ついにウルトラファイトオーブが完結し、そして恋姫の新作の魏ルートの発売を記念して、
ウルトラマンオーブとアニメ版恋姫無双の短編クロスオーバーを投稿します。
頻度は僕の気分に合わせてです。お気に召さない内容かもしれませんが、その時はご指摘してくださると助かります。
では、どうぞ。
二人はしばらくの時間を置いて村に到着した。
さっきの奴らのような賊の被害はないらしく、まだこの街はある程度にぎわっていた。
「しかし、変わった名前ですね。『北郷』が苗字で、『一刀』が名前。そして字がないとは」
その道中、関羽は一刀の変わった身なりを見て、色々なことを尋ねてきた。
「元々この国の人間じゃないからね。変わった名前に聞こえるのは当然だよ」
「なるほど、その光っているような白い服も、あなたの祖国のものということですか」
「まぁね。といっても、この服は俺の地元じゃそんなに珍しいものじゃないんだ。学校の制服だし」
「がっこう…?」
「あ~、そっか…こっちじゃ私塾って言った方がいいのかな。学び舎のことだよ」
「学び舎、ですか。北郷殿は教養を得ておいでなのですね。立派なことです。今の世では、なかなか徹底された教育を受けることが難しいですから」
「そんなたいそうなことじゃないよ。俺なんてまだまだ…」
と二人が談笑しあいながら村を歩いていたときだった。
どどどどどどど……
「ん?なんだ…?」
馬の足音だろうか?妙に勢いのある足音がいくつも聞こえるが。
「で、でたああああ!!」
さらに悲鳴も聞こえてくる。そして砂煙が向こう側から立ち込め始めている。
「なんだ!?賊がもしや…!」
警戒した関羽が偃月刀に力を入れるが、一刀はそっと手を突き出して関羽を阻んだ。
「待ってくれ。あれは………」
目を凝らしながら良く見る一刀。それにならって愛紗もまた、一刀の視線の先に目を向ける。
よく見ると…前から向かってきたのは子供の集団だった。
「どけどけぇ!!『鈴々山賊団』のお通りなのだ!!」
大きな豚にまたがる小さな少女が子分の押さない少年少女たちを引き連れていた。短い赤毛には虎の髪飾りをつけていて、元気にあふれている。
「うりゃりゃりゃーー!!!」
「きゃ!!」
「うおお!」
怒涛の行進に、関羽は『鈴々山賊団』と名乗る子供たちとのすれ違いざまに思わず尻餅をついてしまう。一刀も思わずその拍子に足元がふらついてバランスを崩してしまった。
それには目もくれず、鈴々山賊団は勢いを殺さないまま走り去ってしまった。
「っつつ…ったく、相変わらずだな…と、大丈夫か関…羽…」
子供たちが走り去ったのを確認し、体を起こした一刀だが、そのとき…手に違和感を覚えた。
(なんだろう…やわらかくて暖かくてどこか懐かしいような…)
「…北郷殿?」
「え?」
関羽の顔を見る一刀。彼女の顔が赤く、そしていかにも…今にも切りかかってきそうなさっきをほとばしらせていた。
なぜこんな顔を?その疑問はすぐに解決した。
転んだ拍子に、関羽の豊満な胸を鷲掴みにしていたのだ。
それに気づいた一刀はすぐさま立ち上がって関羽の上から退いた。
「うわわわ!!ち、違うんだ!!これは事故!アクシデント!!わざとじゃないんだ!本当です!信じてください!」
慌てて許しを懇願する一刀。このままだと殺されてしまうと思っているかのような慌てようだった。
「むぅ…そ、そこまで驚かれるとかえって私が悪者のようではないですか。わかってます。さっきの子供たちが突進してきた拍子に転んで…ですよね」
まだ若干顔を赤くしていたが、関羽も服に付いた砂を払い落としながら、偃月刀を拾い上げる。どうやらわざとじゃないことが伝わったようだ。ほっとする一刀だが…。
「…どさくさにまぎれてだったら斬りおとしてました」
…絶対零度の視線に一刀は縮こまった。
…言わなくて良かった。実は関羽の真っ白で綺麗なパンツまで見えてていたなんて。
「いやぁ、あんたらも災難だったね。そっちのお兄さんはちょこっといい思いをしたみたいだけど」
その後、二人は近くの店で食事を取ると、外での様子を見ていたのか、店の女将が二人に話しかけてきた。どうも鈴々山賊団に突き飛ばされてから、関羽の胸が偶然にも一刀の手に鷲掴みにされたところまでの一部始終を目撃していたらしい。
見られていたことに、関羽はさっきのことを思い出して顔を赤らめ、一刀は気まずそうに頬をぽりぽり指先で掻いていた。。
「そ…それにしても、あの鈴々山賊団とはなんなのだ」
話をそらす意図も合って、関羽はさっきの子供たちのことを話題に持ち上げた。
「名前の通り、あの鈴々って子が大将の悪餓鬼集団さ。
やってることは畑荒らしとか牛にいたずらする程度だけど、この前なんて庄屋様の家の塀に馬鹿でかい庄屋様の似顔絵なんて書いたのさ」
ありゃ傑作だったわ、と女将は笑った。
「でも、あの子には親はいないんですか?」
ふと、一刀が鈴々の親のことについて尋ねる。
「そうだ、なぜ子供のいたずらを放置しているのだ。親はいったい何をしている!」
けしからん、とばかりに関羽も不満を口にする。
見るからにあの子はまだ、親のすねをかじらないといけない年頃の女の子のはずだ。それが子供たちと徒党を組んでいたずら三昧とは。
すると、おかみは哀しげに二人に、鈴々という少女のいたずらが放置されている理由を話した。
「親は、いないんだよ。あの子には」
「え?」
驚く関羽に、女将は事情を説明した。
鈴々には確かに親はいたが、それは今よりもずっと幼い頃のことだ。突然自分の家に押し入ってきた賊に両親を殺されてしまい、その後はこの村の近くの山小屋で暮らしていた母方の祖父に引き取られていた。
「根はいい子なんだけどね。今はちょっとは目を外しているだけ。手下のこの親たちも大目に見てやってるのよ」
「でも、だとしてもその祖父殿から何か一言いわせるべきではないのか?」
関羽が最もなことを言うが、女将の表情は晴れない。
「それができたら…だけどねぇ」
「…もしや、そのおじいさんも?」
一刀からの問いに女将は頷いた。
「もう5年近くは経つわね。この村に、この世のものとは思えない恐ろしいことが起きたんだよ」
「え…?」
女将の表情にさらに影が指してきた。
「実はこの村、5年前に一度滅びかけたんだ」
「「!?」」
女将の口から、今こうしてにぎわっている村が、一度滅びかけたと聞いた一刀と関羽は驚いた。
「かつて、この村には巨大な恐ろしい鳥が現れてね、人間を見つけたら、建物なんてあっという間に吹き飛ばしてしまう大竜巻を起こして、その風で舞い上げられた人を食らっていたそうだよ」
「そんなこと、本当にあったのですか…」
にわかには信じられない、関羽はそう思った。噂で山奥や水の底には竜が住みついており、ひとたび雷雨が起こると天へと昇る…なんて話を時折耳にしたことがあるが、そんなのは天災を恐れる人々の空想だ。だが女将は嘘を言っているようにも見えない。
「けど、そんな時…」
「そんな時?」
「鈴々の祖父が現れてね。竜巻に巻き込まれた人たちを助けに、自分から竜巻の中に飛び込んで行ったそうだよ」
「そ、そんなの危険ではないですか!」
勇敢を通り越して無謀だ。関羽が声を上げる。
「ああ、誰もがそう思ったさ。けど鈴々のおじいさんはそれも構わず竜巻の中に飛び込んで行ってね。…けど、不思議なことに竜巻に巻き込まれた人たちは全員助かったんだ。あの子の祖父を除いてね…
それ以来、不思議なことにあの恐ろしい鳥も現れなくなったんだ」
「……」
謎の恐ろしい鳥から村の人たちの窮地を救った、まさに英雄だったのだ。一体鈴々の祖父とは何者だったのだろう。
だが、例え何者であろうと、鈴々にとっては唯一遺された家族だった。それさえも失って天涯孤独となった鈴々。その寂しさは、あの年の子供には苦痛に違いない。
(…竜巻を起こす鳥…)
一方で、一刀はあることについて気がかりでもあった。
(悪魔の風が吹くかもな…)
その日の夕刻、鈴々はかつて祖父と共に暮らしていた山小屋にいた。その小屋は鈴々山賊団のアジトである。
昼間は、この前庄屋の屋敷の壁に描いた落書きの話で盛り上がったり、適当にとってきた卵をみんなで分け合って食べていたりと、楽しい時間を過ごした。。
しかし夕方になると、さっきまでここにいた子分たちはもう家に帰ってしまう。さっきまでみんなであんなに楽しそうに馬鹿騒ぎとしていたのに、鈴々一人だけになると、普段は明るく振舞っている鈴々がいてもすっかり静けさに満ちる。
「明日になれば…またみんなに会えるのだ」
平気そうにしようとしているが、それでも寂しさが消えない鈴々。部屋の中にある『鈴』の旗と、部屋の奥にある台の上に置かれた小さな木箱を見つめながら、鈴々はつぶやいた。
「そうだよね…おじいちゃん?」
その箱に小さな札が張られており、『封』の一文字のみが刻まれていた。
「ほぅ…ここか。『封印の地』の一つは」
「ッ!!」
鈴々は聞き覚えのない声を聴いて咄嗟に振り替える。
振り返ると、そこには白い服を着た若い男が立っていた。年齢は鈴々よりも上、一刀や関羽に近いものに見える。
「だ、誰なのだ!?ここは鈴々が認めた奴以外の立ち入りは禁止なのだ!」
鈴々が彼の立ち入りを拒否するが、青年は全く聞く耳持たずの様子だ。彼女の存在をまるで路上に転がる石ころ程度の興味しか抱いていないかのように淡々としている。
「…やはり二重封印。元々施された封印が弱まったところで、別の奴が封印を施して強化していたようだな。余計なことをしてくれる…」
彼は鈴々の家の小屋の奥に置かれている『封』の箱の目をやり、そちらの方へ歩き出す。
「止まるのだ!!」
得物である蛇矛を持って、青年の前に立ちふさがる。すると、青年は「ちっ」と鈴々を見て露骨に舌打ちする。
「目障りだ、消えろ」
それは一瞬だった。
青年の足から、目にもとまらぬ速さで蹴りが飛んできた。
その夜…。
月の光も差し込んでおらず雲がかかっており、夜風が妙に強めに吹いてきている。
この村には宿がなく、関羽と一刀の二人は女将に頼んで、条件付きで泊まっていたのだ。この日、女将の頼みで食材の切り分け、巻き割り、店の掃除、納屋の片づけなど、色々とお使いをやることになっていた。
しかし慣れない料理には苦戦を強いたものだ。食材を切ること自体はできるが、関羽のとる方法は普通ではない。まな板の上に乗せず、宙へ放り投げたところで切り捨てるというものだ。女将も一刀もその捌き方には驚きと感心を寄せたものだが、その一方で一刀はかなり手馴れている様子で料理を作り上げていた。…武人として生きてきた関羽だが、女としてどこか、ほんのちょっとだが悔しさを覚えてしまったくらいだ。
それはともあれ、もう寝る時間になったところで、関羽は女将から与えられた部屋に向かう。
ふと、その途中で彼女は店の中で一刀を見かけた。
まだ起きていたのだろうか。
そういえば、護衛の期限は特に決めていなかったのを思い出す。もしや、この夜中に外出か?いや、こんな夜中にひとりで歩くなど危険だ。それは彼だってわからないわけじゃないはずだ。遠く離れている、ということはないだろう。自分と同じように夜中にたまたま起きてしまった、と考えるべきだ。
関羽は一刀を探しに、とりあえず水を飲むついでに厨房へ足を運んでみる。
一刀はそこにいた。店の入口にちょうど差し掛かったところに彼はいた。
「北郷殿、こんな夜更けに外出するおつもりですか?」
怪訝に思ってそのように言った関羽に、一刀は振り返る。
「あi…関羽か。まだ起きてたのか」
「私のことはいいんです。それよりも、部屋に戻られてください。こんな夜更けに外に出られるのは危険です」
「………」
しかし、一刀は戻ろうとしなかった。神妙な顔つきで、彼は関羽に言った。
「…関羽、すぐに戻って。店の物品をしまう地下倉庫がこの店にあるはずだ。そこへ女将を連れて隠れてくれ」
「え?」
「もうすぐ、悪魔の風が来る」
聞いて、関羽は「はぁ?」と声を漏らす。急に何を言っているんだ、この男は。確かに元から変だとは思っていたが、今度のは頭でも打ったのかとしか思えないような一言だった。
しかし、その直後に…関羽は一刀の言った言葉の意味を知ることになる。
その時だった。
UOOooooon……
奇妙な音らしきものが、二人の耳に入る。
「今のは…」
異変を感じたのか、一刀は外に出て夜空を見上げる。月の光が差し込まないほど雲が濃くなっていた。…ただそれだけならなんとも思わなかっただろう。だが二人は目にした現象に対して異常と捉えざるを得なかった。
空を覆う雲の一部が墨汁のように真っ黒に染まり、輪となる。しかも輪の形となった黒雲から、紫色の雷が発生し始める。
やがて雷が強くなるうちに雲はいくつもの竜巻をも発生させ、
一瞬のうちに発生地点から遠く離れた一刀たちの居場所にも、驚くほどの突風を巻き起こした。
「ひゃああ!!?」
突然の大嵐に驚く関羽。当然驚いたのは彼女だけじゃない。真夜中に突然の大嵐が来たのだ。近くの住民たちもまどろみから目をさまし、各地でパニックを起こしていた。
「ぎゃああああ!!」
「な、なんだこのかぜ…うわああああ!!」
「おとうちゃあああああん!!!」
「だ、誰か…!!」
街の建物の屋根ははがされて宙を舞い、やがて建物そのものを砕いてバラバラの破片に変えて舞い上げていく。頑丈に作られたはずの庄屋の屋敷もまた同じだった。かつて鈴々たちが落書きをしていた石造りの塀も脆く崩れ落ちていく。しかも吹き飛ばされた瓦礫の一部が、風の浮力を失って落下してくる危険もあった。今も二人の周りに、次々と村の建物から作られた瓦礫が雨のように落ちてきていた。
「あんたら大丈…ひゃああ!!!」
「女将!」
女将もこの非常事態に眠ったままではいられなかった。泊めていた二人の身を案じて彼らのもとに来るが、彼女もまた突風にあおられ、店の窓の下の壁に張り付く。風を一向に浴びることになるが、壁がストッパーとなってくれたおかげでやり過ごすことができた。
だが、関羽は店のすぐ近くに発生した竜巻によって、店の外にあっという間に飛ばされてしまう。
「きゃあああああああああ!!!」
「お嬢ちゃん!」
普段の自分なら、あまりにも情けないと断じてしまいそうなくらいの甲高い悲鳴を上げ、関羽はそのまま遥か上空へと吹き飛ばされてしまった。
それを見て、一刀の目が見開かれる。関羽が風に
「させるかぁああああ!!」
次の瞬間、彼は信じがたい行動に出た。
自ら、関羽をさらった風に乗り出したのだ。
「ちょ、あんた…うあああ!!」
女将が手を伸ばそうとしたが、もう風の勢いが強すぎて、そこにしがみつくのがやっとだった。
そしてただ、関羽と一刀が風に飛ばされているのを見ている事しかできなかった。
すでに二人の姿が豆粒よりも、蟻よりも小さく見えるほどの高さに飛ばされていた。空中ではどんなに訓練を積んだ武人であろうとまともに動けず無力だ。地上へ自然と手が伸びてしまうが、当然届くはずもなく意味もなかった。
ぐんぐんと、ロケットのように舞い上げられていく関羽。もはや自らの悲鳴さえも聞こえなくなるほどの暴風の中にいた。
そして彼女は、目にした。
「…ッ!!!」
見たこともない、おぞましい姿をした青い怪鳥の姿を。
まるで宙に舞い上がってきた自分を獲物と見たのか、その鋭いくちばしを開いてきた。
関羽は、自らに迫りつつある『死』を感じ、恐怖した。
恐怖など、未熟で弱い人間が抱くもの。武人として強くなるためには恐れる心を捨てるべき。そう考えて自らを律しつつ武人として磨き続けてきた彼女だが、迫りくる死に死への恐怖を抱かずにいられなかった。
そして結局自分は、何もなせなかったことへの無念。偃月刀を握った理由、それは腐敗し乱れた世から弱い者を守るため。
だが、自分はこうして自分よりもはるかに強大な存在に食われるという、武人としてはあまりにも無念さばかりが残る最期を迎えるとは…。
嫌だ…死にたくない…!
関羽はあと少しで、怪鳥のくちばしの中に飲み込まれるところで目を閉じた。
助けて…『兄者』………
助けて、●●●様…!!
その時だった。
―――――愛紗ああああああ!!!
自分の『真名』を呼ぶ声が、関羽の耳に轟いた。
それと同時に、一瞬の速さで怪鳥が、下から飛び出してきた光によって突き飛ばされてしまう。
怪鳥からの捕食を免れ、落下していくなか、関羽の意識が薄れていく。
最後に彼女が見たのは、
光に包まれた巨人だった。
意識がすでに朦朧として、恐怖さえも沸かない。だが、関羽から恐怖が消えたのはそれだけじゃなかった。
あの巨人を見て、なぜか強く感じた。
肉親に抱きしめられた時のような暖かな温もりと、
強い懐かしさ、そして『想い』を。