ラブライブ!~μ'sとの新たなる日常 Anthology~【完結】 作:薮椿
今回は
『在りし日々の記憶』
『般若と龍と女神のドタバタ騒動記』
を投稿しているアリアンキングさんの『新日常』をお送りします!
アリアンキングさんより
今回、薮椿さんの1周年記念企画に参加して、初の企画小説を書くことになりました。
他の作者による新日常をお楽しみ下さい。
それではどうぞ!
日曜日の早朝 神崎零は自室のドアから顔を出し、辺りを見回していた。そして自分以外、誰も起きてない事を確認すると、彼は忍び足で廊下を歩き出す。音を立てない様に楓の部屋の前を通り過ぎ、階段を下りて居間に入ると一息吐いた。
「ふう~ 楓もまだ寝てるようだな。今のうちに書き置きして、家を出るとするか」
零はメモとペンを手に取り、「今日は秋葉原に出かけて来るぜぇ☆ 貴女の自慢の兄より」と綴った。そのメモを居間のダイニングテーブルに置くと、再び忍び足で玄関へ向かい、ドアを開けようとドアノブに手を伸ばしたその時、玄関のドアが開いて姉の秋葉が入って来た。予想外の訪問者に零は慌てる。
(げっ 秋葉が帰って来やがった。いつも大事な用がある時に来やがってぇぇぇぇ!! 面倒だから適当にあしらって、早いとこ家を出るしかねえ)
秋葉は零の姿を見ると、意地悪そうな表情を浮かべて零に話しかけた。
「あら 零くん こんな朝早くから何処へ行くのかな?もしかして、彼女とデートかしら?相変わらず、リア充してるのね。この9股野郎ぉぉぉぉ」
「うるせえぞ 秋葉 朝っぱらから大声出すんじゃねえ~ 楓が起きたらどうするんだよ」
「ふーん そっかぁ~ 今日出かける事は楓ちゃんに内緒にしてるんだぁ~ まあ、お兄ちゃんラブの楓ちゃんが知ったら、デートが台無しにされるもんね」
「確かに楓には内緒で出かける予定だったが、デートじゃねえよ。ただの買い物だ。今日だけは一人で行かないと買えないやつなんだよ。だから、邪魔するな」
「ふーん まあ、いいや それなら、私は楓ちゃんと一緒にのんびりしようかしらね。姉妹水入らずで楽しもうっと」
「そうしろ、そうしろ それじゃあ、俺はもう行くぞ」
「はいはい いってらっしゃい~」
秋葉はいそいそと家を出ていく零を見送ると、綺麗な顔をチシャ猫の様に歪めて怪しげな笑みを浮かべる。その手にはトランシーバーの様な機械がピッ、ピッと規則正しい音を発していた。
「零くんもまだまだね。こっそりと付けた発信機に気付かないなんて。さて、楓ちゃんを起こして零くんの行動観察に付き合って貰いましょう」
そうして、秋葉は寝てる楓を起こす為に階段を軽い足取りで登っていく。数十秒後、楓の絶叫が家の中に響いた。
1時間後 零は秋葉原の街へ来ていた。休日という事もあり、街は大勢の人でごった返している。
「漸く、着いたぜ。それにしてもすごい人ごみだなぁ~ まあ、今の俺の歩みは人ごみじゃ止まらないがな」
そう言って、零はある場所を目指して、人ごみの中に突っ込んで行くが、彼の歩みを止める障害にはならなかった。何故なら彼は男のロマンを求め、この街へ来たのだから…
「確か、この辺だった筈なんだがな‥噂の自販機がある場所と言うのは…」
人ごみを抜けて、人気がない路地を歩きながら零は噂の自動販売機を探していた。だが、目的の物は一向に見つからない。所詮、当てのない噂だったのかと諦めて帰ろうとした時、ある事に気付いた。
「やべえええええっっっ!!道が解らねえ!ここは何処なんだ?」
彼は噂の自販機探しに夢中になる余り、自分が知らない道に足を踏み入れていた。裏路地というだけあって、昼間でも薄暗く、人どころか猫すら見当たらない。もしかしたら、ヤバイ奴がいるのかもしれないと流石の零も不安になる。
そんな奴に遭遇しては堪らないと零は来た道を戻る事にした。しかし、都会の道は似たような道が多く、案の定迷う羽目になっていた。
「くそぉぉぉぉ!!何処を歩いても同じような場所に出やがる。これは完全に迷子だな!高校3年にもなって情けねえぜ。それにしても、喉が渇いたなぁ。何処かに自販機はないものか」
見知らぬ道を歩き回っていた所為か 喉の渇きを覚えた零はキョロキョロと見回し、自販機を探した。すると、右の路地の角に一台の自販機を発見する。
「よっしゃああああ!!これで喉の渇きを癒せる。まさに天の恵みだな。うん?こ、これは…」
零が自販機に駆け寄ると、零は目を見開いて驚愕した。その自販機で売られていたのは彼が探し求めていたロマン…すなわち、エロ本であった。
一方 その頃、秋葉に呼ばれたμ'sの面々と機嫌が悪そうな楓が神崎家の居間に集まっていた。秋葉は部屋にいる全員を見渡して、口を開く。
「皆 休日の日によく来てくれたわね。礼を言うわ」
「いえ それはいいんですけど、今日は何の用事なんですか?」
「本当よ!!折角、人が気持ちよく寝てたのに~ しかもお兄ちゃんは私に黙って出かけてるし、それに皆を呼び出したりしてお姉ちゃんは何を企んでるの?」
おずおずと穂乃果が呼び出した理由を秋葉に尋ねる。それに便乗するように寝起きで機嫌が悪い楓も問い詰める。
二人の言葉にニンマリと怪しい笑みを浮かべて、秋葉は楽しそうな様子で説明を始めた。
「フッフッフッ 今日、皆に集まってもらったのは、私が発明した新装置の実験に付き合って欲しくてね。それでみんなを呼んだのよ」
その言葉を聞いた途端、楓の目から光が消え、他の皆も渋い顔を浮かべる。秋葉の実験はいらぬ騒動を巻き起こすからだ。そんな中、海未が意を決して秋葉に言葉をかける。
「それで実験とは、一体何でしょうか?まさか、私たちでやる訳ではないですよね?」
「いいえ 実験台は零くんよ。今朝 こっそりと出かけたあの子に発信機を取り付けておいたのよ」
さらりと告げた事実にμ'sのメンバー達は驚愕する。
「そ、そんな事を…零くん可哀想」
「折角の休日なのに不憫だにゃー」
「同感…」
「そうやなぁ。自分の行動を監視される訳やし」
「自分がやられたら、堪ったものじゃないわね」
「下手したら、人間不信になりますね」
だが、零を不憫に思うメンバー達の中には自分の欲望に忠実な者達もいた。
「零くんを追跡かぁ。休日はどんな所に行くんだろう?」
「零は休日をどんな風に過ごすんだろう?彼女なら知っておかないとね」
「そうだね。零君の事をもっと知る事が出来るなんて、今日は最高の日になりそう~」
「本当ね。お姉ちゃんに起こされた時は、最悪だと思ったけど‥今は最高の気分よ。ああ~ お兄ちゃん♡」
「でしょう?それじゃあ、早速セッティングを始めないとね♪」
そう言って、秋葉はテーブルの上に置かれたモニターと位置を知らせる機械に様々なコードを繋ぎ始める。そして、モニターに零の姿が映し出されると皆の視線も釘付けになっていた。何だかんだで恋人の行動は気になるようだ。
「よし、バッチリと映ってるわね。さあ、零くんの行動鑑賞会を始めましょう♪」
その頃、自分の行動を見られている事を知らない零は、ロマンが詰まった自販機を前に狂喜乱舞していた。
「おおおおおお!!こんな所にあったなんて…天は俺を見捨てなかった。ありがとう!神様。さて、ラインナップを見るとするか」
自販機を見ると、「女体盛り桃色御膳!」「お絞りパラダイス」等の様々なシチュエーションの本が売られている。うおおおおお!どれもこれも素晴らしいものばかりだな。載ってる女の子も可愛いなぁ~ お?この子は花陽に似てるな。もし、花陽で女体盛りをしたら…
「れ、零くん…今日は食べて欲しい料理があるんだ。良かったら、どうかな?」
「食べて欲しい料理?勿論だ。花陽の飯は美味いからな!?お、おい‥何故、下着姿なんだ?」
「そ、それはね。食べて欲しいのは‥私の女体盛りだから」
「女体盛り…本当に食べていいのか?」
「うん。遠慮しないで食べて!私に乗せる食材も用意したんだ」
花陽が指を指す方に目を向けると、そこにはほかほかの白米とイカの刺身が置いてある。何故、イカの刺身があるんだ?と突っ込みをしたかったが無視して、寝そべって待機している花陽と女体盛りプレイを開始した。
「まずは…ホカホカのご飯だな」
零は箸でご飯を撮むと、花陽のお腹にそっと乗せた。
「ああ‥ 熱い、熱いよぉ!ご飯が私の上で踊ってる」
「そうか。なら‥次はこれだな」
熱さで身を捩らせる花陽に興奮を覚えながら、零はイカの刺身を花陽の発育の良い胸に勢いよく落とした。
「ひゃああああああ!! つ、冷たいよぉ~ それにぬるぬして何か、変な気分になってきたよ~」
イカの刺身の冷たさと感触で刺激されたのか、花陽の胸の先端がその存在をアピールしていた。
それを見て我慢出来無くなった零は、花陽のブラジャーを外し、その先端を口に含むと思いっきり吸い出した。先程とは、比べものにならない刺激に花陽は堪らず、声高く叫ぶ。
「はぁあああああああああんっ!れ、零くん…はぁ、それ以上はだめええええ!!」
「我慢するな!そのまま、イッてもいいぞ」
「…うう、もう…だ、だめぇ!ひ、ひゃああああああああああん」
絶え間なく、零から与えられる刺激に耐え切れ無くなった花陽は…ついに
はっ いかん いかん こんな所で妄想に浸っていたら、ただの不審者じゃないか。しかし、この本があれば新しいプレイの参考になるな。よし、いくつか買って帰ろう。
零は鞄から財布を取り出すと自販機に金を投入した。
目的の物を買い占め、家路に着く零の足取りは軽かった。
いやぁ~ 今日はいい買い物をしたなぁ。道に迷ったおかげで噂の自販機を見つける事が出来たし、最高の日だぜ。
「ただいま~ 今、帰った…ぞ」
ご機嫌な様子で帰宅した零だったが、玄関をくぐると家の中に漂う異質な空気を感じた。
な、何だ?この全身に圧し掛かって来るような空気は?まるで怒り狂った獣に睨まれてるようだぜ。その空気に身を竦ませていると、奥からパタパタと足音を響かせて楓が出迎えた。
「お兄ちゃんお帰りなさい。今日は何処行ってたの?μ'sの皆が来てるよ。居間で皆お兄ちゃんの帰りを待ってたんだからね」
「何?皆が家に来てるだと!?」
楓に言われて、玄関の床に視線をやると確かに9人分の可愛い靴があった。
まさか、あいつらが家に来てるとは…もしかして、この空気もあいつらの仕業なのか?いや、ここで考えても仕方ないと彼は靴を脱ぎ、居間へ向かった。
「よう!今日、来てたんだな。待たして悪かった…な」
明るく声をかけた零だったが、居間にいる9人を見て声が小さくなっていく。そう、9人とも前髪で目を隠し、無言で座っていた。そんな異様な光景を見たら、無理もないだろう。事情が解らない零は、ニコニコと笑顔を浮かべている秋葉に尋ねた。
「おい。これはどうゆう事だ?一体、こいつらに何をしたんだ?」
「失礼ねぇ。私は何もしてないわよ~零くんに取り付けた発信機で行動を見てただけだし」
何?今、こいつは何と言った?俺に発信機を付けて、行動を見ていただと…そ、それじゃあ、俺がエロ本で妄想してた事や本を買った事も筒抜けなのか。だから、こいつらはこんな風に…
その時、9人がゆっくりと立ち上る。その仕草がとてつもない恐怖感を零に与えた。
「ま、待て!そこまで怒る事か?エロ本を買ったくらいで…」
「ああ そうだ。言い忘れてたけど、発信機から送られる信号は行動だけでなく、本人が考えてる事も映像化するのよ。私の発明はすごいでしょう?」
必死で弁明する零を追い詰めるように、秋葉がさらに衝撃の事実を述べた。それを聞いた零は怒りの形相で秋葉を怒鳴りつける。
「秋葉ぁぁぁぁぁぁぁ!今日という今日は許さねえぞぉぉぉぉぉ」
「零くん」
「は、はい 何でしょうか?花陽さん」
秋葉に鉄槌を下そうとする零に花陽の静かな声で話しかけた。花陽から底知れない迫力を感じて思わず、零は敬語で答える。
「別にさん付けはしなくていいよ。それより、零くんは女体盛りが好きなんだね?そこで提案なんだけ、そのプレイは私でやるより、零くんがやった方がいいと思うんだ。多分、新しい快感を感じる筈だよ」
「そうですね。私も花陽に賛成です。偶には自分がプレイの対象になるのもいいでしょうし」
「零くん盛りかぁ。楽しみだなぁ~ 私は熱々の焼きたてパンを乗せたいよ♪」
「それなら、凛はラーメンを乗せるにゃ」
零の体に乗せる物をそれぞれが言い合いながら、9人はじりじりと零に迫って来た。顔から滝の様に汗を流して零は後ずさるが壁に追いやられてしまう。
「お、おい 待て!皆、落ち着けよ。な?」
「「「「「「「「「問答無用!!」」」」」」」」」
そして、神崎家に哀れな獲物の悲鳴が響き渡った。
今回は企画小説を読んでくれてありがとうございます。
自分が書く話とは作風が違う為、楽しく執筆する事が出来ました。
この機会をくれた薮椿さんに感謝しています。
そして、薮椿さん 1周年おめでとうございます。