本日も晴れ、鎮守府に異常無し《完結》   作:乙女座

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遅くなりました

本編どうぞ!


十八日目

10月●◇日

 

朝 8時 鎮守府正門

 

10月に入り涼しくなる季節。今日はこの桜村の鎮守府に新しい憲兵隊員が配属される日。いつものように早く起きた憲兵は正門で新しい憲兵隊員が来るのを待っていた。

 鎮守府の正門に時間通りに大荷物を持った女性がやって来た。ぜぇぜぇと疲れた様子でやって来た女性。憲兵は彼女が息を整えるのを待つ。

 

「はじめまして!本日付でこの桜村鎮守府の憲兵隊2期生の研修に参りました。秋山美香ともうします!」

 

ビシッと敬礼をし挨拶をする新しい憲兵隊員の秋山美香。写真で見るよりかはかなり幼いように見えると考える憲兵。

 

「はじめまして。この桜村鎮守府の憲兵です。よろしくお願いいたします」

 

敬礼をし挨拶を返す憲兵。するとキラキラとした瞳で憲兵を見る美香研修隊員。

 

「あ、あなたが伝説の横山殿でありますか!」

 

「で、伝説?」

 

「はい!狼藉を働く提督を数多く検挙し、現場復帰不可能と判断されていた艦娘のケアをし、立ち直らせ、大きく海軍連合に貢献し名誉憲兵として表彰された人物として私たち憲兵2期生では憧れの存在、そして伝説と言われております!ご教示いただけるなんて感激の極みであります!」

 

「そ、そうですか…」

 

ハイテンションな彼女に着いていけない憲兵。美香研修隊員はその後も憲兵がどれだけ有能であり憧れの存在かを長々と聞かされるのであった。

 

 

荷物を憲兵寮の部屋に置き、提督のいる執務室へと案内する。その道中に天龍を追いかけ回しスカートの丈を膝まで下ろしたり、駆逐艦の子達に遊びに誘われたり、鳳翔に買い出しの約束などをしたりなど様々なことがあったが何とか執務室へとたどり着いた。

 

「提督、研修隊員が来ました。御時間宜しいでしょうか?」

 

ノックをした後、室内へそう呼び掛ける憲兵。ドアの向こうから返答を待つ。ど、どうぞと緊張した提督の声が聞こえ美香研修隊員を連れ執務室内へと入る。

 

「失礼します」

 

「失礼します!」

 

緊張しているのか美香研修隊員の声が裏返る。憲兵はその様子を見てかつて新米兵士だった頃の自分を思い出していた。

 

「ほ、本日付で桜村鎮守府の憲兵隊の研修で参りました秋山美香ともうします!よろしくお願いいたします!」

 

ビシッと敬礼をする美香研修隊員。提督も敬礼をし自己紹介をする。

 

「この桜村鎮守府の提督をやっています新田小雪です。これからよろしくお願いいたします」

 

その後提出する書類などを提督に渡し、この鎮守府の決まり事などを美香隊員に伝える提督。その間憲兵は今日の秘書艦である吹雪の手伝いをしていた、

 一通り説明が終わり雑談をしている二人。すると執務室の扉が勢いよく開かれる。

 

「てぇいとおおおくうううううううう!」

 

「お帰り金剛ちゃん!」

 

演習に出ていた金剛が帰ってきたのだ。金剛はそのまま提督にダイブし頬擦りを始める。すると開かれた扉から続々と演習終わりの艦娘達が報告をしに入ってきた。

 

「は、はじめまして!これから研修隊員として色々と学ばせてもらいます!」

 

「憲兵さん2号デース!よろしくデース!」

 

金剛、比叡、電、時雨、赤城、飛龍が美香隊員に挨拶をする。すると開いていた扉からヲ級とイ級ブラザーズが入ってきた。入ってきた深海棲艦を見て硬直する美香隊員。しまったと憲兵は内心焦っていた。上層部にも黙っていた存在がバレた。しかしそんな憲兵の心配を他所にヲ級とイ級ブラザーズは美香隊員をじっと見つめる。

 

「ヲッ!」

 

片手を挙げて挨拶をするヲ級。するとわなわなと震え出す美香隊員。次の瞬間ヲ級を目にも止まらぬ早業で抱き上げ頬擦りをはじめた。

 

「な、なんでありますか!このかわいい深海棲艦は!ほっぺぷにぷにでありますよ!」

 

ヲ級の愛らしさにメロメロの美香隊員。よかったと胸をなでおろす憲兵。こうして受け入れられていくヲ級であった。

 

 

夜 19時 食堂

 

「資料などは昼に片付けておくか、夜に纏めて片付けるのもありです。大抵の仕事をスムーズに進めていきましょう。その方が後の時間ゆっくりとできますから」

 

「了解であります!」

 

 食堂に向かいながら1日の業務を振り替える憲兵と美香隊員。食堂に着き中に入ると真っ暗であった。

 

「…停電なのでしょうか?」

 

次の瞬間明るくなる室内。そしてパンとクラッカーの音が鳴り何事かと困惑する美香隊員。そして彼女の目に入ったのは『ようこそ美香隊員!桜村の鎮守府へ!』と書かれた垂れ幕だった。

 

「へ?」

 

「えへへ成功だね!」

 

「はいなのです!」

 

突然のサプライズに驚く美香隊員。様々な種類の食事が用意されており、お酒やジュースも用意されていた。

 

「美香さんの配属祝いです!一人前に成るまでよろしくお願いいたします!」

 

そう言って微笑む提督と艦娘達。これからよろしくねと歓迎する艦娘達を見て瞳が揺れる美香隊員。

 

「か、感激です…私とても不安で…歓迎されないかもしれないって思ったりして…ありがとうございます!」

 

そう言って提督に抱きつく彼女の姿を優しく見守る憲兵であった。

 この日鎮守府に新たな仲間が加わりより活気づき、賑やかになる桜村であった。

 

 

 

本日の主な出来事

 

 

秋山美香2期生を出迎える。鎮守府の業務や提督の挨拶などを済ませる。

 

 

 

秋山美香2期生の歓迎会。夜遅くまで皆さん楽しんでおられました。

 

最後に

 

本日も晴れ、異常なし

 

 




久々にヲ級ちゃん出てきた…

感想、評価、アドバイス、誤字脱字の報告があればよろしくお願いいたします 
 
あと、本編に登場する憲兵さんが読んでいる本について活動報告でアンケートがあります。よかったら見てくだせぇ…

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