本日も晴れ、鎮守府に異常無し《完結》   作:乙女座

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七日目

6月◇日

 

晴れ 朝 9時 鎮守府 中庭

 

連日の雨が止み、さんさんと太陽の光が村を照りつける。葉に着いた連日の雨の雫に光が当たりまるで宝石のように輝いていた。憲兵は中庭で花の手入れの作業をしていた。タオルを首から掛け、腕をまくり軍手を着けて花などの手入れ。ここの鎮守府の庭は憲兵が世話をしていた。花があれば艦娘達の心が少しでも安らぐだろうと考え、季節により様々な花を自腹で買い、提督に許可をもらい庭を作っていた。鎮守府内の艦娘達はこの庭をかなり気に入っており、金剛に至ってはここでティータイムなどを楽しんだりしていると聞いている。ちなみに曙は、時々手伝いに来る。

 

「憲兵さーん」

 

「何でしょうか?」

 

「あそんでほしいっぽい!」

 

そこへ来たのは夕立だった。耳のような髪の毛がパタパタと動いており犬を連想させる。彼女は他の駆逐艦達が遊ぶからぜひ憲兵さんもと誘いに来た。しかし、憲兵はこの後資料などを纏める仕事と本部への報告書があるためやんわりと断ろうとしていたが、断りをいれる前に夕立に手を引かれて連れていかれる。

 

「あの…私には仕事が」

 

「ぽい~♪」

 

聞いてはいなかった。

 

 

広場

 

「憲兵さん連れてきたよ!」

 

「おはようございます。憲兵さん」

 

「けんぺぇさん!おはようございます!」

 

「憲兵さんおそいー」

 

広場には潮、雪風、島風(ジャージ装備型 )がいた。憲兵はおはようございますと頭を下げ挨拶をする。しかし、頭の中ではどうしたものかと悩んでいた。このような年頃の女の子と遊んだことがないからだ。そんな憲兵の考えなんぞ知らない彼女達は何をして遊ぶかを相談し始めた。

 

「かけっこ!」

 

「島風が勝っちゃうよ」

 

「わ、私は読書とか……」

 

「おもしろくないっぽい」

 

あーでもないこーでもないと決着がつかない。憲兵はどうしたらよいか分からずあたふたとしていた。そんな彼女たちに近づく1つの影。

 

「フフフ………困ってるな憲兵」

 

スカートの丈を膝まで下ろした天龍だった。

 

「天龍さんおはようございます」

 

「おう!さっき追っかけ回された時に会ったけどな!」

 

皮肉たっぷりに憲兵に返事をするが憲兵は表情を変えない。天龍は言い争いをしている駆逐艦達に近づき目線を合わせるためにしゃがむ。

 

「かくれんぼはどうだ?そしたら皆フェアだろ?」

 

ニカッとはにかみながらそう切り出す天龍を見て憲兵は感心していた。彼女は面倒見が良く、時折鎮守府から出掛けるときは大抵近所の老人の元や、子供たちと交流している。天龍の提案に賛同する駆逐艦の娘達。鬼は何故か憲兵がすることになる。

 

「30秒数えてから探し出してください。範囲はこの広場ですから」

 

潮はそう言って走り出した。仕方なく30秒数えて待つことにする。

 

 

「…………………」

 

30秒経ち行動を開始する憲兵。まずは広場周辺に生い茂っている草の影へと隠れている子が居ないか確認する。するとピコピコと天龍のアンテナの様な物が見えていた。

 

「見つけましたよ天龍さん」

 

「な!」

 

見つかるとは思っていなかったのだろう。天龍の顔は驚愕の色に染まっていた。憲兵は次の獲物を探しに出るのだった。

 

次に憲兵は広場の倉庫に訪れた。憲兵は倉庫の影などを見たが見つからない。すると倉庫の中からガタッと言う音がした。憲兵は倉庫の扉を開け、なかを確かめる。すると島風の頭に付けている黒いリボンが見えた。

 

「島風さん。見つけましたよ」

 

「憲兵さん見つけるのおっそーい」

 

早く見つける遊びではないのだがと思いながら次の場所へと移動しようとすると、屋根の上から物音がした。憲兵は倉庫の屋根へ登り確認する。

 

「雪風さん、見つけましたよ」

 

「見つかっちゃいました」

 

えへへと笑う雪風を憲兵は抱き上げゆっくりと屋根からおりた。後は夕立、潮なのだが中々見つからない。すぐにでも見つかると予想していた憲兵は困っていた。すると前方からまだ見つかっていないはずの夕立が深刻な顔をして走ってきた。

 

「憲兵さん!大変っぽい!」

 

「どうかしましたか?!」

 

「潮ちゃんが木に登って降りられないみたい!」

 

それを聞いた憲兵は夕立から場所を聞き、すぐに現場へ急行した。潮が登ったと言う木にいくとそこには提督や他の艦娘も駆けつけていた。

 

 

「潮ちゃーん!大丈夫!?」

 

提督の目線の先には高い木の枝に座り木にしがみつく潮。普段 そのような活発に行動する子ではなく、むしろ大人しく木に昇ることをするとは思えない。憲兵はすぐさま木に昇り始め、潮がしがみついている高さまで辿り着いた。憲兵はゆっくりと手を潮へと伸ばす。

 

「潮さん。こちらへ」

 

「………」

 

フルフルと首を横に振る。怖くて動けないのだ。憲兵は何とか近くまで行き潮を抱き寄せようとした。その時、枝が折れたのだ。潮は重力に引きずられるように落下していく、下からは悲鳴が上がり多くの艦娘は目を閉じる。潮自身も落ちたときの体へのダメージが怖くなり目を閉じ衝突時の衝撃を待った。

 

 

 

 

 

夕方 18時 医務室

 

「もう!無茶しすぎです!」

 

ぷんぷんと怒りながら憲兵の背中に湿布を貼る提督。憲兵は申し訳ありませんと謝り続けたいた。あの後、潮が落ちたときに憲兵は彼女を抱き、なんと着地したのだ。しかし、無茶に体を使ったのか潮が見ている時には何でもないような顔をしていたがいざ騒動が落ち着き、作業に戻って行った憲兵は物陰で腰を押さえながら悶えていた。加賀や赤城が肩をかしながらここまで連れてきたのだ。因みに何故潮が木に昇ったのかと言うと、いつもとは違う自分を憲兵に見てもらい驚かせたかったらしい。

 

「次からは気を付けてくださいね!」

 

その後潮が謝りに来た時に優しく頭を撫でる憲兵であった。

 

 

 

 

 

本日の主な出来事

 

 

中庭の手入れをする

夕立さんに連れられかくれんぼをする。多少のトラブルがあったが問題はなし。

 

夕方

 

医務室で過ごす。

 

一言

 

腰を痛めたのに提督様が夕飯を食べさせようとしてくる。少し怖かった。

 

最後に

 

本日は快晴、少し異常あり




タンスの角に小指をぶつけて悶える作者

※潮と朝潮間違えました。申し訳ありません!


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