キャス狐になってこの世界を生き延びる。   作:先詠む人

1 / 8
Grand Orderでキャス狐欲しいキャス狐欲しいって言ってたら気付いたら書いてた。
これで来てくれるといいんだけど・・・・。



本編
初日 異変が起こる金曜日


「・・・・・・・」

 バスが横転し、近くの壁には車が衝突し、そして血まみれになった人やうめき声をあげる人もいるバイパスのトンネルの中というキャンパスに描かれていく地獄絵図の中で少女(・・)は一人無言で自分の体を見ていた。

 

 少女の見た目は日本人としてはありえない桃色の髪に発育の良い胸。そして藍色の和服を着て肩をはだけさせ、膝上黒色ニーソックスを履いていた。

 ・・・・・まぁ、それだけなら変な色に髪を染めた痛い子、もしくはコスプレイヤーという認識で笑って済ませれるだろう。

 

 だがしかし、少女には決定的に他の人が見て「アウト!!!!」と叫ばれる要因があった。茶色っぽい黄色のしっぽが3本(・・)ゆらゆらと背後で揺れ、そして少女の頭に生えているかのように見える茶色の狐の耳がぴくぴくと動いていたのである。

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 少女は全く動く気配を見せない。

 それもそのはず、少女は先ほど目が覚めるまで男だったのだから(・・・・・・・・・)

 

「・・・・・・何でこうなったんだよ~。」

 

 ようやく動き出した少女はかわいらしい声で嘆きながらトンネルの壁によっかかり、頭を抱えてここまでの経緯を思い出していた。

 

 

 ~数分前~

 少女、いや当時は青年だった玉藻陸は通っている大学のバス停の待合室でバスを待ちながらFate/grand orderでクエストを周回していた。

 理由としては結晶石が欲しかったからで、それ以外に理由はない。さすがに課金兵にはなりたくないから必死にクエストを周回するしか結晶石を手に入れるすべがなかったのである。

 何で結晶石を必死に集めているかというと、今ガチャのキャンペーンで巷でキャス狐と呼ばれている玉藻の前が出現確率アップしているのでそれを十連で引くためであった。

 

「おっしゃ、40個集まった。これで十連引ける‼」

 

 頑張って周回を終え、クエストクリアの画面が出たところで彼が待っていたバスが来た。

 

「今引きたいけどスマホ落とすの嫌だし、先にバス乗ってからガチャ引くか・・・・。」

 

 そう言って彼は待合所の椅子から立ち上がった。まさかこのバスに乗った結果あんなことになるとは思いもせずに・・・・・・。

 

 出発したバスはしばらく一般道を進み、バイパスへと入った。

 

 その間に彼はリザルト画面を「読み込みおせぇなぁ・・・・。」と言いながら終了させ、画面を待望のガチャに切り替え、そして10回引くのボタンを押した。

 

 それと同時に彼の乗ったバスはトンネルへと入って行った。

 

 

 ~1枚目~

 礼装「堅牢って・・・・、持ってるわこれ。」

 ~2枚目~

 礼装「お?・・・・時臣さんかよ・・・・。」

 ~3枚目~

 礼装「おっしゃ桜来た~!」

 ~4枚目~

 サーヴァント(銀)「・・・・・・・・兄貴でよかった・・・・・。」

 ~5枚目~

 サーヴァント(銀)「プロトアニキかよ。これで宝具フル覚じゃん。」

 ~6枚目~

 礼装「偽臣の書。もうワカメいらん。」

 ~7枚目~

 礼装「・・・・・?召喚符ってこんな礼装あったのか?」

 ~8枚目~

 礼装「崩壊ってフレンドガチャで手に入るじゃん。なんでこっちに入れるかなぁ・・・。」

 ~9枚目~

 礼装「・・・・・・葦の海ってこれもフレンドガチャで出るし、てか出たし。」

 ~10枚目~

「はぁ、こりゃさっき時臣さんと桜来た分でキャス弧は無理かな・・・・。」

 そう思いながら俺は画面を見ていた・・・・・・・が、出てくるエフェクトがサーヴァントのものだったから俺は期待を捨てきれずにいた。

「こい・・・。こい・・・・・。前のイベントのときも赤セイバー欲しくて引いたときに散々空振ったんだ。せめてここで仕事してくれ俺の運命(Fate)!!」

 

 そして出てきたカードは銀、しかし絵柄はキャスターのものだからまだ希望はある。そう思った瞬間

 パリッ!とカードに稲妻が走った。

 (これは・・・・・・来たのか!?)

 

 そう思い、つい手に力が入ってしまったがスマホを握りつぶすようなことはなく、ガチャの結果が出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 キャス狐だった。

 

 

 

 

 

 

(いよっしゃ~~~~!!!!!!!)

 

 

 

 俺はテンションが上がって立ち上がりそうになったが、今は公共交通機関に乗っているので騒がず、小さくガッツポーズをするだけに抑えた。

 

 

 

 が、そこでふと顔を上げたところで俺の記憶は飛んでいる。ただ、記憶が飛ぶ前にイヤホンをつけていた耳元で「ご主人さま~!!」って声が聞こえたことと急に乗っていたバスが宙に浮いて勢いよくスリップして横Gがかかったっていうのは覚えていた。

 

 

 目が覚めたら顔に髪がかかる感覚がした。背中に固いものが当たってる感覚がしてるから誰か俺の顔にかぶさるように倒れてるんだろうなぁ・・・・とはっきりしない視界の中俺は体を起こそうとした。体を起こすときにやけに体の一部分が重い気がしたがそんなの気にするほどまともに思考回路が働いていなかった。

 少し痛む体をようやく起こし終わると、俺の目にかかる髪がのけられたが、それは俺のほほにあたって動くのをやめた。それと同時に俺はある可能性に気付いていた。

 

 あれ?これ、俺の髪じゃね??

 

 と。正直こんなに髪を伸ばした覚えはないし、それに・・・・・と思った所で俺の視界にあるものが入り、俺は動きを止めた。

 

 俺の視界に入ったのはどこかの車から飛ばされてきたであろうサイドミラーだった。本当ならそこにはきわめて平凡でメガネをかけた青年の姿が映っているはずなんだけど・・・(やばい、自分で言ってて悲しくなってくる・・・・)

 

 ミラーに映っていたのは桃色の髪を後ろで青色のリボンで止め、そして頭から狐の耳を生やして藍色の和服ドレスって言うんだっけ?をまとい膝上ニーソックスを履いた少女(・・)の姿だった。そして後ろにはしっぽが3本ゆらゆら揺れていた。 

 

そう、俺はキャス狐になっていた……。

 

混乱した状態でいろいろ考えた結果行き着いた結論は、”多分最近はやりの憑依とか転生とは今の状況は違うと思う。”ってことだった。

 なぜなら神様に会った記憶もないし、今俺の目の前にある光景がそれらの可能性を否定している。

 俺の目の前には横転し、フロントガラスが割れて中から血が垂れてきた俺が乗っていたバスと、その中から聞こえる悲鳴や苦悶の声。どうやらキャス狐になってしまったせいかわからないが、身体能力が上がったようで、メガネだったのにメガネなしでもくっきりと周囲が見え、そして小さい声もはっきり聞こえる。いや、聞こえてしまっている(・・・・・・・・・・)

 

 そんで俺はあまりまとまらない思考の中、ふらふらと近くの壁によっかかって頭を抱えて座り込んだ。そんな時だった。それ(・・)に気付いたのは。

 

 俺は、キャス狐を正直言ってEXTRAやったことが無いせいであまり詳しくは知らない。ただ、自分の名字が玉藻だったせいでEXTRAをやってる同級生に「お前のあだ名今度からキャス狐な!」と良い笑顔で言われて自分で調べてみたことがあったからかろうじて姿と真名。ついでに宝具を知っているだけだ。

 おまけで言うとその事実を調べた後にそいつを俺は全力でぶん殴ってそのあだ名で呼ぶのをやめさせたという過去がある。

 

 ちょっと話が脱線したけど、それで俺が見たことがあるキャス狐の画像の中で腰にベルトを着けてその中にカードを入れている画像なんて見たことが無かった。というか、確かキャス狐の攻撃手段はカードではなくお札だったと思うが。

 ただ、このカードホルダーに俺は思い当たるものがあった。

 

「これ、さっき当たったあのよくわかんない礼装か・・・・?」

 

 そう、そのカードホルダーの見た目は先ほど引いた謎の礼装。”召喚符”と全く一緒だったのである。

 

「とにかく、中身見てみるか。」

 

 俺は半ば惰性でそのカードホルダーの中身を見始めた。

 

「・・・・・・・・なんでさ。」

 

 つい、士郎の口癖を言ってしまったが、それに関しては俺は謝る必要が無いと思う。だってカードホルダーの中身にあったカードは俺からしたら心当たりがあり過ぎる名前がつらつらと書かれていたからだ。

 

<激烈大魔法使い アリエッタ・トワ>

<超ビッグな魔道少女 リルム・ロロット>

<清き陰陽の輪光 クオン・リムセ>

 etc・・・・・

 この3枚でも例を挙げればわかる人にはおわかりだろう。この3枚が出てくるゲームが存在するし、俺はこの3枚をそのゲームで持っていた。

 そのゲームの名は”クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ”である。

 

 しかし、これはおかしいことだ。・・・・まぁ、俺の姿がキャス狐になってしまった時点で正常ではないけれど。

 それよりもなによりももし、この力をあのゲームのようにつかえるのならば誰かを救えるかもしれない。

 

 そう思って俺は立ち上がり、カードから流れてくるナニカを頼りにASで回復を持つ水属性のカード5枚をバスから放り出されてけがを負っている人の方を向いて空中に投げた。

 次の瞬間目の前にクイズの問題が現れ、回答選択肢が4つ表示された。

 

 第1問 アニメ・ゲーム

 Fate/stay nightで赤い悪魔と呼ばれる少女の名前は次のうちどれ?

 1.遠坂時臣

 2.間桐桜

 3.遠坂凛

 4.衛宮士郎

 

 俺は迷わず3番を選ぼうと思ったが、これどうやって選択肢選ぶんだろう・・・・・。

 

 一瞬躊躇したが、俺は勢いよく3番の選択肢を殴りつけた。

 

 すると正解したときに流れるSEが流れ、俺が投げたカードに書かれている精霊が出現。そして周囲に回復の光とバスに向かって攻撃(・・)を放った。

 

「・・・・・・え?何で?」

 本格的に訳が分からなくなりそうだったが、次の瞬間なぜ攻撃が発生したのか理解した。

 精霊たちが破壊したバスから人を救出し始めたのである。おそらく、バスを壊さないと救出ができないと判断したのだろう。

 

 そして、おそらくバスの中にいた乗客乗員全員が助け出された後、精霊たちがこちらを見ていたので俺は再び意識を集中した。

 

 第2問 文系

 史実で最も優秀だったと言われている陰陽師は次のうちどれ?

 1.安倍晴明

 2.鴨野忠保

 3.因幡聡明

 4.紀忠邦

 

 速攻で1番を殴りつけた。

 今度も回復の光が現れたが、今度は精霊たちは近くで燃えていた車や壁に突っ込んで燃え始めていた車に向かって攻撃を放ち火をけし、中にいる人を救出した。

 

 助けた人たちは未だに意識が戻ってないから騒がれてないけれど、多分起きたら俺の恰好を見て絶対騒ぎ出すと思うからここは退散した方が良いと思った。

 

 

 ・・・・・・・でもどこに行こうか。最低でもこのトンネルから出ないといけないのはわかる。火事はさっき鎮火させたから火事のせいで焼死、または酸欠にはなんないと思うけど、それでも・・・・・ねぇ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・暫く迷ってから結局バスが入ってきた入口の方が近いからそっから出ることにした。

 

 

 しばらく歩いてから気付いたけど、どうやら俺の体にキャス狐が憑依したのではなくて、俺の体がキャス狐に変質してしまったという見方が正しいのかもしれないと思い始めた。なぜなら仮に俺がマシュみたいにデミサーヴァントになっていたとしても流石に性別まで変わることはないだろう。実際マシュに力とか託して消えたの男の英霊だろうし。

 でも、俺の場合は身体能力の向上+キャス狐の全スペック移植(多分)に近い可能性が高いし、それにそうだとしたとしてもまさか五感が完全に英霊側に引っ張られることはないだろうしさ。俺の聴覚がキツネ耳に移行したせいでどんな小さい音も聞き逃さないようになったみたいに・・・・・。

 

 そんな若干くだらないことを考えながら歩いていたら入口の方にたどり着いた。けど、入口から出ることはかなわなかった。

 まるで入り口をふさぐように設置された(・・・・・・・・・・・・・・・・・)大岩で。

 

 

「はぁ~。これはこれは面倒ですねぇ~。」

 

 俺はもはや無我の境地で自分でもよくわかんないことを言いながら体の奥底から流れてくる記憶に沿って構え……

 

「すぅ………、一夫多妻去勢拳‼」

 

 拳を目の前の岩に打ち込んだ。

 

 

 全く割れる様子が無かったので無駄骨だったかなぁ…って思った数秒後に割れた。てか、砕けて爆発した。

 

「にょわ‼ケホッ!!ゲホッ‼」

 

 爆発した衝撃で粉塵が舞い上がり、目の前が真っ白になったせいで咳き込む羽目になったが、外に出ることは可能になった。

 

 俺はふらふらしながら外に出ると、もう真っ暗になっていた。

 

 「この格好じゃ家にも帰れないし、仕方ないから部室で今日は寝ようか・・・・。」

 

 俺は大学に向かって歩き出した。この時に気付けばよかったのかもしれないけどこのありえない状況に疲れ果てていた俺は全然その違和感に気付けれなかった。

 

 

 俺が帰り始めたの午後六時。どんだけ長い時間気絶してたとしても警察消防含めてこの時間にこの状況にこの場所に誰もいない(・・・・・)なんてことありえないはずだってことに。

 

 

 十分ぐらい歩くと大学の入り口が見えてきた。そこにも人っ子一人もいなかった。俺は大学の構内に入って部室棟を目指した。

 

 

 俺が所属してたのは文系の部活だ。

 文系部活が部室を置いているこの棟には料理研究会が使うためのキッチンスペースや冷蔵庫とか一応この場所が緊急時の避難所の一つになっていたこともあって数日は何十人が暮らせる備蓄が置いてある。因みにシャワー完備。まさに至れり尽くせりである。

 

 部室のカギを開けたらここにも誰もいなかった。まぁ、鍵がかかっていた時点で何気に悟ってはいたけど。

 

 俺は部室に入って中から鍵を閉めると電気もつけずにそのまま疲れたせいで倒れこむように眠ってしまった。




 初日の開始時刻が遅かったんでデビサバ2の初日みたいに一日中混乱したりはしません。他の人の描写はいつか書くかも。
 
 なんでタマモが他の人を助けるだけ助けて救急車呼んだりしないのかというと、もし呼んだ場合は確実にその場にいないといけなくて来たら来たで今度は自分が研究所かなんかに連れて行かれると思ったから。
 そしてなんで入ってきた方と逆の方向に向かわなかったのかというとこんな事故が起きてるなら向こうは向こうでレスキュー隊とかもう来てるでしょと思ったから。という裏設定があります。

感想、メッセージともに待ってます。

11月10日 サブタイトル変更しました。二日目は今書いてます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。