第三話 旅立ちの、誓い。(上)
トレーナー資格ってのがあるんだが、あれは案外適当な物である。12歳以上の人間が、簡単な試験(社会のルールや人としての良識などが問われる)に答えれば貰えちまうような代物なのだ。俺も12の誕生日に受けてソッコーで貰った。
これでようやっとポケモンを持てるのか、というとそうではない。そもそも、推奨がされてないだけで、トレーナー資格がなくともポケモンの所持は認められているんだ、この世界。
例えば金持ちが子供に防犯目的でポケモンを持たせるとかな。
じゃあ何でこんな資格があるのかってぇと、ポケモン協会の建て前とか、ポケセンの利用者の制限(資格があれば泊まることができる。家出の助長につながるとのこと)等色々出てくるわけなのだが。
とりあえず、今回の主題は資格がなくともポケモンが持てるということであり、
子供の遊びが、時にシャレにならないことになる、ということである。
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ある日、近所の博士に近々旅に出ることを伝え、まさかまさかの展開で“とある物”のプロトタイプを託された帰り道のことである。
俺が“これ”を手にする日がくるとは……などと思いながら、るんるん気分で歩いていく。
空を見上げれば、透き通るような“青”が広がる。まるで今の清々しい気分を表してるようだ。
遠くの山々を見れば、広大な“緑”が俺の心を落ち着かせてくれる。
そして、俺の旅立ちを祝福するように、燃える“赤”と雷の“黄”が視界の隅で踊り、
響き渡る“戦闘音”が…………。
……戦闘音が?
広場の方で電撃だの火炎だのがぶつかってるのが見えるんですけどこれはいったいどういうことなんですかね……。
ってかアイツらはまたこりもせずにポケモンバトルをやってんのかよ。こないだ怒られたばっかじゃねぇか。
「また“レッド”と“グリーン”の奴か?」
「嫌だねぇ、またポケモンバトルしてるのかい?」
「まあいいじゃねえか。漢ってもんは、そういう生き物だからな!」
「ばか言うんじゃないよ!バトルなんてものはもうちょい大人になってからでいいんだよ。子供が無理してケガなんかしたらどうするんだい!」
俺の爽やかな気分を返せ、などと考えていると、どうやら他の人達も気付いたようで広場の方を見ながら口々に思い思いのことを喋っている。
「あっ、“クロノ”だ」
すると、一人が俺に気付いたようで俺の名前を呼んだ。その声に反応した人全員がこっちを一斉に見る。こえぇよ。こっち見んな。
「丁度良いところに来たねぇクロノ」
知り合いのおばさんが話しかけてきやがった。何か用かよ。
「あの二人がまたポケモンバトルの真似事をしていてねぇ」
まったく誰に似たんだか、と続けるババア。た、多分俺じゃないよ?(メソラシ)
目を逸らす俺をジト目で見るババア。やめろ、俺にそんな趣味はねぇ!
俺の願いが届いたのか、ため息を吐くとジト目をやめた。
「ちょっとあの二人を止めてきてくれないかね?」
「ちょっと何言ってるかわかんないですね」
くるっ(その場を離れようとする俺)
ガッ!(そんな俺を捕まえるババア)
「いいから行ってこい」
「アッハイ」
マサラタウンで俺の立場は、残念ながら低かった。
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んで、その後ババアの命を受けた俺は、多少のゴタゴタを経て、将来のポケマス二人を制圧したわけである。
「お前ら、ガキがポケモンバトルなんかしてんじゃねえぞ」
「「クロノには言われたくない」」
二人同時につっこまれた。くそっ!やはりババアの人選は間違っている!
語呂が悪い、イマイチなどと呟きながら思う。実際こいつらの言うことは間違っちゃいない、間違っているのはババアのほうだ。(暴論)
「言いたい事はわかる。俺も前までは同じ立場だったしな」
俺もそうやって、周りに止められながらイブを鍛えていたわけだからな。むしろこいつらは俺の真似で始めたまである。
しかし、
「まぁ、俺はもう正式なトレーナーだからな。いや~言いたくないけど言わなきゃいけないんだよねぇ、うん。いや、君たちの安全のためだよ?心を鬼にしないと。うんじゃあ、いうよ?危険な事はやめなさい」
「「クロノてめぇー!!!」」
とりあえず煽れる内に煽っておく。ははっ!悔しかったらトレーナー資格取ってから出直してこい!
「ああ、そういやぁ“リーフ”はどうしたんだ?いつもなら、あの子が真っ先に止めに入るのに」
レッドの双子の妹である彼女は、コイツラとは違い真面目ないい子なのだ。
マサラの子供達の、唯一の良心とか言われてる子だったりする。俺?俺は、ほら、もう大人だし。
で、本来ならマサラの天使=リーフが
「おままごとしよ!」(リーフ)
「しょうぶだクロノ!」(グリーン)
「……ポケモンもってないだろ」(レツド)
「イブ、スピードスター!」(無視する俺)
とか、
「へへーん、どうだクロノ!オレもじいちゃんに言って、ポケモンを手に入れたぞ!」(グリーン)
「……ぼくのピカだって、まけない」(レッド)
「もうっ、二人ともたたかいなんてだめ!クロノさんからも言ってよ!」(リーフ)
「イブ、かげぶんしん!」(聞いてない俺)
とか、
「レッド、バトルしようぜ!」(グリーン)
「だからだめだって!お兄ちゃんもざんねんそうな顔しない!そういうのはトレーナー資格を取ってから!……っていうかクロノさんはどこ行ったの!?」(リーフ)
「……クロノなら、バトルがおれをよんでいるとか言って、どっか行った」(レッド)
「クロノさぁぁぁああんん!?」(リーフ)
「イブ、シャドーボール!」(その場に居ない俺)
とか。相手にされなくて、最終的にリーフが泣き出し、俺、レッド、グリーンがレッドママや母さんなどに怒られるまでがデフォなのに。そういえば母さんはリーフちゃんには優しくしなさいとか良く言うけど、いわれるまでもなくリーフには優しくしてるぞ?そりゃあバトルしかけてくるガキよりも、可愛い女の子の方を大切にするさ。まあそう言つたらわかってない……とかため息吐かれたけど。
「リーフか?リーフならたしか……」
「……はかせに、ポケモンをもらいに行った」
……ハ?
「すまん、もう一回言ってくれるか?」
「だから、じいちゃんにポケモンをもらいに行ったんだって」
「何でだよっ、あの子はポケモンを持つのは資格を取ってからとか、言ってなかったか?」
だって、
「俺みたいに資格取る前からポケモンを持ってるのは、あまり好きじゃないんだろ?」
俺がイブと特訓していると、たまに遠くから睨んでることがあったし。優しいあの子のことだから、ちゃんと資格を持っていない人がポケモンを育てることに反対してるのかと思っていた。
「……別に、リーフはそこまで厳しいわけじゃない」
「そうなのか?でもお前らがバトルしてると、だいたい止めに入るじゃん」
「バトルは危ないからだめ、なんだってよ」
「ふ~ん……、ん?でも俺はバトルしてなくてもリーフに止められたことあるぞ」
「……それは、クロノがイブにばっかりかまうから」
「あ?それってひょっとして……」
もしかして、そういうことなのか?
「リーフもイブと遊びたいっ、てことか?」
「あ~、じいちゃんにイーブイは若い女に人気だって聞いたことあるし、リーフはイブが欲しいんじゃね?」
「まじか、俺じゃイブを育てるには役不足だってのか」
「…………」
「じゃあせめて、もっとあいつにもイブさわらしてやればいいんじゃね?」
「でもなぁ、イブってあんまし人に触られんの好きじゃねえんだよなぁ」
「……ちがう」
「うん?何がちが……と、噂をすれば」
丁度良いタイミングで本人が来たので、直接聞いてみることにしよう。
「(イブを育てるのは)俺じゃだめか?」
「ととと、とつぜん何を言ってるんですか!」
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レッドside
「で、リーフはどんなポケモンをもらったんだ?」
その後、クロノの言葉により動揺した妹をなんとか落ち着かせると、僕達は改めて話しをすることになった。
「えと、わたしがもらったのは……」
慣れてないので、ぎこちない様子でボールを取り出し、繰り出したのは、
「ぴっぴ~」
「おお、ピッピか」
クロノによると、ピッピというポケモンらしい。
「はいっ、そうです。ピピってなづけました!」
「……よく知ってるね」
「ああ、あいかわらずの知しきだな。じいちゃんがけんきゅうしゃになってほしいのにってなげいてたぞ」
「魂はバトルに売った」
「……それ、多分いばることじゃない」
「そうですよ!クロノさんはバトルのことばかり考えすぎです!」
……リーフ、君の場合はクロノに構って欲しいだけだろ?
今回ポケモンを貰って来たのも、クロノと話す機会を増やすためだろうし。
「そんなことないでバトル」
「こいつごびがバトルになってやがる…!」
まぁ本人に気付く様子がないんだけど。
「でもこれからは、リーフもバトルにさんかするってことだな!」
「ちょっと!だからバトルは資格をとってからだって!」
「……だいじょうぶ、ぼくがかつから」
「いや、そういうもんだいじゃないでしょ!?」
「なんだとっ!やんのかレッド!」
「はぁ……。お前ら、もうちょい仲良くできねぇのか?」
ため息をつき、クロノが続けた。
「お前らが俺抜きでやっていけるのか、お兄さん心配になってきたよ……」
その、突然の一言に、僕らは言葉に詰まった。
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……あれぇ?
みんな突然黙っちまったけど、いったいどうしたってんだ?
ここはいつものようにクロノなんかいてもいなくてもいっしょだ、とか言うとこじゃねぇのかよ。あれっ?おかしいな、涙が。
一早く復帰したレッドが、チラッとリーフの方を見ると、俺に質問してきた。
「……クロノ、やっぱり旅に出るの?」
「おう。明日な」
「あ、明日!?」
「お、おう……。そうだけど」
ビックリした。そんなに驚くことか?
「……なんできゅうに」
「いや、急じゃねぇだろ。前々から言ってたはずだ」
資格取ったら即ポケマスも取りに行くっと、俺は常々言ってきた。
「く、クロノ!たびはきっとあぶないよ!」
ハッとしたように、リーフも言う。
「それはわかってる。それでも行くんだ」
「な、ならせめてわたしたちがたびにでれるようになってからにしない?」
「そうだそうだ!それとも、おれからにげんのかクロノ!」
「ちょっとグリーンは静かにしててくれ。今リーフと話してるから」
だいたい、俺はグリーンにバトルでまだ負けたことがない。将来的にどうなるかはわからんが。
「なあ、リーフ。俺さ、既に五年イブを待たせてるんだ」
俺が子供だったから、イブと旅にでることが出来なかった。
それでも、イブは待っててくれたんだ。
「リーフ達が資格を取るまでの後三年、さすがに待たせる訳にはいかないんだ」
だから、ごめん。
そう言って、リーフの頭を撫でた
「……っ!……また、イブ……っ!」
イブと会えなくなるのが寂しいのか、泣きそうになるリーフ。イブが闘うことに納得がいかないのかもしれない。
でも、だからこそ止まるわけにはいかないんだ。
鑑賞用としての生き方を拒んだ彼女をポケモンバトルの頂点まで連れて行くと、そう、“誓った”のだから。
「…そ、そんなにバトルが好きなら!」
すると、さっきまで必死に涙をこらえていたリーフが突然顔を上げると、こっちを睨んできた……って、え?
「わたしが……バトルの相手になってあげる!」
ーーーふと、周りを見れば、
結局バトルすんのかよ!とか騒ぎはじめるグリーン。
ため息をつくレッドが、グリーンの袖を引っ張って、俺たちから離れて行く。
「それでわたしがかったら!よわいクロノなんかに、一生たびなんか、させないんだからーーーーー!!!!!」
目の前には、若草色の目に闘志を宿したリーフの姿が。
…………何でこんなことに?
•近所の博士
何故か頑なに名前を呼ばない。
•“クロノ”
ようやく出た主人公の名前。別に執務官ではない。イメージカラーは黒。ブラックだと違う主人公になっちゃうしねぇ……。
•顔見知りのおばさん
オリモブ。よく主人公のことを注意してたので、主人公は頭が上がらない。実は見た目の年齢は二十代ほどで、クロノは心の中で親しみをこめてババアと呼ぶ。既婚者。
•アッハイ
アッハイ?アッハイ?それともあっはい?まあとにかく、忍者をスレイヤーする系のネタ。ネタ四天王はこっちかもしれなかったなぁ、とプロローグのあと後悔した。
•レッド
赤帽子。一人称は“僕”(ぼく)。この小説だと一応喋る。割と大人で周りをよく見てる子。現在9歳
•グリーン
博士の孫。一人称は“オレ”(おれ)。将来主人公と喋り方が被るんじゃないかと、作者的にビビってる。
•リーフ
天使。一人称は“私”(わたし)。ゲームでいう女の子の主人公。マサラタウンにビックリマークが大量発生した原因。ツッコミキャラ扱いにくっ。
Q三人の喋りについて
A“ガキが流暢に喋ったらだめ”という、じぶんの書いたことに苦しめられる作者。読者にも読みにくさをプレゼントすることになり、誰も得しない結果に。
•レッドside
作者初の他者視点。結果惨敗。いずれ必要になると思ったので試したが、この様だよ!地の文までひらがなにしたらわけがわからなくなると思って、逃げた(ヒラキナオリ)。
Qリーフはクロノが好きなの?
Aまだ恋愛感情ではない。9歳じゃまだ早いんじゃない?いや知らんけど。まあいずれ、その内、ね?
というわけで今回はここまで。
前書きでも触れたけど長く書けるようになったよ!
で、張り切って旅立ちまで書こうとしたけどたどり着けず、結果(上)。
とりあえず次回で旅立たせ後は飛び飛びで旅の途中をやるつもり。
今の予定だと途中でカントーを離れることになるけど、そこを詳しくやるつもりはありません。前も言ったけどこいつをとっととポケマスにしたい。タグはとりあえずどうにかしたけど、肝心のタイトルまでまだたどり着いてねえんだよ……!
ポケモンマスターになってやる!(主人公が)
ではまた次回。