久々の投稿。また熱を込めようとし過ぎた感がある。
それではラストバトルをどーぞ!
___こっちの武器は霊力を使って矢を作る弓。霊夢から貰った護身用の退魔の札。そして詳しくはまだ検証出来ていない能力___
これらの中で最も葵に効力があるのは間違いなく霊夢の札だろう。中に封じ込められた霊力をぶつけてやれば妖怪であるの葵に間違いなく深手を負わせれる。そうなればこちらの勝利は決定的だ。
……一方、向こうは銃と能力。今のところだが、武器となる存在の数はこっちの武器の半分しかない。
(……その二つがえらく強力なんだよな)
多彩な種類の弾がある銃に多彩な使い道のある能力。どちらも使ったことのある身にしては敵に回って欲しくないものばかりだ。
せめて、相手の霊力がどれだけあるのかが分かれば向こうの能力と銃の限界が分かったのだが……それと、銃の弾丸の種類も謎だ。
(だったら、こっちが有利なうちに攻める___!)
足の脚力を能力で強めて跳び、銃の不利な間合いである近距離に入り込む。
「ッ! 無駄に速いなぁ!」
札を握りしめた拳を真っ直ぐ叩き込む___直前、葵の姿が消える。顔を見上げれば宙に逃げつつ銃を構える葵の姿があった。
「咲夜の時止めか! ___ッ!」
歯を食いしばって能力を脚力から自分自身の反射神経に注ぎ込む。___不意に力んだせいで目がチカチカするが、無理にでも目を見開いて葵のレーザーを見る。
___一発目の青白いレーザーは俺の右肩を狙う。右肩を引いて身体を横にしてそれを避ける。
___二発目の青白いレーザーが今度は俺の横っ腹を狙って飛んでくる。回避が難しいのでそれは横に大きく転がって避ける___
「___さあ、その態勢からどう避けるかしら!?」
転がった身体を起こそうとしたその時、硬い地面にマガジンが落ちる音が聞こえて顔を勢い良く上げる。カシャン、と無機質な音を鳴らしてスライドを引いてリロードされた銃を見て俺は迷わず即座に立ち上がる。倒れたままでは対処がどうの以前にただの的同然だ。それに___
(葵はマガジンを変えた! これは普通の弾丸じゃない___)
どの様な弾か分からないのに安易に何も考えずに避けるのは危ない。もしもホーミングする弾丸や拡散する弾丸なら少し下がった程度では到底回避は出来ない。そう、万が一を考えて避けるには振り払う様にする必要がある。
……そう、避けるのなら。
(だったら、逃げずに___).
予想が当たってくれよ、と祈りながら反射神経のみに振り込まれていた能力を脚力に。それも右足のみに使う。
その脚力の水増しされた右足を地面に叩きつけて割ることによって、地面の一部の破片を抜き取る。叩きつける力が強く破片が衝撃で数センチ程浮かび上がった。
「___
俺は吠える様に言いながら、浮かび上がった拳程ある岩の破片を強く蹴り上げる。蹴り上げた岩の破片は真っ直ぐ飛び、葵の放った弾丸に命中して葵の放った弾丸の正体を暴いた。
「___弾丸が爆発した!? ……安易に避けてたら爆発にやられるとか……ホーミングより酷いな」
「___ッ! あんた! 考えている事も、それを実行する行動力もまるで人間とは思えないわねっ!」
「生憎、幻想郷だと妖怪歴の方が遥かに長いんでね___!」
俺は後ろに大きく飛び引いて目を瞑る。
___頭が痛い。能力を使うたびにズキズキと絞められてるのか膨張してるのか分からない程に頭が痛む。まだ慣れていない能力を振り回す様に扱っているからだろう。だからと言って能力を体に慣らす時間はない。
「ふん、言ってくれるわね。それなら耐えてみなさい、元妖怪っ!」
葵はマガジンを取り換えると足元の地面に向かって何発もの弾丸を撃ち込んだ。
「……? 一体何を___っ!?」
チュン、と何かが俺の草履を掠った。……だが、一体何処から___
「___まさか、地面からか!?」
そう確信した瞬間、俺の声をかき消す勢いで銃弾の嵐が地面から噴き出した。
「ぐっ___」
脳の負担が凄まじいらしく、対策を急に考えただけで頭がクラっとした。それでも俺は目を強く閉じて無理矢理脳に活を入れる。
「岩盤の硬度を___み、水増しすれば……ッ!」
足場から弾丸が飛び出してくる前に手を地面に当てて能力を発動させる。能力で硬度を水増しされた地面の奥から弾丸が弾かれる音が鈍く聞こえてきた。俺は湧き上がってくる弾丸が収まったと見ると引いて弓を構える。兎に角、頭痛で頭がやられる前に奴を倒さなくては___
「___矢の速度を……強める……」
頭の中だけで能力を使うのが辛くなってきたので声に出して能力を発動させる。意外な事に声に出すことでイメージがし易くなった。これならあと数回は頭痛の負担が軽減しそうだが……
「ぐっ……っ……ッ!」
「ほらほら! ぼーっとしてるとすぐにやられちゃうわよ!」
頭に残った痛みを歯を食いしばる事で可能な限り痛みを紛らわせ、目を鷹の様に鋭くして向こうから迫ってくる葵を狙う。
「___ッ! くそっ!」
「外してるよ___!」
弓を構えた途端に強い頭痛が襲い、狙いが大きく外れてしまう。すぐに構え直したがもう遅い。葵はもう俺の腕を三本分伸ばした距離にまでに近づいていた。
(速度を水増しにしても遅い___! どうにかもっと根本的な所から、至近距離で瞬間的なスピードを上げれる方法を___)
速さ、空気抵抗、矢の重さ、弓の重さ、弦の張り、霊力、腕力___違う、速さを。速さを___
「……矢の『加速』を水増しする……ッ!! ______ハアッ!」
俺は引いている矢の放たれる速度を能力で水増しして放つ。直前まで余裕の浮かんだ顔をしていた葵の顔が一瞬だけ真剣な物になった気がした。
「つつ、擦りとは言え左腕をやられるとは……あんた、今まで人間だと思ってたけど違ったみたいね」
「俺は人間だ。ちょっと異例だとは理解してるつもりだが」
だが、その結果相手に回避を許さない速度の矢を放てる様になった。これでなんとか___
「……ま、そこで何もしない私じゃないけどね?」
「___!」
パキッ、と手にしていた弓の端がひび割れて___砕けた。
「これで貴方の攻撃の要は無くなったわね」
まるで釣竿の様になってしまった弓を見下ろす俺を見て葵が確信した様に俺に向けてそう言ってくる。
だが、俺はまだそんな理由で諦めたくない___
「___っ!」
「……まさか、まだやるとは……もしかして見ないうちに負けず嫌いになった?」
「そんな不戦敗なんて終わらせ方、俺が出来ると思うか」
先の砕けた弓を刀の様に持って札を弓に貼り付ける。弓が小さい事もあってリーチはそこまで長くは無いが、当たれば弓を通して札の霊力を流し込めれる。___穴だらけな策だが、これ以外にどうやって戦うかなど頭痛でまともな思考が出来ていない俺には思いつかない。
「ハァ___!」
能力は使わず身を伏せながら一気に葵に向かって駆け出す。葵は銃を撃って迎え撃つ。
「っ、ぐっ! ___ハッ!」
銃弾を何発か弓で受け止めながら大きく横に振ると葵は後ろに飛び引きながら銃弾を数発に撃ち込んできた。それを俺は弓で受け止めてみせるが更に弓の先が欠けてしまう。
「___弓の耐久力を……増やせば……」
温存していた能力を使って弓の耐久力を水増しする___と同時に一瞬、視界がグニャリと歪んだ気がした。
(あとニ、三回が限度か___)
それ以上に使えばきっと立っていられなくなる。そうなれば今度こそ負けだ。それに能力を使わなくてもいつか体力が底を尽きてしまうだろう。増やす元が底を尽きれば水増しなんて出来ない。
時間との勝負だけでなく、数少ない武器である能力に回数制限が付いた状態だ。粘れば粘る程に不利になるぐらいなら先に打つ___
「うら___ァアア!」
あまりの勢いに一瞬、かすれてしまう程の叫び声をあげながら弓を振るう。……頬と腰の横を
「こいつ……っ! ふっ!」
葵があり得ない物を見た様な目をしたが振り下ろされる弓を見て後ろに飛び引いてしまった。
「まだ___だァ!」
地面に当たって破片を飛ばした弓を握り直して一気に逃げた葵の目の前に飛び込む。
「っ___!」
葵は弓を銃で受け止めた為、ガギン、と鈍い音を出した。相手が守りの体制になったのならチャンスだ___!
肺に許容量を超えそうな勢いで空気を送り込んで口を固く塞ぎ、息を止める。
「______!」
___一振り、二振り、三振り___四振り、五振り___六振り、七振り___
耐久力を水増しされた弓が破片を飛ばす程の勢いのスピードで全ての打撃を葵ではなく、葵の銃に叩き込む。
こんなボロい棒切れじゃ正直葵を倒せない。だったら、その武器を無力化すれば___
「___でやァああああああッ!」
八振り目。それを葵の銃にもう一度叩き込む___筈が、そこに葵の姿が無い。弓は空を切って地面を強く叩いたせいでまたもや欠けた。
そして後方からは金属音。叩かれたせいであと一歩で故障しそうな音を微かに出しているそれは銃のリロードの音___
(能力で後ろに回ったか!)
このままでは葵は俺の背後から銃で俺を撃ち抜くのだろう。そんな事は誰にだってわかる事。
……だったら、俺は千切れて弓の手元側の端から垂れている弦を左手で掴むと、最小限の動きで砕けて小さくなっていた弓を葵の銃に投げつける。
「___っ!? なんですって!?」
その弓はグルグルと銃に巻きついて弓の弦と銃をしっかりと固定した。葵の指によって引き金が引かれる直前に弦を横に引くことによって銃口を逸らして放たれた弾丸を回避し___
「___オラァ!」
そして弦を勢い良く真下に引っ張った。すると葵の手にあった銃は簡単に抜け落ちて地面に乾いた音を鳴らした。
勿論、葵も落ちた銃を拾い上げようとするが___
(させるか___!)
激しい頭痛と目眩を覚悟に能力を発動させて右足の草履を銃に目掛けて飛ばす。
(___ぐ、っ___)
脳に直接タライが落ちてきたんじゃないかと思う程の頭痛と地震が起きてると錯覚する程の目眩の中、なんとか俺は落ちていた銃が飛ばした草履によってさらに遠くへ飛ばされるのを見た。
___葵の武器は飛ばした。それでも向こうは能力を扱えるが、今は飛ばされた銃に注意が逸れている。俺の手元には二枚の退魔の札。今がトドメを刺すべき瞬間なのは言われなくてもわかっている。だったら出し惜しみなんてせずに全力で___
(___うぉおおおおおおァ!)
目眩が殆ど治った途端に俺は大きく踏み出す。半分程の距離を詰めた所で葵も此方に気付いたがもう遅い。札を広げて持っている手を突き出す___!
「___ッ!?」
あと二歩で届く場所で札を持っている右手に衝撃が走った。一瞬だが確かに強い衝撃だったが不思議と手に痛みはない。
(まさか、札に
突き出した手からボロボロと紙くずが漏れ出て来たのを見て確信した。そうだった、妖怪なら銃なんて物を使わなくても弾幕は飛ばせるものだった。俺や葵の様に弾幕を直接飛ばすのが苦手であっても一、二発ぐらいなら弾幕を飛ばす事だって出来る。
これで自分の見せた隙を突く攻撃を潰して仕切り直したつもりなのだろう。だが___
(___霊力を___水増しする___!)
能力で増強される事によって、突き出した手の中から霊力が溢れ出して長さが腕ぐらいある槍に似た剣の様な形になった。
「なっ!? 札が無い筈なのに___」
俺の手に握られた霊力の束を見て葵が驚いた表情を見せたが構わず大きく一歩を踏み出す。
これ自体に直接的な殺傷能力は無い。だが、妖怪の身なら妖力をある程度飛ばして弱体化させる事が出来る。妖力が無くなって弱体化した妖怪は能力どころか弾幕を張ることさえ困難になる筈だ。
……推定して恐らく最後の能力。やはり反動も大きく、あと一歩の筈なのに脳だけは遠くの物だと錯覚してしまっている。それに脳の負担がかかり過ぎたせいなのか瞬間をスローモーションの様に感じる。
(うぉ______)
それでも能力は止めず、手に握った最後の武器を葵に向けたまま一歩を踏み出す。恐らく葵まであと一歩。
踏み出した足で体を引っ張る様に前に進み葵に迫る___
「うぉおおおおおおおお___!」
体よりも先に霊力の剣が___何かに安堵した表情を浮かべた葵に迫り___
「___はぁ……はぁ……ぐっ! ……はぁ」
いつの間にか長く息を止めていたのだろう。空気を吸わないと苦しいくせに息を吸うと苦しい。心臓も何かの病気みたいに忙しそうだ。
それに頭痛もしてきて俺は目の前で座り込んでいる葵を前にして膝を地面に付けてしまう。その時に右手に持っていた小さく折り畳んだ札を落としてしまった。
「……そっか、札が無いのにあんな大きな霊力を使っているとと思ったら札を隠し持ってたんだね」
「ああ、お前の弾幕で吹き飛ばされた札の裏に小さくして持ってた」
「……あーあ、そんなちっぽけな作成に負けたとはねー」
はぁ、とため息をつきながら葵は残念そうにそう言った。
……決着がつくのは一瞬だった。札の霊力を水増しして作った剣を突き刺す様に当てると葵の体は簡単に地面に崩れ落ちる様に座り込んでしまった。
霊力の剣は葵の体をすり抜けたので効かなかったと思ったが、あれでも霊体には大きなダメージを与えていたらしい。
「……で、あんたはどうすんの? 何時までも此処に居るわけにはならないでしょ」
「…………行ってくる」
俺は膝に活を入れて立ち上がるが、足首に活を入れ忘れていたらしく簡単に地面にぐしゃりと膝をついてしまう。
「私に口出しする権利は無いけど、急ぎすぎじゃ無いの? そこまでして幻想郷を出たいのかい?」
「違う。それは次にやることだ。今はお前を此処から連れ出す方法を徹底的に調べてくる」
本来、葵はこの場所を離れられない存在だったのだろう。それに今の戦いで更に弱ってしまってる。このままだと此処を出れないどころか消えてしまうかもしれない。だが、霊夢の力があれば助けれるかもしれないし紫は葵と縁のある妖怪だ。きった何があったか話せば助けてくれる筈。
「…………あーあ。戦ってる時と言い、熱意にまた負けた」
「えっ」
葵は何を思ったのか、俺の片手を両手で包む様に掴んで来た。そして一息つくと言いたい事を続けた。
「私はこのままじゃ幻想郷どころか、此処すら離れられない。だから、あんたに賭ける。……あんたに私の霊体を預けておくから、幻想郷を出てからもあんたは霊力をしっかりと身につけてみなさい。そうすれば、一緒に外に出れて、一緒に居られる」
「……待て、それってつまり……来て、くれるのか?」
「ええ、じゃないとあんたは復活させるために黄泉の国にまで行きそうだし?」
「いや、流石にそこまでは……出来る限界まで手を尽くすだろうな」
葵はそう伝えると目を瞑った。するとすぐに葵の体が光になって崩れ出すが、ただ崩れるだけではなく、崩れた光は俺の方に漂って体に染み込む様に入ってくる。
「……今の話、信じるぞ」
「うん、それが本当になるかはあんたの頑張り次第だよ」
葵の体はもう完全に消える一歩手前だ。そんな体でも最後に葵は押しとどめていた
「___久しぶり、‘
「ああ……お帰り、葵。昔と変わらず元気そうで良かった___」
お互いそう言いった後には俺一人だけが残った___いや、違う。今は一人だがいつかは二人になれるだろう。
葵と戦っているうちに固まっていた強い意思は限界まで固くなっていた。もう他の道を行くことは無い。これから進む道はこの一本道だけだ。
「……しまった。最後に言い忘れてた」
ある言葉を先程の時に言い忘れている事を思い出して俺は頭を抱えたが、それは一瞬の事。言い忘れたのなら、今言えばいい。
「___今までお疲れ様。これからは俺が頑張るから、しばらくは羽を伸ばしながら見守っててくれ」
エンディングまで寄り道せずに走ってからオマケでギャグ寄りの話を書こうかなぁ……