『不完全』の『幽波紋』   作:数取団乱闘生

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第10箱「ダービー・ザ・ギャンブラー 前編」

「魂を賭けよう」

「Good! それでは始めましょうか」

看守のディーラーが交互に5枚ずつカードを配った。

そしてその時には既にダービーの手にはキングのフォアカードが出来ていたのだ。

それもそのはず。何も知らなそうな看守を連れてきたフリをして、実は全てを理解している看守を連れてきたからである。

徐倫は当然それを知らないが、球磨川は分かっていた。何故ならダービーが連れてきたその男に見覚えがあったからである。

ソイツは部こそ違えど同じジョジョキャラの虹村億泰だったのだ。

『てことはコイツもデッサン人形ってことだよね……やれやれ。面倒くさくなりそうだよ』

「ルールは簡単だ。互いに10枚のコインを賭け合いそれが全て無くなった者の負けだ」

「やりゃ良いんでしょ」

半ば強引な展開に諦めたのか徐倫もようやくトランプを手にした。

そしてゲーム開始と同時に両者がコインを1枚払った。

「私は1枚チェンジだ」

そう言ってダービーはコインを1枚支払ってカードをチェンジした。する必要などないのに。

「あたしは5枚全部チェンジする。でも自分でカードを山札から引かせてくれない?どうもこのアホ顔が信用出来ない」

「良いでしょう。好きにしなさい」

余裕のダービーは徐倫の意見を承諾。すると徐倫は山札からカードを引いた。

だがこの時球磨川は見ていた。徐倫は上から5枚取ったわけではなく、糸で山札からバラバラに5枚抜き取っていたことを。

だがそれを見ていたのは球磨川だけではなかった。対戦相手のダービーもまたそれを見ていた。

イカサマの天才が敵のイカサマを見逃す筈がなかった。しかしそれに対して何も言わなかった。

何故なら徐倫は既にディーラーの億泰を警戒している。ここでイカサマを指摘すれば、逆に指摘されアホの億泰なら言い訳の際にボロが出かねないと考えたからである。

そうなると球磨川と徐倫は武力行使で来るのは目に見えている。まだ誰の魂も奪っていないのに武力行使になると自分に勝ち目ない…それに自分の手札はキングのフォアカード。山札からバラバラに引いたところでコレには勝てないだろう……そう考えていた。

「じゃあコレであたしのコイン8枚全て賭ける」

徐倫は自分がストーン・フリーで引いたカードを全く見ることもなくそう言った。

「な、何だと?まさかこの女…カードの羅列を覚えておいてそれをスタンドで抜き取ったとでも言うのか!…そんなことが出来るのか……」

いきなりそんなことを言い出した徐倫にダービーも戸惑っていた。

「さぁ、アンタはどうすんの?」

「クックック、ハッハッハ!」

先ほどまで戸惑っていた様子だったダービーが突然笑い出した。

「なっ何がおかしい!」

「ここで焦って賭けを降りていたのが昔の私。おまえの父、空条承太郎に負けた愚かな己よ!だが同じ轍は二度と踏まんと決めたのだ!良いだろう、このダービーも残りのコイン全てを賭けようではないか!」

対するダービーも全てのコインを賭けた。コレでお互いが全てを賭けた為、一回で勝負がつく展開に。

「まずは私からだ」

ダービーがカードを見せた。当然キングのフォアカードが出来上がっている。

「さぁ次はおまえの番だ空条徐倫!カードを見せろ!」

中々見せようとしない徐倫のカードをダービーが無理矢理表にすると何もヤクのないブタだった。

「Good。ポーカーはこのダービーの勝ちだな」

すると次の瞬間徐倫の身体から魂を飛び出して、オシリス神に丸め込まれると一枚のコインとなった。

「これでまずは一人。次は球磨川禊、おまえの番ですね」

『やっぱり僕がやらないといけないのかぁ』

球磨川はため息を吐きながら前へ出た。いつも以上にやる気はあまり見られない。

「どうした?私に勝つ自信がないのかな?」

『僕に戦いのルールを選ばせてくれるんだよね?』

ダービーの問いには無視で球磨川が言った。

「もちろんだ。私は千差万別全てのギャンブルに精通しているつもりだ。どんなものだろうと受けてみせよう」

『そうこなくっちゃ。徐倫ちゃんにポーカーは取られちゃったから、僕はジョセフに習ってオリジナルの戦いを提案するよ。あと虹村くん?不正がないように会話を録音しておいてくれるかい?」

そう言うと球磨川はダービーの道具からまた新しいトランプを二箱選んだ。そしてそれを一人一箱ずつに分け始めた。

そして億泰もレコーダーを準備した。

「これで何をしようというのかな?」

『簡単なことだよ。お互いにカードを出し合って強い方だけがカードを捨てられる。大富豪のルールだよ、2が一番強くて3が一番弱いってやつ。あとJOKERは無しで8切りも無し。ちなみにあいこなら両方が手札に戻す。パスはなし。これで良いかな?』

「Good。良いでしょう、それで戦いましょう。それでは例の言葉を」

『僕の魂を賭けよう……あっ階段もなしで革命はゲーム中に一回だけね』

球磨川の一言で戦いが始まった。

ダービーにはこのゲームの穴が見えていた。このゲームのルールでは3を捨てることが出来ない。出来るとしたら後半で相手のカードのペアが無くなったタイミングを計って出すしかないが、それに気付かないわけがないからである。

「この男…どうするつもりだ……」

 

第10箱完。

 

 

またお会いしましょう

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