それと、初登場とその後のカリンのレイヤに対する口調変わっていました・・・初登場、敬語でしたねあの子。見つかったところは直しておきました。すみませんでした!
それは、本当に偶然だった。
『大丈夫ですか?』
『はい。すみません、ヒスイ様・・・』
『いえ。何事も無くて良かったです。それでは、お気をつけて』
北の国の王への挨拶を済ませた後、帰る為に城の出口に向かっていた真緒が見つけたのは、安心した表情で何処かに去っていく女性と純粋に満ちた笑顔でそれを見守る少年だった。
少年の独特な髪色から彼が先程顔をあわせた王の息子である事はすぐに察したが、普通の市民とみられる女性に対しての穏やかな態度を目にしてしまうとその事を疑ってしまう。
あまりの驚きに立ち止まって少年を見つめていると、突然少年が壁に背中を預けて座り込み、右手で口を覆った。何度も咳をして、その度に空いた方の左手で心臓辺りの服を掴む力を強める。
只事では無い様子に誰かいないかとその場を見回す。しかし人の気配は見つからず、仕方なく真緒は少年の元へと駆けて行った。
『大丈夫?なんか辛そうだけど』
『え・・・あ、大、丈夫、です。すぐ、に、終わりますから』
少年は無理矢理に口角を上げ、笑ってみせる。しかし誰かの為の嘘など、真緒からしたら逆効果だ。
人の気持ちを知りも知らずに吐く嘘は、亡くなった両親を思い出させるから。
『大丈夫じゃないでしょ。苦しいっていうのが丸わかりだし。誰か人を呼んでくるよ』
『えっ、あの、ちょっとま・・・ゲホゲホっ』
『ほら、やっぱり大丈夫じゃないんじゃん。嘘吐くなんて最低だね』
『すみ、ません・・・けほっ』
『ありがとうございました。助かりました』
『最初から馬鹿みたいな事しなければもっと早く楽になれたのにね。これを機にそういう残酷な優しさは捨てた方が良いよ』
真緒が少年から離れて散々長く広い廊下を走り回ると、何とか城に雇われている使用人に出会う事が出来た。使用人は真緒の説明を聞くとまたか、と呆れながら少年の居る場所に行き彼を抱えて、そのまま何故か寝室に真緒を案内した。
そして成り行きに任せて行動した結果、ベッドに横たわる少年の隣で今話している。
『そうですね。・・・けほっ、けほっ、さっきの使用人ーークレトっていうんですけれど、彼にも「お前はお人好し過ぎる」なんてよく言われて。僕自身はそんなつもりは無いのでなかなか直せなくて・・・誰かを不快にさせてしまうのなら、どうにかしなくちゃって思うんですが、どうしても』
困ったように眉尻を下げて笑う少年に、真緒は先に会ったクレトという使用人と同じ溜め息をつく。あの使用人は随分と少年に遠慮が無いと思っていたが、どうやら本人の前でも変わらないらしい。しかも問題の本人すら気にしていないようである。違う意味で心配だ、主に少年の治める未来の北の国と使用人の首が。
『ハァ・・・ねぇ、君。名前は?』
思うことと言いたいことは山ほどあるが、全て飲み込んで代わりに質問を投げかける。覚えていられる自信は無い。一応聞いておくべきだろうと考えたからだ。
『僕ですか?僕の名前はーー』
「ヒスイ・・・何で君は、私を面倒な事に巻き込むんだろうね」
回想を終えた真緒は目を開き、北の国の王子・ヒスイの捜索に改めて足を動かすのだった。
閲覧ありがとうございました。ちなみに真緒は一人で飛び出して行ったので今は知りませんが、他の人達は手分けして捜索しています。