと覚える」
霊夢はそう確認すると真剣な顔を崩さずに続ける。
「……よく聞きなさい。その夢の内容から読み取るとそれは『ただの夢』なんかじゃない。きっと貴方を呼んでいる何かの『意識』の様な物。
___そして、私の勘だと貴方を呼んでいるのは狐、貴方の言う家族よ」
「っ!? んな馬鹿な、そいつに? ___でも、あいつはもうそれっきり俺の所には来なかったし、生きてたとしても寿命で死んだんじゃ……」
「……動物や人が死んだら、それっきり現世には現れないのかしら?」
「……なる、ほど」
……確かに、人や動物が死んで肉体が無くなっても魂は残る。未練が残って現れても不思議じゃない。
「……ねぇ、緑。私がさっき言った事を思い出してから考えて。貴方はどうする? 夢のままにそこへ行くの?」
霊夢が俺の顔を伺う様にそう尋ねてくる。その顔が夢に出てきた女性の顔と一瞬、重なった気がした。
今まではなんやかんやあってかなり無茶してた。それは妖怪だったから『なんやかんや』で済むのだが、人間は違う。心臓を刃物で突き抜かれれば死ぬ、頭を吹き飛ばされれば死ぬ。体から血が大量に出ると死んでしまう。その程度の生き物。
「……でも、さ。向こうは来てほしいから呼ぶんだ。こっちはもし、アイツなら会いたいと思っている。……行かない理由が見つからないな」
俺はスッ、と縁側から立ち上がり霊夢の方をクルリと回って向く。
「……今夜、そこに行こうと思う」
「……本気ね?」
「本気じゃなかったら、こんな時に言わないだろ」
「……はぁ」
霊夢も同じく立ち上がって俺の目の前に立って俺の片手を両手で掴む。
「……貴方には死んでほしくないわ。だから絶対に無茶はしないで。それと、私の勘が大変だと言えば直ぐに無理矢理にでもそこに行くわ」
そう言い残して霊夢は手を少し乱暴に話して縁側から茶の間に入って台所に入って行った。
「……やっぱり、何だかんだで一番面倒見が良いな」
俺は霊夢に握られていた手に掴まされた五枚程の御札を見てそう呟いた。
空の日はもうすぐ、向こうの山に沈もうとしていた。
またしても繋ぎ回。最近、ほんの一部分に3000字使うようになってきた気がします。話が進んでも内容が薄いと面白味も薄くなり、内容が濃すぎても話が進まない……難しい物です。
それでは、恐らく次回が真相等が入ります。と言うか、この時点でだいたい予測されそーですが……
それでは、次回をお楽しみにっ!