落第騎士の兄の戦嗜譚【一時凍結】   作:倉月夜光

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将季の能力発動!!
さて、能力はどんなものなのか!?

これでクリスマス編は終了、長かった(汗


(番外?)クリスマスな休日⑥~回想Ⅴ~ ―完―

―――魔力が増えることはあり得ない。

 

 この事実について。

 この世界の伐刀者(ブレイザー)は、《総魔力量(オーラ)》と呼ばれる魔力の総量が決まっている。

 これは特訓でどうにかなるものではない。この世界に生まれ落ちた瞬間から、その人物の持つ運命の重さに比例(・・・・・・・・)する量であると言われている。

 そしてその言葉を表すかのごとく、歴代のAランク騎士は一人の例外もなくすべてが歴史に名を刻むほどの大英雄(・・・・・・・・・・・・・・)である。

 

 これは覆ることのない事実である。

 

 

 

 では、なぜ将季は今Aランク相当の魔力量を持つ大男が驚くほどの魔力を放っているのだろうか。

 

 

 理由は簡単に二つ存在する。

 

 まず、将季は自身の真の能力で(・・・・・)常時放っている魔力をBランクまで抑えていた。これを知っているのは黒鉄家の当主である黒鉄(いつき)と、兄である王馬くらいである。弟である一輝も、妹である珠雫も知らされていない。将季の《総魔力量(オーラ)》はAランクのものなのである。歴史で一番の《総魔力量(オーラ)》をもつステラには及ばないが、並のAランク騎士よりかは多い魔力量を所持している。

 

 しかし、これだけでは推定Aランク騎士が驚くほどの魔力は放出されない。今の将季の放っている魔力はあのステラよりも多いのだ。

 そこで二つ目の理由だが、今まで封印を施していたということは魔力はどこに消えていたのだろうか(・・・・・・・・・・・・・・・・)。封印していたとしても魔力は満タンでなければ常に生み出されるものである。でなければ、伐刀者(ブレイザー)は能力を使うことなどできない。

 ということはだ、常時魔力を一割ほど減らしておけば、体が魔力を補充するために魔力を生み出すということだ。将季は封印で70%の魔力で生活していた。その一割、常時減っている状態を保つようにしていたので将季は自身の合計魔力量の平均63%の魔力を維持するように心がけていたということである。といういことは、彼は常時魔力をためていた(・・・・・)ということになる。

 

 そして最後に、彼の能力は反する理(・・・・)をつかさどる能力なのである。

 

 

 

 

 

     ☆

 

 

 

 

 

 大男は目の前の少年と対峙して、自分ですら気づかないうちに後ずさりしていた。

 

 大男の反応は当然だろう。この変化は例えてしまえば、狼と鷹が勝負して、空にいる鷹が有利かと思っていれば、狼が空を走ったようなものだ。彼がどのように魔力を封じていたのかは分からないが、この圧倒的魔力の圧力を前にして平静でいられるほうが希少である。

 

 大男は思考をマイナス方向に走らせないように考え続ける。

 

(あれは少年の攻撃が俺に通じないという証明だ。魔力量が増えても決定力に欠けている点は変わらない。なら、これ以上妙な真似をする前に叩き潰す…!!)

 

 大男の考えていることはもっともだ。

 将季は自分の攻撃が通じないと感じたから魔力を解放したし、魔力が増えたからと言って攻撃手段が増えるとは限らないのである。

 

 

 

 だが、将季は能力を限定的に使っていた(・・・・・・・・・)

 

 

 

 将季は拳銃型デバイスである『花火(はるか)』を取り出し銃口を向ける。

 大男は自分の体と霊装である西洋剣(ブレード)を硬化することしかできないので、将季がすることを黙ってみているしかない。いや、今この瞬間直観で将季を危険だと判断し、初めて全速力で将季のもとへ向かっている。

 

 将季が引き金を引く。

 

 

 

 ―――その銃弾は、

 

 

 

 ――――――硬化している男の体を容易く貫通した。

 

 

 

「ガッ…!?」

 

 

 

 大男はひたすら疑問を浮かべる。

 なぜ、さっきまで簡単にはじくことができた銃弾が今度は自分の体を貫いた…?魔力が増えたとしても威力が爆発的に変わるわけではない。今貫かれた脇腹も、硬化の硬度は全身どの箇所とも変わらない。Eランク相当から今のAランクでもトップクラスまで魔力が上がれば別だが、今の彼は先ほどまでの140%ほどの魔力量だ。

 

 自分の体を貫くからには別の要因(・・・・)が存在する…。

 

 将季は銃を下す。

 そして、疑問符を浮かべている大男に向かって話しかける。

 

「不思議だろ?なんで硬化している体をただの魔力弾が貫いたか」

 

 大男は、今は時間と情報を引き出すことが先決だと判断し話に乗る。

 

「ああ、種があるならぜひともご指導願いたい」

 

 将季は体の力を抜き壁に寄り掛かる。

 

「簡単さ。距離を操作するのは俺の能力の一部(・・⚫⚫⚫)でしかない。俺の能力はこんな能力さ」

 

 将季は最後の言葉と共に指をならす。

 

 

 

 その瞬間、

 

 

 

 ―――――――――世界が一変した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な!!???」

 

 大男の驚きの声が響き渡るのは前後左右上下全てが黒い、無の空間(・・・・・・・・・・・⚫⚫⚫・・)。目の前の少年と自分の二人しか存在しない完全な異空間。

 

「俺の世界にようこそ、ってね。この空間はすべてが反物質(・・・)で出来ている。一種の別世界ともいえるな」

 

 将季は簡単に言っているが大男の驚きは止まらない。

 

 

 

 世界

 

 

 

 この場所は本当にひとつの別空間なのである。そんな存在を創り出す伐刀者(ブレイザー)なんて過去現在のすべての能力者をかえりみても一人も存在しない。

 

 

 

 いわば、彼はこの世界の王。

 

 

 

 この世界を(つかさど)る絶対的存在なのである。

 

 

 

 反物質

 

 その存在は確認されているが発生させることができない(・・・・・・・・・・・・)物質と言われている。

 原子が陽を帯びている陽子と負を帯びている電子、そのどちらも帯びていない中性子で出来ている物に対し、反物質は陽子が負、電子が陽を帯びている架空の物質(・・・・・)なのである。

 電子の数が少ない原子では確認されているが、徐々に原子の質量が増えていくと、その物質は存在できない(・・・・・・)

 だから、架空の物質(・・・・・)

 

 そして、反物質は現実の理の反対の理(・・・・)で成り立っている。

 現実で硬いものならば柔らかく、重力が働かなくなり、距離が保てなくなる。そういう理を持つ”概念”なのである。

 

 将季の能力を従来の能力の分類に当てはめると、自然干渉系能力にして(・・・)概念干渉系能力。いや、この場合概念より”因果”に干渉しているのかもしれない。現実と真逆の存在となる”因果”を持つ物質を操る。これが将季の本当の能力だった。

 距離を操作するのは、反物質で距離を”存在していない”ことにしたにすぎない上に、《矛盾破壊(コンフリクト・ブレイク)》に至っては物質と反物質をぶつけた衝撃波でしかない。

 つまり、将季の本当の能力行使(・・・・・・・)はついさっきからということである。

 

 将季が普段この能力を使わない理由は簡単。

 

 勝負を愉しめないから。

 体術がおろそかになるから。

 

 勝負を愉しむというのは将季の生きがいだし、体術は修めなくてはいけないと思っていた。でなければ某とある世界の幸薄少年のように、左手で能力を打ち消すような伐刀者(ブレイザー)に出会ったとき勝てないからである。将季の本質は、戦闘狂にして強さへの渇望と言えるだろう。

 

 

 

 そして、この能力を解放した将季は負けを知らない(・・・・・・・)絶対的覇者である。

 

 故に、大男に勝機は無かった。

 

 

 

 

 

     ☆

 

 

 

 

 

 その後の話は簡単だ。

 イングナと妹を会わせるとイングナは安堵し、自分の全精神力を使い果たし気絶する。

 これでニューヨーク、ひいてはアメリカに来た甲斐があったと感じ、久しぶりに故郷である日本に帰ることに決定。

 日本でイングナの怪我の治療のために、本家でiPS再生槽(アイピーエスカプセル)を借り治療。

 薬によって体に悪影響があったエレナを反物質を利用し治療(?)。完全に作用が消えたわけではなかったが、その後も継続して薬に値する存在を”反転”することによって、今では影響は完全に消え去った。

 大男、名前はライブル・カッシュという。については、俺のよいライバルになることを期待し八極拳の道場に放り込んだ。その後、道場から悲鳴が聞こえた気がしないでもなかったが、定期的に連絡しているので無事なんだろう。社会奉仕活動に参加させたりもしているが、未だに国家に対して反抗心は存在するのでそれはそれで認めている。権力の在り方に対して納得できないなんてどんな人にもあることだし、彼の場合それに対する行動の仕方が大きかったというだけだ。彼自身、エレナに投薬することには一切関わっていなかったようなので、ライトベル姉妹ももう恨みは無いようである。

 

 その後、姉妹は俺に助けられたということで、俺の旅に一緒に行きたいと望んだ時には少し困った。この時に初めて、親父に海外へ渡れるパスポートを作ってもらいそれをまともに使い始めた。

 

 

 

 そういうことで、彼女らとはかなり長い付き合いになっている。俺と一緒にいる時間は彼女らがぶっちぎりで一番だろう。

 

 

 

 

 

 

 

    ☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

「ふ~。歌った歌った!!」

 

 エレナが満足そうに言う姿をみて微笑ましくなる。やはり子供は元気に遊んでいる姿が一番似合う。

 イングナは若干燃え尽きた感覚があるが、放っておけばそのうち立ち直るだろう。彼女の音痴が治るという奇跡の日は当分来ることはなさそうである。

 

 そうして歩いていると、小さな粒が目の前を通って行った。

 

「あっ!雪だ!!」

 

 一番早く気付いたのはエレナ。さすが、子供はよく見ている。

 空を見上げると雪がぽつぽつ降り始めたところだった。

 今日はホワイト・クリスマスになりそうだ。

 辺りの人も、ライトの中に降る幻想的な光景に見入っているようである。

 

「ねえ、この後どうする?」

 

 イングナが尋ねるので少し考えるが、今日くらいは贅沢してもいいだろう。

 

「どっかレストランでもいくか。俺が持つよ」

 

 そういうと姉妹は目を輝かせる。

 

「じゃあケーキ!ケーキ食べたい!!」

「まあケーキはいいけど。どこか洋風のレストランでも行きますか」

 

 二人ともすぐに食べたいものが出てくるあたり、似た者姉妹なのかもしれない。

 

「ショートケーキと、チョコレートと、モンブランと、あとあとチーズと……!!」

「えっと、ここの近くだと…。あった、将季、いくわよ!」

 

 休日くらいは、この騒がしい似た者姉妹と過ごすのも楽しいと感じる。

 

 

 

 幻想的な風景を眺めながら、二人をゆっくり追いかけていく。

 

 

 

 

 




将季の能力は”反物質操作”でした。
分かった人いるのかな?
イメージはポケモンのギラティナ
あれ、反物質の王なんですよね
出来ることは
・物質の性質を”反転”させる
 ex)距離操作(無くしたり、無いことを在るという風に改竄したり)
毒無効化(害を無害化)
魔力封印(”放出”するものをしないようにする)
・反物質による攻撃(無敵無効化、防御無効化)→全てを斬撃が斬り裂き銃弾が撃ち抜く
・陽子砲(エヴァのポジトロンライフル)
などなどです。他にもいろいろありますが割愛。
ついでに知っている人は厳と王馬のみ。



ということで、今年の更新はこれにて最後です。
来年からは二巻以降に入っていきます。

今後とも、この作品と作者を
よろしくお願いします( *・ω・)ノ
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