『不完全』の『幽波紋』   作:数取団乱闘生

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第15箱「球磨川の秘策」

『僕はスタンドを使って君を殺す化け物に成り果てるだろうね』

「なっ…に……」

球磨川の作戦を高千穂よりもいち早く察知していた不知火は既にその場にいなかった。

『さぁ行くぜ高千穂くん。理性が『ゼロ』になった僕は何も考えずただ目の前にいる君を殺す』

「まっ待て…考え直せ球磨川…まだコサージュは70輪も残っているんだぞ……」

高千穂の忠告を無視し、球磨川は自分の頭に手を当てた。

すると3秒後にはもう球磨川は目はイッていた。元々まともな人間ではなかったが、焦点が合っていないヤバイ奴になっていた。

「本気でやりやがった……そして今の奴は何も考えていない……頭の中を覗くのも嫌になる…」

焦る高千穂とは対照的に不気味な笑みを浮かべた球磨川は背後にピュリフィケイション・セレモニーを出した。

「く、来る!」

球磨川は一目散に高千穂に突っ込んできた。能力こそ意味をなさないが単純なスタンドのスピードでは高千穂の方が上。

何も考えていない球磨川の螺子攻撃を避けていた。しかし高千穂はもっと球磨川が自分のことを殺すことしか考えていない化け物だと理解するべきだった。

そんな男が律儀にスタンド攻撃だけに徹する筈はないのだ。シラフでもナイフで善吉を倒したような男なのだから。

今回武器を持っていなかった球磨川は己の歯を高千穂の頚動脈に食い込ませた。

スタンドにばかり気を取られていた高千穂は避けられなかった。

「ぐっぐはぁぁぁぁ!!」

そんな悲鳴をもろともせずに球磨川はそのまま頚動脈を噛み千切った。

血を吹き出して高千穂は死んでデッサン人形となった。

『モウ…オワリ…カ……ツギハ…キミガ…ボクノアイテカ……』

次に球磨川の目に入ったのは当然不知火。

「き、気付かれた……でも球磨川先輩を元に戻せるのはあたししかいない…」

先ほどの球磨川の戦い方を見ていた不知火はまともに戦えば確実に殺されると分かっていた。

でも自分の能力で球磨川の理性を『ゼロ』から作り出すには直接頭に触れなければならない。

「こうなったら多少怪我をしたとしても、球磨川先輩をぶん殴って気絶させてから頭に触るしかない!」

球磨川はすぐに向かってきた、高千穂の時と同じくまずはピュリフィケーション・セレモニーに攻撃してくる。

「スタンドで攻撃してるすきに殺そうっていう計画ならあたしには効かないぞこのマイナス野郎!」

不知火は何の迷いもなくマリン・バイオルミネセンスで球磨川を殴り飛ばした。

「よっしゃ!……チッ」

球磨川はまだ気を失っていなかった。頭から血を流していたが不気味な笑い方でヘラヘラしている。

不知火はそれを見て身体にゾクっと寒気がした。

「人吉の言っていた球磨川先輩に会った時の悪寒ってこんなだったのかな……今のアレを人吉に見せてやりたいよ、気絶するんじゃないの」

さらに球磨川は自分の頭から出た血を見るとさらにニヤリと笑った。

「や、ヤバイヤバイ!自分から出た血で笑うって漫画でよく見るヤバイ奴だよ!」

『モットダ……モットチヲミセロ………』

「ごめん球磨川先輩……あたしアンタのこと殺しちゃうかもしれない……でないとあたしが殺されるから」

また球磨川は飛びかかってきた。でもスタンドの単純なスピードとパワーなら不知火の方が上。

またしても球磨川を殴り飛ばした。だがそれでも球磨川は止まらない。

身体はもうボロボロだというのに一向に止まろうはしない。

「くっ……次殴ったらたぶん死ぬ……どうしたら……」

すると突然球磨川の動きが止まった。

「あれ?」

『そ…袖ちゃん……』

球磨川の顔が元に戻っていたのだ。

「く、球磨川!」

思わず不知火も呼び捨てになっていた。

『もう僕はダメみたいだね……大丈夫さ死ぬのは慣れてるから……あの人のいる教室にはもう行けないけどね……』

そういうと球磨川は自らのスタンドの螺子で自分の頭を貫いた。

「く、球磨川先輩ー!」

 

『また僕は死んだのか……でも大嘘憑き(オールフィクション)が無いから本当に死ぬのはこれが初めてだね……あれ?でも死んだのなら何で僕は今考えることが出来ているんだろう……それともここがあの世なのかな……』

そんなことを考えていた球磨川だったが、突然光が目に差し込んできた。

『………あれ?』

球磨川の目の前には不知火がいた。そこは病院だった。

「球磨川先輩!」

『袖ちゃん?僕は死んだ筈じゃ……』

そう。球磨川は生きていたのだ。身体こそボロボロであったが、正真正銘生きていた。

「それがあたしにも分かんないですよね、そりゃあの後急いで手当して理性を作り直しはしましたけど、頭に螺子を刺し込んだんだから即死ですよね?」

『そうだよね……』

不知火も球磨川自身も何故生きているのか分からなかった。

とはいえマリン・バイオルミネセンスでボコボコにされた球磨川の身体は無事なわけがなく、戦うどころかまともに立つことも難しい状態だった。

「球磨川が死にかけているというのは本当だったようだね」

いきなり病室に男が入って来た。そしてその男を球磨川も不知火も知っていた。

 

第15箱完。

 

 

またお会いしましょう

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