落第騎士の兄の戦嗜譚【一時凍結】   作:倉月夜光

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彼を出せって、ガイアが俺に囁いてくるんだ……
なんでなんだ(´・ω・`)

お気に入り100人突破、有り難うございます!!


出番のなかった彼が出る回

ショッピングモールのテロ事件のその後を話そう。

 

 当然、テロを起こした《解放軍(リベリオン)》の幹部である《使徒》のバショウを始め、テロリスト達は遅れてきた警察に逮捕されていった。黒乃から中に破軍学園の伐刀者(ブレイザー)がいるということは伝わっていたらしく、ここのところはスムーズに行ったと言っていい。

 幸いこの事件で怪我人は一人も出ず、一輝が《一刀修羅》をバショウに斬りかかるときに使ったのでその反動が来たくらいだった。

 その逮捕されたテロリストだが、もうあきらめたらしい一般兵たちの証言と警察が確保した実行犯は数が合わず、何人かは先に逃げ出していたものだと結論付けられた。

 そうして、実質被害なし、学生騎士が解決したということでこの事件は幕を下ろしたのだった。

 

 

 

     ☆

 

 

 

 その事件の翌日、破軍学園近くのアパートの中。そこは現在、イグアナ・ライトベルという人物が借りている。そこには将季、一輝、珠雫、ステラ、アリス、そしてイグアナがいた。

 

「それで、兄さんはイングナさんと付き合ってる。って、ことでいいんだね?」

 

 将季に尋ねたのは一輝。やはりこの男、肝が据わっている。

 

「いんや、こいつが勝手に言ってるだけだよ。俺の旅の同行者だ」

 

 将季はあきれた声で一輝に返す。

 

 そう、別に将季はイングナと付き合っているわけではない。

 

「こいつは俺が二年前くらいに会ってから一緒に世界中を回ってたんだよ。もともとはアメリカの方だったっけ?その辺で本物の銃を買いたいなと思ってなぁ」

 

「「「「出会った理由怖い…」」」」

 

 やはりこの戦闘凶、まともではないらしい。

 

「いや、それくらい普通だろ?俺の固有霊装(デバイス)は銃なんだし、それの扱いに慣れるって意味でも銃は扱ってみたかったしな。俺の部屋の中にあるけど今持ってくるか?」

 

「「「「いや、いいです」」」」

 

 将季にしては案外まともな理由であった。しかし、この部屋で話し始めてからまだ一輝以外まともに話せていないのはなぜなのだろうか。

 

「で、まあ買いに行った。その店で会ったのがその時銃の店の店主してたこいつでなぁ…。ま、その時いろいろあって、一緒に旅するようになったとさ。おしまい」

 

 詳しく語るとかなりの長さになるのでそれは後日のことにするとしよう。

 

「でも、イグアナさんは将季兄様に好きって言っているんじゃないですか?返事はしないんですか?」

 

 珠雫のもっともな意見が出される。確かにその通りなのだが…。

 

「いや、俺自分がまともじゃないって知ってるし、こんな人間と付き合うなんてことになったら人生本当に損するだろう?そんな不幸な人間を生み出したくないだけさ」

 

 将季は窓の外を眺めながら遠い目をして話す。他の四人(イングナ以外)はまともじゃないって自覚会ったんだ…なんて思っているが。

 

「そんなこんなではぐらかされている可哀想なイグアナちゃんでした。シクシク…」

 

 イグアナがそんな泣き真似をしているが、ほかの人からしたら「あ、この人もいい性格してるな…」で終わりだった。そんな中、今まで空気だったアリスが聞く。

 

「じゃあ将季さんは中学生の年になってからずっと外国を旅して周っていたの?」

 

「ああ、家を出たっつう一輝にたまに金を少し送ってやったり、家にたまに連絡くらいは入れてたけどな。基本、小学生の時に中学までのカリキュラムは終わらせて、高校の勉強も中堅大学合格レベルまではやったからな。中学、高校は通わなくても許してもらったし」

 

「なんていうか、イッキとは違った大変な人生ねそれ」

 

「いや、楽しかったぜ?なんつっても移動は高い建造物が無い場所を選んで地上10メートルくらいのところを距離短縮して歩けばそれで目的地到着だからな。いろんなところを旅して周ったもんよ。万里の長城とか、ナイアガラの滝とか、グレートバリアリーフとか…。世界には美しい場所、幻想的な空間、広大な景色なんてものがたくさんあった。それらを見て回りながら強い奴と戦えたらさらにハッピーって感じだったなぁ。」

 

「へぇ、聞いてたら行きたくなってきますね。お兄様、珠雫とハネムーンで世界旅行にでも行きませんか…?」

 

「珠雫!僕たち結婚できないからね!?兄妹だからね!?珠雫と一緒に行ってみたいし興味はあるけど…」

 

「お兄様!?一緒に行きたいと!?わかりました!!今から黒鉄本家に戻って毎年無駄にたまっていくだけだったお年玉を引き出して二人で世界へ……」

 

「珠雫ぅーーー。おーーーい。戻ってきてくれ珠雫ー。」

 

 一輝が話しかけるが珠雫はトリップしたまま数分帰ってこなかった。

 

「ま、そんな俺の話はいいんだが。自然とこの濃い面子に加わってるそこの男は何なんだ?」

 

「あら、わたしは乙女なのだけれど?」

 

「うん、見た感じオカマかな?」

 

「違うわ。……あたしは、男の身体に生まれた乙女なの」

 

「そうか、よろしく。一輝と珠雫の兄の将季だ。」

 

 案外将季はすんなりとアリスの存在を受け入れたようだ。

 

「た、対応早いわね。アタシたちも戸惑ったんだけど…」

 

「いや、世界には俺も踵を返して逃げなきゃいけないような奴らがいてなぁ。アリスはいいやつさ。これがムキムキの髪型がツインテールのアゴヒゲ生えてるおっさんとか、ごりマッチョの髪剃った女が俺って名乗るのとか……世界は危険でも満ちてるんだぜ………」

 

 何て言うか、滅茶苦茶悟ったような将季の雰囲気に普通の一年生二人(トリップしているのとオカマのぞき)は同情を禁じ得なかった。

 

 

 

     ☆

 

 

 

 イングナの住んでいるアパートからの帰り道、

 

「そういえばそろそろ七星剣舞祭の学内予選が始まるんじゃねーか?」

 

 唐突に将季が言った言葉に、

 

「「あぁーー!!」」

 

 完全に忘れていたらしい一輝とステラは大声をあげた。

 

「お前ら…それで大丈夫なのかよ?実戦だぞ?」

 

 と将季があきれた声をだしたとき、

 

「おんやぁ、そこにいるのは黒鉄君じゃないか?」

 

 一人の男が一輝に声をかけた。

 

「ひさしぶりだね、桐原君」

 

 その男は桐原静矢。前年度の『主席入学者』にして―――去年の七星剣舞祭代表(・・・・・・・・・・)の一人。

 

「ああ。久しぶりだね黒鉄一輝君。君、まだ学校にいたんだ」

 

 告げるのは蔑みの一言、細めた目からは嘲りの視線を寄越した。それにステラと珠雫の二人の表情が目に見えて不快なものに変わる。

 

「桐原く~ん、誰それ~?」

 

「桐原様ぁ~。行きましょうよ~」

 

 着飾った女の子に囲まれ持て囃される桐原は、

 

「ちょっとだけ話があるんだ。待っててくれ」

 

 囲っている数人の少女にそう言うと一輝に対して向き直り、

 

「黒鉄くん。……君はまだそんな惨めな能力で騎士なんてものを目指しているのかい?そもそも、君なんかが騎士になれると思っているのかい?」

 

 言い放った。その言葉は、今度こそ彼を想う少女の気にふれた。

 

「アンタ……いい加減にしなさいよッ!」

 

「ステラ、いいから」

 

「良くないわよ!こんなに好き放題言われて!大体アンタなんかよりイッキの方がずっと強いわよ!アンタなんて、イッキの足元にも及ぶもんですか!!」

 

 そのステラの言葉を受けた桐原は、

 

「……ハハハハハ!これは傑作だ。どうやら君は自身の本当の力をカッコよく吹き込んでいるんだね。ちゃんと、―――かつてボクとの戦いから怖くて逃げだした臆病者だと伝えなきゃダメじゃないかァ」

 

「え……っ」

 

 ステラはその言葉に衝撃を受け一輝の方に振り返るが、一輝はそれを否定しなかった。

 

「う、嘘よ!そんなことあるはずないじゃない!イッキは私に勝った、ただ一人の騎士なんだから!!」

 

「そうか。ならヴァーミリオン君、賭けをしないか?」

 

「……賭け、ですって?」

 

「君の言葉が本当か間違いか。それを知る機会はすぐそこに整ってるんだ。黒鉄君、君が僕に何も言わないのは生徒手帳、確認してないんだろう?見てごらんよ」

 

 その言葉に一輝が電子生徒手帳の電源を入れ、メールの受信を確認。そのメールの内容は、

 

『黒鉄一輝様の選抜戦第一試合の相手は、二年三組・桐原静矢様に決定しました』

 

「――――――ッ!」

 

「そう、君の選抜戦初戦の相手はこの僕さ。だからその場で――――僕が負ければ僕は今日の侮蔑を取り消し、謝罪しよう。だけど僕が勝ったら……僕のガールフレンドの一人になってよ」

 

「桐原君ッ!馬鹿なことは―――――」

 

 一輝はその馬鹿な提案に当然、声を荒げるが、

 

「いいわ、その賭け受けるわよ」

 

「ステラ!?」

 

 ステラはその提案を受けた。それを受け桐原が笑みを漏らす。

 

「ふふふ、話はこれで決まりのよ「待てや、はぁ…」何かな?君は誰だい?」

 

 口をはさんだのは将季。あきれながらその場を見まわし言う。

 

「第一にステラ姫、あんた一国の皇女様だろうが。そんなほいほいガールフレンドになるとか賭けるな。そして、そこの細目。お前も国に殺されるぞ」

 

 その言葉に頭に血が上っていたステラはハッとし、桐原は機嫌を悪くした。

 

「そんなことあるか、本人の承諾を得ているんだぞ?大体、さっきから誰かって聞いてるだろう?」

 

「第二にクソガキ。テメェ誰に向かってタメ口で言葉を言ってんだ?」

 

 そう言い、将季は一歩(・・)で桐原の真横まで移動し、固有霊装(デバイス)である銃、《花火》を桐原の懐に突きつける。しかも、周りからは見えない角度調整付きだ。そのことに気付いた桐原はヒッ、と声を漏らし、

 

「そ、その拳銃のデバイス…。く、黒鉄将季……!?」

 

「おう。その将季さんだが、誰に向かって?」

 

 将季はニッコリ笑って桐原に再度、問いかける。

 

「ス、スイマセンでした!もうこんなことは無いようにします!!」

 

 そういい、女の子たちのところまで駆けていった。その速さはまさに、《狩人》と呼ぶに相応しい速さだった。




将季君のデバイスは作者の個人的趣味によりトンプソンコンデンターに近いコルト・シングル・アクション・アーミーのような弾倉付きの銃です
ネットで調べれば出ます。自分絵下手なんで…
まあ魔力を弾にしますので弾倉が回転することは滅多(・・)にないです

桐原君の国に消される件は真面目に思ったことです

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