ラブライブ!~μ'sとの新たなる日常 Anthology~【完結】 作:薮椿
今回は
『ラブライブ!〜女神達とひとつの影〜』
を投稿している、ティラミスさんの『新日常』をお送りします!
ティラミスさんより
皆さんはじめまして!今回薮椿様の小説のキャラを私なりに使用させていただきました、ティラミスと申します。
本日は初の試みということで不快に思ってしまったりしてしまう場面もあるかもしれません。そこにご注意くださいますようお願い致します。
それでは「零ちゃんとの思い出デート」スタートです!
μ'sと恋人となってから早くも1年が経過していた9月初日。ついこの間俺の家でお泊まり会をしたばかりだと思ったが、それから1週間以上経過しているとは思わなかったな。あの日々は濃厚すぎて一生忘れることはないだろうな…まぁ楽しかったけどな!!
そして九月に入って早々連休になってしまった。まぁ始業式が金曜日だったからなんだがな。
そして連休最終日…日曜日。この日は俺にとっては初めてかもしれない日である。
それは…恋人達、穂乃果達9人との同時のデート。つまり9:1の割合のデートってわけだ!知らない人が見たら驚いてしまうだろうな!9股してるんじゃないかってわかるんじゃないかな!
さてと早速デートの用意を………
ガチャッ!
「お兄ちゃんおっはよー!!朝だよー!!」
「だああ!!起きてるからいいっつーの!!」
「なぁんだ…起きてたのかぁ……がっかりだわ」
「いつもいつも朝から盛りやがって……」
今俺の部屋に入ってきたのは妹である楓だ。高校一年生とは思えない程のナイスボディが魅力の女の子であるが、重度のブラコンなのが欠点でもある。だがめちゃくちゃ可愛いんだよな!!
「あ、そうそう。これからも雪穂と亜里沙と3人で買い物行ってくるから」
「おう。楽しんできな」
「は〜い♪」
そう言うと楓は珍しく何もしないまま部屋から出ていった。さてと。俺もデートの用意をしなくちゃな。まずは朝飯を食わんと…適当にパンと牛乳とかでいいか。
そして俺はリビングにたどり着き、冷蔵庫の中を確認する
「牛乳切らしてたか…ん?緑茶…?」
お目当ての牛乳は切れていたが、その代わりにコップに緑茶らしき飲み物が入っているのを見つけた。楓が飲もうとして忘れてたのかもな。でもアイツに限ってそんなドジなことはしないだろう……だとすると残る候補はただ1人、人類の天敵しか浮かばなくなっていた。
絶対これイヤなものだろ…こんなのは飲まない飲まないっと。
俺はいつも冷蔵庫に入れてある麦茶をコップに注ぎ、目覚めの1杯として一気に飲み干す
「…っぷはぁ!!やっぱ麦茶は美味い…な……??」
麦茶を飲んだあとすぐに急に身体がだるくなってきた。おかしいな。なんでだ…
そんな事を考える余裕もなく俺の意識はそのまま暗闇の中へと消えていってしまった
「……ぅん…?」
あれ、なんで俺はここで倒れて…あぁ、コップに注いだ麦茶を飲んだらだるくなって、それで倒れたのか…しかしなんで気絶をしてしまったのだろうか…幸い5分くらいで目を覚ましているから不幸中の幸いってところだな。
そして不思議なことに
「…なんでこんなに寝間着がブカブカなんだ?」
いつも着ている寝間着はブカブカになるほどの大きさでは決してなかった筈なんだが…俺は自分の身体を触り始めた。すると腹部から上…胸部のところに手を持っていった時点で有り得ない違和感を覚えてしまった。何か柔らかいものがくっついているのだ。そこで俺は揉んでみる
「んぁっ…ぁん…??」
なぜだ?揉んだ途端身体に電流が流れるが如く、反応してしまった。なんでだ。俺は女じゃな…い……
「……まさか…………」
俺はそこで何かを悟ってしまい、洗面所へ向かう。目的は
「…なんじゃこりゃ」
違和感を感じてしまった自分の姿を見るためである。予想は悪く的中してしまい、また少し前のように女の子の身体になってしまっていた。十中八九秋葉のせいだろうが……こんなんでデート行くのは流石に気が引けるものだ
仕方ない…話したくはないが一応アイツに事情を聞いてやろう……
俺はすぐさま携帯を取りに部屋に戻り、すぐさまこの事態を起こさせたであろう張本人に電話を仕掛けた
プルルルル……プルルルル……
『もっしも〜し!まさか零くんから掛けてくるとは…そんなにお姉ちゃんの声が聞きたかったの?』
「戯れ言はそれでいいか?とにかく、麦茶になんか薬入れたろ?」
『あ、飲んじゃった?私特製の性転換剤入の麦茶。』
「あぁ、飲んじまったよ。まさか緑茶がフェイクだったとはな」
『騙されるなんて…零くんもまだまだねぇ…』
「で、いつになったら戻るんだ?」
『今夜には元に戻るでしょ。多分。んじゃね〜♪』
「あ、おい!!くそ…夜までこの姿かよ……」
今になってもアイツの考えてる事が分からない……今に始まったことじゃないけれど
「お兄ちゃんうるさいよー!!折角おめかししてたの……に…?」
「か、楓…」
「…………」
「あの〜?楓さ〜ん?」
「かわいぃいいいいい!!!!」
「どわぁああぁ?!!」
先ほどの騒ぎ(秋葉との連絡)の声が部屋に届いていたらしく、楓がこちらに来てしまい、その後すぐに楓に押し倒されてしまった。いつもなら突き放せるんだが…どうやら女の子の身体では抵抗出来ない。これが女の子か…
「お兄ちゃん…いや、お姉ちゃん!今日は私と亜里沙と雪穂とショッピングに行こう!」
「は、はぁ?!無理だ!今日は予定があるの!!」
「じゃあ私の服を貸してあげる!!胸の大きさとかほとんど同じだし身長もお姉ちゃんの方が少しちいさいからダボってした方が萌えるわ!!」
「何言ってんだこの妹おおおおお!!!?」
「……どうしてこうなった」
あの後楓に部屋まで連行されてしまい、楓の着せ替え人形となってしまった。
全体的に清楚な感じにしたらしく、白を基調とした雰囲気だ。例えるなら昔μ'sが衣装として着ていた「Snow halation」の衣装みたいな感じだ
そして下着(上下)までセットされてお化粧もされてしまった。こういう時の女性の動く速度は凄まじいものだと思うんだ。自分でも最初見た時これが自分なのかと疑わずにはいられなかったしな。
「よし!これでOK!!可愛いよお姉ちゃん♡」
「せめて家でくらいお兄ちゃんにしてくれ……しかしこのまま出掛けるのか…バレないかな」
「バレないでしょ!大丈夫!!」
理由のない激励の言葉をもらったあと、持ち物をチェックしようとしたが楓に小さめのバッグを持たされた。なんとも女の子は小さいバックを持ってると可愛さアップなんだと。わからないものだなぁ…
とりあえず財布、携帯、あとは身分証明書とかそのくらいか
あ、身分証明書は保険証にしておこう。生徒手帳渡しても姿が違うからな
時間は…まだ1時間くらいあるか。少し早めに向かっておこう。男子が待つのが鉄板だしな!あ、今は女か・・・
「んじゃあ楓。先に行くぞ」
「お兄ちゃんナンパされちゃダメだよ~?」
「いやされないから・・・」
ナンパなんてされないだろ。
・・・されないよね?なんだろう・・・嫌な予感がしてきたぞ
そして場所は待ち合わせの近くの公園内。公園と言っても結構広い市民公園のような場所だ。今俺は目印の噴水の前にいる。ここでみんなと合流する予定だからな。
だが合流時間はまだ30分ほどあり、まだみんなの姿は公園にはなかった
天気は朝と変わらず晴天であり、絶好のデート日和だ。
といっても、流石にみんな来るまではまだ時間があるな。なにしてよう・・・とりあえず真姫みたいに髪の毛をクルクルしてるか。なんか女の子っぽいと思うし。
それにみんなが俺のことを分かるかも試してみたいしな!
それから時間が少し経過し、集合時間の十分前。公園に凛、花陽、真姫の2年生トリオが一番にやってきた。そして迷うことなく合流場所の噴水の前まで来た。
「あれれ?凛達早く来すぎたのかな?」
「まだ10分くらいあるからね」
「どうせ零は寝坊でしょう?」
各々の感想が述べられる中、真姫の言葉を聞いた途端心臓が凄まじく早く動き始めたぞ?!そりゃ隣にその本人が女の子になっているんだもん!
「そうかな~・・・でも凛は違うと思うにゃ」
「?凛ちゃんどういうこと?」
「なんかね、変な感じなの。零君が近くにいるような気がして」
星空さんんんん?!!なんですかその乙女の勘の良さは?!心臓がもう飛び出てきそうなくらいドキドキしてるんですけど?!
やばいやばい・・・ここは落ち着かないと……そうだ!深呼吸をしよう!そうすれば落ち着くもんな!
吸って……吐いて……吸って……
「あ、にこちゃーん!!」
いきなり凛がどこかに向かって手を振り始めていた。思わずそっちの方を見ると、絵里、希、にこの大学生トリオが登場してきた。
「あら?零と穂乃果達はまだなの?」
「みたいやね。でも零君って遅刻しないんやないっけ?」
「そうよね~・・・にこにーとデートする時はいっつも零の方が早いわよ」
まぁいつも俺の方が早めに来てるからな!
だって女の子が自分より早く来ていると嫌でしょ?そういうことさ!
「そう言えば穂乃果ちゃん達も来てないんやね?」
「零と一緒に来るんじゃないかなぁ?」
残念だな希…花陽。その零はお前らの横で心臓バクバク動かしながら立っているのだ。女の子の格好と身体だから気付かないとは思うが…気付かれる方法が1つだけある。
それは────・・・・・・
「お~い!」
「ごめんねぇ…遅れちゃった…」
「遅れてしまい申し訳ありません…」
この三人…穂乃果、ことり、海未の3年生トリオだ。こいつらは俺といた時間が皆よりもはるかに上回っている。特に穂乃果とことりに関しては匂いですら俺を見つけ出せるほどの嗅覚を持っている。犬かよコイツらとツッコミを入れたくなってしまうのがなんとも言えないのがな。
「遅かったのね?零は一緒じゃなかったの?」
真姫が違和感に気が付きすぐさま海未に問いかける
「それが・・・零の家に行ったのですが…もう家を出ているらしくて……」
「だからこっちにいると思ったんだけれど…電話してみる?」
ッ!!!しまった!携帯はいつも通りのだ!このままことりが俺の携帯に電話をしてしまったらみんなの隣にいる美少女(自称)が俺だとバレてしまう!ここはなんとしてでも皆から離れなければ
俺は気が付かれないようにみんな少しずつ距離を置こうと移動した────刹那。
ピリリリリッピリリリリッ
俺の携帯が鳴る。
すぐさま俺は携帯をバッグから取り出し、着信先を確認する。そこには「高坂穂乃果」の文字が書かれていた。
……出てみるか。
「……はい。」
「零君!?今どこにいるの?!みんなもう集まってるんだよ?!」
…もう言ってしまうか。
「いるよ。みんなの隣にな。」
「え、隣って…え?」
俺はそのまま電話を切り、みんなの方に顔を向ける。その時のみんなの顔は唖然としており、現実を受け入れられていなかった。
「「「えぇえええぇええええ!??」」」
その後皆の声が合わさったことは忘れることは出来ない
「……てなわけでな。今日はデート中は女の子のままなんだ」
「また先輩が…零も散々ね」
「もう慣れたよ…」
なんとか事の経緯を説明し終えた頃には目的地の遊園地に到着していた。周りから変な目線が来てたような気がするが気にしたら女の子とみなされてしまう。主に近くにいる鳥と犬な
「よし!今日は女の子みんなで思いっきり遊ぶぞーっ!!」
「「「おぉーーっ!!」」」
「……おー」
どうしても穂乃果やみんなのテンションについていけない俺がいた。まぁ…仕方ないよな?
そして場所は遊園地の入り口。休日最終日ということもあってかかなりの人が列を作っている。だが着々と列が進んでるからもう少しで中には入れるだろうな。今日はたくさん思い出を作ろう!女の子の姿だけれど!
それから30分程経過し、なんとか遊園地の中に入ることが出来た。今日は何回でも乗れる無料パスを買ったから思い切り楽しむぞ!!
「ほら零君!こっちこっち!!ジェットコースター行こ!!」
「ダメにゃ!零君は凛とコーヒーカップに乗るにゃ!!」
「ダメ!零くんは ことりと一緒にお化け屋敷に行くの!」
「何言ってるのよ!零はにことメリーゴーランドに乗るのよ!」
「あぁもう!落ち着いて!!」
遊園地に入ったは良いものの、俺と二人っきりになろうとする者が多数存在していた。まぁデートだから仕方ないと言えば仕方ないのだが…どうするかな。
「ほらほら、みんな落ち着いて?順番にしましょう?」
「それじゃぁ、じゃんけんで勝った順番に零く…零ちゃんと乗るって事にしよか♪」
「待ってくれ希。さらっと零ちゃんって呼ぶな」
「まぁいいじゃない。今は女の子なんだから」
真姫に言われた言葉に俺は抵抗することが出来なかった。だって本当に女の子なんだもんな…今は。あの害悪め……
「そうですよ。今日限りは女の子になってみるのもいいと思いますよ?零ちゃん?」
「何故だろう。海未にちゃん付けされると負けた感じがする」
「ど、どういう意味ですか!?いいじゃないですかたまには!」
「まぁまぁいいやん?たまには、ね?海未ちゃんだってそうしたい時があるんやから」
「うぐ……今日だけだからな?」
「はい。ありがとうございます」
俺はとうとう攻め負けしてしまい、さらに海未の眩しすぎるくらいの笑顔を見てしまった…あれは反則だろう…
「よしわかった。順番に何人かずつ1つのアトラクションにしよう。それで行こう」
「そうね。そうすればみんな平等に遊べるものね」
「そう。じゃ、順番を決めてくれ。ちょっとトイレ行ってくるから」
「零。ちゃんと入る方間違えないようにね?」
真姫からの言葉をいただき、きちんと女性用の方に入った。入る時妙に違和感を覚えてしまったのは仕方ないことだと思いたい
「ただいま。順番は決まったか?」
「ええ。最初は花陽よ」
「あ、あの、零…ちゃん?」
「もう今日はそれでいいよ……」
最初のおデートは花陽とらしいな。
「それで、花陽は何がしたいんだ?」
「えっとね…こ、コーヒーカップに乗りたいなぁ…」
「おっけー。それじゃ行くか」
俺は花陽と一緒にコーヒーカップに乗りに向かった。
「そういえばどうやって順番決めたんだ?」
「あ、希ちゃんの提案通りじゃんけんだよ」
それで一番最初に勝ったのが花陽という事か
「あ、コーヒーカップすぐ乗れるみたいだよ?」
「よし。行くか」
俺は花陽と二人でコーヒーカップに乗り込み、向かい合う様に座る
「しかし花陽。これでよかったのか?」
「うん。あんまり怖いのは得意じゃないから…」
確かに花陽は絶叫系とか苦手そうだもんなぁ。あとは絵里とかが。
「あ、そうだ。他のみんなで乗り物が一緒の人は一緒に乗るってことにしたよ」
「あ、そうなのか?」
「うん。ジャンケンで勝った人が零ちゃんの隣って感じにするんだって」
「なるほどなぁ…っと。花陽は気分悪くならないか?」
今結構ぐるぐるとコーヒーカップを回してるんだがコイツは全く動じていない。おそるべし…
「え?うん。零ちゃん見てるから全然♪」
「あ、そ、そうか…」
「あ、赤くなってる♪」
「う、うるさいな…もう……」
そんな感じにのどかな時間が刻々と終わりを迎え、花陽と共にみんながいる休憩所に向かった。
「お待たせ。次は誰かな?」
「なんだ?花陽知らないのか?」
「ジャンケンで勝ったらその後は非公開にされてたから……」
「どういうことだよ…」
このあと花陽から説明があり、どうやらジャンケンに勝った人にその後の結果を知られるのが嫌だということらしい。
恐らく被る可能性があるからなんだろうが…これでまた被ったらどうするんだ?
「零ちゃんおかえり。花陽ちゃんとのデートは楽しかったん?」
「そりゃぁ、楽しかったに決まってるさ」
「へぇ~…そうなんや?じゃあ次、いこか♪」
そして次に俺とデートをする人は
「…なによ?」
「真姫と凛か。二人とも行くところは同じって事か?」
「そうにゃ!一緒にジェットコースターに乗るにゃ!」
「ちなみに横が3つあるジェットコースターだから零は真ん中よ?」
絵里からそんなことを言われた。そういやここのジェットコースターは2列と3列の二種類あるんだっけ。3列の方が怖いというのをテレビでやっていたが…この二人は怖いのは得意じゃないよな。確か
「よし。行くか。結構近いところだしな」
「そうね。行きましょうか」
「楽しみだにゃ~!」
俺を含めた三人が横に並んでジェットコースターに向かって歩いてる時に後ろから変な視線が来た気がするがそれはまた別のお話。
「…こ、ここね?」
「…な、なんだか、思ったよりもコースが長いにゃ……」
「目的地に到着した瞬間にこれか…」
目的地に到着した俺達だが、予想以上のコースの長さに2年生コンビは腰が引けてしまっていた。まぁ俺も驚いたと言えば驚いたけれどな
「ほらほら…さっさと行くぞ?」
「そ、そうね。行きましょうか…」
あの真姫ですらこの反応だからな…余程怖いんだろうな。
ジェットコースターということもあってか少しだけ待つことになってしまった。まぁ列的に次には乗れそうだがな。
「れ、零ちゃん…ちょっとだけ怖いにゃ……」
凛がよそよそしく俺の手を握ってきた。その手はちゃんとした温もりがあり、触れるだけで安心出来る温もりだ。そしてこんなよそよそしい凛を見ること自体滅多にない為すごく可愛く感じた
「ほらほら。そう怖がることはないさ。今はこんなだけど、俺がいるだろ?」
「そ、そうだね」
なんとか元気を取り戻してきたな。よかったよかった。さてと、もう片方のツンデレさんは
「…何よ?別に私を見たって何にもないわよ?」
「いや、怖がってないかな~って思ってさ」
概ね予想通りの反応だった
「お、そろそろ乗れるらしいな」
「が、頑張るにゃ…」
「何を頑張るんだか……」
「ボサっとしてないでさっさと歩くわよ」
ジェットコースターが無事に帰還し、先客達がどんどんと出口に出ていく。それと入れ違いになるように俺らは入り口を通過していく。最初が3で割れる数値だったのか、三人仲良く一列に並ぶことが出来た。そしてシートベルトバーを無事に降ろして出発に備える
「ま、まだ出発しないの…?」
「凛は怖がりね」
「ま、真姫ちゃんだって怖がってるにゃ!」
「こ、怖がってないわよ!」
「お前ら…もう出発するぞ?」
「「え?!」」
ふたりがぎゃあぎゃあと騒いでる時に実は出発をしていたんだよなぁ。店員の人がニコニコしながら俺のことを見てたような気がするが…百合関係とでも思われてしまっていたのだろうか…それはそれでなにか違和感があるが、悪くは無いかもなんて思ってしまった俺がいる。
そして凛が横で嫌だ嫌だと我侭を言ってはいるものの、ジェットコースターはそれを無視して徐々に高度を上げていく気がつけば地面の人達が豆粒位に見える程にまで高度は高まっていた。
「け、結構高いのね……」
「なんだ真姫、怖いのか?」
「そ、そりゃこんなに高いんだもの…怖いに決まってるでしょう?!」
さっきまでの威勢は何処へ言ってしまったんですかねこのツンデレお嬢様は?!デレた瞬間にいつもドキドキするんだよなぁ!
そしてジェットコースターが登るのを止め、目の前が空中になる程にまで高度を上げて目の前の道が見えなくなった瞬間、ジェットコースターは動きを止めた。
「と、止まった?!」
「まぁ大体ジェットコースターってこんなもんだろ?」
「……」
なんだか西木野さんの方から声が聞こえなくなってしまっていた。生きてるよな?放心してないよな?凛はテンパってるがきちんと意識はあるから問題は無いが……
そんな心配をしていた刹那。
「にゃぁああぁああああ!!!?」
ジェットコースターが急降下を始め、凛が横で女の子らしい悲鳴を上げている。その間も真姫から声が聞こえることはなかった。そしてその状態が2分ほど続いたのは言うまでもない
「し、死ぬかと思ったにゃ……」
「死ぬは大袈裟すぎないかしら?」
「失神してたクセによく言うよ」
いつも通り楽しく顔話をしながら再びみんなの元へと戻る
「みんなただいま」
「おかえり零ちゃん♪次はことりとにこちゃんだよ~♪」
「私たちとはお化け屋敷に行ってもらうわよ!」
次は俺の中での危険領域に到達している二人とお化け屋敷に行くのか…嫌な予感がするのは気のせいだと心の中で信じていたい
「…ここか。どうやら廃病院をモチーフとしているようだが…王道だな」
「や~ん零ちゃんお化け怖いよ~♪」
「助けて零~♪」
さっきからずっとこの調子である。歩いてる時もずっとこの調子だったから周りの人から女の子が女の子2人に抱きつかれてるようにしか見えてないだろう…これでも男なんだけれどなぁ……一件見たらレズとでも思われてるんじゃないかって思ってしまうんだ。いや、それも悪くは無いんだが…なにせ隣にいる奴らが奴らだからやりかねないんだよなぁ
「お前ら…頼むから少しだけ離れて「いやだ!」デスヨネー……」
どうやらこの二人は俺から離れるのがとても嫌らしいな。それはそれで彼氏としてはとても嬉しいことなのだが、今の姿ではなぁ……
「いいからさっさと入るわよ!」
にこの威勢を頭の中に保存したまま俺ら3人は病院の中に入っていった。なんで脳内保存したかは言わずとも分かるよな?
「あ~怖かったぁ…♪」
「な、なかなか怖かったわね!」
「二人の方が怖かったけどな!!」
結果的に言ってしまおう。ことりとにこのせいでお化け屋敷が全く怖く感じなくなってしまった。この二人の俺への愛はお化け屋敷以上だからな。
お陰であんまり楽しむことが出来なかったのは内緒の方向
「しかしあんなので良かったのか?」
「うん♪零ちゃんとお化け屋敷に入れたから♪」
「にこも嬉しかったわ♪」
二人は曇りのない笑顔を見せてくれた。この笑顔を見るだけで俺はまだまだ頑張れると言えるだろう。なんたって彼女の笑顔だぞ?やる気が起きない方が変なものだろ!
「ただいま」
「あれ、零ちゃん達早かったんやね?」
「でもとても楽しかったよ♪」
「これは一生の思い出よ!」
「て事で楽しめたぞ」
「そう、それは良かったわ。じゃあ次は海未と二人きりね」
次は海未との二人きりのおデートか。海未はどこに行くのだろうか。アトラクションに乗るとは考えにくい。海未は怖いことには関わろうとはしないからな
「海未とか。海未はどこに行きたいんだ?」
「それは歩きながら説明しますから。行きましょう」
そう言うと海未は先に歩いていってしまった。俺の横を通る時に海未が一瞬こっちを見て微笑んだのがとてもセクシーに見えてしまったりもしたがここはぐっと我慢した。今は女の子だから色々と危ないことになってしまうからな
「海未~!どこに行くんだ?」
「私は特に行きたい場所はないのですが、あるとすれば観覧車ですね」
「観覧車か。海未らしいな。いいよ。行こうか」
みんなといる時間が楽しくて時間を忘れていたがもう午後の3時頃になろうとしている。
観覧車に乗ってる人はあんまりいないらしく、すぐに乗ることが出来た。この観覧車は結構高い所まで移動できるらしく、上からはかなりの絶景が見えていた
「綺麗なもんだなぁ…」
「そうですね。こうやってみることは滅多にありませんから新鮮に思えます」
「目の前の彼氏が女になってるしな…」
「そ、それは秋葉さんが悪いではないですか…でも、どんな姿になっていても私のこの気持ちは変わることありませんよ?」
ぐぅぅ…!!なんて嬉しいことを言ってくれるんだこの彼女は?!今ので胸がドキドキしてしまったではないか!もうこのまま観覧車の中で楽しいことしてもいいんだがなぁ…!!女だから合法になりかねない…また今度の機会にするか……今のは反則だろぉぉ…
海未との楽しい時間もすぐに終えてしまい、残るデート相手は三人となった
「ただいま帰りました」
「お、海未ちゃんなんだかとても嬉しそうやね?何してたん?」
「ふふ、秘密です♪」
「海未もいい思い出が出来たみたいね。今度は私と希よ」
9人の女神きっての花園コンビか…何を言ってくるのやら……
「ほな、零ちゃん行こか♪」
希がそそくさと俺の手を引っ張ってくる。その後ろを絵里がにこにこしながらついてくる
「ところで俺はどうすればいいんだ?」
「零ちゃんはウチらとお食事デートをするんよ♪」
「食事デートなんてカップルらしいでしょう?」
「いやカップルじゃん……」
花園コンビは俺とフードコートで楽しいことをしたいらしい。なんとも初心をくすぐられる行動だな
「ほらほら零ちゃん。何食べたい?」
「ん?俺はポテトでいいぞ?」
「じゃあウチはフランクフルト~♪」
「私は焼きおにぎりにしようかしら♪美味しそうだし♪」
それぞれが食べるものが決まり、さっそく購入してベンチに俺が真ん中になるよう(座る。左が絵里、右が希だ。一件見てみると年下の女の子が先輩ふたりと仲良く食事をしている光景に見えるだろう。流石は花園と言いたくもなるな。
「はい。零ちゃんあ~ん♪」
「ん?あ~♪」
「あ、希ずるいわよ…」
「絵里ちもすればいいやん?どう零ちゃん。自分の小さな口の中に大きくて太いフランクフルトが入った感想は?」
「変な言い方するなよ…美味しかったけれどさ……」
希の言い方に少しだけ色っぽさを考えてしまったのは俺だけではないと思うんだ。だってμ'sの中で一番か二番を争うボディの持ち主からの言葉だぞ?エロい考えが出てくるのは仕方ないじゃないか!
「れ、零!私の焼きおにぎりも食べて!あーん!」
「んむぅ?!」
フランクフルトを飲み込んだ瞬間に絵里から焼きおにぎりを思い切り押し付けられた。こっちはこっちで美味しいし、絵里の一生懸命な姿はかなり微笑みたくもなる
「ん…美味いよ」
「よ、良かった……♪」
ぁあああぁあもう!!なんでこうも年下の女の子みたいな対応をしてくるかなぁああぁあ!!!きゅんきゅんしちゃうでしょうがぁああぁあ!!!
「楽しかったね絵里ち♪」
「そうね♪」
「た、楽しかったならよかったよかった……最後は穂乃果だな」
俺と花園コンビはみんながいるところに無事に帰還することができた。途中でまた変な視線が来た気がするか気にしたら負けだと心の中で叫んでいた
「あ、やっと穂乃果の出番!!」
「待たせて悪かったな。穂乃果はどこ行きたいんだ?」
「海」
「……はい?」
「私ですか?」
「「「いや違うから」」」
俺、絵里、真姫からのツッコミを入れた後、穂乃果に聞いてみた
「なぜ海なんだ?」
「もう一回…あの時みたいにみんなと行きたかったから」
あの時…μ's解散宣言をしていたあの海か。あれは俺が皆を守ると言って丸く収めてたなそういえば。
「よし。みんなで海に行くか」
そのまま穂乃果と俺を先頭としてみんなで海に向かう。ここからだと日が沈むか沈まないか位の時間帯になってしまうが、夕日を見ながらというのもいいものかもな。しかしちゃんと理由があることをやるとは穂乃果も成長したものだ
そして到着した頃には午後の5時を過ぎており、ちょうど夕日が沈みかけて綺麗な色の海が見えるようになっていた。
「綺麗なものだ…」
穂乃果はひとりで浜辺に立ち、俺らを一目見ると声を張り上げた
「みんな!いつもありがとう!私は、とても楽しい!みんなといるのが楽しい!みんなともっといたい!だって、みんなが大好きだから!」
突然の嬉しい言葉を穂乃果に言われ、思わず泣きかけてしまった。そりゃ嬉しいよな
「穂乃果…ありがとうな。みんな!今はこんな姿だけれど、俺は、これからもお前らを愛することをここに誓うぞ!」
みんなは俺の言葉に強く頷いてくれた。
そうだ。俺はみんなの笑顔が大好きだから、皆をこれからも守っていくことを誓ったんだ。そしてそれは今も、これからもずっと―――
お前達、「9人の女神」を一生愛していく
その後海を暫く眺め、終電ギリギリに乗り、無事に家に帰還することが出来た。
そしてその後おれの姿は元に戻れた。
今日はいい日だったな。
あの害悪さえ…いなければ、な。
だがアイツのおかげもあってか、少しだけみんなとの距離をまた縮めることが出来たかもしれないな。
そこだけは感謝するぜ。秋葉‥‥
皆さんいかがでしたでしょうか?私としてはなかなかの自信作の一話になりました(笑)
今回書かせていただきありがとうございます!
そして薮椿さん!これからもお身体にお気を付けて小説の方執筆してください!
それではありがとうございました!