夢の世界に生きる夢の無い少女の物語   作:千羽鶴ともり

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千羽鶴です!最近時間に余裕があってどんどん更新出来る・・・!
めっちゃ嬉しいです。
それと、色々編集している時があるので、もう読んだ話をまた読み直すと分かりやすい事があるかもしれません。すみません!
それでは、今回も楽しんでいってください!


よりにもよって逃走中に

 

真緒は今までに無いくらい焦っていた。

といっても、今まではただ与えられた仕事をこなしておけば良かったのでそんな焦る必要がまず無かったのだが、彼女にとってはだからこそ慣れない感覚だ。

嫌な汗が頰を伝う。もう長い時間走っているからか、足は痛いし息は荒い。速さを増した鼓動の音がよく聞こえる。

背後を振り返ると、「それ」は未だにこちらに来ていた。

 

「しつこいっての・・・私戦闘経験少ししか無いんだけど」

 

そんな愚痴が思わず零れる。しかし迫ってくる「それ」はスピードを落とす気配を見せない。真緒は募る苛立ちが叫びにならないように抑えながら、再び地面を蹴った。

 

何故こんな状況になっているのか。それを説明するために、少し時を遡らせてもらう。

回想を終え北の国の王子ーーヒスイの捜索に戻った真緒は、とにかく列車の駅の辺りを調査していた。

しかし有力な情報は得られず、もう首都を出てしまったという絶望的な結論に思考が至ったところで、彼女は偶然とはいえ視線を合わせてしまった。

黒い霧を纏った、不思議な狐と。

真緒は狐を見た事があった。昔よく遊んでいた幼馴染みが描いた狐の絵と酷似していたのだ。

当時の幼い真緒は異様なまでに現実味のある幼馴染みの狐の絵に若干の恐怖を感じたが、黒い霧の狐を目にした瞬間、同じ恐怖が蘇ってくるようだった。

自分に気の所為だと言い聞かせ駅を後にしようとしたが、狐と目を合わせた時間があまりにも長過ぎた。

同じ狐が何体も現れ、真緒を追い始めたのである。

目を合わせるだけでも危ういのに、その時間が長ければ相手に存在を知られるのは当然だ。真緒本人、自分を思いっきり殴りたい衝動に駆られた程だった。

「追いつかれたらまずい」という第六感からの警報に、彼女は素直に従った。そうして逃げて、逃げて、現在のこの状況である。

 

(ああもう、最近良いこと無いなぁ、ほんっとに・・・ん?)

 

前方に、穏やかな微笑を浮かべた少年が立っている。

残念ながら捜索中のヒスイではなかったが、その姿に、特徴的な夕焼け色のマフラーに、真緒は驚きの声を上げた。

 

「君は、革命組織が襲撃された時の・・・!」

「久し振り、でもないね。・・・成る程、黒狐か。暇な奴らだな、これだからあいつらは嫌いなんだ」

 

少年はそう呟くと真緒の手を引いて呪文を唱える。そして左手に伸びた路地裏へと入り込んだ。

狭く薄暗い路地裏から、狐達の様子を窺う。魔法なのか、狐達は真緒を見失う時が無かったにも拘らず、キョロキョロと辺りを見回して不思議そうに首を傾げている者もいた。

 

「喋っても大丈夫だよ。ちょっと特殊な魔法なんだ」

「君は・・・ルカ、だっけ」

「あれ、意外。覚えていてくれたんだな」

 

忘れるわけがない。近くに居たのだから。

 

 

ルカ。そう名乗っていた、革命組織に所属する少女が。




ややこしくなってきましたね。すみません。
しかし二人の同名に関しては次に明かします。それ以降だと謎を増やしすぎてしまいますので。
ちなみに先に補足しておきますと、女の子の方のルカが名乗った時に疑問を覚えなかったのは状況と仮説の整理、これからの事で頭がいっぱいになって少年の名前を忘れていたからです。
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