「同名異人、ってやつかな?幸い君と同じ名前を名乗る人が近くに居たから覚えているよ」
「ああ、そうなの?・・・そうかそうか、君は革命組織に居たルカと行動を共にしているんだね。納得だ」
少年の言葉に真緒は目を見張った。
彼は、革命組織に所属する方のルカを知っている?
「・・・知り合いなの?」
「俺が一方的に知っているだけだよ。彼女は多分忘れている。
実際俺は、彼女の名前を「借りている」わけだしね」
「・・・・・君のルカという名前は本名じゃないってことか」
「そうなるかな。俺の名前は今の君には教えられないからさ。騙すような事をして、ごめん」
彼は一体何者なのだろう。革命組織で初めて出会った時から不思議な少年から印象が全く変わらない。
懐かしい感じがするのに、思い出せない。
(・・・考えるだけ無駄だ。こういう奴は、絶対に訊いても教えてくれないんだから。取り敢えず全部忘れて、ヒスイの捜索に取り掛かろう)
真緒は一旦少年の事を頭から振り払い、思考を巡らす事を放棄した。
それから助けてもらった礼を言い、さっさとその場を後にする。
ある意味逃げたのかもしれないな、そう思ったのを知る者は誰もいない。
無論、真緒さえも。
一方、ユリとコウは合流して公園のベンチに腰を下ろしていた。
「見つからないね〜ヒスイ君」
「一応様にしろってば・・・ただでさえも失踪を止められなかった事で、今俺達は相当危うい立場なんだから。
これ以上門番として生きていけないようにしないでくれよ」
ユリが上司にも当たるヒスイを様ではなく君付けするには理由がある。無論、その理由をコウは知っている。
しかし、たとえ本人達が決めた事でも、今はそれが簡単にまかり通る世の中ではない。
自分達の居場所を守る為には、それなりの我慢や嘘にも慣れなければいけないのだ。
「分かってるよ、コウの言いたい事は。でもさ、そういう窮屈な環境がヒスイ君は嫌だったんじゃないの?」
「あのな・・・だからといって、放っておくわけにはいかないじゃないか。マオちゃん達も巻き込んじゃっているんだし、ヒスイ様は体が病弱だし、何より・・・・・」
「何より、この事件を早く解決しないと、自分達の居場所が無くなるかもしれない・・・・未だにコウが執着しているとは思わなかったよ。そんなことに」
ユリの言葉に、コウは俯いた。
そうだ。自分は未だに執着してしまっているんだ。
もう居場所を求めるのはやめると、「あの人」と誓ったのに。
全く、変われていない。
コウが何も言わなくなったのを図星をつかれたと捉えたユリは、ポツリと呟いた。
「確かに、ヒスイ君はどこかで倒れているかもしれない。マオちゃんや他の女の子達を巻き込んだからには、私達も責任を持って探さなくちゃいけない。けれど、それはヒスイ君にとって、幸せなのかな?」
それじゃあ、どうすればいいのだ。
コウは首から提げているペンダントを力強く握りしめた。