革命組織のリーダー、ハルヤの部屋は異様なまでの沈黙に包まれていた。
部屋ではレイヤ、カリン、ハルヤ、そして恐らく組織のメンバーの一部であろう空色の髪を持つ、顔がそっくりな少年少女がルカの隣に立つ真緒に視線を注いでいる。
暫くそうしていたが、やがて沈黙を居心地悪く感じた様子のルカがそれを破った。
「で、管理人ーー真緒ちゃんはどうするの?殺したら確実に面倒だよ、リーダー」
話を振られたハルヤは細い腕を組み、考え込んだ。質問に対する返答を決めかねているのだろうが、真緒からしたらさっさと此処から解放して欲しかった。
気になる事があり過ぎる。一つでも解決してしまいたい。
しかし数秒後、ハルヤは真緒にとって都合の悪い結論を導き出した。
「レイヤ、カリン、ルカ。管理人さんの監視に行く準備をして。」
「「「ハァ⁉︎」」」
真緒、レイヤ、ルカが声を揃えて叫ぶ。唯一カリンだけは相変わらず冷静に対応した。
「リーダー。何でマスター達が監視に行く必要があるの?」
「勿論、これから管理人さんに余計な事をされたらたまったもんじゃないからだよ。戦争を止める?その為の旅?・・・本当にそうなのかな?とてもじゃないけれど、信用出来ない。なんせ、僕らという前例があるのだからね」
「おいリーダー、」
「つべこべ言わず準備しろ。・・・分かったね?」
反論しようとしたレイヤの言葉を、ハルヤは冷たい声で遮った。
だけど、とレイヤは食い下がるが、無駄だと悟り了承した。ルカも落ち着きを取り戻すと黙って頷く。
しかしただ一人、真緒だけはその様子に疑問を抱いた。
これが、革命組織というものなのか。多少の上下関係があるのは知っていたが、それにしたってこれは酷過ぎるのではないのだろうか。
彼らにとって一番憎らしい管理人の自分にすら分かるような事を、何故彼らには通じないのか。
「ちょっと待って」
気付いた時には、真緒は口を開いていた。
一時は離れていた視線が、彼女の方へとまた一気に注がれる。
「それ、おかしくない?心の底から納得出来ていないのに、無理矢理行かせるなんてさ。・・・トリム教団と、大して変わらないでしょ」
「どういう意味?」
予想通り、ハルヤが声に苛立ちを滲ませて質問してきた。
しかし真緒はあくまでも冷静に、思った事を口にしていく。
「多分君らも知っているんでしょ?トリム教団の人達は管理人を信仰しろって、世界中の人間に命令し続けているんだよ。
それぞれで思う事は違うのに、自分の都合ばかり押し付けて。すっごいはた迷惑ってやつじゃない?
それとも、革命組織は今までこうやって成り立ってきたの?それでよく、革命だなんて言えるね」
レイヤの「おい、」と制止の声が聞こえる。真緒はそれを無視して、ルカ達の方を向いた。
「君らは、それでいいの?」
沈黙。カリンは事の成り行きを見守っているのか、部屋の端でじっとしている。
思わぬ問いを突きつけられて、レイヤは黙り込んだ。ルカも口を真一文字に結び、どう返そうか言いあぐねている。
もう良いだろう。迷っているのを見れば、ハルヤだってさすがに行けなどと命令する事は出来ない筈だ。
真緒は身を翻し、基地の出口を探しに静けさが満ちた部屋を後にした。
千羽鶴です。
恐らく次の話で革命組織の本部での話は終わりになります。
まだまだ続きますが、どうかあたたかい目で見守ってやって下さい!