球磨川が死にかけているというのは本当だったようだね」
いきなり病室に男が入って来た。そしてその男を球磨川も不知火も知っていた。
「あ、アンタは… 宗像形(むなかたけい) 」
「よく覚えていたな。僕は宗像形。球磨川に不知火、お前たちを殺しに来た」
そう言った宗像はさっそく背後にスタンドを出した。人型ロボットのような見た目をしており両腕に剣を握っている。
「何もこんな時に来なくたって、球磨川先輩はまともに戦えないのに」
「相手が弱っているから殺す。弱っていなくても殺す。それは僕にとって殺さない理由にはならない」
「うわぁ…殺人衝動バリバリの頃じゃん……」
殺す気満々の宗像に不知火は明らかに引いていた。
「どちらから殺すか…不知火か球磨川か」
「そりゃあたしからでしょ!」
重症の球磨川に戦わせるわけにはいかないと不知火が行こうとすると
『ちょっと待って袖ちゃん。相手のスタンド能力が何かも分からずに接近戦専門の君が行くのは危険だよ』
そう言って球磨川はフラつきながらも立ち上がった。
「ちょっと球磨川先輩!まさか戦う気なの?」
『もし彼のスタンドが戦闘タイプなら僕一人残されたら勝てないだろう?僕が最初に行った方が効率が良い』
「でも……」
『大丈夫だって。善吉くん以外を心配するなんて君らしくないぜ』
「あたしをどんな非情な人間だと思ってたの⁉︎」
不知火の制止も聞かずに球磨川もピュリフィケーション・セレモニーを出した。
「その怪我で向かってくるとは…僕も舐められたものだな。だが僕のスタンド能力に警戒しているというのならそれは無用だ。僕のスタンドは持っている剣が自動で敵を斬りに行くだけだ」
「だけって、それも立派な能力でしょ」
割と冷静に不知火がツッコんだ。
『舐めちゃいないよ宗像くん。本当に君を侮っているのなら僕は袖ちゃんが戦おうとした時に止めやしないよ。君が雑魚ならね』
「その笑みをすぐに消す。そして殺す」
そう言って宗像のスタンドが襲いかかった。スタンドのスピード自体はつい最近高千穂を見たせいか大したものには見えない。
しかしスタンド自体は自動で球磨川を攻撃するので、宗像本体も剣を振り回して斬りかかってきているのだ。
ただでさえ重症の球磨川はその剣撃を受け流すのがやっとで、全く反撃のチャンスは掴めずにいた。
「球磨川先輩…だから言ったのに」
不知火もマリン・バイオルミネセンスを出し加勢しようとした。
だが次の瞬間、スタンドの脇腹を銃弾が掠めた。
「なっ……誰だ⁉︎」
宗像は球磨川と戦っている…不知火が銃弾の来た窓の方を見ると、外の木に一人の女がいてこちらを銃で撃っていた。
しかも見るにそれは普通の銃ではなくホル・ホースのように銃自体がスタンドだった。さらに二丁もあった。
そしてその女の顔も不知火は知っている。
「兄上殿と全裸パーカー先輩の男の決闘を邪魔させませんよ、不知火先輩」
そう言って女も病室に入ってきた。
「鰐塚処理(わにづかしょり)…いや、宗像恋(むなかたこい) 」
そしてその時後ろで戦っていた球磨川が壁に叩きつけられた。
「球磨川先輩!」
『やれやれ……兄妹でご登場とは嬉しいよ。なんせこれで一気に2輪集まるんだからね』
さすが入って球磨川、圧倒的不利な状況でも態度は崩さない男。
「これぞ全裸パーカー先輩ですね、でもそんな身体じゃ兄上殿には到底勝てませんよ?」
「次に殺す!」
『こんな身体じゃなくてもまともに戦ったら君たちには勝てないだろうね僕なんかは。でもこの球磨川禊、なんの策も無しに正面からタイマンを挑んだことがあったかい?』
「なにっ……」
するといきなり病室だった筈なのに平地の外になっていた。
「こ、これはまさか……」
『そう、僕は病院を丸ごと『ゼロ』にしたんだ。狭いところじゃ戦いにくいからね』
「だからなんだというんだ、今の君じゃ僕には勝てない」
そう言ったところで宗像は気付いた。球磨川の背後にスタンドがいないことに。
「君はスタンドを何処へやった?」
『僕のスタンド、ピュリフィケーション・9セレモニーは袖ちゃんのに比べてパワーが弱くてね。鉄筋コンクリートを突き破る力はないんだ。でも土ぐらいならなんとかなるんだよ、手が螺子だしね』
「ま、まさか…」
宗像が気付いた時にはもう遅く、ピュリフィケーション・セレモニーの螺子に貫かれていた。
ただ球磨川が貫いたのは本体ではなくスタンドの方だった。
「あ、兄上殿!」
『そろそろ日が暮れる…彼の時間かな……』
球磨川の言ったその意味深な一言の意味が分からなかった不知火と鰐塚だがすぐに分かることになる。
太陽が沈み、闇の時間が訪れた。
すると突然宗像の身体がどんどんとしぼみ始めた、血でも抜かれたように。
「兄上殿!いったいこれは……」
血を全て抜かれた宗像はデッサン人形となった。もちろん胸にはコサージュが付けられている。
『太陽のある時間は行動出来ない生き物だよ。僕は宗像くんと戦う為じゃなく、彼を誘き出す為に建物を消したんだよ』
「球磨川先輩、それってまさか…」
第16箱完。
またお会いしましょう