運命は無情か厚情か   作:八ツ奈豆

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早くも二話目です。
主人公の名前を二話目でやっと出しましたよ…。
今回も自信はありませんが楽しんで頂けると幸いです。
それではどうぞ!


孤月終夜
抵抗


目が覚めたら少し低めの天井の下に、少年は居た。

この部屋は殺風景である。

なぜなら牢屋の中だからである。

 

「チッ なんなんだよ」

 

すぐに起き上がって周りを軽く調べてみる

いきなり牢屋にブチ込まれたのだからそれくらいしてしまうだろう。

結果 特に何もなかった。

 

 

するといきなり目の前にピンク色の帽子に蝙蝠の羽が特徴的な少女と、

銀髪でメイド服を着た女性が現れた。そう、いきなり。

 

「お目覚めかしら?」

 

「誰だお前ら」

 

少年は驚きもせずに尋ねる。

 

「私はレミリア・スカーレットよ」

 

「十六夜咲夜です」

 

蝙蝠の羽の少女が名乗り、続いてメイド服の女性も名乗る。

 

「とりあえずそこから出してあげる。咲夜」

 

「畏まりました」

 

咲夜はそう言うと鍵を取り出し、牢屋の扉を開ける。

ギィィと言う音と共に牢屋の扉が100度ほど開いた。

終夜は黙って牢屋から出て、一歩踏み出す。

 

「貴方の名前も教えてもらえるかしら?」

 

「孤月終夜(コズキシュウヤ)」

 

「孤月終夜…フフ」

 

「まあ貴方にはここで死んでもらうから問題ないわね」

 

レミリアは一瞬驚いた表情をしたが、すぐに不気味な微笑みに変わる。

 

「あ?」

 

突然その言葉が出てきて終夜の顔は険しくなる。

咲夜は後ろで落ち着いた表情をし、黙っている。

 

「私はこれでも吸血鬼。500年生きているわ。貴方に死んでもらう理由は私が吸血鬼だから。」

 

レミリアがこんな絶望的な説明をしても終夜の表情は無表情のまま一切変わらなかった。

それどころか何を考えているのか全くわからない。

 

「吸血鬼?あっそ。 とりあえず邪魔だ」

 

終夜の、意外すぎるその発言で、レミリアの顔から微笑みが消え、代わりに終夜を睨む。

 

「飛べもしないのにどう逆らうのかしら?」

 

レミリアはまだ余裕が残った表情で終夜に問う。

 

「さあな」

 

次の瞬間、終夜はレミリアたちを警戒しながら斜め前に走り出した。

レミリアたちとは反対の方向である。

そこには小さなテーブルがあり、その上には二本の刀がある。

終夜が閉じ込められる前、持っていた刀だ。両方とも鍔は無い。

終夜はその刀を取ろうしていたのだ。

それを見た咲夜は自分のナイフに手を伸ばしかける。

 

「待って咲夜」

 

レミリアは終夜の行動を阻止しようとせず、咲夜を止める

 

「…なぜですか?」

 

「抵抗させてみるわ。貴女はそこで見ていなさい。」

 

「…畏まりました」

 

咲夜は伸ばしかけていた手を戻し、一歩下がった。

終夜はすでにテーブルの上の刀を取り、構えていた。片方は普通の刀身でもう片方は黒い刀身である。

 

「相手してあげる」

 

「俺をなめるなよ」

 

終夜は足で石の地面を蹴り、レミリアに一気に近づく。そして右手の黒い方の刀を振り下ろした。

しかしレミリアは一歩横にずれてそれをかわし、爪で反撃してくる。

それを終夜は一歩退いて避けた。

 

「なかなかいい動きをするわね」

 

「…」

 

終夜は何も言わずに、ただレミリアを睨んでいる。

すると終夜はまた一歩踏み出し、今度は左手の刀をレミリアの右肩目掛けて振り下ろす。

だが簡単にかわされた。

次に黒い方の刀で突きをすると、レミリアは屈んでかわす。

次の瞬間、終夜は吹き飛んだ。そして壁に叩きつけられる。

レミリアは終夜の攻撃をかわした後に一気に接近し、終夜の胸に蹴りをくらわせたのだ。

 

「グッ…ガハッ」

 

吐血こそしないがかなりのダメージだったようだ。胸を手で押さえている。

そしてゆっくりと立ち上がる。

 

「なめているのは貴方もじゃない。もう少し本気を出せばいいのに」

 

レミリアはそう言って少しだけ呆れたような顔をする。

 

「…」

 

終夜は何も言わない。

ゆっくりと歩き始めた終夜はレミリアにだんだん近づいていく。

レミリアは無表情でそれを見ている。

カツッ カツッ

静かな空間に終夜の足跡だけが響いている。

何歩か進んだところで終夜は思い切り地面を蹴った。

終夜とレミリアの間隔がみるみる縮んで行く。

そしてレミリアに斬撃を連続で叩き込み始める。

さっきより明らかに力と速さが上がっている。レミリアの言った通り、さっきは本気ではなかったのだ。

レミリアはその斬撃をなんとか捌いているが、ところどころカスっている。

終夜は無言で切り続ける。

 

「クッ」

 

レミリアはなんとか終夜の刀を弾き、後方にジャンプして間合いを取る。

 

「やっぱり本気じゃなかったのね」

 

「…どうせお前も本気じゃないんだろう?そんなに手加減してたら俺は殺せないぞ」

 

「フフ…そうね、それなら次で終わらせるわ」

 

終夜は再度身構えるが、汗を流している。

吸血鬼が次で終わらせると言っているのだから、相当な攻撃が飛んで来るのだろう。

そう考えていたからである。

 

 

その考えは見事に的中した。

レミリアが凄いスピードで終夜との間合いを一気に縮めて来たのだ。

加えてレミリアは終夜に向かって鋭い爪を振るう。

 

「何!?」

 

その速さは終夜が対応できる速度を越えていたため、避けるのは不可能だった。

その為、終夜は刀で防ごうとする。

だが、それも遅すぎた。

レミリアは終夜の左胸から右肩を一瞬で切り裂いた。

 

「ぐああああ!!!」

 

終夜は怯み、後ろに少しのけ反る。

レミリアはその隙を見逃さなかった。終夜の腹に蹴りを叩き込む。

その蹴りが直撃し、終夜は吹き飛んだ。

威力はさっきの蹴りと比べ物にならない。完全に殺す気だ。

ドゴォン

終夜が壁に激突し、今度は壁の方もへこんでいる。

 

「ガハッ」

 

終夜は血を吐き、倒れた。

骨が何本も折れたため、もう力が入らない。

胸からは血が流れ出ている。

そこにレミリアが近づいて行く。

ゆっくりと。無表情で。

そして、終夜のところまで来ると足を止める。

対する終夜はレミリアを睨んでいる。

 

「今ので殺すつもりだったんだけど、まだ意識もあるのね。」

 

吸血鬼と普通の人間との力の差は歴然。常人ならとっくに死んでいるだろう。

 

「でももう動けないでしょう?」

 

レミリアはそう言うと終夜の首を掴み、持ち上げる。

 

「クソッ…」

 

背丈は終夜の方が高いため、一応足は着いている。だが本当に動けないのだから意味がない。

 

「ここまでよく頑張ったわね。それじゃあ、サヨナラ」

 

レミリアはそう言って、人差し指を起てる。

終夜は動けないが、ずっとレミリアを睨み続けている。

レミリアは終夜の喉元の、自分の手で隠れていない部分に向けて手を突き出した。

 

 

 

 

 

 

だが、何を思ったのかほんの数センチ前で止めた。

 

「何だ…お前…。情けでも…かけるのか…?」

 

「………フフ、なるほど… 貴方を生かした方が面白い結果になるわね」

 

「あ?」

 

「貴方を生かすと言っているの。そうね、ここで働いてもらおうかしら」

 

レミリアはそう言って終夜の首から手を離す。

 

「ふざけているのか?」

 

「大真面目よ。怪我の治療もできるし、命を助けたかわりに働いてもらうと言うことでいいかしら?」

 

殺そうとした本人が言う言葉では無いが、レミリアは終夜に提案する。

 

「チッ…まあ…いいだろう…」

 

終夜はレミリアの「面白い結果」と言う言葉に任せ、承諾した。

 

「交渉成立ね。先に言っておくけど完治したら早速最初の仕事を任せるわ」

「それは私の妹がいる部屋に入ってもらうこと。詳細はその時に言うわね」

 

「わかった」

終夜はまた面倒なことが起こりそうだなと思いながら了解する。

 

「それじゃあ咲夜 終夜を運んで」

 

「畏まりました」

 

レミリアは今までずっと落ち着いた顔で見ていた咲夜を呼んだ。

 

「面倒なことになってきたな…」

 

終夜の小さな言葉は二人には聞こえなかったようだ。




八ツ奈豆です。
今回は戦闘がメインでした。
次回も戦闘が多いかと思います。
でも書くのが辛い…。
ま、まあ頑張りますので是非とも温かい目でお願いします。
ありがとうございました~。
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