続きを読みたい方がいれば、その際に一言おっしゃってからお願いします。
…というか、誰かに託すこと前提で書いてます…いない可能性が高いと思いますが(苦笑)
「ギギギィ!!」
マガバッサーが、突如現れ自分の獲物を奪った光の巨人、ウルトラマンオーブを敵とみなし、滑空しながら突進する。オーブはそれに対し、蹴りをお見舞いしてマガバッサーを押し返す。マガバッサーはすぐに態勢を立て直し、今度はその鋭いくちばしでオーブを突き刺そうとする。突き出されたくちばしを両手でつかんで防いだオーブだが、脇が空いたのを見たマガバッサーは両翼でオーブの脇腹を叩き、再度滑空を利用した突進でオーブを突き飛ばした。吹っ飛んだオーブだが、即座に跳ね起きて再度突進してきたマガバッサーの真上に跳躍。
「シュワァ!!」
真上からの、オーブの掛け声に乗せて拳マガバッサーに叩き込まれ、マガバッサーは地面に押し込まれた。
立ち上がったマガバッサーに、再びオーブは攻撃を仕掛ける。跳躍と同時に、マガバッサーの喉元にチョップを叩き込むが、マガバッサーはオーブの頭上辺りまで羽ばたき、蹴りに載せてその鋭い足の爪を突き出してオーブを怯ませる。さらにもう一発蹴りを加えてオーブをダウンさせると、真上からオーブを踏みつけ始めた。
だが、オーブはこの程度で倒れることはなかった。マガバッサーが再び宙に上がったところで、その足を両手で捕え、マガバッサーを振り回し始めた。
「ヌウウウウウウ……オリャアアアアアアア!!!!」
「ギイアアアアア!?」
豪快なジャイアントスウィングが炸裂。マガバッサーは背中を地面に打ち付ける形で落下した。
「すっげえ…!!」
村人たちは、オーブとマガバッサーの激闘に目を奪われた。この世界にて執筆されている物語でも、巨人と怪物の戦いなんて想像されてもいなかっただろう。だが、そんな夢にも思えない非現実的な光景が、こうして現実となって目の前で起こっている。
「か、かっこいいのだ!!」
「がんばれーーー!!」
子供たちは歓喜していた。恐ろしい怪物と戦う勇敢なオーブの姿は、まさに子供たちの憧れとなってその目に焼き付いていた。
対して、関羽だけはまた違った反応だった。
奇妙な感覚だった。あの巨人を目にしたのは今回が初めて…のはずだ。なのにどうしてだ…なぜ…胸がこんなにもざわつくのだろう。
(あの巨人…私は前にも会ったような…いや、そんなはず…)
関羽が、自分の中に抱かれた新たな違和感に困惑する中、オーブとマガバッサーの激闘は続く。
マガバッサーは、オーブに向けて翼をばたつかせる。猛烈な風がオーブを襲い、彼は風にあおられてうまく立ちきれなくなる。だが、オーブは踏ん張り、手にノコギリ状の光輪を形成、マガバッサーに向けて投げつける。
(くらえ…〈スペリオン光輪〉!)
「シャ!!」
すると、マガバッサーは翼をばたつかせるのを即座に止め、空へ羽ばたいて回避する。逃がさない!オーブは投げつけた光輪を咄嗟に掴んで、再度空に逃げたマガバッサーに投げつけ、自分もマガバッサーを追って空に飛ぶ。
逃げていくマガバッサーの翼の一部を、光輪が切り裂いた。鳥など、空を飛ぶ生き物は翼の一部が欠けただけでも飛行するのが難しくなる。バランスを崩して落下を始めたマガバッサーに、オーブは追撃を加えるべく接近。マガバッサーは反撃に翼を使ってオーブを殴ろうとするが、手を持たない生物のジャブでは到底オーブの鉄拳には敵わなかった。逆に頭に埋め込まれた赤いクリスタル部分を殴り付けられ、ヘッドロックを懸けられたマガバッサーは、オーブと共に地上へ落下した。
戦闘開始から、このときまでわずか2分の事だった。そのたった2分の短時間で、オーブはマガバッサーを圧倒していた。
なんて強さなのだ。それに空を自由に飛んだり、光の輪を飛ばして切り裂いたり…まさに超人というべきオーブの戦闘力に、村人たちや、地上で待っていた関羽たちはそう思うしかなかった。
しかし、巨人の身に異変が起きた。
「む、あれは…?」
関羽は、オーブの胸に埋め込まれた青い光の輪が、赤く点滅し始めたことに気付いた。それに伴い、オーブが疲労を蓄積したのかわずかにふらつき始める。
ウルトラマンは、世界によっては大気汚染の影響、変身の維持に必要なエネルギーの関係などから地球の環境に適応しきれず、その個体の多くが変身してからわずか3分ほどしか地上でその姿を保つことができない。胸の『カラータイマー』の点滅は、北郷一刀がオーブとして戦えるまで、あとわずかの時間であることを知らせているのだ。
その際、『ウルトラマン』と『ティガ』の姿が、カラータイマーを赤く点滅させながらオーブの体から引きはがれるようにちらついて消えた。
もう時間がない。だがマガバッサーもすでに限界のはず。なら、ちょうどいいタイミング。
最大の必殺技で、止めを刺す!
オーブは、頭上に右手をかざすと、鏡のような光の円が形成される。両腕を十字型に組み上げ、円が収束すると同時に、ウルトラマンオーブ最大の必殺技が炸裂した。
「〈スペリオン光線〉!!」
青白い破壊光線が、マガバッサーに炸裂した。
「ギヤアアアアアアア――――――!!!!」
マガバッサーは避けることもできず、その身に光線を浴び続け、やがていくつもの羽を散らしながら木端微塵に砕け散った。
「お、おおおおおおおお!!!」
村人たちは、たちまち歓喜にあふれた。あの怪物によって、この村は今度こそ滅亡すると思われた。しかし、突然現れた光の巨人によって、自分たちは救われたのだ。
すると、関羽は巨人の元へと駈け出した。
「あ、待つのだ!!」
それを見かねて鈴々も関羽を追った。
「お嬢ちゃんたち!」「オヤビン!」
村人の集団の中にいた宿の女将や鈴々山賊団の子供たちが引き留めるように声を出すが、関羽らの耳に入らなかった。
関羽と鈴々はオーブの前に立つと、ちょうどオーブと視線があった。
不思議だった。普段の自分なら、驚異の可能性が大きいと考え、警戒していたはず。だが、この巨人からは敵意も悪意も感じられず、脅威であるとは不思議と思えなかった。
「そなたは…一体…?」
この巨人に言葉が通じるかはわからない。だが何者か知りたかった。問わずにいられなかった。関羽は思わずその問いを口にする。
すると、オーブが関羽と鈴々を見つめた時、彼女らの頭の中に声が聞こえてきた。
―――――俺の名は、オーブ
「お、欧布?」
もしや、今の声はこの巨人が発しているのか?目を見開く関羽の言葉にオーブが頷く。
――――闇を照らして、悪を討つ
まるで、決め台詞のような自己紹介だった。オーブは頭上を見上げると、「シュワ!」と掛け声と共に、空へと飛び去って行った。
その夜、関羽は鈴々の山小屋に泊めてもらうことになった。
助けてもらったお礼ということで、鈴々が自分の小屋に泊まることを勧めてきて、少々押し切られる形ではあったが、言葉に甘えて泊まることにしたのだ。
「ふぅ…」
風呂の脱衣所にて、拭きを脱ぎながら関羽は深いため息を漏らした。この数日、あまりにもハードなことが続きすぎて、さすがの彼女も疲れてしまった。
北郷一刀との出会い、鈴々山賊団、怪鳥と村の崩壊の危機、そして…光の巨人『欧布』。
腐敗したこの国を変える。その方法・手段を探すために旅を初めてある程度のことには慣れたつもりでいたが、今回ばかりは驚かされるばかりのことだらけだ。
特に、彼女の記憶に深く刻まれたのは、一刀とあの巨人のことだ。
思い返せば、一刀はマガバッサーの出現の際、「悪魔の風が来る」と予感めいたことを口にした。そして実際にあの怪鳥が現れ、それを光の巨人が倒した。
「北郷殿…欧布…」
二人の名を自然に洩らしながら、風呂場の方へ足を踏み入れた。
「…ふぅ~~、いい湯だ。まさか鈴々の家にこんないい風呂があるなんてな」
「…え?」
思わぬ先客が、そこにいたことに関羽は目が点になった。
昼から姿を消していた一刀が湯船につかっているではないか。それも…全裸で。
それも全裸で!!(大事なことなので二度言いました)
「…え?ッぶふ!?」
一刀もようやく関羽が入ってきたことに気が付いて入口の方を向いてしまった。
湯気で見えづらかったが、それでもお互いの目に映った、異性の裸体。
「き…きゃああああああああああああああ!!!」
「ぐぼあぁあああああああああ!!!!?」
初心な関羽にはあまりに刺激が強すぎる状況に、一刀は天国から地獄へ叩き落とされるのだった…。
「まったく、先に一刀殿が入っているのをなぜ言わなかったのだ!」
湯から上がり、関羽はさっそく鈴々に文句を言った。いきなり風呂場で異性に遭遇し、それも互いの裸を見てしまったなんてシャレにならない。…ちなみのあの後、一刀は気絶させられたところで鈴々に回収、そのまま入れ替わる形で関羽が入浴している。
「にゃはは…ごめんなのだ。先にお兄ちゃんお風呂に入れてたの忘れてたのだ」
「忘れないでくれ…」
鈴々は苦笑いしながら関羽に謝ると、既に気絶から回復して鼻を押さえていた一刀が涙目になりながらぼやいてきた。
「でも嫌わないでほしいのだ。こうして他の誰かと一緒に寝るの、久しぶりだから…」
「はは、いいって。別に嫌いになったなんていってないよ?」
「にゃはは…」
笑みを見せて頭に手をポンポンと乗せた一刀に、鈴々は照れくさそうにしながらも嬉しそうに笑みを返した。
「それにしても張飛、お主いつから北郷殿をお兄ちゃんと呼んだのだ?」
「さっき関羽お姉ちゃんをここに連れてくる前に、お兄ちゃんにお礼がしたくてここに連れてきたのだ。その時に鈴々の真名も預けたのだ」
「そうだったのか」
既に真名も預けていたのか。自分が何とかしてあげようとも考えていたが、その前に鈴々に心を許してもらえるとは、心なしか関羽は若干複雑さも覚える。
「でも、やっぱり大の男の俺が一緒ってのはまずくないか?」
少し言いにくそうに一刀が言う。鈴々がどうしても三人で寝たいと申し出てきたから来たのだが、やはり同じ年頃の娘たちと一緒というのは、さっきのような不可抗力なこともあり得そうなのでちょっと抵抗がある。…それ以上に思春期ゆえの嬉しさもあるが、また関羽にどやされそうなので内緒だ。
「…うぅ、やっぱり嫌なのか?」
「う…!!い、いやぁ…別に嫌なわけないじゃないか!な、なぁ関羽!?」
「え、ええ!」
涙目でこちらを見つめる鈴々。無垢な少女の涙で訴えられてはいかなる理由があっても抵抗しきれない。結局一刀と関羽は折れた。
月がさっきよりも高く昇り始めた頃、三人は川の字で横になった。
「にゃはは。こうしてるの…久しぶりなのだ…父様と母様と…一緒みたいで…」
うとうとし始めている鈴々の言葉に、関羽はぼっ!と赤くなった。
「は、ばば馬鹿を言うな!それでは、まるで私と北郷殿が…その…」
「関羽…ッ!!」
一刀がとっさに人差し指でシーッ!と言って関羽を黙らせようとする。ついでに鈴々の方を指さすと、既に鈴々は眠りの世界に旅立っていた。それを見て関羽は、こほん…とまだ赤面のまま咳払いする。
「眠っちゃったか。久しぶりに他の誰かと寝れて安心したみたいだな」
「…そうですね」
こうして眠っている鈴々を見ていると、心が癒される。亡き兄が幼い頃の自分を寝かしつけた時も、こんな感じだったのだろうか。
「なぁ、関羽。明日になったら、この子の姉替わりになったらどうかな?」
「わ、私が…この子の姉に、ですか?」
「この子には身寄りがないし、このまま村に置いておくにはまた寂しい生活を紛らわすために山賊団ごっこを続けそうだ。しかも、あの庄屋鈴々のいたずらに業を煮やしてただろ?
武術も俺が一度手合せしたときかなりものだったし、頼もしい仲間になってくれるはずだ」
そういえば、確かにあの庄屋のこともあった。それに天涯孤独の身である鈴々の心を解きほぐすには、誰かが傍にいてあげるのがいい。なら、一刀の言うとおりこの子を旅に連れて行くのが一番よさそうだ。
「…そうですね。明日になったら、この子に相談しましょう。
ですが、北郷殿は明日からどうなさるつもりですか?次はどこに向かわれるおつもりで?」
「俺は…」
関羽から明日の予定を問われ、少し言葉を濁したが、一刀はすぐに答えを出した。
「俺は旅の風来坊だからな。君たちとずっと一緒…というのは難しいかな。明日からまた一人で旅に出るつもりだ」
「そう、ですか…」
自分たちの旅には同行してくれるつもりはないらしい。できれば着いて来てほしかったのだが、無理強いは好ましくないので、それ以上言わないことにした。
「なに、どうせこの世界は丸いんだ。またどこかで会えるだろ」
残念そうな表情を浮かべる関羽に、一刀は笑みを見せてきた。
「ほら、もう寝ようぜ」
「…そうですね。では、おやすみなさい」
鈴々に続いて関羽もまた眠りについたところで、二人を起こさないように小屋を後にした一刀はマガバッサーがオーブに倒された場所に来ていた。そこには、赤く不気味に明滅する『マガクリスタル』が遺されていた。一刀はオーブリングを掲げると、クリスタルが砕け散って光となり、オーブリングを介して新たな形を成す。
そこには、オーブとも、ティガやウルトラマンと異なる姿をしたウルトラマンの姿が描かれていた。
「マガバッサーを封じていたのは、メビウスさんの力でしたか。お疲れさんです。
そして、これからよろしくお願いします」
その絵柄にある戦士…ウルトラマンメビウスへの敬意を払いながら、一刀は腰に下げていた、カードホルダーにメビウスのカードを仕舞い込んだ。
「けど、やはり鈴々がじいさんから託されたって言ってたカードは回収できなかったか…」
マガクリスタルが消え、クレーターだけが遺された地面を見つめながら、一刀は呟く。
マガバッサーの封印は、弱まっていたメビウスの封印の上に、誰か別のウルトラマンの力が上乗せされていたに違いない。だが、マガバッサーのマガクリスタルからそのウルトラマンの力の結晶を固形化した『ウルトラフュージョンカード』は回収できなかった。
「封印に使われていたとはいえ、すでにカードって形で鈴々の手にあった以上、新たに回収はできないってわけか。だとすると…やっぱ奴から取り返すしかないな。
…くそ、あの野郎…」
一刀は、鈴々が祖父から託されたというカードを奪った犯人に対する、憎悪ともいえる怒りをその胸の中で燃え上がらせていた。
「お前だけは許さねぇ…待っていろよ…『左慈』!」
これから先、一刀は一人で旅をしつつも、幾度も関羽をはじめとした少女たちと出会いと別れを繰り返しながら、平和のため…そして己が目的のため、ウルトラマンオーブとして戦うこととなる。
その果てに待つものは、果たして…。
その頃…。
「結局マガバッサーでは無理だったか…っち、使えん駒だ」
一刀と同じ年くらいの若い男が、露骨に舌打ちする。その手には、一刀の持つオーブリングと似た、黒い輪のアイテム『ダークリング』が握られている。
そのリングの輪の中から、一枚のカードが生成される。そのカードには、オーブに倒されたマガバッサーの絵が描かれていた。
すると、メガネの男は苛立つ彼をなだめた。
「まぁまぁ、どちらにしても構わないじゃないですか。奴がここで倒れてもよし、たとえ奴が今の段階で『六体の魔王獣』すべてを撃破してもよし…我々の計画に何の支障もありません」
「だが、忌々しいことこの上ないが、『奴ら』の力は侮れん。曲がりなりにも北郷一刀はその力に選ばれた男だ。どんな力を使って我々を凌駕するかもわからん。この世界が、歴史が『リセットされた』形とはいえ存在し続けている理由も、まだ憶測の範疇だ」
「その時はまた、策を講じるのみです。私は策を練るのが得意ですからね…ご遠慮なく頼ってください。我々にとって…北郷一刀は邪魔者ですからね。
幸い、北郷一刀…いえ、『ウルトラマンオーブ』は本来の力を失い、他のウルトラ戦士の力に頼らなければ変身できない死にぞこないですからね。たとえば…あなたが持ってきたこのカードとか、ね」
眼鏡の男は、一枚の札を若い男に見せる。そこには、深紅の体に金色の瞳を持つ戦士の姿が描かれていた。
鈴々の祖父となった男が彼女に残していた、マガバッサーを封じていたカードである。
「やはり他のウルトラ戦士も関与していたか。年月と共に消えかけていたウルトラマンメビウスの封印の上に、自らの力を加えることで封印を長持ちさせていたか」
「平和を守るウルトラ戦士が、破壊のために自らの力を使われる…くくくく、考えてみればなかなか面白そうですね」
「悪趣味な奴だ…まぁ、貴様のような男に頼るのは気持ち悪いが、貴様は頭が切れる。
せいぜい、奴を確実に殺せる算段を立てておくことだ。それができなければ、この俺自らの手で奴を殺してやる」
「ふふ…その血気盛んなところは見ていて飽きませんね。ゾクゾクさせられますよ」
「…っち。このホモ野郎が…」
眼鏡の男から感じられる『男色の気』を感じて、若い男は心底気持ち悪さを覚えていた。だがこうしてかかわっているのは、ずっと長く達成しようとしても達成しきれなかった、ある目的のためだ。
「北郷一刀…後悔させてやる。あの時死ねなかったことをな!」
若い男……『左慈』は一刀に対する激しい憎悪の念を抱きながら、彼への殺意を露わにした。