本日も晴れ、鎮守府に異常無し《完結》   作:乙女座

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暗い内容
駄文ですがよろしくお願いします


過去:一人の副隊長の話

「いやだあああああ」

 

「くそったれ!」

 

「あ、足が俺の足が」

 

「ダメだ!攻撃がほとんど効いてないぞ!」

 

「衛生兵!早くしろ!」

 

「あ………あ……」

 

「おい!田中!返事しろ!」

 

我々が攻撃を開始してから10分。状況は変わらずただ圧倒的な敵の砲撃により蹂躙されるだけだった。だが、そこから誰一人逃げることはなかった。背後には我々の守るべきものがある。ただそれだけが我々が敵に立ち向かう理由だった。

 

「隊長!534番隊との通信が取れません!」

 

「このままでは我々は…… 」

 

「本部より緊急入電!『新タナ、unknown確認サレタシ』とのことです!」

 

「敵の増援なのかよ!ふざけんな!」

 

本部より入った連絡では新たな反応が沖より現れたとのことだった。そして、こちらに高速で接近している。

 

「副隊長!部隊の70%喪失!壊滅状態です!540,539全滅とのことです!」

 

「あいつらのせいだ!あいつらさえ現れなければ!」

 

「バカよせ!敵の砲撃に晒されるぞ!」

 

周りの制止の声も虚しく一人の部隊員が敵に向かい乱射する。落ち着け!と声をかけるも私の声はもう彼の耳には届かない。奇声を上げ、泣きながら敵に発砲する。まともな状態ではない。

 

「伏せろぉ!」

 

次の瞬間我々のいたところの近くに敵の砲撃が着弾。私は吹き飛ばされ意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふくたい………!」

 

 

「………いちょう!」

 

目を覚ますと若い隊員が血だらけになりながら声をかけてきていた。何分間気を失っていたのだろう。体を起こし辺りを見渡す。まだ、戦いは続いてはいるが周りの銃声が少なくなっているのはわかる。

 

「先程の砲撃で我々の部隊はあと5人です。前線本部が吹き飛ばされました。本部との連絡も……」

 

もう終わりだ。そう理解した。どれだけ頑張っても、足掻いても、立ち向かっても……

 

「12時の方向!敵あり!」

 

そちらを向くと我々に砲身を向けているunknown。

 

 

 

あぁ………終わりか……彼女に最後に会いたかった…まだ彼女にお礼も言っていない。このまま終わってしまうのか。

 

 

目を閉じ敵の攻撃が来るのを待ちかまえる。爆音が響く。獣のような叫び声が聞こえて目を開ける。青い血を吹き出させながら沈んでいくunknown。なにが起こったのか理解できずにいるいる我々の耳に若い女性の声が聞こえてきた。

 

「よし、この長門に続け!」

 

背中に砲門を背負った女性。

 

「おらおら!怖くて声も出ないか」

 

「全砲門!fire!」

 

「吹雪がやっつけちゃうんだから!」

 

海の上を走り、敵を殲滅していく少女達。我々はその光景から目を離すことができなかった。

 

 

 

20分後。すべての敵を殲滅した少女達。そして一人の女性がこちらに近づいてきた。

 

「貴方がここの指揮官か?」

 

「部隊長は行方不明です。私は532部隊の副隊長です。今回は我々を助けていただきありがとうございました」

 

頭を下げてる私に頭を上げろと言う。そして彼女たちが何者であるかを聞くと驚きの返事が返ってきた。

 

「戦艦長門だ」

 

我が耳を疑った。長門は第二次世界大戦で日本が作り出した戦艦の名前である。詳しく話を聞いていくと彼女達は艦娘と言うらしい。詳しい話を彼女が言っていたが私は戦闘の疲れや目の前で起きた奇跡で頭が追いつかずこのときの話はほとんど覚えていない。ただ一つ分かったことがあるとすれば、彼女たちは我々の味方であるという事だ。

それから一時間が経ち本部から増援が送られてきた。ともに戦った艦娘に銃を向けたときは前線にいた生き残りが割って入り助けてくれた経緯を説明。しかし、いきなり現れあのunknown『深海棲艦』を殲滅する力を持っている彼女たちは危険だと判断され、武装を解除した後本部に連れて行かれた。我々はその後病院へと送られ、精密検査を受けたり、後始末に追われた。我々の作戦地域での参加者2000人の内生き残ったのは120人。隊長は最初の攻撃で戦死したと伝えられた。他の作戦地域では我々の所よりも早く艦娘が到着しており、被害は我々よりなかったそうだ。それでも受けた被害は大きく今回の作戦の死者は7000人行方不明は1500人にも及んだ。市民の被害は3000人。艦娘達が居なかったら恐らく本土は壊滅していただろう。私は彼女が心配だったが今は自分の仕事をしなければならない。その後始末の最中だった。私に悪夢のような電話が掛かってきたのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「横山絵里さんの旦那様の横山明弘様ですか?」

 

ーーーーーはい。そうですが

 

「今から病院に来ることは可能ですか。」

 

ーーーーー何かあったんですか?

 

「落ち着いて聞いてください明弘さん。奥様の絵里さんが先の戦闘に巻き込まれました」

 

ーーーーど、どういうことですか!妻は無事なんですか?

 

「深海棲艦の砲撃により建物が倒壊し

 

 

 

倒れてくる瓦礫の付近に居た少女を

 

 

 

絵里さんが身代わりになるように突き飛ばし

 

 

少女の代わりに下敷きになりました。    

 

 

 

先ほど救助され緊急搬送されてきました。

 

 

我々もできる限りのことはしましたが

 

 

残念ですが

 

 

お腹の子供も一緒に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先ほど亡くなられました」

 

 

 

 

 

私はその場から動くことができなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 




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