本日も晴れ、鎮守府に異常無し《完結》   作:乙女座

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新年明けましておめでとうございます

今年も憲兵さんをよろしくお願いいたします




十日目

7月ν日

 

午前四時 憲兵寮 憲兵の部屋

 

まだ朝日が昇っていない時間。憲兵はまだ自室で寝ていた。すやすやと寝ている憲兵。突然何かが顔に触れていることに気づき憲兵は目を冷ました。

 

「ヲ!」

 

ヲ級だった。憲兵は意識を覚醒させヲ級を見る。ヲ級は憲兵を起こしに来たのだろう。両手で憲兵の顔をペチペチと叩きながら嬉しそうに微笑んでいる。憲兵は深いため息を吐き布団から出る。ヲ級は憲兵が起きたのを確認すると布団から離れていく。

 

「どうかしましたか?」

 

「ヲ!ヲ!ヲヲン!」

 

「……成る程。散歩ですか」

 

憲兵はヲ級が言う散歩と勘違いしている鎮守府の見廻りに行きたくて起こしてきたと理解する。しかし、時間はまだ午前四時。見廻りをするにはまだ早い時間帯だ。

 

「まだ早いので六時頃にしましょう」

 

「ヲ………」

 

しょぼんと悲しそうな顔をするヲ級を見て少しの罪悪感が出てきた憲兵。こんな時はどうすればいいかと考える。ヲ級は部屋の隅でいじけている。憲兵は思考を巡らせ仕方なく朝の花の手入れをすることにした。

 

 

 

ヲ級とイ級を連れていき中庭へ訪れた憲兵。花に水をやりながら虫などがついていないか確認する。だんだんと朝日が昇って来たのだろう。沢山の向日葵が光に照らされて鮮やかな黄色が中庭を覆う。ヲ級はその美しさから跳び跳ねて喜び、イ級もぴょんぴょんと跳び跳ねていた。

 

「あ……おはようございます!憲兵さん!ヲ級ちゃん!イ級ちゃん!」

 

声を掛けてきたのは吹雪だった。

 

「おはようございます吹雪さん。自主練お疲れ様です」

 

「ありがとうございます!憲兵さんは今日早いですね」

 

「えぇ、彼女に起こされたので」

 

向日葵を見て喜ぶヲ級を見て苦笑する吹雪。憲兵はこのあと吹雪を朝食に誘ってヲ級達と朝御飯を堪能した。その際に提督がその姿を目撃。吹雪は提督に呼び出されたのだった。

 

 

 

午後3時 鎮守府中庭

 

昼時の賑やかさから休み時へと変わり穏やかな日中。榛名は一人中庭のベンチで流れる雲を眺めていた。他の姉妹は演習に行っており暇をもて余していた。

 

「はぁ……ん?」

 

「勘弁してください」

 

「えぇ!いいじゃん!鈴谷とデートしようよ!」

 

彼女の視界に入ったのは腕を組ながら歩く鈴谷と愛しの彼だった。鈴谷は元々違う鎮守府で働いていたがセクハラを受けていたところ、当時そこで働いていた憲兵に助けられた。それがきっかけで憲兵に猛アタックしている。

 

「お・ね・が・い」

 

「いけません」

 

「いけずー!でも好きだから許す!」

 

憲兵に抱きつき離れない鈴谷。憲兵は困った顔をして離そうとするも離れない鈴谷。離してください。嫌!と繰り返している二人を榛名は羨ましそうに見ていた。自分にもあれくらいの積極性があれば…そのように考えていた。

 

「ずいぶん楽しそうね」

 

今度は叢雲が腰に手を当てて憲兵と鈴谷の前に立っていた。

 

「おはようございます叢雲さん」

 

 

「おはよー叢雲」

 

「おはよう。鈴谷は憲兵から離れた方がいいんじゃない?困ってるわよ」

 

「えぇ~……やだ!」

 

「あ、あんたねぇ」

 

「もしかして叢雲…妬いてる?」

 

いたずらな笑みを浮かべ、ニヤニヤしながらそう尋ねる鈴谷。それを聞いた叢雲は顔を真っ赤にしわなわなし始めた。

 

「ち、違うわよ!な、な、なにいってんの?! 」

 

うがー!と怒る叢雲と余裕の笑みを浮かべる鈴谷。困っている憲兵。状況が悪化していた。榛名はその光景を見ながら微笑む。きっと憲兵がいるから彼女達はあそこまで表情豊かに笑ったり、怒ったり出来るのだろう。そう思いながら3人のやりとりを見続けていた。

 

 

午後7時 鎮守府 食堂

 

夕飯時になり、美味しそうなカレーの匂いがする。憲兵は少しうきうきしながら食堂に訪れた。憲兵は誰にも言ってはいないが卵焼き以外にカレーが大好物であり、2週間に1度のカレーの日を楽しみにしている。今日は朝からヲ級に起こされたり、鈴谷に絡まれたりと何かと忙しかったがカレーを食べられると知りそれまでの疲れなどを忘れ食堂に向かった。

 

「あ、こんばんは憲兵さん。今日はカレーですよ」

 

「こんばんは間宮さん」

 

間宮と挨拶をし、カレーをトレーに載せてもらう。心なしか量が多いように思い不思議そうにしていた憲兵。

 

「憲兵さんはカレーが好きなんですよね?多めに入れときましたよ」

 

微笑みがらそう言う間宮。憲兵は顔を赤くし帽子を深く被り直しありがとうございますと言いそそくさと席へと移動していった。

 

「ふふ…子供っぽいところもあるのね」

 

 

席に座りカレーを食べ始める憲兵。そこへ翔鶴と瑞鶴がやって来た。

 

「こんばんは憲兵さん」

 

「こんばんはー。ここいいかしら?」

 

「こんばんは。別に構いませんよ」

 

おじゃましまーす。と憲兵を挟む形で座る彼女達。そしていただきますと挨拶をして食べ始める。

 

「憲兵さんはカレーが好きですか?」

 

「えぇ、大好きです」

 

無意識にそう答えてしまった。食堂が静かになったのに気がつかずにあまり表情に変化はないが嬉しそうにカレーを食べ続ける憲兵。瑞鶴はへぇ~といった表情で憲兵を見ており、翔鶴は少し頬を朱色にしながら憲兵を見ていた。

 

 

 

本日の主な出来事

 

 

早朝からヲ級に起こされる。花の手入れなどをする。

朝食は吹雪さんを誘う。

 

 

鈴谷さんと話をする。腕を組んでくるのは勘弁してもらいたい。嫌ではないが、その…胸が当たっており少し恥じらいをもってもらいたい。

 

 

カレーだった。食後変な視線を感じたが何事もなく終わった。

 

一言

カレーはやはり美味しい。今度は比叡さんのカレーをいただきたいが、周りの人たちは比叡さんのカレーは嫌いらしい…どうしてだろうか?

 

最後に

 

本日も晴れ、異常なし




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