意味不な文章ですが、楽しんで頂けたら幸いです。
また、人によっては長いと感じるので、時間のある時に読むことをお勧めします。
数多の世界に存在する生物の持つ夢や希望に作られ、またそれらによって繁栄した世界があった。
その世界に数多く存在する森の一つに高く聳える塔を前に、少女ーーー真緒は溜め息を吐いた。その顔は誰が見ても明らかな程不機嫌である。
当然だ。彼女はこれからこの空の雲に隠れて頂上が見えない塔を上らなければならないのだから。
少女は暫く塔を見つめ、やがてもう一度大きく息を吐いて塔の中に入り何処まででも続きそうな螺旋階段の一段目に足をかけ、ゆっくりと上り始めた。
彼女は代々夢の管理人に仕えているらしい家の大人が報告したことに嫌な予感を感じたため、調査をしにこうしてあらゆる世界から流れて来るあらゆる夢を管理する塔を訪れた現在の『夢の管理人』である。
本来なら成人した大人がなるのだが、先代の血を持つ真緒は誰も文句を言えない程管理人としての力が強いことから両親が亡くなった際にその肩書きを受け継ぐことになった。
以来職務を完璧にこなしてはいたが、当の本人は仕事も肩書きも自分には合わないと思っていた。彼女には夢も希望も皆無だからだ。
幼い頃の記憶は持ち主に影響を及ぼす。真緒もまた幼少期に受けた心の傷などから、この世界の住人にあるまじき考え方をするようになった。
最初の頃は信頼出来る大人に相談したこともあったが、彼曰くあらゆる世界から流れて来るあらゆる夢を管理する仕事をする者はみんなそうで、特別な事ではないらしい。
夢、といっても流れて来るのは明るく前向きなものばかりではない。
例えば世界征服をして自分が全ての支配者になりたいという願いから生まれた夢だって流れ着く。夢の管理人はそういった自分勝手な願いを描いた夢を消滅させ、子供が描くような明るい夢や希望を世界に捧げるのが仕事だ。この世の中は管理人が世界に捧げた夢や希望に影響される。先程の例で出した夢を管理人が世界に捧げれば、ああいった自分勝手な感情を行動に移してしまう者が出てくる。そんな厄介な世界なのだ。
全ての夢を知ることができるのは管理人とその関係者のみ。主に現在真緒が上っている塔の最上階にて仕事を行うのは管理人だけのことが多いので、その肩書きを背負う者は醜い夢の影響を受けることもあるという。
真緒はその途端この大人は使えないと思い、それ以上相談するようにはしなかった。彼女の場合夢の影響すら受けていないのである。
自分が特別とは思いたくないので考えないようにしていたが、真緒は夢すら無いのだ。だから悪い夢の影響も無く、人形のように与えられた仕事をしている。
しかし合わなくても、仕事はこなさなきゃいけない。長い階段を上る足を止めないようにしながら、真緒は自宅で受けた報告を思い出していた。
「南の国と北の国の戦争が起こるかも知れない」。それは本来ならまずあり得ないことだ。
先程も言った通り、真緒は管理人の仕事を一応やっている。時々異世界から来る人間・・・『来訪者』が自身の故郷の料理や技術、イベントと言った文化を教えることもあるが、たとえ戦争の利益などを教えたとしても真緒がそれを考えた上での平和な夢を捧げることで戦争の利益という知識でしか存在しなくなる。本日は非常に平和な夢があり、彼女は確かにそれを捧げた。戦争など、あり得ない筈なのだーーーー自分のミスが無ければ、の話だが。
そうこう考えているといつの間にか塔の最上階に着いていた。真緒は最上階の中心に置かれている装置のもとへ駆けていき、調べ始める。
原因解明に没頭し過ぎて、彼女は背後に迫る人影に最初気づかなかった。背後の人影が何かを振り上げたところで気付き、慌てて左へ跳んで避ける。
真緒が先程立っていた場所には焦げ目がついていて、微妙に火らしきものが見えた。魔術であることを理解すると、あのまま避けていなかったらどうなっていたのかと安心し、舌を打った見慣れない姿の少年を睨んだ。
「何すんの⁈管理人が気に入らない人なのか知らないけど、後にしてよ!今やらないと戦争が起こるかもしれないんだから」
「へえ、仕事には忠実なのか。でもどれだけ調べたって無駄だ」
「なっ・・・」
少年は言葉に詰まる真緒を冷ややかな目で見つめていたが、すぐに視線を逸らすと独り言を言い始めた。
(何なんだこいつ。突然意味深なことを言ったかと思えば、独り言言って・・・)
考えていくと、真緒は一つの答えにたどり着いた。
この少年は、不審者だ。
「不審者ごときが塔に入らないでよ・・・あんまり人入ると異世界との境界線が曖昧になって私が仕事増えるんだからさ・・・」
一度正体を認識してしまうと、思わずぽろりと本音を零してしまう。
そう、まず世界がどうのこうのというよりも、真緒にとっては仕事が増える方が最悪なのだ。さすがにこれ以上の仕事は慣れているとはいえ疲れる。
「不審者?・・・俺のことか」
「君以外に誰が居るの。さあ、とっとと・・・」
「戦争の」
真緒の言葉を少年が遮った。何か情報を得られそうな気がしたので、真緒は黙って少年の言葉の続きを待つ。
「戦争の原因が知りたいんだろ」
「・・・だから何?」
「それならさっき言った通りどんなに調べたって無駄だ。お前の知らないところで醜い夢を世界に捧げた奴が居る。残念ながら、今はもう何処かに身を潜めたがな」
「・・・・・君は何者?何が目的で此処に居た?そして、なんで私にそんな情報を教えるの?」
疑問を口にしたが、少年は何も答えなかった。「さあな」とだけ言うと、魔術の呪文らしきものを唱えて姿を消してしまった。
ただ一人取り残された真緒は、暫くその場を動くことが出来ないまま、焦げ跡の近くで揺らめく小さな炎を眺めていた。
どうも、千羽鶴です。
中途半端に終わってしまってすいません!
どうか見捨てないで頂けるとありがたいです。本当に。
それでは、ありがとうございました!
次回もお願いします!