終夜「読者の皆さん、こいつは知能が低いんだ。冷たい目で見てやってくれ」
マイペースな奴なんだ。暖かいめで見てやってくれ。って感じのこと言うとこやろここ! でもホントに超亀更新で申し訳ないです。
今回は少しチェスの要素が含まれています。ルールがわからないときついかも知れません。ごめんね!
では、無駄に時間がかかった一話をどうぞ!
夜 博麗神社
「ふーん、ここがそうなんだ。なかなか厄介になるだろうってことがわかるよ」
「博麗の巫女? 大丈夫、予想通りいないよ」
「いや、まだ何も手は出さない。気持ちはわかるけどね」
「ところで、あいつはいるの?」
「そう。まあ、いてもいなくてもどうでもいいんだけどね」
「おっとマズイ。気づかれたみたいだ。それじゃあ戻るよ」
地霊殿
夜中の廊下に足音が響く。その足音の主は蝋燭の灯りで辺りを照らし、ゆっくりと歩いている。
やがて立ち止まると、目の前には暁雅が泊まっている扉。その扉のドアノブにてをかけると、音を立てないようにゆっくりと開けた。
中へ入ると、ベッドで寝ている本人。さとりはそこに第三の目を向ける。
心を読んでバレていない事を確認する。そして、そのままの姿勢で目的のことを始めた。
さとりの心に暁雅の過去が映し出されていく。
「……なかなか面白い過去を持ってるじゃない」
暁雅の過去を見終わると、さとりは部屋を出ていった。
「……」
自分の部屋に戻る途中、今度は終夜が泊まっている部屋の前に着いた。
本当は入るつもりはなかったが、少しの好奇心が働いた。さとりは先ほどと同じ手順で部屋に入ると、終夜の過去を覗いた。覗いてしまっていた。
目に入ったのは賑やかな都市。人の声がそこらじゅうから聞こえてくる。さとりはそれに驚いた。
(山の中じゃ……ない……!?)
心を読むことで終夜の過去は知っていたが、こうして見ると全く違うものが見えたのだ。
しかし驚きはすぐに別の理由に上書きされた。突然映像がストップし、一面真っ暗になる。そして、次の瞬間、さとりは、何か巨大なものに食われるような恐怖感に襲われた。
「今のは……」
視界が部屋の景色に戻る。
映像を強制終了されたうえに、突然襲ってきたあの恐ろしい感覚。終夜本人が起きた様子はない。さとりは冷や汗を流す。
「終夜は一体……」
「グッドモーニング!!」
「うるせぇ……」
暁雅と終夜とさとりは地霊殿の玄関にいる。
「そういえば、さとりさんのペット達に会いませんでしたねぇ」
「そいつはよかった。お前に会うとお空やお燐に迷惑がかかる」
「昨日はお空もお燐も運が良かったようね」
「残念です」
「それはそうと終夜、次はどこに行くの?」
「そうだな、人里にでも行くか。そのうちだが」
終夜は未だに人里に行ったことがない。一応人なので行ってみたかったりするようだ。
「それじゃあ、俺達は行くぞ。急に押し掛けて悪かった」
「ええ、また会いましょう」
「さようなら~」
紅魔館
「終夜!」
「今日は早いな、フラン」
紅魔館に入ると早速フランとレミリアと咲夜に会った。目が合ってすぐにフランが挨拶がわりの"軽い"パンチを放って来たので、終夜はしっかりとした防御姿勢で受け止める。
「もうしばらくは館を出ないからそんな怒るなよ」
「むー」
レミリアには言ったがフランにはしばらくいないことが伝わっていなかったのかもしれない。
「終夜、門の裏に隠れているのは誰?」
レミリアがいきなり聞いてきたので、終夜は少し驚きながら門の方を見る。
「だがら無駄だって言っただろ。大人しく出てこい」
「いやー……流石ですね、私に気づいてしまわれるとは」
門から暁雅がのこのこと出てきた。普通に会っては面白くないと、門の裏に隠れていたのだ。
「なんのご用意かしら? 正純暁雅。招待した覚えはないのだけれど」
「挨拶ですよ、レミリア・スカーレットさん。別に攻撃したりしませんから。したら私が死ぬんで」
二人とも不気味な笑顔だ。
「まあ私のことは終夜さんの付き添いとでも思ってくれて結構です。フランさん、咲夜さん、他の方にも攻撃はしません。見方と認識してもらえば幸いです。では、要件は以上なので私はこれで。必ずまた会うことでしょう」
そう言うと暁雅は消え去った。
数秒の沈黙の後に、終夜が口を開いた。
「咲夜、気持ちはわかるが、そんなに警戒する必要はない。奴は何もしてこない」
咲夜は終夜を一瞬見ると、後ろでナイフに伸ばしていた手を引っ込めた。
「気づいてたのね」
「殺気だだ漏れだったぞ」
「……気を付けるわ」
「うるさく言うつもりはないが、そうしてくれると助かる」
終夜の表情は無表情だった。
「地霊殿では奴の情報を入手する絶好のチャンスがあったはず。貴方のことだからなにか収穫があるんじゃないの?」
レミリアの部屋。終夜とレミリアはテーブルとその上のチェス盤を挟んで座っている。
「その話か。気を付けろよ、あいつの名前を口にした瞬間バレるからな」
「わかってるわ。私はそんなミスしないわよ。チェック」
「ほう、ならこうだな」
「やるじゃない。で、どうなの?」
「収穫はあるにはあるが、人を頼った。だから嘘をついている可能性も否定できない」
「地霊殿の主ね。だったら信憑性は低くないじゃない。はい、貴方の番」
「確かにそうなんだがな」
「まあその話は後で聞くわ」
「わかった。ところでお前、ナイトを忘れてるだろ。チェックだ」
「ええ、忘れてたわ」
「ナイトは強いぞ。唯一クイーンに立ち向かえる」
「始めたばかりのくせに何を言ってるのかしら。まあ、正論ね。ナイトは弱い部類の駒。だけど特殊な動き方だから相手はナイトの進行を妨ぐ事はできない。他の駒と組めばかなり活躍する。はい、どうぞ」
「弱い駒でも使い方によっては強くなる、と。てことでチェックメイトだ」
「な……! ふぅ、一勝一敗。まさか二回戦で私に勝つとは、流石に上達が早いわね」
「……」
「どうしたの?」
「一つ聞きたいんだが、紅魔館の主として、俺を駒に例えるならどの駒だと思う?」
「貴方を駒に? 急にどうしたのかしらね。まあ答えるなら簡単ね。ポーンよ」
「ほぉ。理由は?」
「ポーンは最も弱くて価値の低い駒。でもポーンを使いこなせる者とそうじゃない者では大きく差がつく。それくらい重要な駒だと私は思ってる。それに、ポーンは敵陣に向かって行けばビショップ、ルーク、ナイトや、クイーンにだってなれる。キング以外ならば、なんにでもなれるのよ。正に、貴方みたいでしょ?」
「なるほどな。ならこの場合、お前がプレイヤーか?」
「さあ? わからないわよ。私だとは限らないわ。あ、ところでなんでそんな事聞いたの?」
「自分の進めるマスを確認したかったんだよ」
「?」
「フランもそろそろ起きるだろう。俺は勤務に戻るぞ」
首を傾げているレミリアを無視し、終夜はレミリアの部屋を出ていった。
白玉楼
刃と刃がぶつかり合う音が屋敷に響いている。
「遅くなってますよ。もっと集中してください」
「そうですか。気を付けなければ!」
暁雅が妖夢に稽古をつけてもらっている最中である。
「ちょっと待ってください」
妖夢が急にストップをかけた。
「なんです?」
「本当に集中してるんですか? ずっと笑ってるし返事もなんか軽いし遊んでるようにしか見えないんですけど」
「ああ、それね。癖ですよ、癖。中身はちゃんと集中してるんで安心してください」
その言葉を聞いて妖夢は呆れた顔をした。
「なんですかそれ……。まあ集中してるのならいいですけど……」
「じゃあ、続けましょうか」
「ええ、本気でやりましょう。私に一つでも切り傷をつけらたら終了です」
妖夢はそう言って楼観剣を構えなおした。
「なるほど、そういう条件ならば殺す気でいかないと無理ですねぇ」
「うっかり殺されそうなんでやめてください」
「冗談はやめてほしいですねぇ。こっちのセリフですよ」
暁雅も刀を妖夢に向けた。辺りがしんと静まり返る。耳元で叫ばれてもわからないくらいの集中。やがて、相手の呼吸や鼓動までわかってくる。その場は沈むような緊張感に包まれた。
暁雅はこの状況に懐かしさを覚えていた。ただ一つ、大きく違うことは、自分自身の鼓動が一切聞こえないことだ。
いかかがでしたでしょうか。無駄に時間がかかった一話第二段。
暁雅「私の記憶まるまるカットでしたねぇ」
あ、ごめんね。そのうち出てくると思うぜ。
ということで、話が少しは進みましたね。まだまだ謎が出てきては解き明かされていくので、考えてみてください。
暁雅「謎というのがこの小説の少ない魅力の一つだとこの作者は思ってるみたいですよ」
はい、思ってるだけです。
それではまた!