真剣で執事に恋しなさい!   作:鴇鼠

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初めまして。鴇鼠と申します。
 タグなどにも書きましたが処女作なので過度な期待はしないで下さいね。
長くなるのも面倒だと思うので一言、
 『真剣で執事に恋しなさい!』お楽しみください。



1話 『出会い』

第1話

 

その町では数年前からある噂が流れていた。

曰く、その町の近くにある森にバケモノが住み着いて人間を襲うらしい。 そのバケモノは、小柄だが熊を一撃で倒してしまうくらいの力を持っていて猟銃の弾も避けるとか。

 

 

 

そんな普通の人なら信じない噂を信じた男がいた。

 

「おい、ヒューム。今の噂、いっちょ確かめに行こうぜ。」

 

少し無造作に伸ばした銀髪に、その髪につけられた複数の髪留め、切れ長の目に額には大きなバッテン傷がある。

 彼の名前は、九鬼帝。有力だった企業を今や、世界最高と言われるまでに大きくした風雲児だ。

 

「帝様、次の予定が詰まっていますので遊んでいるわけにもいきません。」

 

そう言って着ている執事服の首元を緩める仕草をしている男の名は、ヒューム・ヘルシングといい、1000人から成る九鬼家の番外、零番の位に就いておりその強さ、戦闘力は、人類最強と噂されているほどだ。 

 金髪に視線だけで人を殺せそうな鋭い金の瞳。鍛えられた体に百獣の王を連想させるものすごい威圧感である。

 

「少しくらい遅らしたっていいだろう?それに俺の勘が言ってるんだ。面白いモンがあるってな。」

「では、噂を確かめた後は休憩はなしで、会議に出ていただきます。」

「それが、主にすることかよ。まぁ、しゃーねーか。」

 

帝は忙しく世界中を飛び回るため予定がびっしりだ。だが、彼の行動原理は、自分のやりたいようにやって、皆がたのしければそれでいい、なので彼がやると言ったらやるのだ。

 ヒュームはそれを理解しているので、予定を調整し彼のやりたいようにやらせるようにしていて、結果それがいい方向に向く事が多い。

 

「うし!じゃあいくか!」

 

彼とその従者は、噂の森に歩を進めた。

 

~ ~ ~ 

 

帝とヒュームは、噂の森のに入っていた。

 

「うお!すげえ生い茂ってんな!」

「はい。噂が流れる前からあまり町の者は、この森に足を踏み入れなかったようです。」

 

ヒュームの言う通り、森は人の手は借りず自らの力で育って行き、入る者を拒むように行く手を塞いでいた。それを帝は楽しそうに掻き分けながら進む。さながら、冒険を楽しむ少年のように。

 ヒュームは、帝に危険がないように虫や毒蛇などを排除しながら森の奥へと進んでいく。

 

「いや~しっかしバケモノの正体は、何だろうな。独自の進化をした獣か、やっぱUMAとかか?」

「先ほど気で探したところ、おそらく、人かと。」

 

ヒュームは、気を使いバケモノが人間であることを確認し、バケモノの正体が楽しみでしかたない雰囲気の帝にヒュームがほぼ確信を持って言う。

 

ヒュームのように突出した強さを持つ者を『超越者』『壁を越えた者』などと言われる。そういった者たちは、気を扱い、身体能力を強化したり、ビームを出したり、気で、神々を顕現する者もいる。その応用でヒュームは、気で索敵し人間の気を見つけていた。

 

「じゃあ、こんな人も寄り添ねぇところに好んで住んでる人間がいるってことか?」

「そうなりますかね。」

「ははっ!それはそれで会ってみてーな!」

 

バケモノの正体が未知の生物ではないことを知っても帝は、おもちゃを目の前にした少年のように笑っていた。

 

 

 

~ ~ ~

 

 

森を帝の勘通りに、言わば適当に進んでいくと少し開けた場所にでた。大の大人が2人が余裕で並べるくらいの通り道のような場所だった。

 

「帝様、これをご覧ください。」

 

ヒュームが見つけたのは、地面にある何かを引きずったような痕跡だった。

 

「結構新しいな。これ、辿って行くと会えるんじゃね?」

「つい先ほど通ったようです。」

「うし!じゃあこいつを辿って行くとするか!」

 

森に入って1時間もしないうちに痕跡を見つけれるのは帝が豪運の持ち主だからである。普通なら見つけられず諦めるか、森に迷ってしまうかのどちらかだろう。

 

「つーか、さっき通ったんならお前なら気で相手がどのくらい先にいるかわかるんじゃねーの?」

「どうやら、なかなかの手練れのようでこちらに気付き気を消しました。」

「へぇ。ま、とりあえず会いにいきますか。」

「帝様、念のため俺からあまり離れないでおいてください。」

「おう。了解。」

 

二人は、何かを引きずった痕跡を追って行く。

 自分が襲われるかもしれなというのに帝は、まだ冒険を楽しんでいる少年のように笑顔だ。一方のヒュームは、いつ襲われても対応できるよう最低限の警戒をしていた。

 

「おい、ヒューム。あれ見ろ。」

 

帝の指差す方には、人間の子供よりは大きい鹿が横たわっていた。

 

「引きずった跡はこれか。」

「そのようです。」

「ほかの獣にやられたのか?」

「いえ、それにしては死体に傷が少なすぎます。致命傷は、首の骨が綺麗に折られています。まず、獣ではこうはいかないでしょう。なにより、肉の保存がきくように血抜きがしております。確実に人間による手のものでしょう。」

「やっぱり?つーことは、バケモノの仕業っ…!?」

「失礼します。」

 

言うと同時にヒュームは、帝を掴み消えた。実際は、消えたように見えるぐらい速く動いただけなのだが、それだけ速く帝をさっきまでいた場所から移動させねばならなかった。

 なぜなら、帝目掛けて上から銀色の何かが襲い掛かってきていたからだ。

 

「なんだぁ!?」

「ほう。」

 

ヒュームも帝も驚いていた。別に襲い掛かられたことに驚いたわけではない。世界最高の財閥の当主というだけで命を狙われることがあるからだ。では、なぜ驚いたのか、厳密に言えば帝とヒュームの驚いたことは違うが、その襲撃者を見て二人は驚いた。

 

 

それは、襲撃者が年端も行かぬ少年だったからだ。

 少年は、服の面影を残したボロボロの布を身にまとい、無造作に伸びている銀髪に青色の綺麗な瞳を細め、獣が威嚇するときのように低いうなり声を上げている。その姿は、威嚇する銀の狼のような威圧感だった。

 

 

帝は、自分の息子と同じくらいの少年がこんなところにいることに驚き。

 ヒュームは、少年から発せられる尋常ではない闘気と襲う直前まで気配を気付かせなかったことにに驚いた。

 

「帝様、お下がりください。危険です。」

「お、おう。しっかし、こいつがバケモノの正体か?英雄と同じくらいの子供じゃねぇか。」

 

英雄とは、帝の三人いる子供の中の一人だ。帝は、小さな襲撃者を見ながら戦闘に巻き込まれない位置まで下がる。

 

「さて、おい赤子。お前は、こんなところで何をしている。」

 

問いかけに対し少年は、うなり声を大きくしまた、それとともに闘気も先ほどより増していた。

 

「ほう。まだ闘気が増えるのか。だが、言葉も喋れんのか?赤子よ。」

 

少年の闘気が増えるにつれ、ヒュームの威圧感も増していた。

 

「ガアアァ!!」

 

叫びながら少年は、真っ直ぐに突進を仕掛けながら拳を振り上げる。噂では熊をも一撃で倒してしまうらしい。が、相手が悪すぎる。子供にしては脅威のスピードだが、相手は人類最強。子供でもなければ獣でもない。

 つまり、ヒューム相手に少年は、格好の的でしかない。

 

「赤子にしてはいい速さだ。だが、俺の前ではやはり赤子のスピードでしかない!

 ジェノサイド・チェーンソー!!」

「ウグァァ!」

 

ヒュームの一撃で相手の体力の十割をもっていく、カッターのように鋭い蹴り『ジェノサイド・チェーンソー』それをまともにくらい少年はなすすべもなく吹き飛ばされ後ろの木にぶつかりその勢いは止まる。

  

「もっと手加減できなかったのかよ。ヒューム。」

 

いつの間にかヒュームの後ろまで来ていた帝が、戦闘が終わり、癖になっている首元を緩める仕草をしているヒュームに話しかける。

 

「これでも加減はしました。」

「へぇ。こいつは驚いたな。」

 

帝はヒュームが背を向けた方を見ながらお宝を見つけたような顔をしていた。ヒュームが背を向けた方、つまり少年が吹き飛ばされた方だ。

 ヒュームは、振り返り目を見張る。確かにジェノサイド・チェーンソーは、加減をしただが、本来、まともに食らえばヒュームと同じ武の頂にいるライバルの武神と呼ばれる川神鉄心でもひとたまりでもない。それなのに少年は、立っていた。うすうす感ずいていたことがヒュームの心の中で確信に変わった。

 

―――こいつは、武において天賦の才を持っている。

 

それは、鉄心の孫にも劣らない才能だとヒュームは確信した。

 

「おい、赤子。貴様、名はなんと言う。」

「・・・」

 

少年は、ヒュームの質問に黙って立ったままだった。

 

「おい。」

「・・・」

「待てヒューム。」

 

帝は、食って掛かりそうなヒュームを手で制し、少年にズカズカと歩み寄る。

 

「ははっこいつやっぱおもしれーわ。ヒューム、見てみろよ、睨みながら気絶してるぜ。」

 

少年は、確かに立つまでは意識を持っていたが、立つことで最後の力を振り絞ったのだろう。それでも、戦う意思を残したまま気絶したようだ。

 立ったまま気絶した少年を一瞥してからヒュームは、帝に向き直り思っていたことを話し始める。

 

「帝様、この赤子、俺が育ててもよろしいでしょうか?」

「何だ、気に入ったのか?」

「はい。こいつは天賦の才を持っております。武人として育ててみたいかと。」

「九鬼の従者としてもな。」

「俺の後継者に相応しいかと。」

「そこまでの才能なのか!?」

「これから次第ですが、おそらくはそれぐらいのモノは持っております。」

 

ヒュームの後継者、つまり従者部隊の零番、従者部隊の中で最強の番号だ。

 

 

「俺は、いいが…なんでこんなところにいるのかと、こいつの親とも話す必要があるだろうな。色々と。」

 

色々の中には、もちろん少年が九鬼に入るなどの話もあるのだが、帝は子供が危険なところに一人でいることについて怒りを覚えていた。

 

「それについては、調べておきます。」

「おう、頼むわ。さて、まずこいつを保護しねーとな。風呂に、服にあと、こいつ自身にも色々と聞かないとな。」

「はい。それと帝様、この後の予定ですが、大幅にずらしますがそれに伴い休日がひとつ潰れるのでご了承ください。」

「マジかよ… まぁいいか。こんないい人材を見つけられたんだ。休日ひとつくらい安いもんだ。」

 

二人は、来た道を戻りながら少年の今後について話していた。

 

「こいつ、言葉とか話せるのか?」

「分かりません。先ほどは、俺の問いには答えませんでしたが、警戒していたからかもしれません。」

「だよな。でも、教養は必要だろ。そうだな、クラウディオかマープルにでも任せるか。」

「それがいいでしょう。戦闘面は、全面的に俺が鍛えます。」

「それは頼もしい限りだな。」

 

帝とヒュームは、楽しそうに話していた。

 少年の知らないところで少年の未来が決まっていく瞬間だった。

 




注意:名前だけのネタバレあり(原作を知っている人は問題なし)


オリ主のヒロインは決まってるんだ。だが、原作主人公、大和のヒロインは考え中。九鬼関係の人とくっ付けるのも面白そうだし、風間ファミリーの誰かとくっ付けても面白そう。マルさんとか燕さんとか・・・迷うなぁ。
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