現在は、この街の周りに5つの村が出来上がっている。
≪サザンクロス聖騎士団≫の5人が、それぞれ前線になる村で開拓作業を行い
防衛ラインを構築していた。
私は、5つの村の中心になった街で、騎士の育成・魔法詠唱者の教育をしている。
この<サザンクロス聖騎士団>のギルドホームである大聖堂の周りを囲む様に5つのこじんまりとした聖堂も建造されている。
今日は、久々に全員が集まって報告会がある。
数人の供回りを従えた5人が帰ってきたようだ。
私にも、数人ついているのだが、そばに控えていた者に声をかける。
「準備は済んでますか?」
「はい」
「では、彼等の案内をお願いします。」
「畏まりました。」
彼等の好意で私の供回りは女性がほとんどだった。
今返事をした者も、可愛らしい少女だった。
私の為に建てられた聖堂の円卓を置き会議室に模様替えした広間に6人が着席する。
報告会では、とりとめのない世間話に終始する。
私は、久々に見た彼等に驚いた。
[年をとっている?]
初めて見た時、彼等は少年だったが、今は青年になっている。
私は、この世界に来た時のままなのに…
「次の作戦は、少しやっかいかな?」
リーハクの言葉で、私の意識は現実に戻る。
「やはりあの森の一部でも安全圏として押えておきたいしな」
シュリンの言葉にそれぞれ同意してゆく。
「私の方の報告を、騎士団については能力の向上はフードゥさんがが言っていた感じです。」
「ですが一部の者については、スキルと魔法が融合したような現象が起こってます。」
「使用出来る者達では《武技》と呼ばれてますね。」
「次回作戦にその武技を使える者を派遣しますので、各騎士団でお使い下さい。」
「次に魔法については、数人はユグドラシルの第2位階魔法まで使用できる様になりました。」
「お~!武技ですか、面白そうな能力ですね」
「俺たちも使えるのかな?」
「魔法の方も、形になってきましたね。」
「問題もないようだから、一服しようか。」
リーハクの言葉で、それぞれの供回りが入室し軽食などの準備をすすめていく。
私の眼は、リーハクの背後で控える女性に釘付けになって。
「あ!あれっ!もしかして」
私の慌てふためく声に、リーハクは軽く笑いながら答えてくれた。
「あ~彼女が着てるのは、傾城傾国ですよ。」
「ワールドアイテムじゃないの、リーハクさん、どうしてあなたが…」
「はい、あれは最終日に別のゲームのアイテムと物々交換したんですよ。」
「まあ恥ずかしい話なのですが、次の戦闘が終ったら彼女と結婚しようかなと思いまして結納品みたいな物としてプレゼントしたんです…ハハハ」
「おいおい、フラグ立ててるよコイツ…アハハ」
照れてるリーハクを仲間が囃し立てる
楽しげな彼等を横目に私は退室する。
最近は思い出す事もなくなってきていたが、やはり彼等を見ると、≪アインズ・ウール・ゴウン≫の皆の事が思い出され、私の心を締め付ける。
アイテムボックスから1冊の本を取り出す、これはスクリーンショットをプリントしアルバムに纏めたものをアイテム化し所持しているものだ。
中身はギルメンの様々な写真だ。
[誰でもいいから、この世界で逢って話がしたい、一緒の時をすごしたい]
私は頭を振って、自分のエゴを追い払う。
「皆様がお待ちです。」
傍付きのの少女が声をかけてきた。
「分かりました、今行きます。」
会議室へ戻る私。
「失礼、お待たせしました、皆さん。ではこれより準備を整え出陣しましょう。」
「了解した。」
数日後
森林内に布陣する私達の戦闘は膠着状態に陥っている
原因は、ドラゴンの出現であった。
ユグドラシル時代でもドラゴンは最強のモンスターだったのだ。
ドラゴンの他にも数千規模の様々なモンスターの一団、こちらの規模の10倍近くだ。
「リーハク・フードゥ・ジュウゾウ・シュリン・ヒューリン撤退しろ、殿は私がする。」
「それは、出来な…」
「いいから、早く」
彼等からは、否定の言葉が飛んできたが、私はモンスターには即死系の魔法を、味方の騎士には治癒・蘇生の魔法をばら撒きながら、彼等が撤退しやすいよう動いていく。
「さっ、早く行って!」
語気を強めた私に、
「すまない」
彼等の撤退が開始された。
距離も十分に離れた事で私は≪パーフェクト・ワンマンアーミー≫を発動させた。
この≪パーフェクト・ワンマンアーミー≫は、課金アイテムにワールドアイテムを使用して、強化したものだ、呼び出せる分身の全てがLv100というチート級のスキルだが、
一つだけ欠点を上げるなら、この分身体は術者以外の敵味方全てが攻撃対象になるのだ。
数時間後、なんとかドラゴンは倒せなかったが撤退させ、他のモンスターは全滅させた、私はMPを使い切りその場で気絶してしまった。
翌朝、街に戻った私を、≪サザンクロス聖騎士団≫の全員が入り口で待っていてくれた。
私の姿を確認した皆は、跪き臣下の礼をとる。
「な!なにをしてるんですか?」
驚く私を見て、リーハクが代表して言葉を発した。
「有難うございました。ファントムさん、我ら全員の命を救って頂きまして。」
「流石、我らが盟主です。」
「え!め・盟主ってなんですか…」
それ以後の彼等の態度が余所余所しいものとなっていき、私も彼等との距離をあけはじめた。
≪サザンクロス聖騎士団≫の5人は、それぞれの村に引き上げていたが、
人々の態度も、あの戦闘後変化したのだ、私達6人を神の如く崇拝し始めたのだ。
もう何年経ったのだろう?
私は、自室から出る事はなく、私の世話をする一人の少女を除いて、誰とも会わなくなった。
既に≪サザンクロス聖騎士団≫の5人もいない。
「今まで、有難うございました。あなたには、大変なご迷惑をかけてしまい申し訳なかったですね、私たちの我儘に付き合せてしって。私たちは幸せでした。」
彼等の最後の言葉だった。
彼等は1度だけ超位魔法を受け若返ったが、それ以後、彼等はこちらで作った家族と幸せに暮らし、亡くなった。
扉がノックされ
「失礼いたします。」
少女が部屋に入ってくる。
「各神官長殿より、奏上があがってきております」
「なぜ神官長達で解決しないのですか?」
「貴女様が最後に残られし、我らが神だからです。」
神官長…彼等は最初に私達6人の傍仕えをしていた家の出身者たちだ。
「あなたの、祖母さまなら解決出来るでしょう?」
「そのような事は、ないかと思います。」
そうこの少女は、私に最初に仕えていた娘の孫だ。
「祖母から伝え聞いておりましたが、姿が変わらない貴女様は、まさしく生あるものを包み込み、死すら超越される神です。」
「フフフ、それは違うわ、私はあなた達がいう、死の神ではないわ。本当の神は別に居るのよ。」
「それは、真ですか!」
「え~、私はその神に遣わされた者なのです。」
私はアイテムボックスから、アルバムを取り出し、1枚の写真を彼女に見せる。
「この方が、生すら超越し死を支配する神です。」
「無礼ながら、この神の名を教えて頂けますか?」
「このお方の名前は…」
「も…」
「も?」
「コホン、す…ず…さ…る」
モゴモゴと聞き取りにくい様、私は言葉を発する。
「スルシャーナ…様?」
少女の返答そのままに、私ははっきりと告げた。
「そう、スルシャーナです。」
数日後
死の神の神殿の祭壇に死の支配者の像が描かれた。
「ごめんなさい…モモンガさん」
私が彼女に見せた写真は、ナザリックの玉座の間で魔王RPをしていたモモンガさんの写真だったのだ。
モモンガさん…
ただ今、アルベトをクンカクンカ中