東方の幻想日記 ~人間妖狐迷走記~   作:0%0%0%

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 かなり遅れました。お久しぶりです。

 ラストへの繋げ方に難航して時間がかかりました。時間がかかったってレベルじゃねーぞ!?


 それでは、どーぞ。


〜五十四頁目(誰かの__)〜

 「___痛っつつつつ……」

 

 

 俺は全身を強打した様な痛みを覚え、フラフラと立ち上がる。立ち上がるまでは辛いとしか言い様が無かったが、いざ立ち上がるとそこまで辛さを感じなくなった。喉元過ぎればなんとやら。

 

 

 「……ん? 待て、これが夢オチや気のせいなんかじゃ無かったら俺って見事に撃たれたよな? 確か……こめかみ辺りをこう……ズガンと……」

 

 

 俺は銃を突きつけられて最後に撃たれた筈の場所を恐る恐るだが触ってみる。そこには穴がぽっかり空いている事も、血が流れている事も無かった。普通に皮膚だ。

 

 

 「よかった、無傷だな……って、そうだ!? アイツが何時攻撃を仕掛けてくるかわからないのに何ぼさっとしてるんだ俺___って、あら?」

 

 

 ハッ、と今更ながらその事に気付いて辺りを見るが、なんかおかしい。おかしいを通り過ぎて気がつかなかった程にだ。

 

 

 「……あららー?」

 

 

 前と後ろが真っ暗、と言うより壁だ。煉瓦の壁にコンクリートをコーティングした様な壁がそびえ立っていた。

 

 

 「……これってあれか? 今俺は建物と建物の間に居るのか?」

 

 

 上を見ると空が真っ暗な為に此処が外だと気がつかなかったが壁の隙間を歩いて出てみるとそこは何やら見たことある様な気がする通り。固められた地面の所々に敷かれている木の板、建ち並ぶ懐かしさを感じさせるお店、そして立ち込める独特の匂い。

 

 

 「……ここは、幻想郷じゃない。外の世界だ……そしてここは確か___」

 

 

 

 

 ___その時、大きな爆裂音が建物、木々、そして地面を揺らした。

 

 

 

 「あわわわわっ、じ、地震か!?」

 

 

 地面に伏せて揺れに耐えているとミシミシ、と音が聞こえ俺の隣に何かが横切った。

 

 

 (な___あかん、これ絶対やばいやつだ!?)

 

 

 後ろから俺の真横に倒れてきた木を見て無意識にも体が震え上がり此処が安全では無い事を悟った。

 

 

 「どっ、何処か倒れる物が無い見通しの良い所に……」

 

 

 俺は激しい地面の揺れに耐えながら見通しの良い場所まで移動する……その途中、偶然目に入った遠くの山の山頂が爆発し、少し遅れてもう一度地面を揺らした。

 

 

 「わとと……山が爆発? これって___っ!? ま、まさかっ……!」

 

 

 俺の脳裏にある出来事が可能な限り鮮明に浮かび上がる。昔の中で一番印象深く、そして恐ろしく記憶に残っている場面___

 

 

 

 

 「___火山の噴火、か……? だがおかしいぞ、溶岩が噴き出るのならわかるが、噴出物を一つも舞い上げない只の爆発? なんかのガスが引火したとも言えなさそうだし……」

 

 

 そんな事を考えているうちも山は爆発を起こす。やはり、あの山はまるで解体作業関係の工事をしているかの様に爆発している、間違いなく人工的なものだ。

 

 

 しかし、このまま山に登るのは完全に命をドブにボッシュートしている。そう本能がやかましい警報を鳴らしていた___その時、俺の足元を何かが目にも止まらない速さで通り過ぎて行った。

 

 

 

 「___っわわわわっ今度はなんぞやっ!? って、あれは狐……? でも何かスカーフみたいな物を付けてた様な気が……飼い狐?」

 

 

 蒼色のスカーフを身に付けたおそらく飼われていたと考えられる狐が山へ真っ直ぐ駆け上がって行ったのを見て、俺の本能が鳴らしていたやかましい警報がピタリと止まり、代わりにGOサインを出した。

 

 

 「おい! 待てっ!」

 

 

 山の災害が起きているのに山へ真っ直ぐと向かう。

 

 そんな無謀以前の問題を起こしている自分を心の中で『非常識な』と小馬鹿にしつつも何処かで『それで良い』と思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……はぁ……はぁ……あいつ……何メートルもの崖をスリーステップで飛び越えるって……」

 

 

 人間の無力さを感じながらも確かにあの狐の後を追って俺は山頂へ向かった。確かにさっきは圧倒的スペックの差とかを見せられたりしたが、絶対にそこまで離れていない。

 

 

 

 ……離れていないと思う。

 

 

 

 ……離れていないんじゃないかな? 多分。

 

 

 

 「まあ、覚悟はしておけ___っと、古いネタを言ってる場合じゃねーな。そろそろ山頂に着くか……」

 

 

 獣道を通ったり草を踏んで道を作ったりとしながら俺は山頂の開けた場所まであと一歩の所まで踏み込み___

 

 

 

 

 ___ドゴォオオオオオン!!

 

 

 

 

 「___うおっ!? ……危ないな、また爆発か。だがやっぱりなんかおかしいと言うか、何かがわざと爆破している様なんだが、火薬の匂いは一切しないし……?」

 

 

 そこでふと、何かの気配がしたので反射的に俺は草むらの影に身を潜めた。……少なくともこの気配は人じゃ無い、地震が起きたと言うのに人はこんな場所に足を運ばない筈。

 

 

 (だとしたら……)

 

 

 

 

 

 「ケーッケケケ! もう少し堀下げりゃ人間共の集落を丸ごと焼いてやる事が出来るぜ、ウケケケケ!」

 「俺らの集落を破壊した時には何もできず屈辱だった……だが! こうしてこの場所で人間に復讐出来るぜ!」

 

 

 (なんだあいつら!? まさか、妖怪か!?)

 

 

 塊の肉を寄せ集めて出来た様な妖怪二匹が拳に妖力を固めて地面に向けて放っていたのを見て俺は見つからない様にその場を一歩下がる。

 

 あいつらの目的は容易にわかる。『人間の集落を丸ごと焼いてやる』のセリフ、そしてここは山の山頂、それも今だに硫黄と温泉が出てくる様な活火山だ。ここの山を噴火させて下の町を溶岩で満たすつもりでいるのだろう。

 

 

 (くそっ、町が破壊されるかもしれないのに黙って見てられるか!)

 

 

 それを黙って見ていることに我慢できなくなった俺が奴らの前に飛び出す___よりも前に何かが飛び出した。

 

 

 

 『おい! こんな所で妖怪が此処で何をしてんだよ!」

 

 

 飛び出したのはまさに先ほど見かけた狐だった。狐が少し荒っぽく言葉を妖怪に向けて言い放つ。

 

 

 「あ? 首のスカーフ……クックック……なんだ、飼われた狐が何をほざいてやがる?」

 「くそっ、こんなもん噛みちぎっておけば良かった……お前ら! 妖怪は好き勝手に人間との接触を禁止されている事を忘れたか!?」

 「俺たちは人間共に森を壊された。復讐なんだから仕方ないなだろ? それとも、溶岩と一緒に街へ流れるのをお望みかい? ケーッケケケッ!」

 「この___!!」

 

 

 

 「___おい待て狐! あいつは既に妖力を固めているんだぞ!?」

 

 

 俺の咄嗟の声は届いていなかったのか、真っ直ぐ飛びかかった狐はやはり妖怪の固めていた妖力の塊をぶつけられ、そのまま崖に落ちて行ってしまった。

 

 

 「狐___ッ!」

 「ケケケッ! ざまーみろ! 俺らに攻撃しようとするからこうなるんだ!」

 「ヒーロー気取りには良い末路じゃん? ケーッケケケッ!」

 

 

 この妖怪に殴り掛かってやるか、崖に落ちて行った狐の元へ急ぐか考えていたその時、妖怪の上空に浮かぶ球体の存在に気が付いた。

 

 

 「……? なんだあの妖力の玉は? お前の能力で固めた玉じゃねーのか?」

 「あ? 俺は知らねーぞ?」

 

 

 妖怪の頭上からフワフワとシャボン玉の様に落ちてくる妖力の玉。それが俺には寒気を覚える物の予感がし、本能が危険だと警報を鳴らしていて___

 

 

 「ッ! なんか知らんがこれは不味いっ!」

 

 

 俺は一メートル程の崖を飛び降りて身を潜める。あの妖力の玉は妖怪どもの物じゃない。あれは恐らく___

 

 

 

 「「ギャ______」」

 

 

 「___うおっ!? なんちゅうパワーだ!?」

 

 

 予感通りにその妖力の玉は地面に落ちる途中で大きく大爆発を起こして2匹の妖怪を跡形もなく吹っ飛ばした。その威力の余波で崖に隠れている俺にまで強い風が当たる。

 

 

 「多分、あの妖力の玉は狐の___ぐわっ!?」

 

 

 崖に隠れていた俺の体は呆気なく吹き飛ばされて転がった。そして俺の体は山の斜面を転がり___

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『___ぐべっ!?』

 

 

 

 ……止まった。

 

 

 『痛たた……なんかさっきから頭怪我してばっかじゃね?』

 

 

 頭を抱えながら起き上がり、目を開く。するとそこは先ほどの山ではなく、何処か日常的な物を感じる森の中だった。

 

 

 『一体、此処は何処……な、ん……えっ、なぁあああああああ!? なっ、なななっなんか体が半透明に!?』

 

 

 頭を抱えていた腕を見てみると輪郭付近以外の部分が若干透明になっていた。結構焦りながらも試しに近くの木を触ってみると通り抜けない、それどころか、森が湿っているのか手がベシャベシャになってしまった。くそっ。

 

 

 『これは消えるとかそんなもんじゃなくて、ただ単に姿が薄くなってるだけか……?』

 

 

 なんでこんなアッカリーンな事になってるかは一度放置。今は周りを確認しよう。此処が何処なのか。それが一番の謎だ。

 

 

 『っ! なんか居る……?』

 

 

 近くで気配がして俺は草の陰からその気配がした場所を覗いて見た。……さっきからこればっかだな、自分。

 

 

 そこには和服を着ていて……狐の耳尻尾が特徴的な少女がぐったりと倒れていた。

 全身ずぶ濡れでまるでここからすぐ近くにある小さな池からたった今引き揚げて来たかの様だった。

 

 

 『耳って事は……妖怪!? なんでこんな所にずぶ濡れで……?』

 

 

 目の前の土左衛門予備軍だった妖怪と思われる少女を目の前にあたふたしている男性と言う奇妙な図になっていたが直ぐに冷静さを取り戻してその少女に声をかける。

 

 

 『おい! 起きろよ! しっかりしろ!』

 「……う、っぅ……」

 『……! おおっ、生きてるじゃん!? おい! しっかりしろよ妖怪!』

 

 

 必死に声をかけてこの妖怪少女を覚醒させようとしていると、少女の瞳は徐々に開き始めて目に光を宿し始めた。

 

 

 『……! よ、良かった……なあ、お前はどうして___』

 「___痛たた……へへ、どうだい、自分の能力を真似て作られた妖玉の痛さは、ざまーみろ……ん?」

 

 

 目を開いた少女はまるで男の口調で呻き声混じりに呟く。そしてその少女は何故か自分の手を見てギョッとした目をした。

 

 

 「___な、なんじゃこりゃ___________え、ぇええええええええええええ!? ナンデ!? なんで手が!? はああああああ!?」

 

 

 俺の存在に気がついていないのか、それとも見えていないのかは全くの不明だがその少女は自分の姿を見て多いに驚いていた。いや、驚いていたでは表せないぐらいに、狂うに近い形で驚いていた。

 

 

 「……手、足、そして変に着づらいあの子の家の女達みたいな服装……私、まさか人間に……? いやいや、そんなこたないよな! まさか私が人間なんかに___」

 

 

 ……少女?

 

 

 そんな疑問が浮かんでしまう程に荒い口調で独り言を撒き散らす妖怪を見て俺は唖然としていた。まさか口調で魔理沙を上回る奴が居たとは。世界は広いって本当だった。

 

 

 

 

 「___誰かしら?」

 

 

 世界の広さに感心していると何も無い所から不気味な感じのする声が聞こえてその少女(?)は手を地面に着いて獣の様に唸る様な声を発した。ヤメテ、その唸り声を至近距離で聞いてるとすげぇ怖いってか俺の存在無視されてね?

 

 

 「結界の穴が空いていたらしいんだけど、何処にあるのかいまいち分かっていなくて放置してたらこんな所だったとはね。池の中とは不覚だわ」

 「誰だ! 何処に隠れて意味のわからない事喋ってやがる!?」

 

 

 

 「意味わからない事を言ってるのはこの私♪ ようこそ、私は幻想郷の管理人、八雲紫よ」

 

 

 

 

 

 紫と思われる声が聞こえた次の瞬間には不気味なスキマが開いて、やはり紫が出てきた。

 

 

 「っ!? 何者だお前!」

 「名前を2度言う必要は何処にも無いじゃない。それにしても貴女、どうやって幻想郷に? 結界の中に無理矢理入ってきた様に見えるのだけど……」

 

 『……おーい、紫? そいつは何故か池から出てきたみたいで……』

 

 「うるせえっ! 結界やらなんやら、私の方が何十倍もの量の質問をしてやりたい所よ! 第一、私は……自分がどうして……人間になっかのかすら……わからな……く……」

 

 『っ! おい! 大丈夫っ___うぇ!?』

 

 

 少女は文句を唱え続けていたと思うと突然目を閉じ始めてついに倒れてしまう。俺は咄嗟に倒れる少女を受け止めようとしたのだが、何故か少女の体は俺の腕を通り過ぎてしまった。

 

 ……もしかして人に触れないのだろうか?

 

 

 「……やれやれ、話してる最中に倒れるなんて。……体中の傷からして何かと戦っていた所でここに迷い込んできた、とかかしらね?」

 

 

 紫はそう言いながら俺には触れれなかった少女の体に触れてみせる。紫の言った通りに少女の体には大小様々な傷がついていた。

 

 

 「はぁあ……妖怪の餌で忙しいってのに新しい妖怪を連れてきたら藍、なんて言うかしらねぇ……」

 

 (……小学生がこっそり犬を飼う時みたいな事言うな)

 

 

 心の中でそうツッコミを入れていると紫はスキマを新しく広げて少女を抱えた。

 

 「よいしょっと、ふう……それじゃあ、貴女には色々と聞かせてもらうわね?」

 

 

 紫はその少女をなんとか抱えて広げたスキマを潜って消えて行った。

 

 

 「……」

 

 

 

 

 

 ……あれ?

 

 

 

 

 

 

 

 もしかして、俺って、

 

 

 

 

 

 

 

 

 『……ハブられてる?』

 

 

 

 

 

 

 

 ……声に出したら尚更さみしくなった。

 

 

 

 

 

 






 今回、作者ですら予定外だった主人公ハブられ回でしたが、内容は次回に続きます。そして次回でストーリーの進行復活します。


 今作の謎とかをなんとか次回である程度伝え切れるかねぇ……
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