今回は色々起きます。初のレイヤsideです!
レイヤが夢の管理人を憎むべき対象として認識したのは五年前、十四歳の時だった。
彼の故郷である小さな村は、それまで揉め事など一つも無い、平和な村だ。
いや、世界自体が平和ではあったのだろう。しかしレイヤは自分の村が一番平和で穏やかな、最高の場所であると信じて疑わなかった。
そしてそれは永久に変わらず、自分は此処で幸せに死を迎えるのだとも。
そんな考えが一変したのは、突然豹変した村の大人が自分達子供に暴力を振るい始めた時だった。
友人と共に外へ出かけていたレイヤは村で起きている出来事に我が目を疑った。
いつも優しい笑顔を見せていた両親も、遊んでいる小さい子供を温かい目で見守っていた老人達も、いつだって村の事を最優先に考えて他の村人に「自分の体も心配しろ」と怒られていた村長すら、怯えた表情の子供を殴りつけている。何度も、何度も。
両親に関しては、レイヤのたった一人の妹を殴っていた。あんなにも「女の子も欲しかったから」と喜んでいたのに、泣き続ける少女を嬉々としたーー最早狂っているーー様子で蹴ったりもしていた。
レイヤにとっても大切な存在だった少女は、泣きながら彼に助けを求めていた。しかし村の変わりように呆然としていた彼にその声は届かず、気付いた時には少女は息を引き取ってしまった。
その後革命組織のリーダー・ハルヤと当時のメンバーによってレイヤと友人は保護され、大人達は突然現れたハルヤ達を排除すべく襲いかかった結果全員殺された。子供も生きていなかったため、村は壊滅したと言っていい。生き残ったのはレイヤとその友人だけである。
村の生き残りとなった二人はハルヤの提案に乗り、革命組織の一員になる事を決意した。知能が高い友人は作戦部に、手先の器用なレイヤは人形開発部に配属された。
カリンはレイヤが独断で造った人形だ。助けられなかった妹をイメージして造ったのを知っているのは、おそらくハルヤと妹と面識のあった友人のみだろう。だからハルヤは何も言わず、責任を持って育てる事だけを条件に輪をかき乱すかもしれなかった自分を許したのだとレイヤは考えている。
物言いこそキツイが、ハルヤは不器用な優しさを持ったリーダーだ。
だからレイヤは彼に意見をするが逆らおうとは思わない。
そしてカリンに関しても、ニセモノでしかないのに無理をしないで欲しいと思っている。
「・・・スター・・・・・マスター」
自分を呼ぶ声に我に返ると、カリンが身構えた状態で見上げていた。
どうやら少し長く回想してしまっていたらしい。前方では革命組織の敵ーートリム教団を名乗るユウリという少年がニコニコと笑っている。
「終わった?おにーさん。何を考えていたか知らないけど、さっさと革命組織を解体してくれない?貴方達のせいで、一部の人が夢の管理人に不信感を寄せるようになってしまっているんだからさ。
そういう人達が居なくならないと、本当に戦争が始まっちゃうんだよ」
「知るか。お前らが心酔している管理人が仕事を手抜きしたせいで戦争だとか俺たちみたいなのが生まれたりだとかするんだろうが。
それにな、俺は組織の一員というだけだ。組織を解体できんのはリーダーしか居ない」
そう返すと同時にカリンがユウリに向けて構えていた数本の針とナイフを投げつけた。だが予測していたのだろう、教団の少年は笑みを崩さず全て避ける。そしてそのまま超人染みた速さでカリンとレイヤの後ろに回り込み、二人の足を払った。
一連の動きの速さについていけなかったレイヤは態勢を崩して転びかけるが、さすがに人間よりも身体能力の高い人形の中でも最高の出来だと言われているカリンは跳躍してそれを躱す。
レイヤはなんとか立て直しユウリを押さえつけ、身動きの出来なくなった彼にカリンが上から毒針を放った。
終わった、少女人形とその生みの親はそう直感したーーが。
ユウリの姿は針の刺さった部位から霧となって消えた。
「どうしたの?僕はこっちだよ?」
鬼ごっこを楽しむような、無邪気な声でユウリは着地したカリンとレイヤに話しかける。二人の前に立つ少年の体に異常は無い。
面倒な事になりそうだな。
レイヤは武器を取り出し、頭の中から五年前の記憶を振り払った。
前書きでも失礼しました、千羽鶴です。
今回もなんか色々おかしいですね、すみません^^;
言い訳させていただきますと、レイヤの過去とカリンの存在は結構物語に関係が深いので、ここで入れました。
次こそは進展させますので!
それでは、読んでくださりありがとうございました。