とあるポケモンマスターの日常   作:スプラッシュニート

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タグには入れませんでしたけど、たまにネタを放り込みます。
                   
プロローグ 
シロガネヤマやばくね? 


プロローグ シロガネヤマやばくね?

 

「ッダーー!チクショウ!なんでこんなことになってんだよ!」

 

 ポケモンマスターになってしばらくたったころ、「せっかくだしあのシロガネヤマを登ってやろうじゃないか」などと思いついてしまった俺は、そのことを深く後悔していた。

 来た道を全速力で逆走する俺の背後にはまるで怪獣映画にでもでてきそうな姿形をしたポケモン、バンギラス。その重い足音と強烈な鳴き声(というか叫び声)がどうしようもなく俺の恐怖心を煽る。

 油断していたわけではないが、……いや油断はけっこうしていたけど、本来ならこのバンギラスを倒すことはそう難しいことではなかっただろう。

 だが、画面越しに見ていた思い出の場所に実際に立った感動は俺の知覚能力をかなり低下させた。結果俺はその場所に最初からいた存在に気付くのに遅れ、挙げ句の果てにそのポケモンが本来だったらありえない野生のバンギラスだなどと驚いている内に敵にかなりの接近を許してしまったのだ。

 自分の情けなさに涙が出そうになる。この世界がゲームとは違うということなどとっくの昔に分かっていたはずなのに、肝心な所でこういったミスをしそうになる。

 ってかした。散々したし今もしている。あれっ?俺って成長してない?

 いやそんなはずは……。などと考えながら涙目で(自分の不甲斐なさを噛み締めてである。怖いからではない。怖いからではない!)走っている内に僅かながら”やつ″(バンギラス)を引き離すことに成功していたようだ。心持ち足音が小さくなっているように感じる。どうやら”やつ″のスピードは俺には及ばないようだ。

 これは朗報である。

 

「お前に足りないものを教えてやるっ!それは、情熱思想理念頭脳気品優雅さ勤勉さ!そしてなによりもぉ!!」

 

 ここぞとばかりに煽る。とにかく煽る。こうして煽ることにより傷つけられた己の尊厳を癒やそうとする。いやっ、別にビビってはいなかったけどね?泣き出す寸前とかだったわけでもなかったし、泣かされそうになったことをおこってるわけでもないしね?うん、キレてないよ?全然。うん、キレてないですよ?

  

 オレキレサセタラタイシタモンデスヨ? 

 

 まぁとにかくっ、俺は生前……この言い方も変だが……好きだったとある決めゼリフを言おうとしたのだ。だがしかし、あのバンギラスは人の話を聞くこともなく、その場で地面を何度も何度も猛烈に踏みつけ始めたのである。

 これが「あのバンギラスメッチャ地団駄踏んでるーっ!煽り耐性ひっくー!ぷーくすくす」という話ならとても楽なのだが、残念ながらそういうことではい。

 あの動作はとある技を出すためのものなのだ。

 一番印象深いのは”大地のサカキ″と戦った時のものだろう。

 あれはマズイッ!と判断した俺はとにかくその場を離れようとする。が、逃げ出すにはもうすべてが遅かったのだ。

 バンギラスの技、[じしん]が発動される。

局地的に発生した揺れが俺を襲い、

 ーーそして、それに抗う手段は俺にはなかった。

 逃げるためにあえてある程度危険な道を選んだが、それが裏目に出た。

      足を踏み外す。

       一瞬の浮遊感。      「ーーー速さが足りなかったのは」

    自嘲するように、呟く。

      僅かに悔恨と憧憬を乗せて。    「ーーー俺の方だったか……」

 無駄にかっこつけてみたが、その結末は変わらない。もちろん痛みも恐怖も変わらない。

 

「ギャーッ!!!イタタッ!ガッ!へぶっ!ぐはっ!こひゅっ、ぐっ!ーーーのおおおぉぉぉぉー!!!!!」

 

 落ちる、落ちる。どこまでも転がり落ちていく。痛みでだんだん意識が朦朧としていき、惰性の如く叫びながら思い出すのはとあるドラゴン使いの言葉。

 

「いいかい?君なら大丈夫だとは思うけど、シロガネヤマでは何が起きてもおかしくない。十分に注意してくれよ?」

 

 聞いてるのかい?本当に分かったのか!?本当に大丈夫なのか!?などと言っていたのを思い出す。

 ああ、俺はひどいやつだ。彼はあんなに俺のことを心配してくれたとゆうのに、俺はテキトーにそれを聞き流していたのだから。

 彼にはあやまらないといけないな。なぜならあの時、

 「てめぇーは自分の心配でもしてな!まぁどんなに心配した所でどうせその内ボンジュールと赤帽子に二連敗するんだけどな!」とか内心考えていたからである。

 哀れワタル、君の敗北はおそらく避けられないだろう。だってあいつらまだトレーナー資格取ったばかりのはずなのに既にやべぇポケモン連れてるし。特に赤帽子の電気ネズミは[でんきだま]2~3個もってます?ってぐらいバグってるからな。

 なんてバカなことを考えているが、この状況は正直シャレにならない。ようやくのことで掴んだモンスターボールを、自分の進行方向に繰り出す。何のポケモンを出したかは自分でもわからない。願わくば、この状況を打破しうるポケモンを。

 背後からはモンスターボールの開閉音。頼むっ…!どうか俺を受け止められるポケモンを!神様お願いっ!

 はたして出てきたポケモンは、ーーーー

ーーー俺の頼れる”相棒″だった。

 冒険を始める前からの仲間で、最も苦楽を共にしてきた家族。

 カントー中を冒険し成長を重ね、進化した時には自分のことのように嬉しくなった。

 最早己の分身とも言えるような存在である、

                   

 そんな…………”相棒″(ブラッキー)が。

                   

 ……………でも君じゃボクのこと受け止められないよね?

 

「オマェじやねえええぇぇぇ!!!!」

 

「ぶらっ!?(なに!?)ぶらっきー!?(突然どういうこと!?)」

 

 いきなり”マスター”(おや)に怒られて戸惑っている相棒の横を猛スピードで通り越して行く。やっぱ神はクソだな!ふぁっきん!

 ああごめんよ、相棒。お前が悪いわけではないんだよっ!状況もわからず突然怒鳴ってきたマスターのことを、それでも追いかけてくれるブラッキーの優しさに感動する。あとでまたブラッシングしてやるからな!

 改めてポケモンを出そうと腰のあたりを探る。しかし何度も頭を打ち、目も廻っている状態では上手くモンスターボールを取り出すことができない。

 

「あぁ、くっそ!せめてもうちょいーーー?!」

 

 回転が遅ければ、と言おうとしたところで、不意に体が痛みから解放された。

 

「ぶらー!?(マスター!?)」

 

 先ほども感じた浮遊感。

 ただし今度は、一瞬などではなかった。

                   

 あっ、ヤベェ、死んだかも。

                   

 崖から放り出された俺は、意外と呑気なことを考えていた。人間死にそうになると、案外こんなものなのかもしれない。覚えてないけど前回もそんなものだったのかもな。

 ふと、思い出すのはこの世界での日々。

 つらかったこともあったけど、概ねは楽しいことばっかりだった。

 まるで時間が止まったかのように、ゆっくりと感じられる。

 走馬灯というやつだろうか?少し疑問に思ったけれども、まぁなんだっていいや。 もし死んだら、今度こそ全てを忘れてしまうのだろうから。

 ならせめて、今だけは。

 しばし思い出に浸るのも悪くないだろう…………………………………………………………………………………………………

 




•画面越しに見た思い出の場所
 ヒント 赤帽子
•野生のバンギラス
生存競争で鍛えられ、そういう個体も生まれるよっていう独自設定。ちなみにこの個体はシロガネヤマの主だったりする。つよい。
•お前にたりないもry
二次創作を読んでると高確率でみることになるネタのひとつ。あとはジョジョとQベエとボーボボ。これを二次小説ネタ四天王という(大ウソ)
•「速さが足りなかったのはーーー」
•「ーーー俺の方だっだか」
ネタの最中だからといって安全だとはかぎらないのである。それにしても初っ端から失敗する主人公ェ……。
•”大地のサカキ″
主人公がジムに行ったときは普通だったもよう。ロケット団ではあったけど。
•ドラゴン使い
かれが ぽけもんりーぐ ほんぶ のちゃんぴ おん です!
•バグった電気ネズミ
実は昔[でんきだま]を呑み込んでしまい群れから追い出されたという設定がある。
•“相棒”
ブラッキー。ニックネームは“イブ”。彼女の鳴き声には悩まされたが、「まぁいっか」ってなってこのとおり。あと主人公はポケモンが何を言ってるかを理解できるわけではない。
•今度こそ全てを忘れる
次回わかります。
                   
主人公が最初と最後でノリが違うのは半分仕様です。コンセプトが“変な一般人”なので結構その場のノリに流されたりします。後半分は作者の力量不足なもよう。努力します……。
というわけで今回はここまで。あとがきがかなり長いな……。多分改善されない。(確信)
ではまた次回。

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