『ねぇ頼むよ?君のバトルシーンは初めてだからさ』
「そういうこと言わないでくださいよ」
渋々不知火は己のスタンドマリン・バイオルミネセンスを出した。
「フッ…バレていたのなら仕方がない。まずは不知火、お前から片付けてやるか!」
そう言うと高千穂もスタンドを出した。見た目はプロボクサーで球磨川はポ○モンのエビ○ラーに似てるなぁと思っていた。
やはり球磨川の読み通り近距離パワー型であった。
「スタンドには一人一つは基本スペック以外にも特殊な能力が備わっている。不知火お前は『ゼロ』からものを作り出せるのであったな。もちろんそれは俺にもある。試してみるが良い」
高千穂は人差し指をクイクイっとして挑発している。それに軽くイラっときた不知火。
「あひゃひゃ♪ 高千穂先輩ってこんなにイラっとくるキャラでしたっけ?もうちょっとまともな人だと思ってたんですけどね。買い被り過ぎだったみたいです」
不知火はいきなりマリン・バイオルミネセンスで殴りかかった。それは球磨川の目では追いきれないほどのスピードだった。
しかし高千穂はそれをギリギリで避けて見せた。腹立つぐらいに涼しい顔をしながら。
「なっ…あたしのパンチを……」
「言っておくが俺の元々のスキルのようなオートパイロットのような機能ではない。それではこちらから行くぞ」
次に高千穂のスタンドはマリン・バイオルミネセンスに向かってアッパーカットを繰り出した。
不知火より一歩劣るスピードだったので簡単に避けられると思っていた、しかしマリン・バイオルミネセンスが避けた方に何故かアッパーが飛んで来たのだ。
「うっ……」
不知火はその場にお腹を抑えてうずくまった。スピードはマリン・バイオルミネセンスより劣るも、パワーは全く引けをとらない。
「確かに避けた筈なのに…どうして……」
「俺に攻撃を当てることは出来ない!そして俺の攻撃を避けることも出来ない!それこそが俺のスタンドだ。久しぶりに言ってやろうか、俺はスタンド使い最強の男だ!」
またしてもドヤ顔で高千穂はそう言った。
『やれやれ…このデッサン人形は少しキャラをデフォルメし過ぎなんじゃないのかな?この人こんなキャラだっけ?』
あまりにもうっとうしい高千穂のキャラに球磨川も呆れながら見ていた。
「アンタのスタンドが最強?最強のスタンドはスター・プラチナでしょうよ」
『いやいや違うぜ袖ちゃん。メイド・イン・ヘヴンでしょ。なんたって殺したんだから』
「球磨川先輩こそ何言ってんですか?アレは娘を庇ったから殺されたに決まってるじゃないですか!マジ勝負ならスター・プラチナは勝ってましたよ!」
段々話が脱線しスタンド談議になって来ていた球磨川と不知火。
「何言ってんだお前ら!敵が目の前にいんだぞ!真面目に戦え!」
さすがに痺れを切らした高千穂がツッコんだ。
「お前がそもそも最強のスタンドとか言うからだろうが!」
そう叫んだ不知火がマリン・バイオルミネセンスで高千穂のスタンドを殴り飛ばした。今度は避けられずに直撃したのだ。
「あ、当たった!あひゃひゃ☆」
「なっ…全く見えなかった……バカなっ……」
デッサン人形のくせに口から血を吐きながら驚く高千穂を見た球磨川はスタンドの秘密が分かった。
『分かったぜ袖ちゃん、その男のスタンド能力が何なのかがね』
「何?分かっただと?バカなっ…」
『君のスタンド能力は相手の考える未来が見えるんじゃないのかい?』
「………」
黙り込んでしまう高千穂。やはり分かりやすい男、図星のようである。
「どういうことですか球磨川先輩」
『その言葉通りだよ。人間は戦う時に自然と自分の勝ったビジョン…すなわち未来を想像する。それが彼には見えるんだよ。だから袖ちゃんの攻撃が避けられたし、攻撃を当てることも出来たってわけさ』
「でもさっきは当たりましたよ?」
『それは袖ちゃんが何も考えずに殴ったからだよ。あの人に勝とうとか倒そうとか余計なことは考えずにね』
能力を球磨川に論破されたことで焦る高千穂だったが
「わ、分かったから何だと言うのだ!むしろ分かってしまったからこそ俺には勝てないということでもある。何故ならお前たちは必ず俺の能力を意識してしまうからだ。無意識でなければ俺の能力には勝てない!すなわちお前らに勝利はない!」
まだ勝利の確信があったので何とか持ち直した。
「確かに…もう無意識で殴れない……」
『それはどうかな?』
「何?」
『袖ちゃん、選手交代といこうか。でも君には仕事が待っている、戦いが終わった後にね』
「えっ?選手交代は良いですけど…」
突然の球磨川の言葉に不知火は少し戸惑っていた。
『君の記憶の中にある僕という人間が、実物に近いことを願うよ』
「球磨川先輩…ま、まさか……」
「おい球磨川…貴様何をするつもりだ」
『簡単なことだよ。今から僕は自分の中から理性を『ゼロ』にする。するとどうなると思う?』
「おい貴様本気か?」
『そう。僕はスタンドを使って君を殺す化け物に成り果てるだろうね』
「なっ…に……」
第14箱完。
またお会いしましょう