夢の世界に生きる夢の無い少女の物語   作:千羽鶴ともり

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どうも、千羽鶴です!
今回はユリsideのお話になります。・・・難しかった・・・。


有力情報を差し出したのは敵だった

『初めまして。新しく管理人となりました、真緒と申します』

〈初めまして。私は新しい管理人の莉緒です。〉

 

似ているな、なんて思わなかった。

確かに顔立ちとか声とかは、彼女にーー先代の夢の管理人、莉緒ととてもよく似ている。しかし彼女にあったものが、真緒には無かった。

欠落した幼い管理人。それがユリの真緒に対する第一印象だった。

 

 

 

「ヒスイ君・・・・・居ないなぁ」

 

キョロキョロと辺りを見回しながら、ユリは誰に言うでもなく呟く。

コウと別れ、また捜索を始めたものの、やはり北の国の王子の姿は見えない。ちなみにコウは未だ不安を口にしている人々を落ち着かせに行くと言っていたが、どうやら上手くいっていないようだ。

普段の静けさが嘘のように思わせる喧騒は止まるどころか寧ろ大きくなっている気がする。

溜め息を吐いて誰かと合流しようか、と思い始めた矢先。

 

「・・・うっわぁ。嫌な顔があるなぁ」

「ん?ああ、君は確か・・・ユリだっけ」

 

夕焼け色の目を持つ彼はユリのげんなりとした声と視線に気付いて笑いかけてくる。ユリはその笑みに含まれた嫌味な雰囲気から、今の少年がもう一人の、「彼ではない彼」である事を察した。

ただでさえあまり少年のことが好きでないのに、よりにもよってもう一つの人格が出ている時に会うとは。ヒスイの失踪といい、全くついていない。

 

「君そろそろさ、その子に憑くのやめてあげたら?もう百年くらい経つでしょう?」

「本人の承諾は得ているし、第一僕を求めたのは「彼」自身だ。ちょっと体を借りて歩くことくらい良いじゃない。それと百年も経ってないよ」

「ああ、そうだっけ?まぁ良いよ。兎に角此処から消えてくれないかなぁ?私も他の人も子供の遊び相手をする余裕なんて無いんだよ、今は」

 

真緒達の前では決して出さない低く冷たい声、真緒達には決して見せない冷たい笑顔でもって少年に言い捨てる。

マイペースに会話を進めていくという悪い癖が出ていると自分でも分かる。何度もコウに指摘されたが、そんなことはお構いなしだ。

ユリには少年への遠慮など皆無だった。

当然である。

 

 

 

 

ユリにとって、少年は敵に当たるのだから。

 

「ははは!そうだよねぇ、大切な王子様が消えちゃったんだもんね?でも良いのかな?」

 

しかし少年は愉快そうに声を上げて笑ってから、煽るような口調でユリに問いかける。彼女の笑顔や声に怯えた様子も、それを隠す様子も無い。ただこの状況を純粋に楽しんでいる様である彼に若干の苛立ちを覚えながらも、ユリは努めて変わらない笑顔を維持する。

 

「何のこと?」

「夜の世界に生きる者達を統べる「彼」と身体や記憶を共有しているからね、僕にも分かるんだよ。

ーーーーーーー王子様・・・ヒスイの行方も、勿論ね」

 

その言葉に、ユリは異形の証である紅い目を見開いた。




ありがとうございました!楽しんで頂けたら幸いでございます!
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