落第騎士の兄の戦嗜譚【一時凍結】   作:倉月夜光

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ぶっちゃけ勢いで書きました
楽しんでいただけると幸いです


1章:一輝、七星剣舞祭を目指す
一輝のスタート


「なんで…なんでこんなに努力しているのに勝てないんだよ……!?」

 

 相手は自分の対面で息を上げている。

 

 それに対して自分は平然としている。今は魔導騎士同士の決闘中。自分と相手との勝負の真っ最中だ。それでなぜ自分がこんな思考をしているのかと問われれば正面にある男の姿がその理由に他ならない。

 

 最初はこの男も格好よく登場したものだ。

 

「この俺が今まで積み重ねてきた努力の全てをもって貴様を倒す!!覚悟しろ!!」

 

 なんてこちらに向かって言ってきた。そのときはへーそうですかー、としか思わなかったが今は違う。こいつは裏でどれだけの努力をしてからその言葉を使っているのだろうか。世間一般には”努力は無意味”という意見。逆に”努力さえすればどんなことも可能である”と語る人物もいる。実際様々な意見があるだろう。

 

 今のこの時代、この《魔導騎士》が世間の主な注目を集める時代において《伐刀者(ブレイザー)》には様々なことが求められている。それは”努力”もそうであり、また”才能”もそうである。当たり前であろう。《伐刀者(ブレイザー)》とは己の魂を武装——《固有霊装(デバイス)》として顕現させ、魔力を用いて異能の力を操る千人に一人の特異存在。かの者たちはその説明のとおり”魔力”を用いて戦闘する。その総量が少ない騎士は強い異能の力を扱えないし、戦闘において”努力”という自己を高める訓練も必須である。

 

 その”努力”は本当に自分の限界(・・・・・)までしたのか?”才能”の差があるから負けても仕方ないとか、”精一杯”努力しましたとか考えて途中で投げ出したりしていないだろうか。

 

 少なくとも自分、俺はそんな”努力”を突き詰めた人物を一人知っている。幸い、自分には才能があった。が、その人物には才能なんて無かった。いや、《伐刀者(ブレイザー)》である以上必用最低限の才能はあったのだろう。しかし、逆に言えばそれしかなかった。魔力の量は少ないという言葉を突き詰めたように少量。唯一頼れる《伐刀絶技(ノウブルアーツ)》もありふれる最低レベルのもの。しかし、彼は”努力”をした。それは並ならぬ努力だった。語りきれないほどの努力だった。俺はその”努力”に対して敬意を持っているし、彼は実際にそれだけのことをなした。今はどこにいるのか知らないがきっと自己鍛錬でもしているのだろう。その男に負けない努力をしてからそんなセリフは使ってもらいたい。生半可な努力で”努力”という言葉を汚して欲しくない。

 

「それで、終わりか?」

 

 問いかけたが彼が立ち上がることはもうなかった。

 

 

 

——これが二年前のこととなる——

 

 

 

「おい!聞いたか!!あのヴァーミリオンのお姫様が模擬戦するらしいぜ!!」

「ええ!?それって今年入学してきたっていう!?」

「まじかよ!!おい早く見に行こうぜ!!」

 

 周りが騒がしい。ここは先ほどまでさわやかな風の吹き抜ける場所だったはずだ。自分がいるのは木の上、実際には中庭の木に登って寝ていたところである。

 

「それで、どこで模擬戦するんだ?」

「たしか第三訓練場だったと思うぜ」

「よっしゃ、いこいこ!!」

 

 ああ、と納得する。先ほど耳に入ったステラなる人物は確か国のお姫様だったはずだ。さすがに連日ニュースで流されると覚えている。どこから広まったのかは知らないが新入生平均の約30倍の魔力を誇るバケモノらしい。たしかにそんな人物が模擬戦をするとなると大きな注目を集めるだろう。

 まあ、自分は少し興味があるくらいだし見に行かなくてもいいかと思い寝ようとしたとき、

 

「それで、相手は誰なんだ?」

「ああ、黒鉄っていう一年らしい」

「はぁ?俺去年そいつと同級生だったけどそいつ授業を受けれなくて留年したやつだぞ?勝負になるかよ」

「そうなのか。ま、ステラさんを見に行こうぜ!!」

「そうだな」

 

 ほぅ、今聞こえたのはなかなか興味深いことだった。

 

「そうか、あの弟が才女に挑むか…。見に行ってみるか」

 

 そうつぶやくと木の上に立ち木のてっぺんにジャンプする。このくらいのことなら魔力を持っている《伐刀者(ブレイザー)》なら誰だってできることだ。

 

「第三闘技場はあっちだな…」

 

 その言葉の後にはその木の周辺には人影が無くなっていた。

 

 

 

     ☆

 

 

 

『あの子がヴァーミリオンの《紅蓮の皇女》か!』

『すげえ美人じゃん』

『髪の毛が綺麗……燃えているみたいで素敵……』

『でも相手の方は誰だ?』

『……あれって、留年した黒鉄じゃないか』

『まじかよ、兄と違って才能無いんだろ?』

『なんでそんな人がステラさんと戦うの?ステラさんって天才なんでしょ?』

『知らないよ。……だれか、去年クラス同じだったやついないか?いたらどんな騎士か教えてほしいんだけど』

『俺去年同じクラスでしたけど、あいつ能力基準が受講するために足りてなくて実戦見たことないんすよね』

『訓練の基準にも満たしてないって……ひどすぎないそれ?』

『なーんだ。つまんね。』

 

 観客席からは様々な声が聞こえてくる。正直興味のかけらもない。一輝は強い。それが《紅蓮の皇女》に通じるかが楽しみだ。

 

 

 

 その後、数回のやり取りを終えて模擬戦が始まった。押しているのは前評判通りステラ姫。観客からは予想通り失望したような声が上がっている。が、このドーム内に二人だけ事実を把握している人物がいた。

 

(なによ…これ……)

 

(やっぱりこうなるか)

 

(あたし…あしらわれている……!!)

 

(一輝はいつも通りみたいだな)

 

 ステラは自分が実際に相対しているため、観客席の唯一試合を真面目に見ている男はその剣を知っている(・・・・・)ため、何が起きているのか分かる。

 

 

 

 そして、試合開始から五分弱、一方的な試合に変化が起きる。

 

『おい、なんか皇女様が押されてないか…!』

 

 その言葉の通り、剣と剣との勝負でステラが一輝に押され始めたのだ。そのタネは簡単。一輝の剣術《模倣剣技(ブレイドスティール)》だ。一輝は剣術を完璧に理解することが出来る。そして完璧に理解できるということは、それを上回る剣術を作れるということだ。その剣術を使う一輝にステラの剣術が勝てる道理はない。

 

「ハァァアアアア!!」

 

 一輝は咆哮と共に《固有霊装(デバイス)》である《陰鉄》の刃を打ち下ろした。

 

 そこで一輝の勝ちが決まる。と、思われた。

 

『あれを見ろ!!』

 

 一輝の打ち込みはステラの右肩に振り下され、———そこで止まった。

 

 一輝の全力の一閃は、ステラに何らダメージを与えられなったのだ。

 

 それも当然と言えば当然、ステラの魔力の総量はAランクでもトップ。そんなステラは前提としてその魔力に身を守られている。だから騎士は強い。そして、一輝の騎士としてのランクはFランク。魔力量も平均の約十分の一というものである。つまりステラは鋼鉄のフルアーマーに身を守られていて一輝は細い針金でステラに斬りかかった。そんなことをしてもアーマーに阻まれるのがおち。つまりはそういうことである。

 

 

 

 ステラと一輝は向かい合って話していた。恐らくステラは一輝を認めたのだろう、強者と。ステラはドームの端まで跳躍し一輝との間をあける。そして、

 

「蒼天を穿て、煉獄の焔」

 

 その瞬間、剣に宿る炎がその光度と温度を一層猛らせ――もはやその在り方を炎ではなく、光の柱に変えドームの天井目掛けて伸びていった。

 

 そして、その才能と言う名の理不尽で全てを焼き付くす・・・!

 

「《天壌焼き焦がす竜王の焔(カルサリティオ・サラマンドラ)》――――!!」

 

 その刃が降り下ろされた。

 

 観客は悲鳴を上げて逃げ出した。しかし、そんな中でほほえましく見守っているのが二人。

 

(長ぇーな、だいたい100mくらいか)

 

(ここに(かれ)が居てくれて助かったな。でなければこの闘技場ごと焼き払われてた)

 

 焔は観客席に届かなかった(・・・・・・)

 

 そもそも始めにこの剣が出現したときに天井をぶち抜かなかったのは何故か。そして、学園長である黒乃が慌てたり顔を歪めなかったのは何故か。簡単である。なにも被害は出ていない(・・・・・)のだから。もちろん闘技場のリング中は焼き焦げたりしている。しかし天井を始め、闘技場の施設は何も壊れたりしていないのである。

 

 ステラと一輝は勝負に夢中で気づかない。今は一輝が《一刀修羅》を用いて戦闘継続中である。ステラは巨大な光剣を振り回す。それを一輝が回避する。そして―――

 

 一輝がステラを斬った。

 

「そこまで!勝者、黒鉄一輝ッ」

 

 試合が決着した。

 

 

 




次回はオリ主と原作主人公勢の絡み
能力や人物紹介(軽い)ですかね

感想や評価を頂けるととても嬉しいです
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