東亰ザナドゥ ―秋晴れの空へ向かって―   作:ゆーゆ

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5月23日 焔の追憶②

 

 高幡先輩が私達を導いた先は、杜宮市の外れ。アクロスタワーから真東に位置する、十年前に無人となった工場跡地だった。跡地の建屋には東京震災の爪痕が未だに残っており、壁面やシャッター口には大きな錆が浮かんでいた。本来は立ち入りが禁止されている区画だそうだけど、一つの古ぼけた建屋にだけ、小さな明かりが灯っていた。その建屋こそが目的地であり、過去にBLAZEが本拠地として使用していた廃工場。入り口前には複数台のオートバイが停まっていて、屋内からは男性らの話し声が漏れ出ていた。

 

(どうやらビンゴみたいだね。先輩方、これからどうするのさ?)

 

 入り口のシャッター扉の前で、ユウ君が声を潜めて問い掛けてくる。すると柊さんが高幡先輩の腕にそっと触れてから言った。

 

(こちらはこちらのやり方で行かせて貰います。いいですね)

(ああ、好きにしろ)

 

 高幡先輩は首を縦に振ると、まるで歩道を往くような堂々とした様子で屋内へ踏み込んで行く。私達は一度顔を見合わせてから、高幡先輩の後に続いた。

 目に映る男性の数を大雑把に数えて、約十数名。人数分の視線がこちらへ向くやいなや、前方からはたちまちのうちに驚きと戸惑いの声が上がり始めた。

 

「し、シオさん!?」

「う、嘘だろ。アキヒロさんが、半殺しにしたって話じゃ・・・・・・!?」

 

 当然の反応だ。死に掛ける寸前にまで追い込まれた人間が、軽い掠り傷だけを残して立っているのだから驚くのも無理はない。でも私の視界には、それ以上の『不自然』が映っていた。

 

(あれが・・・・・・アキヒロ、さん?)

 

 集団の中心に立つ、ピンクレッドの短髪を逆立てた男性。筋肉質の体格をしている一方で首が異常に細く、頬がこけている。焦点が合っていない目は大きく見開かれていて、絶え間なく揺れ動く。肌は浅黒くて見るからに乾燥しており、所々に爪で引っ掻いたような傷跡が浮かんでいた。

 同じ人間とは到底思えない。眼光は猛禽類を連想させる。過去に薬物中毒者の特徴を報道番組で目にしたことがあるけど、決定的に何かが違う。あの異常な外見も、HEATの影響なのだろうか。

 

「おいおいおい、シオさん。こいつは一体何の真似だよ。後輩とやらを引き連れて、こんな場所まで―――」

「こうするまでです」

 

 アキヒロさんが言い終えるのを待たずに、柊さんがサイフォンを素早い手付きで操作しながら歩み出る。手にしていたサイフォンが一瞬だけ輝きを放った後、すぐに異様な光景が広がった。

 

「ああ?」

 

 アキヒロさんを取り囲んでいた、十数名の男性ら。両脇の二名を除いて、全員が瞼を閉じて沈黙していた。見たままに表現するなら、『立ったまま寝ている』。私にも何度か経験があるけど、倒れたり膝を折ることもなく、全員が全員器用に立ち尽くしたまま寝息を漏らしていた。

 道中に柊さんが提案した、一網打尽。死人憑きの一件で市民体育館の被害者にも使用した、複数人を対象とする集団術式。アキヒロさんを含め三名以外の人間は既に夢の中。柊さんが暗示を解かない限り、目を覚ますことはない。正に一網打尽だ。

 

「悪く思うなよ、アキヒロ。これで薬と人数のハンデは無しだ」

「シオさん、アンタ・・・・・・」

「だがお前と闘るのはこの俺だ。一応言っとくが、後輩共に手出しは無用だぜ」

 

 高幡先輩が左手に右拳を叩き付け、アキヒロさんを睨み付ける。両脇で狼狽える二名の男性とは裏腹に、アキヒロさんは呆け顔を浮かべて、生気が感じられない眼を揺らしていた。

 

「クククッ・・・・・・アーハッハッハッハ!!!」

 

 すると突然、高らかな笑い声を腹の底から上げて、屋内にアキヒロさんの声が木霊する。腹を抱えて笑い続けた後、アキヒロさんは両隣に立っていた男性らに両手を差し出し、冷徹な声を放った。

 

「てめえらの分を出しな」

「え?で、でも」

「出せ。死にてえのか」

 

 言われるがままに、男性らが慌てた様子で何かを取り出す。両手に手渡されたのは、カードケースのような形をした銀色の入れ物。アキヒロさんがそれぞれのケースの上蓋をスライドさせると、中にはオレンジ色のタブレットがぎっしりと詰まっていた。

 

(あ、あれって)

 

 不味い。最悪が脳裏を過ぎり身構えた頃には、アキヒロさんは無造作にケースの中身を口内へと流し込んでいた。口元からぼろぼろと数粒の『HEAT』が零れていくのを意に介さず、口一杯にドラッグを詰め込んだアキヒロさんは、音を立てて咀嚼を始めた。全てが一瞬の出来事で、最悪が現実になった瞬間だった。

 

「アキヒロ、お前―――」

「動かないで!」

 

 そしてアキヒロさんが地面を蹴ったのも、ソラちゃんが高幡先輩の前方に躍り出たのも、一瞬。右腕を腰溜めに構え、重心は低め。前に出されていた左手と入れ替わりで、ソウルデヴァイスによって加速したソラちゃんの打拳が、突進してきたアキヒロさんの腹部へと突き刺さる。

 

「轟雷撃っ!!」

 

 正面からの剛撃によって弾き飛ばされたアキヒロさんの身体が、後方に積み重なっていた金属製のコンテナ達を巻き添えにして、屋内の奥部へと叩き付けられる。頭上から降り注いできた鉄パイプがけたたましい音を響かせ、追い打ちを立てていく。

 

「あ、アキヒロ!?」

「駄目です、効いていません。直前で外されました」

「彼女の言う通りです、高幡先輩。あれはもう人間じゃない」

 

 エクセリオンハーツを手にしていた柊さんに続いて、時坂君にユウ君、そして私もライジングクロスを手早く顕現させた。

 瞬時に理解できていた。HEATを噛み砕いた刹那に発せられた、あの波動。血飛沫のような朱色の瘴気は、異界で目にするそれと同じ。この屋内に限って、ソウルデヴァイスを振るえる程の浸食が、既に始まっている。エルダーグリードに匹敵する威圧感が、私達の肌を焼いていた。

 

「今の彼は危険過ぎます。暗示は解きました、BLAZEのメンバーを連れて避難して下さい!」

 

 立ち寝をしていた男性らが瞼を開くと同時に、コンテナの山が爆ぜる。ソラちゃんの一撃が通じた様子は見受けられず、アキヒロさんは全身から発せられる瘴気を焔のように揺らしながら、一歩ずつ前進していた。BLAZEの男性らは変貌したアキヒロさんを目の当たりにした途端に踵を返して逃げ出し、屋内に残されたのは、私達だけ。

 

(来るっ・・・・・・!)

 

 ギアドライブを加速させて、先程の攻防を振り返る。速さも耐久力も人間のそれじゃない。少しでも躊躇いを覚えたら、こちらが命を落としかねない。私も覚悟を決めて、やるしかない。

 

「柊、どうすんだ!?」

「強引に拘束して、術式で意識を遮断するわ。後衛は支援に徹して、私達で押さえるわよ!」

「了解です!」

 

 陣形は自然と定まった。柊さんを中心に、時坂君とソラちゃんが両翼。私とユウ君は後方。ユウ君のカルバリーメイスはともかく、私のライジングクロスでは接近戦で応じる術が無い。私の武器は速度と飛び道具、そして昨日に見い出した『カウンター』。私にできることをやるまでだ。

 

「ガァッ・・・・・・ガアァアアア!!!」

 

 一際鋭い咆哮を上げたアキヒロさんが、低い姿勢から再度突進してくる。合わせて襲い掛かってくる剣撃、打撃、鎖撃の隙間を縫うようにして、アキヒロさんが周囲を走り回り、三人を翻弄していく。

 移動や切り返しが速過ぎて、援護のしようがなかった。それに三人の動きが、目に見えてぎこちない。脅威は肌で感じているけど、相手が同じ人間であることには変わりない。柊さんも含めて、やはり多少の躊躇いがあるのだろうか。

 

「来るよ!」

「え―――」

 

 ユウ君の声と同時に、アキヒロさんが描いていた軌道が変わった。三人の包囲網から飛び出したアキヒロさんは、後方で隙を見計らっていた私とユウ君の下へ真っ直ぐに駆けて来る。隙を突かれたのは、私の方だった。

 

「先輩、伏せて!!」

 

 ユウ君が振るったメイスの横薙ぎを、アキヒロさんが軽々と右手で受け止める。アキヒロさんは勢いをそのままにメイスを振りかざし、メイスを握っていたユウ君の身体が地面へと叩き付けられてしまう。

 息を付く暇も無く、次にアキヒロさんの殺気が向いた先は、私。アキヒロさんはゼロ距離にまで接近を許した私の頭を右手で鷲掴みにして、私の両足が地面から離れると、途方も無い激痛で頭を割られたかのような錯覚に陥る。

 

「うあ、ああ!?あああぁあっ!!」

「アキ!?」

 

 時坂君の叫び声が耳に入ると、より一層の力が五指の先端に込められ、頭部へと突き刺さっていく。両手で抗おうにも、アキヒロさんの肌は熱せられた金属のように熱く、触れることすらままならない。

 

「アキ・・・・・・アキ?アキ、だぁ?」

 

 ライジングクロスを手放した筈なのに、落下音が聞こえない。そればかりか、周囲の声さえもが急速に遠のいていく。聞こえてくるのは、頭蓋がぎしぎしと歪む音だけ。痛みで意識を失った経験はないけど、その域の一歩手前まで来てしまっている。もう、何も考えられない。

 

「―――その手を離しやがれ、アキヒロ」

 

 唐突に、痛みが和らいだ。依然として右手で吊り下げられている状況は変わらない一方で、とても温かな声が聞こえた。涙のせいで不明瞭な視界には、アキヒロさんの右手首を掴む、大きな左手が映っていた。

 

「ガァアアアッ!!!」

 

 反対側の左手から放たれた打拳も、轟音と共に右手で阻まれる。すると重なり合った両者の手の隙間から、溢れんばかりの光が放たれ、目が眩むような金色の輝きで、眼前が満ちていく。

 私はこの光を知っている。死人憑きの異界に飲み込まれ、偽りの幻想に我を見失っていた時。本物の声と同時に胸の奥底から生まれた、希望の光。あの光と、同じ色だ。

 

「か、はた、先輩・・・・・・?」

「言っただろうが。後輩共にっ・・・・・・こいつらにだけは、手を出すんじゃねえ!!!」

 

________________________________________

 

 前方で生じた衝撃で、身体が後方へと吹き飛ばされる。私を受け止めたのは、先程手痛い反撃を食らったユウ君だった。私はユウ君に背中を預けながら、今も鈍い痛みと熱が残る頭を確かめるように、両手で触れた。危険なところまで追い込まれたけど、頭は割れていない。

 

「ね、ねえユウ君。私の頭、変じゃない?」

「焦げ臭いし中身はお気の毒だけど、まあ大丈夫でしょ。でもさ・・・・・・アリなの、こんな超展開」

「あはは。アリ、じゃないかな」

 

 私達に背を向ける高幡先輩の右手には、巨大な一振りの剣。身の丈を超える程の刀身を持つ重剣が握られていた。印象は柊さんのエクセリオンハーツと正反対で、重々しい存在感と重厚な輝きを放っていた。

 漸く合点がいった。柊さんの記憶操作の効果が高幡先輩に見られなかったのは、私達と同じだったからだ。話が出来過ぎているような気もするけど、柊さんの話では、適格者としての素質を持つ人間は全人口の約0.004%。十八万人の住民がひしめくこの杜宮市の外れに、こうして一手に集う偶然があってもいい。そもそも私達だって同じような立場にあったのだから、人のことは言えない筈だ。

 

「何が何だかサッパリだが・・・・・・どうやら同じ土俵には立てたみてえだな。立て、アキヒロ。仕切り直しだ」

 

 高幡先輩の重剣の切っ先を向けられていたアキヒロさんが、ゆっくりとした動作で立ち上がる。するとアキヒロさんは上着の中へ手を伸ばし、取り出されたのは―――銀色のケース。先程二人の男性らから受け取ったHEATが入っていた物と、同じだった。

 

「アキヒロ、てめえっ・・・・・・!」

「駄目よ、やめなさい!これ以上摂取してしまったら、何が起きるか分からないのよ!?」

 

 柊さんの忠告を知ってか知らずか、アキヒロさんは迷わずにケースの中身を貪り、噛み砕いた。直後に発せられた朱色の瘴気が私達に牙を向き、火を当てられているかのような鋭い痛みに苛まれていく。

 

―――ピシッ。

 

 そして『裂け目』は、唐突に浮かんだ。アキヒロさんの背後に漆黒と朱に染まった裂け目が生じた途端、周囲の空間が歪み、揺らいだ。頭を直に揺らされているような感覚に吐き気をもよおし、私は思わず瞼を閉じた。

 

「ぐっ・・・・・・ぐああああっ!?」

 

 次第にアキヒロさんの悲鳴が尻すぼみになっていき、吐き気が治まった頃には、声も姿も無かった。代わりに在ったのは、ゲート。両開きの門を模した別世界との境目が、私達の眼前でフェイズ1を示す色に染まっていた。

 

「アキヒロ!?」

「人を起点とした異界化っ・・・・・・異界ドラッグの過剰摂取で、特異点と化したんだわ」

 

 過去にばかり囚われていた私やアリサ先輩を介して、異界化が生じた時と同じ。死人憑きではない今回の事件の元凶が、このゲートの先にいる。それなら、私達が取るべき選択肢は一つだ。

 私は地面に落ちていたライジングクロスを拾い上げ、ゲートの前で立ち尽くしていた高幡先輩に歩み寄り、そっと声を掛けた。

 

「高幡先輩。助けてくれて、ありがとうございました」

「礼なんざいい。アキヒロは、この門の先にいるのか」

「はい、その筈です」

「あいつを薬漬けにしやがったクソ野郎も、そこにいるんだなっ・・・・・・!」

 

 私は振り返り、後方に立っていた柊さんの反応を窺った。首を縦に振ったということは、同行を認めてくれたということだろう。この期に及んで拒まれたら、私だって文句の一つや二つ並べる。

 

「シオ先輩、ここからが本番だ。最後まで付き合って貰うぜ」

「当たり前のことを抜かしてんじゃねえよ」

 

 高幡先輩を先頭に、私達は異界へと飛び込んだ。時刻は既に、夜の20時を回っていた。

 

_______________________________________

 

 内部の様子は、昨日に高幡先輩が落とされた異界といくつかの共通点が見られた。一つ目は、濁度が百を超えているという点。濁度が一定の基準値を超える異界では、長居をするだけで身体の内部から蝕まれてしまう。行動限界時間を設定する上で重要な指標となる。

 そして二つ目は、現実世界を思わせる不思議な植物達。昨日は木の根のような地面より下の組織が目立ったけど、この異界では青々とした葉を揺らす見たこともない植物で溢れ、至る所にツタ属に酷似した緑が生茂っている。見ようによっては植物園と言っていい様相を呈していた。

 

「どうやらアキヒロは、奥部まで連れて行かれちまったようだな」

「ええ。そして恐らくですが、この異界を覆っている植物達が、異界ドラッグの原材料となっていたのでしょう。こういった類の異界は、私にも経験があります」

 

 ここに来て漸く全てが繋がった。アキヒロさんは自分でも気付かぬうちに異界に魅入られ、ここで密かにHEATの素材を調達し、BLAZE内に広めていた、ということになる。

 

「でもさ、ただの不良が何であんなドラッグの作り方を知ってた訳?」

「それも元凶が撒いた餌の一つだったのよ。アキヒロさんの意識下に潜り込ん・・・・・・ま、待って」

「え?」

 

 柊さんが声を切ると同時に、足元が揺れた。気のせいかと思いきや、もう一度。二度目の揺れは治まりを見せず、微弱な振動として両足から伝わってくる。

 

「じ、地震?」

 

 振動は時間を追うごとに強まっていき、地鳴りのような重低音と共に、何かが近付いてくる。頭上からぱらぱらと迷宮の破片が降り注ぎ、上部へ気を取られていると―――私達の前方、何も無かった筈の床面から、突如として『それ』は現れた。

 

「「っ!?」」

 

 緑と紫色に染まった、不気味な触手。大木のように太い二本の触手が、地上から突き出していた。触手は先端を小刻みにしならせながら、呆気に取られていた私達へと襲い掛かる。その標的となったのは、二人の後輩だった。

 

「うわあぁ!?」

「きゃああ!!」

 

 ユウ君とソラちゃんの足に先端を巻き付かせた触手達は、二人を引き摺り込みながら、地の底へと消え去っていった。すぐに振動は止み、後に残されたのは、地面にぽっかりと開いた二つの穴。呆然と立ち尽くす私達と、理解が追い付かないこの現状。しんと静まり返った異界の入り口で、一体今何が起こったのか。じわじわと少しずつ理解へ近付くに連れて、絶望感と喪失感が込み上げてくる。

 

「ユウキ・・・・・・ユウキ、ソラ!?」

 

 弾かれるように、私と時坂君は二つの穴に向かって駆け出した。穴の先は既に埋まっていて、その先が窺えない。この穴が何処に繋がっているのか、今さっきの触手が何なのかも、分からない。

 

「そ、そんなっ・・・・・・今のは、二人は何処に行っちゃったんですか!?」

「落ち着いて、遠藤さん」

 

 私達が狼狽する一方、柊さんは静かに言った。冷静さに満ちた声と柊さんの落ち着き払った態度に、より一層の混乱が生じて、頭がおかしくなりそうだった。

 

「おい柊、今のは何だ。あれもグリードなのか!?」

「時坂君もよ。取り乱しても二人は帰って来ないわ」

「じゃあどうすればいいんだよ!!」

「だから落ち着いてと言っているでしょう!!」

 

 悲鳴に近い叫び声が、周囲に響き渡る。直後に耳に入ったのは、何かが滴る音。見れば、柊さんの両手からぽたぽたと、真っ赤な液体が一滴ずつ落下していた。固く固く握られた両拳は、先端の爪が掌に食い込んでしまっているのか、指の隙間に血が浮かんでいた。

 

「柊、お前・・・・・・」

「お願い、私の言うことを聞いて。こうなった以上、もう時間が無いの」

 

 冷水を頭から浴びせられたかのように、一気に理性を取り戻していく。柊さんは血に染まった手でサイフォンを操作しながら、私達に言い聞かせた。

 

「取り込まれた二人は勿論、アキヒロさんも同様の状況にある筈よ。詳細は前進しながら説明するわ。高幡先輩も、それでいいですか」

「構わねえが、お前さんは元凶とやらに心当たりがあるみたいだな」

「あの触手は異界の奥に潜むグリードの一部です。サイズはもっと小型でしたが、私は同種族と過去に対峙したことがあります。執行者を志願していた私に課せられた、最後の試しでした」

 

 柊さんは顕現させたエクセリオンハーツを一度振るい、地面に浮かんだ二つの穴を見下ろしながら、続けた。

 

「エルダーグリード『ダークデルフィニウム』。脅威度はAランクに匹敵するわ。あと三十分以内に奥部へ辿り着けなかったら、三人の命は枯れ果てる・・・・・・さあ、進みましょう」

 

 

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