本日も晴れ、鎮守府に異常無し《完結》   作:乙女座

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就活の荒波に飲まれ大破する作者。

まだだ!まだ終らんよ!


十四日目

8月(日

 

朝 10時 洋服店

 

どうして私はここに居るのだろう。憲兵は頭の中でそう愚痴る。いつものように朝から警備をしていた彼に声をかけてきたのは駆逐艦如月だった。おはようございますと挨拶をし、少しばかり彼女と話をしていた。すると来週に海水浴のために海に行くと提督が言い出したらしく水着を買いに行くために外出すると。そしたらあれよあれよと同行することになりどの水着が似合っているかと憲兵に見てもらいたいと言い出したのだ。

 

「うふふ、どう?似合ってる?」

 

試着室から出てきた如月が身に付けていた水着はピンクのビキニだった。憲兵は無表情で似合ってますと言いうが如月は不服だったらしく他のも見てほしいからそのまま待っていてほしいと言いまた試着室に籠ってしまった。彼女が着替えている間は女性ばかりのこのエリアで一人で居なければならない。精神的にもキツいが如月を一人にするわけにもいかないので待つことにする。

 

「あれ?憲兵さん?」

 

そこへやって来たのは綺麗な黒髪と白い肌。大和撫子を体現したかのような容姿の女性、戦艦扶桑、山城姉妹だった。

 

「お疲れ様です」

 

「どうしてこんなところにいるんですか?」

 

「実は…」

 

ここに来た経緯を説明する。山城はふーんと興味がなさそうにしており扶桑はあらあらと微笑んでいた。3人で話をしていると試着室から如月が出てきた。大胆な黒のビキニを身に纏い自信満々である。

 

「どうですか憲兵さん……扶桑さん?山城さん?」

 

今度は黒いビキニを着て出てきた如月は扶桑と山城が居ることに驚きと恥ずかしさにより思考が停止していた。

 

「少しはりきりすぎじゃないかしら?」

 

「そうね。如月ちゃんはもう少し押さえ目のほうが良いような気がするわね。そうよね?憲兵さん?」

 

「そうですね………先程のピンクの水着の方が似合ってました」

 

その憲兵の言葉を聞き、さっきの方が似合ってたのねわかったわと少し上機嫌で試着室へと戻っていった。憲兵が良いと言ったピンクの水着を買いその後四人で近くのお店で昼食を済まして鎮守府へと戻っていくのであった。

 

 

昼 15時 鎮守府 甘味処『間宮』

 

間宮から新しい羊羮を作ったから試食してほしいと言われた憲兵はその時一緒に居た時雨、夕立、吹雪、暁、朝潮を引き連れて間宮の元へ訪れた。艦娘達は憲兵がご馳走しますと言い好きなものを頼んでくださいと言われそれぞれメニューとにらめっこしていた。しかし、朝潮だけご馳走になるわけにはと渋っていた。彼女の性格上真面目な為に憲兵に申し訳ないと考えているのだろう。

 

「わたしは自分のお金がありますから大丈夫です!」

 

「でもせっかく憲兵さんがご馳走してくれるって言ってるんだよ?」

 

吹雪が朝潮にそう言うがやはり首を縦に振らない。

 

「ならこの前のお礼と言うのでは駄目でしょうか?私の顔をたてると思って」

 

以前憲兵が資料を運んでいるときに手伝いますと言い手伝ってくれた朝潮へのお礼と言うことで朝潮は渋々ながらもご馳走になることになった。

それぞれが注文し程なくして注文した品が運ばれてきた。駆逐艦組は間宮さんスペシャルパフェを頼み、憲兵さんは緑茶と間宮さんが食べてみてほしいと頼んでいた羊羮だった。いただきます!と元気よく挨拶をし各々がパフェを頬張る。憲兵は羊羮を丁寧に切りそれを口へと運ぶ。

 

「………これは」

 

「どうでしょうか?」

 

いつの間にか側に居た間宮が憲兵に感想を尋ねる。憲兵はもう一切れ口へと運び味わう。口の中に広がる深い味わい。癖のない甘さ。

 

「蜂蜜でしょうか?」

 

「正解です」

 

ふふふと微笑みながら憲兵さんは何でも解るんですねと言う間宮。とても美味しいですと感想をのべる憲兵だったがふと視線に気がつきその先を見る。視線の主は隣の夕立だった。よだれを垂らし、目をキラキラさせながら憲兵の羊羮を見ている。すでに間宮さんスペシャルパフェは空になっており憲兵の羊羮を狙っているのだろう。

 

「………一口食べますか?」

 

「っ!ぽい!」

 

耳のような毛がパタパタと動き喜びを表現する夕立。憲兵は一切れを夕立に食べさせる。夕立はぽい~と味わって食べていた。ふと憲兵は自然と食べさせた自身の行動に疑問を抱く。以前なら自ら食べさせるなどあり得なかった。

 

「憲兵さん!もう一口ほしいっぽい!」

 

あーんと口を開ける夕立。憲兵は自身の変化に戸惑いながらも夕立に食べさせていた。

 

「夕立ちゃんだけずるいです!私も食べてみたいです!」

 

そう言って憲兵の向かいに座っていた吹雪があーんと口を開けた。ぼ、ぼくも食べてみたいかなと時雨。れ、レディーとして味見は大切よねと暁。わ、わたしも食べます!と朝潮と次々と憲兵に食べさせてもらおうとせがむ駆逐艦一同。憲兵はその後一人一人に一口ずつ食べさせていくことになった。

 

 

 

本日の主な出来事

 

 

如月さんと水着を買いにいく。店で扶桑さん、山城さんと会い、帰りに食事をする

 

 

吹雪さんたちと甘味処へ。精神的に疲れる。

 

一言

この鎮守府に配属されもう二年も経ってしまった。ここの鎮守府は本当に良いところだ。私なんぞを受け入れてくれる。私に居場所を与えてくれる。

 

 

 

私はこの場所にいていいのか?

 

 

最後に

 

本日も晴れ、鎮守府に異常なし

 

 

 




感想、アドバイス、評価よろしくお願いいたします。

あと、4月の神戸でのイベントに出ることになりました。詳細はまた活動報告に載せます。

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