データのとんだ悲しみを僕は忘れないよ
というわけで遅れてしまいました。すいません
イングナは箱の中に入ったアサルトライフルと弾丸を確認していた。
この絵面だけ読んでみると普通の銃の商人に見えるが、彼女が今日売りに行くのは
イングナが車でとあるビルに乗り込み、受付でキーワードを言って荷物を持ちながら建物の中を歩いていたのだが、妙に違和感がある。特に確信があるわけではないがこういう直感は仕事柄大切だと経験しているので気には留めておくことにする。
この建物は世間一般には土地管理の会社なのだが、
しかし、取引に使われている広間の前までくるとイングナの違和感は確信に変わっていた。
社内を歩いていて誰ともすれ違わなかったのである。これはおかしい。このビルは普通にと言っていいのかはわからないが
自分の
中に人はいなかった。いや、よく見てみると
自分は部屋の中心に速やかに移動する。相手がどんな能力を持っているか分からないが、奇襲を一番受けないと思ったゆえである。
部屋の中に入り警戒し始めて数秒で建物の奥のドアが開く。まるでこっちのことを待っていたようで不気味だ。警戒を怠ることなく、そちらに注意を向けておく。
その扉のむこうから来たのは、昨日店にきた変わった客の姿だった。両手をポケットに突っこんでいるのだが、隙は全く見当たらない。
「アンタ、国際騎士連盟の人間だったりするの……?」
この状況からするとそれが一番自然である。まず、中学生一人で旅をしているという事実が怪しいし、こんなに効率的に
だが将季は首を振る。
「ちがうけど、今はそんなことどうでもいいだろ。《
将季は気持ちいいくらいの笑顔で言い切る。その言葉と同時に、二人のいる部屋の中心と壁までの距離がいきなり離れた。
☆
イングナはいきなり部屋の中が広く感じ少し驚いたが、そういう能力なのだろうと自分を納得させる。距離を変化させる能力など今まで聞いたことは無かったが、そういう能力者がいてもおかしくない。もとより
イングナは自分の能力である”光操作”で自身の周囲の光を屈折させ姿を消す。イングナは正面からの勝負が得意な
その、今までの経験をいかし相手に気付かれないように後ろに回る。現在は5メートルほどの距離があるが、まだ将季はさっき自分がいたところを見ているので、気づいていないと思われる。一撃で終わらせるために細心の注意を払い、ゆっくり近づく。
「っふ―――」
しかし、当然ながら目の前にいたのはそこらにいるような実力の人間ではなかった。約2メートルを切ったほどでイングナのいる方を向き銃を放つ。イングナも迎撃されるのは想定していたのでサイドステップから距離を取り直す。事前に武器が銃と知れていてよかった。初撃はノーダメージで避けられた。イングナは光学迷彩は有効ではない、と判断し姿を現す。
「なんで位置が分かったのかしら?これでも自信があったのだけれど」
「音まで消せていたわけじゃなかったからな。一撃で決めるって姿勢は良かったと思うぞ」
将季は片手ポケットに突っこんだまま、銃を左手でぶら下げている。その眼は狩りをしている肉食動物のように爛々と輝いており、イングナをまっすぐ見据えている。
イングナは自分の右腕に相手には分からないように、
将季はそれを見てたいした芸風だと思った。光に質量を持たせることでも十分すごい。光をはそれ自体質量を持たないので、攻撃手段としては悪手である。しかし、さっききた光弾は自分に当たらずに床にぶつかったとき、床を少しえぐっていたので物理的な攻撃力も持っているのだ。ただの光る魔力弾と侮っていたらいけない。さらに動物を作り出しているので、魔力制御が桁外れにうまい。しかも数は二、三ではなく数十体の集団なので、これは避けるだけではダメかと判断し、右腕をポケットから出す。
まず突っこんできた狼は右手の掌底で叩き消す。左右から大型犬が突っ込んでくるので左は銃で、右は肘打ちで対処する。どうやら光の獣は魔力をぶつけると消えるようなので掌底や蹴りには魔力を込める。魔力操作の基本ができていればそう難しいことではない。
そして、俺の徒手空拳の戦闘スタイルはみなさんご存じ八極拳だ。(知らない人は八極拳やマジカル八極拳で検索)この世界に生まれてから、俺は当然中国にも行ったことがある。そこで李書文先生の子孫や弟子がいないかと探していたのだが、いた。存在した。あの「二の打ち要らず」、「神槍」の名を持つ究極の武人の弟子を見つけることができ、そこで教えを受けたことがある。「圏境」と呼ばれる世界と一体化し気配を消すという真髄まではまだ至れていないが、重心移動や体勢の急激な展開動作は完全に習得できたので素手での戦闘もできる。李書文先生の弟子によると俺は才能があったらしく、手や体、膝から浸透勁の一撃を打てるようになった。
そして、世界と一体化することを目指すということは自身の周囲の気配に敏感になるということでもあるので、基本的に不意打ちは受けない。今、こうして動物を吹き飛ばしているなかで一匹だけ明らかに動きが違うやつがいるのでその狼に突っこむ。攻撃対処に徹底していた俺が自分から動くとは思っていなかったらしく、一瞬目をつけていた狼の動きが止まる。その一瞬を見逃すほど馬鹿ではない。掌底を叩き込み魔力を四散させる。
そして、動揺がここまで伝わる。その動揺は命取りだ。命のやり取りをしている中で動きと思考を止めれば負ける。戦士としてはまだまだだったなと思いながらイングナのいる位置に数発の弾丸を打ち込む。
弾が命中し、幻想形態で撃ったのでイングナが気絶する。手からなにやら筒が落ちたようだが消えた。ということは今のがイングナの
この日、今まで見つかることのなかった
一応本日もう一度更新するので更新速度は変わらないです(番外編の)
ただ午前1,2時にはなってしまうかもしれないのでご了承ください
そうなったら良い子の皆は朝に読んでね!!