駄文でありますがよろしかったら読んでいってください!よろしくお願いいたします!
4月○日
朝 8時 晴れ 艦娘寮前
桜の花びらが舞い、新しい出会いなどが多い季節。綺麗な桜の木に囲まれた漁村にその鎮守府は存在した。決して大きいとは言えない、かといって小さな鎮守府とも言えないこの鎮守府。そこにはいつもの光景が広がっていた。
「待ちなさい!シャツのボタンを閉めてスカートの丈をちゃんと膝まで下ろしなさい!」
「だぁー!!!何なんだよ!お前には関係ないだろ!ってか足速すぎだろ!」
軽巡の天龍を追いかける緑の憲兵服に身を包んだ男性。
「駄目です!どのような理由であれ女の子がそんな服装してはいけません!待ちなさい!天龍さん!」
「嫌だああああああ!」
そう天龍を追いかけているこの男。この鎮守府に配属された憲兵である。
~本日も晴れ、鎮守府に異常なし!~
10年前、世界大戦、冷戦など過去の様々な危機に瀕しながらも何とか世界の平和の均衡を保っていたこの世界に突如海の底から現れた謎の勢力により一瞬にしてその均衡は壊された。
『深海棲艦』
後にそう呼ばれるようになった海からの侵略者は各地の海に出没。民間の船や軍の船などに対し無差別に攻撃を開始した。世界各国は早急に攻勢に出た。しかし、初回の殲滅作戦で軍は壊滅的な被害を受けた。特に被害の大きかったのはやはり海上で戦っていた海軍艦及び制空権を確保しようとした空軍の軍用機であった。後にこの戦いを『悲劇の海戦』と呼ばれることとなり、人類は敗北することとなる。そして日本本土にもその脅威が迫っていた。陸軍は陸上から攻撃するも一方的な防戦に追い込まれ、全滅は時間の問題だった。そんなときに現れたのが
『艦娘』
唯一深海棲艦に対抗できる力を持つ少女の姿をした第二次世界大戦の日本の戦艦や駆逐艦、軽巡艦の名前と武装を纏う少女たち。彼女たちのお陰で何とか防衛は成功。この戦いを『本土防衛の奇跡』と呼ばれることになる。そして彼女たちと共に現れた彼女たちを管理することができる妖精たち。人類は彼女たちを受け入れすぐに海の近くに基地を建築、これを鎮守府と称し防衛の要とした。
その彼女たちを管理、運営する人物を養成、それを
『提督』
彼女たちと交流し、より良い関係を築いてきた。
5年が経ち、海の大半を奪還した人類だったが、提督の中には己の欲望に負け利益を求める者や、見た目が可愛らしい艦娘たちを性欲の捌け口にする輩が現れた。
そんな彼らを取り締まる組織を立ち上げた。
『憲兵』
緑の軍服に身を包み、鎮守府の安全及び艦娘を守るための集団である。不埒な考えを持つ提督達を取り締まる彼らは恐怖の対象にもなっていた。
1つの鎮守府に1人配備される彼らは元々先の『本土防衛の奇跡』で彼女たちに助けられた陸軍の生き残りが殆どである。命を助けてもらった彼らはその身体、命を彼女たちや力を持たない市民のために捧げることを後悔しないような者が多い。
『艦娘』『提督』『憲兵』
彼らのバランスにより保たれているこの世界を守るため諸君には尽力してほしい。
世界海軍連合大将・本田 雅司
ー世界海軍連合書籍・『必須、海軍教科書』冒頭部分よりー
◇
「はい。これでいいです。服装は自分で整えるようにしてください」
「はぁ……………」
憲兵に捕獲され服装を正された天龍は項垂れていた。何時もこの憲兵に追いかけられらる光景はこの鎮守府の日常の1つと言っていい。
「何で俺だけなんだよ…島風や愛宕や高雄とか危ない服装してる奴だっているじゃねーかよ」
「島風さんはまだ子供です。それに愛宕さん、高雄さんは自分で管理できていると確認しています。貴方だけなんです。それに貴方はよく町に出掛けますから、可愛らしい顔をしているのだから気を付けなければならない。わかりましたか?」
「うぅ…………」
天龍の頭のアンテナ?が下を向く。顔も少し朱色になっている。
「天龍ちゃ~ん。照れてるの~?」
おっとりした感じのしゃべり方をする彼女は天龍の姉妹艦龍田だ。
「ち、ちげーし!じゃあな憲兵!俺は部屋に戻るからな!」
そう言って急いで部屋に戻る天龍。それをニコニコしながら見つめる龍田。
「ごめんねぇ~いつもいつも天龍ちゃんが迷惑を掛けて」
「そんなことはありません。龍田さん」
「ふふふ…天龍ちゃん。ここに来てから毎日楽しそうだから良かったわ~。毎晩貴方の話をするのよ~」
そう言って憲兵に近づく龍田。憲兵は身長が高いので必然的に上目遣いになる。
「それはここの鎮守府の提督のお陰ですよ。彼女はまだ十代でありながら尽力していらっしゃいますから」
ここの鎮守府に配属された提督はまだ16歳であった。何かの間違いではないかと憲兵は配属されたとき本部に問い合わせた程である。何と飛び級で提督に就いたとか。
「確かにそれもあるわよねぇ~。提督は優しいから小破しただけで帰っちゃうぐらいてすからねぇ~」
そう、ここの提督は艦娘に優しすぎるのだ。十分な休みをとり、必要ならば艦娘の要望に答え、万全の体制で海域に挑む。資材などを回収する作業はローテーションを組み、無理のしないようにしている。そのお陰でこの鎮守府の艦娘に慕われており、関係も良好。ある程度付近の海域の安全を確保している。
「でも~、憲兵さんのお陰で天龍ちゃんや曙ちゃん、霞ちゃんも毎日が楽しいんだと思うわよぉ~。天龍ちゃんたちは前の鎮守府では提督や憲兵の人からも疎まれていたから~」
「………………………」
天龍は前の鎮守府では言うことを聞かず大破をよくする。私生活ではあまり良いとは言えないような生活を送っており、前の鎮守府からこちらに回されてきたのだ。曙、霞は暴言を吐き、一向に改善しないのでこちらに送られてきた。
「そんな天龍ちゃんや曙ちゃん、霞ちゃんに毎日注意してくれて、面倒を見てくれる憲兵さんには天龍ちゃん達や他の子も含めてみんな感謝してるのよ~。提督も、初めて天龍ちゃんが命令を無視して大破して帰ってきたとき泣きながら天龍ちゃんを怒って抱き締めてくれて………二人のお陰で笑顔の天龍ちゃんを見れたからぁ~」
そう言って微笑む彼女の笑顔はとても素敵な少女の笑顔だった。
「それが私達、憲兵の仕事です」
そう言って敬礼をする憲兵。その後、龍田は天龍の後を追いかけていった。
◇
昼 13時 鎮守府正門前
「こんにちは憲兵さん!」
昼下がり、鎮守府周りの掃除をしている憲兵に声をかける白い服を纏った少女。茶色の綺麗な長い髪。黒い綺麗な瞳、白い肌と10人の男性が10人とも振り返るような容姿をしている。
「こんにちは新田様。」
そうこの鎮守府の若き提督、新田小雪提督。そんな上司の彼女に深々とお辞儀をして挨拶を返す憲兵。
「もう!様はいらないし小雪でいいって言ってるのに!」
「いえ、そういう訳にはいけません。上司にあたりますので」
「じゃあ上司命令です!小雪と呼んでください!」
キラキラとした瞳で見つめてくる彼女。そんな彼女に困ったような顔をしている憲兵。初めて会った時は彼女は彼を少し怖い男性と思っていたが、とある事件がきっかけで彼になついて、小雪と呼べと言い続けているが憲兵は真面目なためその様に呼んだことはなかった。
「私の上層部から提督には敬意を払うように言われていますので」
「えぇ~……もういじわるぅ」
しょぼんとし、近くのベンチに座り込む小雪提督。庇護欲を掻き立てられる仕草で恐らく同期の提督たちなら一瞬でノックアウトだ。
「…………」
この男。無表情。鋼の理性である。
しかし、このままにしておくのは不味いと感じた憲兵。掃除道具をもとの場所に置き、小雪提督に声をかける。
「よろしければこれから間宮さんから新しい甘味を試食してほしいと頼まれているのですがご一緒にどうですか?」
「いきますいきます!!」
すぐに機嫌を直しテンションが高くなった彼女を無表情で見る憲兵。そんな二人に高速に接近する影があった。
「てぇえええええいいいいいとおおおおおくうう!」
「金剛ちゃん!お帰り!」
金剛型一番艦の金剛である。小雪提督に抱きつき頬擦りをする彼女。その後ろから姉妹である、比叡、榛名、霧島が着いてきた。
「お姉様……早いです!あ!憲兵さんこんにちは!」
「こんにちは、憲兵さん。今日は降水確率は0%らしいですよ」
「えっと、こんにちは憲兵さん」
「こんにちは、金剛さん、比叡さん、霧島さん、榛名さん」
あまり表情を変えずに深々と頭を下げて挨拶する憲兵さん。その間も、小雪提督に抱きついたままの金剛。
「これから間宮さんの所へ新しい甘味の味見をしに行くのですがよろしければ皆さんもどうでしょうか?」
「Oh! nice ideaネー!私たちもtogetherするネー!」
こうして憲兵を含む提督御一行は間宮さんの所へと向かうのであった。
◇
本日の主な出来事。
朝、天龍さんの服装が少し乱れていたので小注意をする。
昼頃、正門の警備及び掃除をしている時に新田提督と少し会話、甘味処間宮の試食に誘う。金剛型の皆様も同行する。
一言
あれだけの甘味を彼女たちは一体何処へ入れているのであろうか。謎である。
最後
本日も晴れ、異常は無し。
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