運命は無情か厚情か   作:八ツ奈豆

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あるアニメを見てから慢心って言葉がフラグにしか感じなくなった八ツ奈豆です
今回は簡潔に行きますぜ
さてさて、終夜君たちには頑張って欲しい場面ですね、期待しすぎずご覧ください
どうぞ!


回収

 暁雅は既に何も掴んでいない手をゆっくりと自分の体の横に戻した。

 よく見ると、もう刀は腰に納めている。

 

「咲夜に何をしやがった」

「少しの間全身の酸素を全て抜きました。今度は生きてるかどうか私にもわかりません」

「野郎……!! 霊夢、こいつを八つ裂きにするぞ」

「そうね、半殺しじゃ済まないわ」

「まあ落ち着いてください。ちょっと戦場を変えたいんで」

「何……?」

 

 暁雅は両腕を横にまっすぐ伸ばす。そして笑う。

 

「私が口で言うよりも体で感じたほうがわかりやすいでしょうねぇ」

 

 そして伸ばしていた手をぎゅっと握った。

 

「極限空間・欠……」

「ぐっ……!?」

 

 終夜と霊夢は喉を手で抑え、苦しみ始めた。

 

「わかりました?」

 

 暁雅が問いかけてくる。

 

「まさか……空気中の……酸素を……」

「さすがですね~霊夢さん。まあわからない人はいないとおもいますがねぇ」

「クソ……」

「さっさと私をたおさなければお二人は確実に死にますよ。あ、下で寝てる方は範囲外なので安心してください」

「そう……」

 

 霊夢はその言葉を聞いた瞬間、終夜に大きめの弾幕を放った。

 

「ぐわぁ!!」

 

 終夜の腹に直撃し、終夜は後ろにふっ飛んだ。しかしあまり痛くない。威力が調整されていたのだ。

 そして終夜は普通に呼吸できることに気づく。範囲外に出たのだろう。霊夢は暁雅の発言から範囲を予想し、終夜だけ範囲外に出したのだ。

 終夜は霊夢の目的がつかめなかったが、霊夢の横顔を見た瞬間それがわかった。

 

(なるほど、そういう作戦か)

 

 終夜はそれに従うことにした。

 

「終夜さんだけ範囲外に出しましたか~、いいでしょう。貴方一人を相手にして――」

(亜空欠)

 

 霊夢は暁雅の目の前に瞬間移動。暁雅の腹に蹴りを炸裂させる。暁雅は終夜と逆の方向に吹き飛んだ。

 

「酸素が無い空間でこれだけの力が出せるとは……終夜さんにつけられた傷が開いちゃいましたよ……」

 

 暁雅は傷を抑えながら言う。服に血が滲んでいるのがわかる。

 

「でも、そろそろ限界でしょう。体を動かせば当然エネルギーを使うので、さらに苦しくなりますからねぇ」

 

 暁雅は霊夢に突っ込んでいき、さっき蹴られたところである腹に全力でパンチを放つ。

 

「ガハ!!」

 

 酸素がなく、動きが鈍っている霊夢は暁雅のパンチを避けることが出来ず、まともにくらってしまった。同時に僅かながら体内に残っていた空気を一気に吐き出してしまう。

 暁雅はさらに霊夢の後ろに壁を配置。霊夢が吹き飛ばずに壁に叩きつけられると、近寄って霊夢の首を片手で掴んだ。そして霊夢の首を掴んでいる手とは逆の手の手のひらを霊夢に向ける。

 その手にエネルギーのようなものが集まっていくのが目でわかった。ほぼ確実に魔理沙を倒したあの技を放つ気だ。

 

「マズイ……!! あんな近くであれをくらったら……ッ!!」

 

 待機していた終夜もさすがにヤバいと思い、止めようとする。だが、到底間に合わない。

 霊夢はぐったりとしていて力が抜けており、抵抗なんて出来ない。

 

 そしてついにそれは放たれる。

 

 霊夢はそれを正面からくらい、全く動かない。暁雅はそれを見てにやりと笑い、大きく振りかぶると、霊夢をおもいっきり下へ投げた。

 ドゴーンという音が聞こえた。霊夢は下で倒れて動かない。

 

「酸素が無ければ、こんなもんですかねー」

「霊夢ー!! 畜生……!!」

「ほらほらそんなに叫んだら酸素をたもてませんよ、もう範囲内なんですからぁ」

「……」

 

 終夜は殺意のこもりまくった目で暁雅を睨む。

 

「おぉー怖い。しかし、ついに一人ですね終夜さん。ここで私の一度は言ってみたかったセリフを……最終ラウンドだぁ!!!」

 

 暁雅はあの異常な刀を抜き、終夜に向かって行く。

 終夜も無色のほうの刀を一本抜いた。そのとき、終夜の瞳がより鮮やかな青になって輝いた。

 暁雅が終夜に刀を降ろうとすると僅かな隙を狙って終夜が抜刀。しかしギリギリで避けられる。続いて暁雅が反撃。それを避けて今度は終夜の攻撃。その繰り返し。

 何回か繰り返していると、暁雅はあるおかしなことに気付く。

 

(なぜ終夜さんはこんなに動けるんでしょう……もう体は動かなくなっててもおかしくないのに)

 

 終夜は酸素がない空間で戦っている。当然動けば動くほど体は酸素を欲し、息は苦しくなり体は動かなくなる。なのに終夜は普通に戦っているのだ。

 暁雅は終夜の目が輝いたのを思い出した。

 

(まさか……! 能力で無理矢理体を動かしているのか……! 酸素も最小限で済むようにしている……)

 

 それがわかった瞬間、暁雅は終夜の攻撃を防ぐことだけに集中した。

 

「終夜さん。すごい能力の使い方ですが、体への負担が馬鹿にならないでしょう?」

「ッ……」

 

 終夜は厳しい表情を浮かべた。

 

 

 数分がすぎた。突然終夜の行動がゆっくりになった。そして、やがて止まったかと思うと、両腕がぶらんと落ちた。

 ついに限界がきたのだ。もう終夜の体を動かすエネルギーはない。暁雅はこれを狙って敢えて防御に専念したのだ。

 そして終夜は後ろに倒れ、落ちていく。

 

「……決着ですね」

 

 暁雅は落ちていく終夜を追う。そして刀を振りかぶり、下ろす。

 終夜の顔に刃が迫ってくる。しかし終夜は暁雅の目を見て最後の力を振り絞り、ある表情を作った。

 笑ったのだ。誰もが不気味だと思うであろう笑みを浮かべた。そして、頑張ってなんとか声を出した。

 

「やれ……」

 

 暁雅はその言葉を聞いて殺せという意味だと思った。情けは無用。手加減せずに殺せという意味だと。

 しかしそれが誤解だということにすぐに気付いた。いや、気付かされた。そして自分は重大なミスを犯していたということにも気付かされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 銀のナイフが自分の周りに隙間なく配置されていることに気付くと同時に……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なにっ!?」

 

 ナイフの存在に気付くと、それを防ごうとしたが数が多すぎた。結構な数が体に刺さる。

 しかもそのナイフは終夜には当たらない様に上手く配置されていた。

 

「ぶはぁ! はぁ……はぁ……」

 

 終夜が呼吸を再開した。酸素が戻ったのだ。

 

「ガハッ……なぜあなたが……咲夜さん」

 

 吐血しながらも後ろに立っていた咲夜に質問する。

 

「そのうちわかるわ」

「暁雅。咲夜のナイフを風で吹き飛ばさなかったなぁ。それに酸素も戻ってる。どうした?」

「……この」

「そうそう。貴方の犯したミスはこれだけじゃないわよ」

「な……」

「夢想封印……」

「!?」

 

 暁雅は下を見た。すると複数の巨大な弾がこちらに迫って来ていた。かなりの傷を負った暁雅は避けることができずにくらってしまう。弾は爆発した。

 暁雅は落ちた。と思ったが途中で踏みとどまり、なんとか耐えるが、ぼろぼろだった。

 

「先ほどとは……比べ物にならない威力……まさか……!」

「そう、そのまさかよ」

「マスタースパーーーク!!!」

「何! 今度は……上……?」

 

 上から今度は極太のレーザーが飛んできた。避ける事なんてできない。

 

「ぐああああああ!!!」

 

 暁雅はマスタースパークをまともにくらい、力なく落ちていった。

 

「まったく……半分以下の威力のマスパに勝っていい気になりやがって。腹が立ったぜ。本気のマスパの味はどうだっ!」

 

 魔理沙は暁雅に文句を言った。すると、終夜は暁雅の近くへ降りていった。

 暁雅は仰向けに倒れており、終夜が来たことに気付くと弱々しいこえで質問を投げ掛けた。

 

「なぜ……あの人達はピンピンしてるのですか……?」

「簡単だ。やられたフリをしていたのさ。お前を慢心させて能力を使わせ、体力を消費させるために」

「そこまで見抜いて……しかし誰がその作戦を……? そしていつメンバーに伝えたのです?」

「作戦を考えたのは俺だ。お前ほどの強力な能力なら代償があると考えたんだよ。それが体力だってのは勘だったが、当たったんだからまあいい。伝え方についてはまず、お前が最初に霊夢に攻撃を仕掛けている時に魔理沙に伝え、半分以下の威力でマスパを打たせた。そしてお前がマスパと勝負してる間に霊夢と咲夜にも伝えた」

「素晴らしい……としか……言い様がありませんね……」

 

 そういうと暁雅はゆっくりと目を閉じた。

 

 

 

 

 しばらくすると霊夢達も降りてきた。

 

「俺は帰るぞ」

「ええ、そうするといいわ」

「ちょっと待ってくださいよぉすぐ終わりますから」

「は?」

 

 後ろを見ると暁雅が立っていた。体はもちろん、服も完全になおっている。

 

「死体がない……どういうことだ」

「実はなおす能力が私にはありまして、数秒でこの通り」

「二つ目の能力だということか……」

「そういうとこです。しかしこの能力も体力を使うため、今の私は無力です。立ってるだけでやっとです」

「その割には笑ってるけどな……。じゃあどうする。命乞いでもするか」

「いえ、私は負けたわけですし、あなた方の仲間にしてほしいなぁと」

「……」

 

 終夜は無言で霊夢達の方を見た。

 

「信用できないわ」

「信用しろという方がおかしいぜ」

「同感だわ。気持ちを示してもらわないと」

 

 

「えーそうですねぇ。じゃあこういうのはどうでしょう。私の命を……うーん、終夜さんへ預けるというのは」

「どういうことだ」

「実は私復活した身でして、一回死んでるんです。で、前の体をもう一度作り直したのが今の体なんですが、作り直そうとしたとき、前の体からどういうわけか心臓がキレイに抜き取られていたんです」

 

 その瞬間、暁雅以外の全員が黙った。

 

「そのため心臓の構造がわからず、脳からの命令がきちんと処理できない不完全な心臓しかできなかった。それじゃあ困るので、かわりに命令を処理してくれるものを体の外に作ったんです。それがこれ」

 

 暁雅は手のひらサイズの四角い蓋のない箱を取り出した。

 

「つまりこれは私の命と同じようなもの。壊れれば心臓は停止し、私は死ぬわけです。これを終夜さんに預けます。これでどうです?」

 

 暁雅はその箱を差し出し、再度たずねる。

 

「……いいわ、信用してあげる。そのかわり、不振な行動をとったらあの箱を壊すわ」

「やったー」

「あと、基本は終夜と行動すること。終夜の言うことをしっかり聞くこと。いいわね?」

「は? おい待て霊夢、こいつと一緒に……?」

「よろしくお願いしまーす」

「はぁ……」

「監視役よ。じゃ、解散」

 

 霊夢がそういうと皆それぞれの家へ帰った。




いやー勝ちましたね終夜君
終夜「そうだな」
見事な逆転劇を見せてくれました! すごい!
終夜「馬鹿にしてるだろ」
してないですごめんなさい

それではまた次回!
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