今回から本格的に北の国編です。
一応ギャグ中心で書いたつもりですが、面白くなかったらごめんなさい!
北の国は伝統を重んじ、技術の進歩を代償にあちこちに点在している遺跡などの保護、管理、そして研究に力を注いでいる国だ。
和風な村もあり、屋敷で生まれ育った真緒には気が楽であるーー国の環境という面では。
北の国の首都が近付く度、真緒の胸中には重いものがのしかかっていく。先程まで眠っていた彼女は誰にも聞こえないようにぼそりと呟いた。
「嫌だなぁ・・・嫌いなんだよな、あそこのトップ」
「進化の国」と呼ばれる南の国とは反対に位置する伝統至上主義の北を治める王の性格が、真緒は何よりも苦手だ。
回数こそ少ないが管理人になった時挨拶に行って以来、時折仕事として顔を合わせるのにも関わらず、未だに慣れていない。
まだ王の居る城の門番を担っている青年と女性の方が遥かに好ましい人間である。幼くして管理人という職に就いた真緒に気軽に話しかけて来る彼らを、現在は心から信頼しているわけではないが昔の彼女にとっては唯一縋る事の出来る存在だったと言える。
「そういえば、北の国だっけ?蕎麦が美味しいのって」
「それ、東の国だよ。北の国は『過去の国』なんて呼ばれているけど、実際には歴史の研究がかなり進んでいるってだけらしいよ」
「過去の国なのに進んでいるって、ややこしいなぁ」
「知らないよ。私は植え付けられた知識をそのまま言葉にしているだけだし。てかマスター大丈夫ですか?」
「お、おう・・・大丈夫」
ルカ、カリンの呑気な会話とレイヤの小さな声を耳に捉え、真緒は思った。
・・・先が思いやられる。
北の国の首都は普段の静けさなど無かったかのような喧騒に包まれていた。
余りの騒がしさに真緒とまだ少し顔色の悪いレイヤが顔を顰める。
祭りでもあるのだろうか。
「何か騒がしいね。北の国って結構静かな場所が多いんじゃ無かったっけ?」
「祭りかな。やっぱり祭りも伝統文化の一種だから多いんだよね」
ルカの疑問に、真緒は込み上げてくる嫌悪感を必死に押さえ込みながら答える。
しかしそんな答えを、未だに無表情なカリンがあっさりと否定した。
「違うみたいだよ」
足音が近付いて来る音を聞きつけ、最初から其方の方を向いていたカリンを除いた三人が少女人形と同じ方向を向く。
二つの足音が止まると共に、赤色の瞳が印象的な青年と女性が現れた。
どちらも武装しており、腰に提げられた刀がかちゃりと音を立てる。
革命組織に所属する三人はそれを見ると身構えたが、知り合いである真緒だけは平然と青年達に話しかけた。
「お久しぶりです、ユリさんとコウさん」
「マオちゃん・・・?」
「マオちゃん・・・だよな?」
武装している赤目の青年と女性は顔を数秒見合わせると、嬉しそうな笑顔を咲かせた。
真緒は嫌な予感がしたが、避ける間も無く女性に抱きつかれる。
「マオちゃん!最近連絡来ないから心配してたんだからね!お手紙書いたのに!」
「えーあー・・・すみません。ちょっと私も忙しくて。
ユリさんも忙しいだろうな〜って思ったので」
適当に流しつつ、同行者三人のうち二人の拍子抜けしたとでも言いたげな視線に耐え切れず女性ーーユリを押し戻す。
ユリはそれに抵抗しようとしたが、その前に青年が素早く肩を掴んで真緒から離した。
「ええと・・・?」とルカが首を傾げる。その顔には引き攣った笑顔が貼られている。
真緒は面倒くさいと思いながらも、渋々二人の「異形」を紹介した。
「昔からお世話になった、ユリさんとコウさん。門番を担っている人達だよ」
ありがとうございました!
今のところ何だか真緒の味方が居ない気がしたので新キャラとしてユリとコウを投入しましたが、如何でしたでしょうか?
この二人もどんどん活躍させるので、好きになって下さった方はどうぞ楽しんでいってください!